池沼唯とムギの恋

池沼唯とムギの恋


唯「ぴいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃ("q")」
先生「唯ちゃんいい加減にしなさい!もうあなたに構っていられないわ。
   授業が終わるまで廊下で反省してなさい!」
唯「びぇぇぇぇぇぇぇぇん("q") ゆい、おりこーさん!せんせーわるいこ!ばーかばーか、しーね (`q´)」
先生「……」
 ビシィィッ!

池沼の中の池沼、池沼唯の世話にほとほとうんざりしたなかよし学級のH先生は、
唯を全力でビンタすると一切の興味を無くして教室に戻っていった。

唯「びえええぇぇぇぇぇぇぇぇぇん(>q<)あ゛あ゛ーーーーーう゛う゛ぅぅぅぅぅぅぅびっぃぃぃぃぃぃぃ("q")」

昼時の校舎に池沼泣きが響き渡る。
先生はもちろんなかよし学級の生徒も唯の池沼泣きは構ってもらうための演技だと知っているので誰もが無反応である。
唯豚は構えば構うほどつけあがるのだ。

唯「うー(~q~)」

池沼は構ってもらえないと知ると早々に泣き止む。それどころか何で泣いていたのか、もはや覚えていない。

唯「あうー(^q^)ゆい、ぽんぽんちゅいた!うーいまんまよこす!(^q^)」

唯は立ち上がると巨体を揺すりながら階段を下りていく。

唯「ゆいのまんま♪ぶたさん、あいす!(^q^) 」

意味不明な歌を歌っているのは池沼が上機嫌な証拠である。
もっとも妹、憂の特製豚さん弁当箱は教室に置いてあるのだが、唯は先生に「ごはんの時間ですよー」と言ってもらえないと思い出せない。

唯「うんたん、うんたん♪むふー(^q^)
  ゆいうんたんじょーずでつよー(^q^)まんまたん、出てきてくらさい(^Q^)キャッキャ」

唯は得意(自称)のうんたん♪を披露しながら餌を探して校舎を練り歩く。
鼻水や涎などの池沼汁を垂れ流しながら歩いているので不潔極まりない。池沼唯が歩いた後に道ができるとはよく言ったものだ。

唯「あうー…(゚q゚)あう!唯こっち!(^q^)」

唯は先生に立ち入ることを固く禁じられている一般校舎に入ってしまった。
普段は池沼が近づくと周囲の生徒が通報して拷問されるのだが、あいにく今は授業中のうえに元々生徒の少ない特別教室が並ぶ校舎だったため池沼の侵入を許してしまった。

桜が丘女子高校は5年前に少子化による生徒数減少を見越して男女共学の養護学級を併設したが、
その際保護者会は重度の池沼(唯のような)が一般生徒の勉学に悪影響を及ぼすと強硬に反対した。
結局経営判断が優先されたものの、数年後に保護者達の危惧が現実のものとなり池沼達の隔離が徹底されることになったのだ。

唯「うーい!ゆいちゅかれた!まんま!(`q´) うーいわるい! う゛ーぶぅぅぅぅ (`q´)」

池沼隔離政策の原因を作った池沼の中の池沼は勝手に不機嫌になりながら階段を上っていく(この事件はまた別のお話)。
ちなみに桜ヶ丘なかよし学級は現生徒が卒業したら廃校になる予定である。

?「いやですっ、今日こそさわちゃんの気持ちを教えてください!」
唯「う゛ーう゛あ゛(`q´)う゛あ゛ー……アウ?うーいでつか?(゚q゚)」

唯がいかにも池沼なうめき声をあげながら壁に八つ当たりしていると、どこかから見知った声が聞こえた。

?「私の気持ち、知ってますよね!?」
唯「あーう!あーう!むぎた!(^q^)キャッキャ」

唯はネズミと同レベルの記憶を辿って歩いているうちに、過去に数か月だけ通っていた軽音部の部室のある階にたどりついたようだ。

唯「あーう!むぎた!ゆい、おりこうさん!むぎたケーキよこす!(^q^) 」

3分前のことすら覚えていない唯の脳みそだが、紬はケーキをくれる人としてしっかりインプットされていた。
もっとも紬がケーキをくれるというよりティータイム中に乱入してみんなのを奪って食うだけだったのだが…。

―――軽音部室―――

さわ「ムギちゃん…その…私もムギちゃんのこと好きよ。可愛いし…でも…」
紬「さわちゃんが先生で私が生徒だからいけないんですか?それとも私が世間知らずだから女の子として認めてくれないんですか…?」
さわ「ムギちゃんは誰よりも素敵な女の子よ。でもね…教師と生徒というのはムギちゃんが思ってるより大きな隔たりがあるの…。
   ムギちゃんが大人になったらきっとわかる」
紬「っ!だからお見合いなんかするっていうんですか!そんなの絶対嫌です!」
さわ「いやー私ももういい歳だから親を安心させてあげないといけないかなと…ハハ…」
紬「もうそんなことはいいです!さわちゃんの本当の気持ちを教えてください!」

さわ(あーだめ…そんな上目遣いで迫らないで…)

紬「さわちゃん…先生…ん」
さわ「ムギちゃん…」

ガラガラガラ

唯「あうあうあー!(^q^) ゆいでつよ!こんにちはでつ!(^q^)」

さわムギ「きゃああああああああああ!!!!」

二人だけの世界に突然侵入してきた豚のような生物に肝を潰して思わず抱き合って後ずさる。
唯は一応軽音部にいたこともあったので二人とも面識はあるのだが、
最近は池沼隔離政策のおかげでこの醜い生き物と遭遇せずに済んでいたのだ。
久々に出会うと不快感は五割増しである。

唯「あう!ゆいおりこうさん!むぎたなかよし!ケーキよこす!(^p^)」

池沼は意味不明なことをわめいた後、豚鼻を膨らませて池沼汁を垂らしながらのっしのっしと二人に近づいてきた。
その様はとても人間には見えない。

さわムギ「ひぃぃっ」

悲鳴をあげて後ずさるのは人間として当然の反応だろう。
一方池沼は中々餌にありつけないのでご機嫌斜めだ。
廊下で大人しく待っていれば今頃お昼ご飯になっていたのだが。

唯「う゛ー(`q´)むぎたはやくケーキよこす!(`q´)」
紬「え、ケーキ?」
唯「びえ゛え゛えええええ゛えええええええん(TqT)ゆい、ぽんぽんちゅいたの!けーき!ゆいおりこーさんなのに!("q")
  ぶびぇぇえぇえええええぇえっぇえっぇ(TqT)」

唯はお決まりの池沼泣きを始めた。紬は池沼をなだめにかかってしまう。

紬「ご、ごめんね唯ちゃん…お昼休みだしケーキ食べましょう。ね?」
唯「あーい!ゆいけーきたべる\(^q^)/」
紬「……」

―――

さわ「ま、まぁ私もお腹すいてたからちょうどいいわ。お弁当食べずにいきなりデザートというのもあれだけど…

   唯ちゃん、ここに座って」
唯「あう!(^q^)ゆい、ケーキ!(^p^)キヒヒヒッ」

普段は犬の糞とチョコレート、小便とオレンジジュースの違いもわからず糞や小便をおいしくいただく唯だったが、さすがに紬の持ってくる高級スイーツが他と違うことはわかった。
あの口いっぱいに広がる甘い至福を思うといつも以上に池沼汁が大量生産される。

さわ「ゆ、唯ちゃん涎垂れてるわ。口閉じなきゃ」
唯「(^q^)」
紬「はーい、どうぞー。紅茶は今蒸らしてるからちょっとだけ待ってね」

今日のスイーツは代官山の超人気店から取り寄せたタルトだ。
通販の予約は1年先まで埋まっているという女の子にとっては夢のタルトである。
紬がいなければ唯はもちろんさわ子もそうそう食べることのできない代物だ。

さわ「え?これってまさか…。うわ~一回食べてみたかったのよ~!ムギちゃん…あぁムギちゃん…」

紬「ふふ♪喜んでもらえて嬉しいわ。あ、いけないフォーク忘れちゃった。今持ってくるわね。」

かろうじてフォークなら使えないこともない唯だったが、
とびきりのごちそうを前にしては1秒たりと我慢できるはずもなく、手づかみでタルトにかぶりついた。

唯「あーう!まいうーまいうー(^q^)」

繊細で上品なスイーツが池沼汁まみれの手でつかまれ汚い音をたてて咀嚼される。

さわムギ「………」
唯「あうーむふぅームッチャクッチャ(^q^)ケーキまいうー(^q^)」
さ「さ、私も食べよ」
紬「そうね…。あ、はいフォーク」

さわ「ありがと。それじゃ、いただきまーす」

健常者の二人は池沼を視界に入れないようにしてタルトを食べることにした。
見た目も美しいケーキにフォークを入れる。

唯「う゛ーう゛ー(`q´)」

なぜか横で池沼が唸っているがさわ子は無視して一口目を口に入れた。

さわ「あぁっおいしい…幸せっ!やっぱり私ムギちゃんと結婚する!」
紬「ふふっもうさわちゃんったら。お菓子でつれちゃうなんて//」
唯「むふぅっ!(`q´)」

幸せな二人の世界をまたしても池沼が叩き壊す。
唯はさわ子が食べていたタルトを手づかみでひったくった。

唯「う゛ぅぶぅ!(`q´) ゆいのケーキとる、だめー!」

池沼の唯にとっては手の届く範囲に置かれている物は全部自分のものである。
もちろん目上の人への敬意なんてものが脳みそに存在しないのは言うまでもない。

さわ「ああっ!流石にそれはダメでしょ!?」
唯「あうーけーきおいちー!グッチャクッチャ(^q^)」
紬「はぁ…仕方ないわね。――はい、どうぞさわちゃん」
さわ「ごめんね、ありがとう。いただきm…ってああッ!」
唯「む゛あ゛ぅう゛ー(`q´)ゆいのとるだめ!わるいこ!ばーかしーね (`q´)しーーーーーーね(`q´#)」
さわ「……………」
紬「…ふふっ唯ちゃんったら。私、こんな気持ちになったの初めて」

紬はそういって笑った。それはどんな強面でも思わずたじろぐほど冷たい笑顔だった。
ケーキのことはともかくとして、一世一代の告白を邪魔されたあげく愛するさわ子を侮辱されては紬といえど黙っていられない。
しかも相手は豚以下の畜生である。

紬「あ、唯ちゃんにフォーク渡してなかったわね。ちょっと待って」
唯「あう?ムッチャクッチャ(゚oo゚)」
紬「気付かなくてごめんね。はい、どうぞ!」
 グザッ


唯「ぴ゛ぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああああああああああ」

紬は持てる限りの力で唯の豚鼻にフォークを突き刺した。

紬「あらっごめんなさい!ちょっと手が滑ったみたい。と、このままじゃ部室が汚れちゃうわね。
  唯ちゃん、廊下に出ましょうね~」

紬はフォークで唯を担ぐような形で部室から引きずり出す。
箱入り娘の紬だが腕力はなぜか人並み以上なのだ。

唯「あひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃい゛い゛い゛ぃぃ("oo") 」

さわ(ムギちゃん強っ)
 ドスン

唯「あふぃぃ("oo") むふぅふー(×∞×)ゆいのぶたさんいちゃい(>q<) ぶたさんしんじゃうれすうううううう("oo") 」

池沼は血まみれの鼻を押さえてジタバタともがく。
鼻はなかよし学級のみんなに豚さんみたいと褒められた自慢のパーツなのだ(もちろん褒めるつもりで言ったわけではないのだが…)

紬「まぁ。確かに唯ちゃんは豚さんによく似ているわね」
唯「ゆいはぶたさんでつよ!("oo")ゆいのぶたさんいちゃいいちゃい!("oo")」

こんな状況でも自分が豚であることを主張せずにいられないのが池沼唯という生き物だ。

紬「あ、紅茶入れるの忘れてたわ!唯ちゃん、ケーキいっぱい食べたから喉乾いたでしょう。今持ってくるわね」

もちろん唯はそれどころではない。

唯「んむひぃぃ(>q<)」
紬「お待たせ~。んーどうしようかしら。そうだ!さわちゃんちょっと豚さんの頭押さえててくれる?人工呼吸するときみたいな感じで」
さわ「え?あ、うん。人口呼吸…こんな感じかしら」

池沼豚に直接触りたくないのでポケットティッシュの上からデコを押さえつける。

唯「あうー(>q<)」
紬「そうそう。そのままお願いね。唯ちゃんお待たせ。紅茶どうぞー」

紬は豚鼻にティーポットを突っ込んで紅茶を流し込んだ。

唯「あ゛あ゛あ゛あぎゃあああああああああああああああああああ」

ぬるま湯ならかえって風邪の予防になったりするが、
紬の紅茶は本格派でちゃんとポットも保温して抽出してあるため温度は100℃近い。
分厚い脂肪に守られているうえに、日ごろのお仕置きやいじめのおかげで殴る蹴るの痛みには耐性のある唯だが、
身体の中を焼かれる未知の痛みにパニックである。
いつものように口だけのごめんなさいやご機嫌取りのうんたん♪もできない。

唯「お゛お゛お゛お゛おほおおおおおおおおおおおおおおおお」

デブった身体をゴロゴロ転がしながらのた打ち回る。

紬「唯ちゃんごめーん間違えちゃった」

そう言いながら唯の頭を踏みつけて固定する。

紬「唯ちゃん、もっといっぱい飲んでいいのよ~」

今度はせわしなく開閉する口にポットを突っ込んで紅茶を流し込んだ。
鼻腔だけでなく喉も丹念に焼いてやろうという心算である。

唯「むごおおおおおおおっぅううううううお゛bbうfなあlfjcxむぉうふ("oo")」
 ブブブー


紬「このお漏らししちゃうほどの恐怖と痛みをちゃんと覚えていてくれたらいいんだけど。
  そううまくいかないのよね…。はぁ後で憂ちゃん呼んで掃除させないと」
 ゴスッ

紬はむっちりした足で唯の頭を蹴り飛ばす。

唯「あぐふぅ("oo")」
紬「私、人の頭を思いっきり蹴るのが夢だったの!」

伸びきってぴくぴく痙攣する豚の頭を思う存分蹴りつける。

ズガッドゴッボキャッ

紬「ふ~満足満足。このティーポットは唯ちゃんにあげるわね」

池沼汁にまみれてしまった高級ティーポットは唯の鼻に突っ込んでおくことにした。
さすがに洗っても使う気にはならない。

さわ「池沼って惨めね…」
紬「もぅさわちゃんったら一応先生でしょ。
  さ、改めてお昼食べましょう。お腹すいちゃった」

二人は池沼を放って部室に戻ると仲良く昼ごはんを食べ始めた。
池沼に邪魔されない二人だけの喜びを噛みしめて…。


翌日(土曜日)

いつもの軽音部室にいつもの部員が集まってる。

澪「さー練習するぞー」
梓「そうしましょう」
律「いやー先にお茶飲んでからにしようよ~。その方がやる気でるってー」
紬「ふふっ。どっちにする?」

平和な土曜日を二人の災厄が切り裂いた。

ガラガラガラッ!

憂「ちょっと!あなた達どういうつもりですかっ!」
唯「あう!(^q^)りった、みおた、あずなん、むぎた、こんにちはでつ!(^q^)/」

一同「………。(最悪だ)」

唯「あう?(゚q゚)りった、みおた、あずなん、むぎた、こんにちはでつ!(^q^)/」
憂「お姉ちゃんはちゃんとあいさつできて偉いね~。それに引き替えこの人たちときたら…」
唯「あ~う~!(^q^)ゆいおりこうさん!v(^oo^)vキャッキャ」
律「あ、あぁこんにちは…」
澪「池沼こわい池沼こわい池沼こわい…」
梓「こんにちは憂。唯…先輩」
紬「……」

憂「なんか琴吹先輩のあいさつだけ聞こえませんけどwなんか疚しいことでもあるんですかね?w」
律「ムギは二人の突然の乱入で固まっちゃったんだよ。な?
  で、なんか用事?こっちは部活中なんだけど」

このモンスター池沼姉妹に軽音部は何度も迷惑をかけられてきた。
池沼隔離政策以降頻度は下がったとはいえ、時々昨日のように唯が迷いこむことがあったのだ。
律は「邪魔だから出てけよ」的なニュアンスを多分に含ませて憂に向けて言う。
正直視界に入れたくもない相手だ。

憂「えっ部活なんかやってないじゃないですかw喋ってるだけでしょう?w随分お気楽な部活(笑)なんですねw」
律「うるさいなー。これからやるんだよ」
唯「あーう!ぶかつ!ゆい、うんたん♪しまつ!(^q^)」

数か月の軽音部滞在期間、唯は部員が四苦八苦しながら楽器と格闘する中で、汚いカスタネットやオムツを穿かせたギターを使い全力でうんたん♪をし続けた。
唯は澪、律、紬の伴奏にのせてうんたん♪をするのが部活だと思っている。
部室に突進しようとする唯のトレーナーの襟を憂が引っ掴んだ。

憂「ダメよ。この人たちにはお姉ちゃんの上手なうんたん♪を見せる価値はないの。むしろうんたん♪が汚れてしまうわ」

憂の言っていることは唯には難しくて理解できなかったが「じょうずなうんたん」という言葉はわかった。
それは唯が世界で一番好きな言葉である。
豚鼻を最大限に膨らませ池沼汁垂れ流しの満面の笑みで唯は飛び跳ねて喜ぶ。

唯「あうあうあー!ゆいうんたんじょーず!(^q^)/じょーず!はふぅ~ゆいはうんたん♪じょーず!(^q^)」

飛び跳ねるだけでは飽き足らず肥え太った身体で廊下を転がりながら「うんたんじょーず!」を狂ったように繰り返している。

律「いやーうんたん上手でも何でもいいけど何の用なのよ」
憂「言われないとわからないんですか?昨日養護学級の先生にお姉ちゃんがいないって連絡を受けて探してたらこの部室の近くで倒れてたんですよ!
  しかもうんちを漏らして上半身は血まみれで殴られた痕が見受けられました。しかも鼻にティーポットが刺してあったんですけどこれはどういうことですかね」
梓「でも唯ぶt…先輩ぴんぴんしてるじゃない」
憂「あーやっぱり梓ちゃんまでそういうこと言うんだ。たしかにお姉ちゃんは骨折ぐらいなら一日で治っちゃうけど。
  でも取り返しのつかないことになってからじゃ遅いよね?それとも障碍者は傷つけても構わないっていうお決まりの差別なのかな?」

一同(まーた始まった…)

律「いやーまあとにかくうちの部員がやったっていう証拠はあるのか?」
憂「お姉ちゃんが言ってましたよ。それにティーポットがありますしね」
律「ほんとかぁ~?おーい唯!お前昨日ここに来たのか?」
唯「あーう!(^q^)むぎたけーきくれた!あう!ゆいうんたんじょーずれす!むぎたけーきよこす!(^q^)キャッキャ」

おいしいケーキを食べたことは頭に残っていたが、暴行を受けることは日常の一部なのですっかり頭から抜け落ちていた。
そもそも一日前のことを覚えていること自体が唯にとっては奇跡である。

律「だってよw」
 ドガッ
唯「びえええぇぇぇぇぇぇぇぇぇん(>q<)うーいぶった!おりこうさんぶつ、ばーか!うーいばーかしーねばーか!(`q´)」
 ドガッバキッ
唯「ぶえええぇぇぇぇぇぇぇぇぇん(>q<)」
憂「姉には知的障碍があるんです!そこにつけこむような真似はやめてください!
  お姉ちゃんは暴行を受けた。軽音部の部室付近で倒れていた。琴吹先輩に会った。この時点で事実は明白です。」
律「おい、いい加減なことは―」

律が気色ばむが紬が引き取った。

紬「そうね。たしかに私は唯ちゃんのことを虐待したわ。鼻に紅茶を流し込んで頭を蹴っ飛ばしたの」
梓「ププッ」
澪「(ムギGJ)」(親指を立てて)

憂「はっこれは呆れちゃいますね。開き直るだなんて。罪を認めるならさっさと土下座して謝ってください」
紬「でも唯ちゃんは覚えてないのよね?それなら謝っても意味がないでしょう?
さわちゃんに死ねって言ったことを唯ちゃんが謝るなら私も謝ってもいいけど。」

律澪梓(あーそれ言っちゃったんだ…)

憂「お姉ちゃんには知的障碍があるんです!障碍者だから謝らないって言うんですか!差別です!」
紬「障害者だから謝らないなんて一言も言ってないわ。大体憂ちゃんも唯ちゃんのこと殴ってたけどそれはいいの?」
憂「私のは愛の鞭なんです!あなたたち差別主義者と一緒にしないでください!」
律「大体さー昨日はムギがさわちゃんに告るって言うからあたしら部室来なかったんだぜ?それ邪魔されたらムギも怒るっしょ」
梓「それになかよし学級の生徒は一般校舎に入ることが禁じられているはずでしょ」
憂「あぁあなた達が池沼隔離政策とか呼んでいるやつね。
  あれはね、お姉ちゃんみたいな天使をあなた達みたいな薄汚い差別主義者から守るためのものなのよ。隔離されてるのは障碍者ではなくあなた達なのw」

あまりに意味不明な理屈に一同は唖然とする。
妹の憂には障害はないはずだがやはり池沼の妹は池沼ということなのだろうか。

憂「とにかく、今土下座しないならこのことは知的障碍者保護者連絡会(仮称)と先生方に通知させてもらいますから。
  桜ヶ丘女子高校の軽音部は知的障碍者を差別する部活ですってねw今年の文化祭は絶望的ですねw」

首根っこを押さえたと確信した憂は自慢げに言う。

紬「憂ちゃん…こういうことはあまり言いたくないんだけど。そういうセリフはね、自分より弱い相手に言わないと意味がないのよ?」
憂「なっ…それはどういう意味ですか!?知的障碍というハンディを負っていたら人間として劣っているとでも―」

ブブブブブ゙ー!
唯「ゆい、ぶぶぶーでまちた!(^q^)むふぅぶぶぶーいっぱいでつ(^q^)キャッキャ」
 バキョッ

唯「むひっ("q")う゛ー(`q´)ゆいわるいこしてない!うーいわるいこ!うーいおしおきれす!(`q´#) 」ドスドスドス


唯は手をばたばたさせて憂に体当たりしようとするがなんなく躱されドアにぶつかりひっくり返った。

唯「びぃぃぃぃぃぃぃぃ(>q<)あう!("q")」
ブブー


弾みで残ったウンチも出てしまったようだ。
もう唯のトレーナーの尻はもりもり膨れている。

憂「くっ、とにかく私は許しませんから!」

憂は『てんし』というふざけた文字がプリントされた唯の池沼トレーナーを引っ張って部室から去って行った。

唯「むう゛ー(`q´)ゆいけーきたべてない!ゆいいかない!」バチン
唯「びえええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ(>q<)」

―――
澪「やっと行ったか…」
律「全く…。監視を強化するように先生方にお願いしないといけないな」
梓「自分たちが知的障害者の差別を助長してるってなんでわからないんですかね」
紬「みんな、巻き込んじゃってごめんね…。」
澪「いいのいいの。ムギに悪いところなんて一つも無いんだから。むしろスカッとしたよ」
律「ムギの怒りは軽音部の怒りってことさ」
梓「大体ムギ先輩怒らせるってある意味すごいですよ」
澪「たしかに」
紬「ぐすっ…みんな…ありがとう。私、軽音部に入って本当によかった。
  そうそう、今日はとっておきのお菓子があるのよ~」
律「やったね!」
澪「律は太らないからいいよな…」
梓「…全く。それ食べたら練習ですよ。あ、おいしそう」

この日の出来事が後に悲劇を呼ぶのだが美少女軽音部員達はまだ知る由もなかった。

==================
月曜日


ガラガラガラ
梓「ふぅ。みんなおはよー。眠い…」
憂「あ、梓ちゃんおはよう。見て見て。今朝学校に来たらね、校舎中にこんなビラが貼ってあったの!」

憂はどこか嫌味な形に口を歪め、梓の肩を抱くと一枚の紙を手渡した。

『桜が丘女子高等学校の音楽教師、山中さわ子は天使の障碍者、平沢唯を虐待・差別したあげく琴吹紬と淫行に及ぶ淫売につき即刻解雇すべし!
 知的障碍者差別是正運動の会(仮称)一同』

赤いマジックで汚らしく書き殴ってある。
ビラに目を通した梓が絶句すると、勝ち誇るように言った。

憂「一体誰がこんな手の込んだことしたのかしら。やっぱり正義の味方っているのかしらねぇw」
梓「憂…あなた―」

女子A「でもさー山中先生×琴吹先輩ってむしろおいしいよね」
女子B「凛とした山中先生とお嬢様な琴吹先輩の身分を超えた恋!」
女子C「萌えるね」
女子A「でしょ?」
女子C「それにこの天使のしょうとくしゃ?平沢唯ってあの有名な池沼でしょ?ほらあの大ブブブー事件の」
女子B「大ブブブー事件ってまさか…」
女子A「池沼が学校中にうんちをまき散らして一週間学校が休学になったっていうあの…」
女子C「そうそう。私、部活の先輩から聞いたもん。先輩たちの中では池沼の唯豚とかって伝説になってるらしいよ」
女子A「通り名までついちゃってるんだ。しかも豚てw」
女子C「なんか豚みたいな体格してるうえに豚って罵ると大喜びするんだってw」
女子B「話を聞いてるだけだと笑えるけど本物には絶対会いたくないよね」
女子AC「うんうん」

女子B「もちろん知的障害者の人みんなが悪いわけじゃないけど、そこまでいくと差別されても仕方ない気がするな」
女子A「池沼だからうんち漏らしていいってわけじゃないもんねぇ。そもそも不当じゃないのに差別っていうのがおかしいよね」
女子B「豚みたいな池沼でしかも豚が好きなら養豚場で暮らせばいいのに」
女子C「でもお肉は絶対食べたくないw」
女子A「たしかにw」

憂「くっ、本当に馬鹿ばっかりね!」

梓は憂を睨みつけたが、憂は素知らぬ顔で席に座って教科書を開いた。

―――
さわちゃん「失礼します」
教頭「何の話かはわかっているね?」
さわ「はい」
教頭「まったく…。だから私は池沼学校を作るなんて反対だったんだ。目先のことしか見えない偽善の狸どものせいで私が尻拭いしなくちゃならん。まぁそれはいい」

教頭は例のビラと紬とさわ子のデート中の写真(職員室の扉に貼られていた)を取り出して机に置いた。

教頭「池沼唯を虐待云々はむしろボーナスをやってもいいくらいだが、淫行はいかんよ山中先生。しかもよりによって琴吹家のご令嬢が相手とは…。やるならバレないようにやりたまえ」

さわ子は下品な揶揄には答えず黙っている。

教頭「うちは私立校だ。しかも名門の女子高だ。評判の商売なんだよ。
   きみも社会人ならそれはわかるね。一応聞いておくがここに書いてあることは事実かね?」

教頭はいやらしい笑みを作って言う。

さわ「はい。すべて事実です」
教頭「羨ましい限りだねまったく…。私もおこぼれに与りたいものだな。ひひっ

   しかしだ、しかしこれが琴吹家のご父兄の耳に入ってみろ。くそっ俺がクビになったら責任取ってくれるのかね山中先生!
   まったく…私は個人的に山中先生には目をかけていたというのに…くそっ!
   …だが幸いにも琴吹家はお嬢様の教育を全面的にうちに任せておられる。
   どうかね君の方から紬さんに事を荒立てないよう口添えしてもらえないだろうか。そしたら穏便に辞めさせてあげよう」

さわ「むぎ…琴吹さんも騒ぎにすることは望んでいないはずです。謝罪も私に行かせてください。」
教頭「はっ!それで終わればいいがね!まったく…」
さわ「教頭先生に一つだけお願いがあります。聞いていただけないでしょうか」
教頭「それを聞いたら今晩2人で食事に行けたりするのかな?ふひっ」
さわ「いいえ、それはお断りします」
教頭「まったく、ユーモアも解さないのかね山中先生は!さっさと言って出て行きたまえ。まったく…」

―――
ガラガラガラ

紬「さわちゃん!」
さわ「ムギちゃん…どうして…授業中でしょ?」
紬「そんなことはどうでもいいです!その…偉い人に何か言われたりしたんですか…?」
さわ「まぁ…ね。私も一応社会人だからね、責任は取らないと。」
紬「そんな…!悪いのは私です!私が無理矢理…。さわちゃんは何も悪くないです。ぐすっ」
さわ「そんなこと言わないで。私もムギちゃんに好きって言ってもらえてすごく嬉しかったんだから。でも…ね。
   教師が生徒を傷つけるなんて。ごめんね、ダメだね私。」
紬「ふぐっ私が…私が…」
さわ「ごめんね…。明日、ムギちゃんのご両親にお詫びに行くわ」
紬「お詫びって…何を謝るの?」
さわ「その、色々ご心配をおかけしちゃったから…」
紬「パパもママも関係ないです!私、ほんとにさわちゃんのこと好きだったんだよ?謝ったりしないでよぉ」
さわ「ムギちゃん…」

さわ子は紬の肩を撫でると、背中を向けた。

さわ(最後ぐらい大人で、教師でいないと)

紬「お願い、行かないで、さわちゃん」

紬がさわ子の背中に縋り付いた。

さわ「ごめんね…。これからいい恋をたくさんして、もっともっと綺麗になってね」

さわ子が紬の手を握って言う。

さわ「それと、軽音部は同窓会として存続させてもらえることになったから。
   部費は出なくなっちゃうかもしれないけど、文化祭にも出られるわ。
   いい先生がいたら顧問になってもらってね。それじゃ、さよなら、ムギちゃん」

さわ子は早口に言い終えると、紬の手を離して歩き出した。
もう零れる涙をとどめることはできなかった。

紬「さわちゃん!先生!うわぁぁああん」

紬は顔を覆って号泣した。生まれて初めて味わう喪失だった。

―――
憂「あらあら、フラれちゃたみたいですねぇw」

肩を震わせてしゃくりあげる紬の背後から、いつの間にか現れた憂がさも嬉しそうに言った。

憂「やっぱりあのビラの件ですかぁ?一体誰があんなことしたんですかねぇ。
  でもぉ知的障碍者を差別するような人が教師になるっていうのがぁそもそも間違いですよねぇ~。
  天罰っていうんですかねこういうのw琴吹先輩もォああいう悪い大人と一緒にいたら心が汚れちゃいますよぉ?
  気を付けてくださいねぇ。ハハッ」

憂は拳を握りしめて俯く紬の顔を満面の笑みで覗き込むと、満足げに高笑いして去って行った。
紬は憂が去ってからもその場を動けずにいた。
硬く握りしめた拳からは血がしたたり落ちている。

紬「絶対に許さないッ…!」

紬がそうつぶやいたとき、涙は止まっていた。

―――
一方その頃のなかよし学級では…


唯「あ~う~ぶーぶーいいこいいこれす(^oo^)」
たかし「ゆいぶたがおもちゃもってきてる!」
唯「あう?ゆいおもちゃもってないれすよ('oo')」
たかし「もってるじゃねーか!がっこうにおもちゃもってきちゃいけないんだぞ!」
唯「んひぃっ("oo") ゆいのぶーぶーおともらちれす!たかしくぶーぶーかえす!("oo")」
たかし「うるさい!せんせいのかわりにおしおきする!」

ドカッボキャ


  びぇぇぇーーーん!!ゆいのぶたさーーん!! ("oo")

                  ____
             ,,. :': :´: : : : : : : : :\

          >: : : : : : : : : : : : : : : : : :ハ
        ∠: : : : /: : : i: : : : : i: : : : : :i: : : !
         /: : : :ト ,/l: : : : : |i: : : : :. !: : : !
         .|: : : : .ト.|/ l: : : : :ト\: : : :l: : :: !
         .|/ ,: :|: l. __ ∨\|.___丶i: :.|: : :ハ
        /: : :/: :∨(O)   (O ) |\|ヽ: : ハ
        /_: :.〈: : : 〉〈 〈 (O O)〈 〈 |/|丿:::__l
         〈: 丶:(  〉 〉.i'⌒ヽ 〉 〉': :.ノ: :_|
        _/ \:\_〈_ ゝ_ノ _〈./: : /\/
       /      ',  / l∨l /     \

 グシャ   !_    _',____\/ノl./       \

 ____〈 )/ ̄   \\/          \   
 |\::::::ゞ <>()<>_/      _         ハ  
 \ \ (^oo^)\ に|      /          ハ  
   \ \___:\└--‐‐‐"~\   ┌─┐ /ゝ 
    \|   巛 )___,, -‐┤.    ゝ__ノ/ヽ ゝ 


いつもの日常が繰り返されていた。



一週間後・平沢家

唯「うんたん♪うんたん♪うーい!ゆいうんたんじょーずでつよ(^q^)/ うんたん♪うんたん♪」
憂「お姉ちゃんうんたん上手ね~♪」
唯「あうあうー!うんたん!うんたん!うんたん!うんたん!ゆいはうんたん♪じょーず!(^q^)」

憂はいつもは軽くあしらう唯のうんたん上手アピールをよいしょした。
すこぶる機嫌がよかったからである。
件のビラ事件の後、音楽教師、山中さわ子は退職した。一身上の都合と説明されたが、だれがどう見ても引責辞職であった。
そしてもう一人の標的である紬も、あれから学校に来ていなかった。
ここまで効果があると思っていなかった憂はほくそ笑む。

憂「さーて、次は何をしようかしらね。梓ちゃんでもいじめようかしらw」

あれ以来、梓は憂に対して露骨に敵意を見せるようになった。
会話はもちろん目を合わせようともしない。
二人の共通の友人である純も梓の側に立ったようで同じ態度を取っている。

憂(ま、いつものことだしどうでもいいけどね)

実際、憂には今まで本当の意味で友人と言える存在は一人もいなかった。
仲良くなっても、すぐに離れていく。
原因はいつも直接的にも間接的にも唯であった。

唯「あうー!あずなん!ゆいあずなんつきでつ!ムチュウ(^ε^) 」
憂「ププッ。そうだ下駄箱にお姉ちゃんのオムツを入れてやろうwあーこれ登校拒否っちゃうかもw」

ピンポーン
?「宅急便でーす!」
憂「あらあら。噂をすればお姉ちゃんのオムツだわ。はーい今行きまーす」ドタドタドタ

いつもの介護用オムツ(特大サイズ)の宅配だと思った憂は何の疑問も抱かずドアを開けた。

ガチャ

バチバチバチッ


ドアの先には二人の男がいた。宅急便って二人で来るものだっけと思ったときにはもう憂の意識は飛んでいた。
=========================

A「お嬢様、準備はすべて終わりました。ご注文の品も揃えてあります」
紬「本当にありがとうございました。私の我がままに付き合わせてしまって…」
A「いえそんな。私はお嬢様に命を救われた身ですから。お嬢様のためならこの身を張る覚悟です。
 それにこの池沼どもはお嬢様にとんでもないご迷惑をかけたとか…。何回殺しても足りないぐらいですよ」
紬「本当にごめんなさい。一生に一度の我がままにします。それでは何かあったらお呼びしますね」
A「はい。それじゃ詰所で待機しとります」

ここは琴吹家の所有する秘密の地下施設である。
学校の教室を一回り大きくしたような正方形で、右側に大きな横長の鏡があるほかは威圧感を感じさせるような暗色の壁があるだけの殺風景な部屋だった。
左右の壁に一つずつドアがついている。

唯「ぐがぁああああぶおもお゛お゛おおおぶすぴー(-q-)」

そこに耳障り極まりないいびきをまき散らす池沼唯とラフな服装をした紬がいた。

紬「さて、まずは憂ちゃんかしらね」

紬は右側の壁についているドアを開けた。

ガチャ


中はちょうど音楽準備室のような縦長のやや手狭な暗い部屋だった。壁際に畳んだパイプ椅子とプラスチックの収納ボックスが置いてある。
先ほどの部屋にあった鏡はマジックミラーになっているようで、こちらからは大の字に寝た唯の姿が見えた。
床には手錠をされ右足に足かせをつけられた憂が転がっている。こちらは麻酔で眠らされていた。

紬「憂ちゃーん起きてー。朝ですよ~」

紬が憂の体を揺する。

憂「う~ん…。あれ…私…な、琴吹先輩!」

目覚めた憂は当然のことながら目の前にいる紬に仰天した。

紬「ふふっ。憂ちゃんおはよー」
憂「何これっ…どっどういうことですか!?こんな、か、監禁?誘拐?こんなことが許されると思ってるんですか!?何をするつもり…?訴えますよ!」

さすがの憂も見知らぬ部屋で拘束され、目の前で紬が不敵な笑みを浮かべているこの状況にパニックになっている。

紬「うーん別に解体して豚の餌にしたりするわけじゃないから安心して。ぶったり蹴ったりしないことも約束するし、遅くても明日中には必ず解放するわ。
  トイレは後ろにあるし、着替えも食糧も水もそこのボックスに入ってる。まぁ貧相な内容で申し訳ないけれど。他にいるものがあれば何でも持ってきてあげる」
憂「そんな…。い、一体何が目的でこんなこと!こ、こんなことして許されるとでも―」
紬「それは自分の胸に聞いてほしいな。まぁそれはともかくあれを見て、憂ちゃん」

紬はそう言ってマジックミラーの先にいる唯を指さす。

憂「お姉ちゃん!?お姉ちゃん!!大丈夫なの!?お姉ちゃん!返事をして!」
紬「鬱陶しいいびきをかいて寝ているだけよ。心配しないで」

壁際にあるボタンを押すと、向こうの部屋の音声がこちらに流れてきた。

唯「ぶんごお゛お゛お゛お゛お゛お゛むふぅゆいはうんたん…ぶたさんんごお゛お゛お(-q-)」
憂「お姉ちゃん…。お姉ちゃんに何かしたら絶対許しませんから。人権擁護委員会に訴えて琴吹グループの地位を失墜させてやります。覚悟してくださいよ」
紬「そんな~。私はただ唯ちゃんと遊ぼうっていうだけよ?憂ちゃんにはそれを見てもらうだけ。解放したら訴訟でも人権擁護でも好きにしていいわ。私は止めないから」
憂「くっ絶対後悔させてやりますからね…」

憂は先ほどのパニックが嘘のように敵意をむき出しにしている。紬はそれを見てほくそ笑んだ。
憂はまだ喧嘩を売る相手を間違えたことに気付いていない。もっとも気付いたところですでに手遅れなのだが…。

紬「あ、そうそう。このボタンを押して話したら私のイヤホンに届くから。何かあったらそれで呼んで頂戴。じゃ、また後でね」

紬はそれだけ言うと小部屋を出て鍵をかけた。

―――
紬「さ、唯ちゃんもそろそろ起きましょうね~」
ドガッ


紬は唯のそばに寄ると迷わず頭を蹴り飛ばした。ぶったり蹴ったりしないという約束は唯には適用されないようだ。

唯「ふごっ("q")むふぅゆいおきたでつ。う~ゆいぽんぽんちゅいた~う~い~まんまよこす("q")」

昨日の夕食前に拉致されたのでかなり腹が減っているようだ。
しかしそのおかげで朝のウンチのお漏らしもない。

紬「唯ちゃんおはよ~」
唯「あう?むぎた、なんでいるでつか(゚ q゚)」
紬「今日は唯ちゃんと遊びに来たのよ~」
唯「むふぅゆいぽんぽんちゅいてる!けーきはやくよこす!(^q^)」

唯にとっては紬=ケーキである。

紬「はーいケーキは無いんだけどご飯持ってくるわね。ちょっと待っててね」

紬は左側のドアに消えると、バケツとクーラーボックスを重そうに運んできた。

紬「はいご飯ですよ~どうぞ」

紬はバケツの蓋を開けて唯に差し出した。すえた異臭が漂う。

唯「あう!(゚ q゚)まんま!まんまいぱい!むふぅぅぅむぎたいいこいいこ!(^q^)
  まいうーまいうー(^q^) グッチャクッチャ」

それは琴吹家の台所から出たただの生ごみと残飯だったが唯は目を輝かせて食べ始めた。

唯「ぐふぅゆいのまんまいぱいいぱいでつ(^q^) ゆいおりこーでまんまいぱい!むひー!(^q^)」

手づかみで食べることすら億劫になったのか、唯はバケツを両手で抱きしめると顔を突っ込んで食べだした。
最近ダイエットと称して食事の量を減らされていたので、唯にとってはいくら食べても無くならない夢のようなご飯である。

唯「あうー!まいうーまいうー(^q^) グッチャクッチャ」

当然顔中に残飯がくっついてただでさえ不細工な顔がこの世のものとは思えないほど醜悪になった。

唯「ぷはー!まんままいうーでつ!むぎたあいすよこす!(^q^)」
紬「はーいどうぞ~いっぱい食べてね~」

紬はクーラーボックスからガリガリくんを5本取り出すと、封を切って唯が大事そうに抱えているバケツに投げ入れた。

唯「あう(゚ q゚)ひぃ、ふぅ、みぃ…いぱい!あいすいぱいでつ!あひーーー!(^Q^) クッシャクッシャペロペロ」

唯は自分が数えきれない数のアイスがあるのを確認すると、再びバケツに顔を突っ込んだ。
興奮して鼻水や涎などが増産されアイスに大量に垂れているが唯はそんなことは気にしない。

紬「唯ちゃんおいしい?」
唯「あーう!(^Q^) あいすおいちーおいちー!むふぅむぎたいいこれす!うーいいらない!(^q^)」
紬「あらあら。うーいいらないの?どうして?」
唯「うーいまんますくない!あいすないわるいこ!(`q´)むぎたまんま、あいすいぱい!うーいいらないれす(^q^) 」

唯はアイスの汁と残飯と鼻水と目糞と涎まみれの満面の笑顔であっさり憂から紬へ乗り換えた。

紬「まぁ。ふふ。じゃあ唯ちゃんはうーいと私とどっちが好き?」
唯「あうーむぎたでつ!(^q^)むぎたいる、うーいいらない!(^q^)キャッキャ」
紬「だって。憂ちゃん聞いた?」

胸元のマイクに向かって言う。

憂「知的障碍につけこんだ誘導尋問なんて最低です!それに、私はお姉ちゃんの健康を考えてるんです!私のほうが…」

憂は気色ばむが「いらない」と言われたことへの動揺が隠せていない。

ブブブブブブブブー!
唯「はうーゆいぶぶぶー(^q^)ぶぶぶーさんいぱいでつね~」

後先考えずにかきこんだアイスのせいで腹が緩くなったようだ。
かろうじて特大オムツが堰き止めているものの、凄まじい悪臭がたちこめた。

唯「ゆいぶぶぶーでまちた!むぎたおむつかえる!(^q^)/」
紬「うぐっ臭っ。唯ちゃんうーいにオムツを替えてもらいましょう」

このお漏らしも紬の計画に織り込み済みだったが、この異常な臭さは想像以上だった。

唯「あう?うーいいるでつか?キョロ (゚ρ゚≡゚ρ゚) キョロ 」
紬「憂ちゃんは別の部屋にいるのよ。唯ちゃんのオムツを替えるためにお留守番しているの」
唯「あーう!うーいおむつ(^q^)」
紬「そう!うーいは唯ちゃんのオムツ係なの!」
唯「キュヒヒヒ(^q^)うーいおむつ!うーいはおむつ!(^q^)ムヒヒッ」

本来ギャグを笑うという行為は高度な理解力を要するので唯には到底できない。
だが「うーいはおむつ」という言葉には池沼なりに侮蔑的なおかしさを感じ取ったようで腹をよじって笑い転げている。

紬「唯ちゃんこっちよ~」
唯「あーい!(^q^)ヒヒ」

ガチャ

憂「お姉ちゃん!」
唯「あーう!うーい、ゆいのおむつでつよ~(^q^)」
紬「じゃ、憂ちゃんお願いね。オムツは3段目に入ってるから。おしりふきも一緒。終わったらビニール袋に入れて口を縛っといてね。ううっ吐いちゃいそう」

紬は憂の手錠の鍵を外すと、臭いに顔をしかめてドアを閉じた。

―――
憂「お姉ちゃん!大丈夫なの?よかった…」

憂は残飯と池沼汁と強烈なウンチの臭いにも構わずしっかりと唯を抱きしめた。

憂「お姉ちゃん、あの人の言うことなんか聞いちゃダメだからね?あの人はお姉ちゃんを天使と思わない悪魔なんだから。
  私だけがお姉ちゃんを幸せにしてあげられるの。二人でずっとこの部屋に隠れてようね。あいつが入ってきたら椅子を叩きつけてやるんだから。ぐすっ」

気丈に振る舞っていてもまだ10代の女の子である。憂は安堵の涙で『ちかしつ』という文字がプリントされた唯の池沼トレーナーを濡らした。

唯「う゛ー(`q´)」

池沼はそんな憂の気も知らず唸り声をあげている。

唯「うーいはやくおむつかえる!おむつきちゃない!(`q´)」
憂「あ、ごめんそうだよね。じゃあ横になって、お姉ちゃん」
唯「あーう!(^q^)」

憂はウンチまみれのオムツを外し、お尻を拭いて新しいオムツに替えてあげた。
唯の常人の数十倍の臭いを伴うウンチとデブった身体を巧みに扱えるのは世界広しと言えど憂だけである。

唯「あう~おむつきれいきれい(^q^)キャッキャ」
憂「よかったね、お姉ちゃん。ふふ」

憂は唯の残飯まみれの顔も綺麗に拭いてあげると優しい笑みを浮かべた。

唯「あうーうーいおむつじょーずでつね~ヨチヨチうーいはおむつでつよ(^q^)キヒッ」

唯は憂に感謝するどころかドヤ顔である。
憂は思わず殴りかけたがぐっと堪えた。

憂「そ、そうだよ…オムツを毎日綺麗にしてあげるし、ご飯もアイスもいっぱいあげる。だから、ね、助けが来るまでここに一緒にいよう?」
唯「むふぅ(`q´)むぎたまんま、あいすいぱい!うーいまんますくない!あいすない!うーいいらないれす(^q^)」
 バギッ


憂の右腕が火を噴いた。

唯「びぇぇぇぇーーーーん("q")うーいぶった!ゆいうーいきらい!うーいばーかしーーーねしーーーーーーーね(`q´#) 」
憂「ご、ごめんねお姉ちゃん。これからはご飯いっぱいあげるから…」
唯「むふうううううぅぅぅぅう(`q´#) 」
 ガチャ


紬「唯ちゃーんオムツ終わったら積み木で遊びましょ~」
唯「あう(゚q゚)つみきた!ゆいもやるれす(^q^)キャッキャ」ドスドスドス


唯は憂に興味を無くして紬のいる出口に突進した。

憂「ああっお姉ちゃん、ダメだよ!きゃっ」

憂は唯を追いかけようとするが足かせに引っ張られ転んでしまう。

紬「ふふっ」

紬は憂を満足そうに見下ろしてドアを閉めた。

―――
大部屋には幼児用のカラフルな積み木が納められている2つの箱が置いてあった。

紬「唯ちゃん、これが積み木さんよ」
唯「あーう!つみきたん!わたしはゆいでつ!なかよしがっこうでつ!(^q^)」

唯は新しいお友達の積み木さんに自己紹介した。

紬「積み木さんはね、今はバラバラだけどお城に変身できるのよ!私がやってみるから見ててね」
唯「あうー!へんしーんへんしーん(^q^)」

紬は片方の箱を開け、組み立て始めた。

唯「つみきたんきれいきれいでつ(^q^)」

唯にしては珍しく騒がずに紬の積み木を眺めている。
0~3歳児向けの積み木を選んだのは正解だったようだ。

紬「はい、できた!どう唯ちゃん、積み木さんのお城、すごいでしょう」
唯「あう!(゚ q゚)つみきたんおしろ!どちておしろなったでつか(゚ q゚)」
紬「積み木さんはね、こうして重ねていくとお城になるの!他にもいろんな形を作れるのよ。唯ちゃんもやってみて」
唯「あう~!つみきたんえらいこ!ゆいもつみきたんやる!(^q^)ゆいがおしろするれすよ~(^q^)」

唯はもう一つの積み木の箱をひっくり返して三角の積み木を右手で握りしめると、円柱の積み木に叩きつけた。
当然積み上げることはできず、円柱はごろごろと転がっていく。

唯「あう?(゚q゚)つみきたん、どちましたか?おしろなるれすよ(^q^)」

再び同じ円柱に三角を叩きつけるが今度は三角が彼方に吹っ飛んだ。
唯の認識能力では積み木は全部「つみきたん」であって一つ一つを把握することはできない。
また、力の加減ができないので慎重さと集中力を要する積み上げるという作業は不可能に近い。
さらに池沼は一つのことに固執し始めると他のことを試すということもできない。
つまり唯と「つみきたん」の相性は最悪だった。
唯は延々と三角を円柱に叩きつけていたが、うまくいかないことにすぐに苛立ちはじめた。

唯「あふー(`q´)つみきたんゆいのいうこときく!どちておしろならないでつか!わるいこおしおきれすよ!(`q´)」

唯は『つみきたん』にお仕置きをするため、円柱を左手で固定した。
この積み木遊びで唯一の建設的な行動だったが、知能は3歳児とはいえ唯はかなりのデブであり、豚の足のように丸い左手は積み木を覆ってしまった。

唯「んふううううう(`q´#)つみきたんおしおき! 」

唯は自分の左手に三角の積み木を思い切り振り下ろした。

ビシィッッ
唯「んひいいいいいぃぃぃぃぃっ("q")おてていちゃいいちゃい!」
紬「あらあら。唯ちゃんお友達にぶたれちゃったの?私の積み木さんはこんなにお利口さんでお城になったのにな~」

唯「ぶふうううううううううう(`q´#)つみきたんわるいこ!ゆいゆるたない!ぼあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ(`Q′)」

池沼は相手にできて自分にできないことが何より嫌いである。
唯は紬の作ったお城を体当たりで壊してしまった。
それだけでは飽き足らずお城の残骸をあたりに投げ始めた。

唯「ブフーブフッウゥウウウウ(`oo′)つみきたんばーーーーかしーーーーーーーーねしーーーーーーーーーーーね(`∞´)」

唯は豚のように鼻息を荒くして積み木を罵り踏みつけている。
一方紬はあまりにも予想通りに計画が進んでいることに少々驚いていた。

紬「池沼って惨めね…」

紬はかつてのさわ子の言葉を噛みしめた。


紬「唯ちゃーん、今度は切り絵で遊びましょ~」
唯「あう?きーえてなんれすか?(゚q゚)」
紬「切り絵はね、紙をこうしてハサミでちょきちょき切る遊びなの」
唯「あう!はさみたん!(゚q゚)ゆいもきーえやりまつ(^q^)キャッキャ」

唯は積み木を放り投げて紬のところへ駆け寄ってきた。

紬「唯ちゃんはハサミの使い方わかるかな~」
唯「あうー!あうー!はさみたんわかりまつ!ちょきちょき!ちょきちょき!ブフー(^∞^)」

なかよし学級にも工作の時間はあるのだが、唯のような重度の池沼に刃物を渡すことは非常に危険なので、他の生徒が工作をしている間、唯はいつも粘土遊びをしていた。
家でも憂がハサミを使っていたが唯には決して触らせず、使い終わったら唯には開けられない引出しに隠していた。
そのため唯にとって『はさみたん』は幻のおもちゃであった。

唯「はさみたんこんにちは!わたしはゆいでつ!なかよしがっこうでつよ!ゆいとはさみたんおともらち!ンフー(^oo^)」

唯は念願の『はさみたん』とお友達になれて大喜びである。

紬「ハサミはね、ここに指を入れて使うのよ」
唯「あーう!んふ…はさみたんちっちゃいれす…('oo') あう!はさみたんできまちた!(^oo^)」

唯は太い指で四苦八苦しながらハサミを持った。

紬「じゃあまずはこの紙をちょきちょきしてみましょう」
唯「あうー!はさみたんいきまつよー!ブフ!(^oo^)」
バチン
唯「あう!ちょきちょきできまちた!ゆいじょーず?(゚ q゚)」
紬「唯ちゃん上手ね~♪」
唯「あうあうあああああーーー!!!!(^q^)ゆいちょきちょきじょーず!はさみたんおともらち!んひーーーーー!(^oo^)」

唯はお友達を上手に使えて大喜びである。
ハサミを掴んだままごろごろと転がっているので危険極まりない。
池沼に刃物を持たせてはいけないことがよくわかる光景だ。

紬「唯ちゃんこれを見て。ぶたさんがちょきちょきが上手な唯ちゃんに助けて欲しいって」
唯「あう?ぶーぶーれすか(゚oo゚)」

紬は壁に頭を突っ込んだ間抜けな豚が描かれた幼児向けの切り絵シートを差し出した。
壁をハサミで切り取って助けてあげようという趣旨である。
切り絵全体がシールになっていて切り取った豚さんを戦利品として貼ることが可能だ。

紬「豚さんが壁に挟まれて動けないんだって。唯ちゃんがちょきちょきで壁を切り取って助けてあげないと豚さんが死んじゃう!」
唯「あう!(゚oo゚)ぶーぶーさんゆいがたすけまつ!むふぅぶーぶーさんゆいもぶーぶーれすよ!(^∞^)」
紬「それに唯ちゃんが助けてあげたら豚さんはシールになってくれるのよ!」
唯「あーーーうーーーー!ぶーぶーしーる!あうーぶーぶーしーる!(^∞^)キャッキャぶーぶーさんいいこいいこ♪むふぅゆいがちょきちょきするれすよ~ (^oo^)」

 バチン
唯「あ~う~ゆいちょきちょきできまちた(^oo^)パチパチパチ」

いきなり豚さんの頬がそぎ落とされたが唯は気づいていない。
この切り絵は5~6歳が対象なので緩い曲線も盛り込まれているが唯の知能レベルは3歳児未満である。

 バチン
唯「あう(゚oo゚)」

応用ということができないし人に聞くこともできない唯は紙を回しながら切るということを知らない。
というかそもそも唯は豚と壁の区別ができていない。
豚さんの顔が顎から眉間にかけて両断されてしまった。

唯「むひぃぃぃぃぃ("oo")ぶーぶーだいじょぶれすか!ぶーぶー!("oo")」

唯はハサミを投げ出し豚さんに飛びついた。だが、それは大きな間違いだった。

 ビリビリビリッ

唯「んひいいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃ(>∞<)ぶーぶーーーーーーーーーーーーーーー!("oo")」

豚さんは真っ二つになってしまった。
2つになった豚さんの片割れがどことなく恨めしそうな目で唯を見つめている。

紬「あーあ…。豚さん死んじゃったわね…」

紬は殊更悲しそうに言う。

唯「ぶええええええええええええええん!ゆいのぶたさーーーーーん("oo")」

ありったけの池沼汁が豚さんに降り注いだ。

―――
 ガチャ

唯「むふぅー(`q´)はさみたんめっ!ぶーぶーいちゃいいちゃい!ぶーぶーにごめんなたいつる!」
紬「唯ちゃーん、お友達を連れてきたわよ~」

紬の手のハンカチの上には塗装が剥げ、得体の知れない染みがつき、嫌な臭いがする青と赤のカスタネットが載っている。
唯が幼稚園の頃から使い続けている大切なお友達のうんたんだ。

唯「うんたん!(゚q゚)あうーあうー!むぎたいいこいいこ!ブフーゆいのうんたん!(^q^)」

唯はハサミを放り出し紬の手からカスタネットをひったくるとさっそく手にはめた。
もし、唯が少しでも観察したならすぐに違和感に気付いただろう。何せ十数年使い続けた大事なお友達だ。
カスタネットの表(右手で叩く青の方)には裏から小さな釘が打ちつけられ、表面に飛び出ている。
昨日平沢家から盗み出し大工の親方に加工させたのだ。

唯「むふぅ~うんたんあとでゆいのあいすあげまつよ~(^q^)むぎたあいすいぱいれす(^q^)キャッキャ」

だが、池沼唯は今まで考えるということを一度もしたことが無い池沼の中の池沼だった。

紬「唯ちゃんはうんたん♪上手なのよね?唯ちゃんの上手なうんたん見たいな~」
唯「あう!(゚q゚)あーう!あーう!ゆいうんたん♪じょうずれす!(^q^)フゴッうんたん!うんたんみせまつ!ブフゥゥゥゥウウウウあうあうあーーーーーーーー!(^q^)」

生まれて初めてのうんたんのリクエストに唯のテンションは最高潮に達した。
今までうんたんを褒められることは何度もあったが(唯の中では)リクエストされることは当然だが一度もなかったのだ。唯は贅肉を揺らしながら飛び跳ねて喜んだ。
積み木や切り絵での失敗を取り戻すチャンスでもあった。唯にとってうんたん♪は大の得意技であり失敗することなどあり得ないのだから…。

唯(ゆいうんたんじょーず!むぎたほめる!)

涎や鼻水もジャンプに合わせて飛び散るので紬は5mほど離れたところで腰を下ろした。

紬「唯ちゃんのうんたん♪はやくはやく~」
唯「あーい!うんたんみせまつ!(^q^)」

唯は気をつけをした。

唯「わたしはひらさわゆいです!なかよしがっこうすみれぐみです!とくいなものは、うんたんです!(^q^)」

耳障り極まりない大声で唯は自己紹介をした。自己紹介からのうんたん♪は唯にとって必殺技に等しい。
鼻水が口に流れ落ち、豚鼻が一層広がり、口から涎が垂れた満面の笑みだ。

紬「わ~パチパチパチ」
唯「あうー!むふーむふー!(^q^)キャッキャ」

唯は一転して真面目な顔になるとデブった身体を左右に揺すり始めた。

唯「うんt、うんt」

伴奏なしでとっておきのうんたん♪を披露するときはこうして体でリズムをとってからうんたんに入るのである。ラッパーのyoみたいなものだ。
その顔つきは滅多に見られない真剣なものなのだが、マヌケな池沼面の唯の場合、真面目になればなるほど滑稽にしか見えない。
紬は必死に笑いをこらえなければならなかった。

唯「うんt、うんtふっ」

唯がついにリズムを掴んだ。

唯「あう!うんた!nんひぃっ("q")」

唯の右手に鋭い痛みが走り、うんたんが止まった。

唯「あーう?(゚ q゚)」

右手とカスタネットを交互に見やるが唯には何が起こったのかわからない。

唯「うんた!nんフっッ("q")」

先ほどより強く叩いたので痛みもより強まった。
唯の手のひらには血がにじんでいる。

唯「あう…おてていちゃいれす…どちて?('q')」
唯「うんた!nんぎぃぃぃっッッッ("q")あう…あう…("q")」
紬「唯ちゃんどうしたの~?私、早くうんたん♪みたいなぁ~」
唯「あう!うんたん…みせまつ(~q~)」

唯はもう一度気をつけをして自己紹介を繰り返した。

唯「わたしはひらさわゆいです!なかよしがっこうすみれぐみです!とくいなものは、うんたんです!」
紬「わ~パチパチパチ」
唯「うんた!nンひぃぃぃっッッッ!!うんt!あ゛がぁふぅぅぅゥゥゥッ("q")あがっあぐぅぅ」

唯はとうとう蹲ってしまった。滝のような涙がカスタネットにしたたり落ちる。

唯「どちてぇ…どちてうんたんできないのぉ…うぐっひっく…ゆいうんたん…じょーず…ひっく」
紬「下手クソ」
唯「ぶえっ(゚q゚)びえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え”え”え”え”え”え”え”じがうのおおおお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛
  ゆいうんたん!うんたんじょーず!うんたんじょーずうううううううううううう゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛」

唯は注意をひくための池沼泣きなどではない、心の底からの魂の叫びをあげた。

紬「だって唯ちゃん全然うんたん♪できないじゃない。あ~あ~唯ちゃんのうんたん楽しみにしてたのになぁ。がっかりだよ…」
唯「じがっじがうのお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛おお゛お”ゆいうんたんじょーず!!うんたんじょーずれす!!
  うんたん!うんたんわるいこ!おしおき!ぶるああああああああああああああああ(`Q′)」

紬が親方に依頼した内容はカスタネットに補強しないで釘を打ちつけるということだった。
カスタネットはその単純そのものの構造ゆえに非常に壊れにくいが、唯は十数年間全力でうんたんを叩き続けた。
親方は仕事を終えた後、こんなに難しい仕事をしたのは生まれて初めてだと笑った。
今、親方の神業によってかろうじてバランスを保っていたうんたんに、唯の拳があらん限りの力で振り下ろされた。

 バギャッボロッ

唯「…………(゚q゚)ああああああああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛
  うんたあ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ
  おがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぐぶゅううううううううううううううううううう」

唯にとって、うんたんはただのカスタネット、ただの遊びではなかった。
唯は、出会うものすべてに、人であろうと物であろうとうんたん♪を披露してお友達になった。
唯は、うんたんが上手だから他に何もできなくても「おりこーさん」でご飯がいっぱいもらえてアイスを食べられた。
うんたんができなくなったら、それらすべてが無くなってしまう…唯にはそう思えた。
人は誰でも絆が必要である。それは家族であったり夢であったり仕事であったりあるいは自分であったりするが、
人間らしい知性を持たない豚同然の唯にとっては、それがうんたん♪だったのだ。

唯「うんたん……うんたん…しんじゃいやれす…うんたん…ゆいじょーず…ひっぐっゆい…うんたん…」

唯は起き上がるとうんたんを構えた。
青いうんたんはバラバラになってしまったとはいえ、まだ赤いうんたんが残っている。
もしかしたらまだ綺麗な音を出すのではないかと唯は思ったのだ。

唯「うんたん!」
 パスッ

右手の痛みでうんたんが止まることはない。
だがもう、あの高く澄んだ音をうんたんが奏でることもない。

唯「ああああああああああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛うんだん゛ん゛ん゛
  うんだ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛」

唯は額を地面にこすりつけ、頭を掻き毟って慟哭した。

唯「がああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”あ”゛あ゛”あ”う”んだん”だめ゛え゛え゛え゛え”え”え”え”え”え”え”え”え゛え゛え”え”え”」

―――
紬「ふふっ」
憂「もうやめてください!」

その時、紬のイヤホンに憂の叫び声が入った。

紬「あ、そういえば憂ちゃんのこと忘れてたわ。ごめんね」
憂「もうやめてください…。どうしてこんなことするんですか…うんたんはお姉ちゃんの宝物だったんですよ!」
紬「だからそれは自分の胸に聞いてほしいな」
憂「ビラのことなら悪いのは私です!お姉ちゃんは何もしていません!私に虐待でも拷問でもすればいいじゃないですか!!」
紬「あらあら。まだ気づいてなかったの?私がいじめてるのは初めから憂ちゃんよ?唯ちゃんは憂ちゃんをいじめるための道具」
憂「そんな…。お姉ちゃんは人間です!道具なんかじゃありません!」
紬「人間、ね…。あのね憂ちゃん、私たち健常者は唯ちゃんみたいな重度の池沼さんを見るとどうしようもなく不快な気持ちになるの。
  まぁ唯ちゃんはデブだし汚いし臭いしそれでなくなって不愉快だけど、もっと根源的なところね」
憂「何が言いたいんですか…?」
紬「それがどうしてなのかって考えてたんだけど。きっと『人間』っていう存在を汚されている気がするからじゃないかな?
  だって唯ちゃんのあの姿を見て。あれはもう豚と呼ぶべきじゃない?あれを人間と呼ぶことは人類種への冒涜だわ」
憂「お姉ちゃんは豚じゃありません!人間…いえ、天使!お姉ちゃんは天使なんです!」
紬「そう、あなたたちはよく天使なんて呼ぶわね。それって池沼が人間じゃないってどこかで認めてるのよ」
憂「ちがっちがいます!お姉ちゃんは天使で…私のお姉ちゃんで…」
紬「まぁそれはおいといて。せっかくだし最後まで唯ちゃんと遊ばせて!今日のためにいろいろと準備したんだから」
憂「お願いです!もうお姉ちゃんを―」

紬はマイクの接続を切った。

―――

唯「あう…うんたん…うんたん…」
紬「唯ちゃ~ん!もう一人のお友達を連れてきたわよ~」

紬はオムツを穿かされ、豚のシールに埋め尽くされたレスポールのギターを持ってきた。唯のもう一つの大切なお友達、ぎーたである。
唯が軽音部在部中に行った楽器店で一目惚れしたギブソン・レスポール・スタンダード・チェリーサンバーストのコピー品で、
駄々をこねる唯をなだめるため、紬がコネを駆使して買い与えたものだ。
2万円5千円の安物ではあるが、それなりの音は出せるし練習にはもってこいのギターで、ギターの練習に打ち込むことで少しでも人間らしくなれれば、と紬は唯にギターを渡す際に願った。
だが唯にとってぎーたはネックを握りしめ、ボディを叩きまくってうんたん♪をする打楽器でしかなかった。
オムツをボディに穿かせ、うんたんのし過ぎでブリッジが飛び、弦が一本も無くなったぎーたはもはや『ギターのようなもの』でしかない。
その様を見たときから、紬たち軽音部員は唯を人間扱いするのをやめた。

唯「あう!ぎーた!(゚q゚)ぎーたいきてるれす!ぎーたあああああああああ」

唯はぎーたを紬から奪うと、唯にしては珍しく優しくネックを撫でて泣いた。

唯「あう…ぎーたしんでない、よかったれす(TqT)うんたん、しんじゃったれす(TqT)うんたん…」
紬「唯ちゃんはぎーたでもうんたん♪できるのよね?」
唯「あう!あう!ぎーた、うんたん♪できまつ!うんたん♪みせる!」

もちろんぎーたにも凝った細工がしてある。
オムツの中ではボディの中身はすべて取っ払われて、元々ブリッジがあったあたりにスイッチが置かれている。
そこを押すとボディ全体に電流が流れる、いわばギター型スタンガンになっていた。
唯はそんなことは露知らず、左手に一枚だけになってしまったうんたんをはめたまま、ぎーたのストラップを肩にかけ立ち上がった。
今度こそ、今度こそうんたん♪で紬を見返すのだ。

唯(ぎーたうんたんできる!むぎたじょーずいう!)

唯「わたしはひらさわゆいです!なかよしがっこうすみれぐみです!とくいなものは、うんたんです!」

唯の顔面は涙と鼻水と涎と掻き毟った血で滅茶苦茶である。
今度の自己紹介では唯の顔に笑みは無く、どこか切羽詰まった表情をしていた。

紬「わ~」
唯「うんt、うnt、ふっ、ふっ」

ネックを握りしめて左右に身体を揺する。

唯「うんた!n」
 バチバチバチッ
唯「あぎゃあああああああああああああああああああああああああああああ」

うんたんの釘とは比較にならない痛みが唯の右手を襲った。

唯「はふ…はう…ぎーた…どうちて…あう…うんた!n」
 バチバチバチッ
唯「ぴぎゃむあああああああああぐうううううううううううううう」

痛みに耐えかね、唯は尻もちをついてしまった。

唯「はぁはぁ…どうちて…ぎーた、うんたんする!ぎーた、うんたんするれす!うんた!」
 バチバチバチッ
唯「あがああああああああああああああああああああああああああああああ」

釘での刺し傷に加えて電気による火傷で唯の手のひらは黒くなりはじめていた。

唯「ぎーた!ぎーた、めっ!おりこうする!わるいこおしおきれすよ!むううううう(`Q′)」

唯は拳を振り上げたが、その手は空中で静止した。
先ほどのうんたんを砕いた感触が蘇ってきたのだ。

唯「あ゛あ゛ぐう゛う゛う゛う゛ぅうぅぎーた…しぬだめれす(TqT)ゆい、おしおきちない、ぎーたしなない…」
紬「唯ちゃん全然ダメね。ぎーたでもうんたんできないなんて。唯ちゃんはもう、うんたん♪できなくなっちゃったの?」
唯「ぐ”う゛”う゛”う゛”う゛”ぅ”ゆいうんだんできる!うんだん゛じょーず!!ぎーだう゛ん゛だ゛ん゛でぎる゛ううううううううううう」

唯はぎーたを守るように覆いかぶさったが、ブヨブヨの腹がスイッチを押してしまった。

唯「ぎが”あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛う゛う゛う゛う゛」

のたうち回る唯を冷やかに見下ろすと、紬はあるものを取りに部屋を出て行った。


紬がレスポールのギターとアンプを持って部屋に戻ってきた。
ギターはギブソン・レスポール・スタンダードのチェリーサンバースト。コピー品ではない、唯が一目惚れした25万円するあのギターである。

紬「唯ちゃん見て見て。実は私もぎーたを持ってるの」
唯「あふ…あふ…そえ、ぎーたでつ…どうちて…(゚q゚)」

唯は自分の手元のぎーたと紬のギターを見やった。
ぎーたがコピー品だとは全く知らない(もちろん説明してもわからないだろう)唯は口をあんぐりと開けて唖然としている。

紬「このぎーたはね、唯ちゃんのぎーたのお父さんなの」
唯「おとーさ、ぎーた、おとーさ…(゚ q゚)」

唯と憂の両親は、唯が10歳のときに莫大な資産だけを残して失踪した。
両親のことは欠片ほども覚えていない唯だったが、『お父さん』という言葉だけは脳の片隅に残っていた。
どこか懐かしい響きがした。大切なものだった気もした。

紬「私もぎーたと遊んでみるわね。見てて」

紬は電池駆動のアンプにギターをつなげ、軽快なリフをかき鳴らした。

 ジャージャガジャージャージャガジャー

紬「White riot~I wanna riot~White riot~Riot of my own♪」

70年代パンクの代表的なバンド、The Clashの『白い暴動』である。
紬は軽音部に梓が入るまでギターを担当していたので(唯は池沼で全く役に立たなかったため)、シンプルなパンクチューンぐらいお手の物だ。

紬「ふぅ~唯ちゃんどうだった?これは演奏っていうのよ」
唯「あう…ぎーた…そえできないれす(゚q゚)」

チェリーサンバーストでないギターで同じことをやっても何とも思わなかったであろうが、
唯は『むぎたのぎーた』が自分にはできないことをしたことに衝撃を受けた。

紬「唯ちゃんも演奏やってみる?」
唯「あふ…ゆいもえんそするれす」
紬「演奏はね、左手でここをこう持って、右手でこう下ろすの」

紬は弦を押さえて、ピックではじいた。
 ジャー

紬「唯ちゃんもやってみて」
唯「あう…('q')」

唯は紬がしたようにネックの根本を握り、右手でボディの端を擦った(これは唯の脳が読み取った最大限の真似である)。

スカッ


スイッチには触れなかったものの、弦が無いのだから汚い音すら鳴るわけがない。

唯「あう…あう…」

何度も右手を上下させるが、もちろん何の音も出ない。

唯「ひぐっどちてぎーたできないのぉ…ぎーた、えんそ…するれす…うんたん…するれす…ぐぅぅうぅぅ」
紬「唯ちゃんのぎーたは演奏できないか…。実はね、私、ぎーたでうんたんするのも上手なの♪」
唯「あう…むぎた、うんたんできる?(゚ q゚)」
紬「うん!今からやってみせるね」

紬は唯がやるようにネックを握りしめると、体を左右に揺らしてうんたん♪した。

紬「うんたん♪うんたん♪うんたん♪うんたん♪」

もちろんボディを強く叩いたりせずに右手は添えるだけで、音を出しているのはもっぱら声である。

紬「うんたん♪うんたん♪ ね、うんたん上手でしょ?」
唯「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛
  うんた!nぐうううううぅう”ん”た”!nぎい”い”い”い”い”い”い”い”い”ぅいぃぃう”ん”た”!nい゛い゛い゛いぃぃぃぃぃぃ
  う”ん”た”!nあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛う”ん”た”!nぐ”う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛ううううう」

唯は岩を噛み砕くかのように歯を食いしばり、絶叫しながらうんたん♪をし続けた。唯の右手はもうどす黒く変色している。

唯「あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”う”ん”だ”ん”どうじでで”きな”い”の”お”お”お”お”お”お”お”お”おおお
  あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”あ゛う”ん”た”!n”ん゛”ぎ”が”あ゛”あ゛あ゛あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”」

紬(そろそろかしらね)

唯の精神が限界に近づいたことを認めた紬は、止めの一言を放った。

紬「私のぎーたが演奏とうんたん♪ができるのはね、ぎーたと仲良しだからなの。唯ちゃんはね、うんたんやぎーたに嫌われちゃったのよ…」
唯「………(゚q゚)うんたん、ぎーた、ゆいきらいでつか?」
紬「まず私がぎーたに聞いてみるわね」

紬は自分のギターに問いかけた。

紬「ぎーた、私のこと好き?」
紬裏声「うん、ムギちゃんのこと大好き!」
 ジャガジャジャー


紬「ね?唯ちゃんも聞いてみて」
唯「あう…あう…」

唯は一枚だけになってしまったうんたんと、ぎーたに向かって問うた。

唯「うんたん、ぎーた!ゆい、つきでつか!?」
 シィィン

うんたんは死に、残った大切な大切なお友達であるぎーたに嫌われる、それは唯にとって暗闇に一人取り残されることを意味していた。
もし、このとき唯が憂のことを思い出せれば希望が見つかったかもしれない。
時折理不尽な暴力を振るい、お仕置きをするとはいえ、憂はいつでもそばにいてご飯を作ってくれ、唯に構ってくれた。
憂は何物にも代えがたい家族であり、絆であるはずだった。

唯「あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”」

だが、唯にとって「うーいはおむつ」でしかなかった…。

唯「あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”!!!!あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”!!!!!!
  あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”」

唯は万力のように自分の頭を締めつけて叫喚すると、床に倒れ伏して動かなくなった。
目は開いているが焦点が合っておらず、何も見ていない。
17年間、かろうじて保ってきたIQ25の精神が崩壊した瞬間だった。

紬「唯ちゃん、うんたんはめたまま寝転がったら手が痛いでしょう。外してあげるね」
 グキャッ


紬が唯の手から赤一枚のカスタネットを剥ぎ取り、踏み潰した。
目の前でうんたんが崩れ去っても唯は虚空を見つめている。

紬「さようなら、唯ちゃん」

紬は唯に別れを告げた。

―――─
紬「Aさん、概ね終わりました。こちらに来てもらってもいいですか?」
A「わかりました。すぐに行きます」

紬がトランシーバーで会話している間も、Aが来るまで腹を蹴り飛ばしていても、唯は微動だにしない。もはやブヨブヨの、汚くて異臭のする肉の塊でしかなかった。

A「お待たせしました。おぉ、この池沼豚、脳みそが完全にあの世に飛んで行ってますな。お見事です、お嬢様」
紬「ふふっ。それで、この豚さんに止めをさしてもらってもいいですか?このギターを使ってください」

紬はAに唯のぎーたを渡した。

A「了解です。どうします?痛めつけますか?」
紬「いえ、一息にいっちゃってください。どのみち中々死なないでしょうから」
A「わかりました。お任せください」
紬「お願いしますね」

Aはぎーたのネックを持ち、背中のバネを最大限に使って唯に振り下ろした。

ガキョッ


弾みで唯の体が跳ねる。紬は腐肉に背を向けると、憂のいる小部屋へ向かった。

―――
 ガチャ

憂「お姉ちゃん!あぁ…お姉ちゃん!お姉ちゃん!!!」

憂はマジックミラーに縋り付いて泣き叫んでいた。
逃げ出そうと必死にもがいたようで、足かせの嵌められた右足と手の指が血まみれになっている。
紬が入ってきたことにも気づいていない。

紬「憂ちゃんったら、まるで唯ちゃんみたいね」

憂は涙を流し、鼻水が垂れるのも構わず、口は唾でべちゃべちゃになっている。
美少女と呼んで差支えなかった憂は、そう、まるで唯のような顔つきになっていた。

憂「お姉ちゃん!お姉ちゃん!」

ミラーの向こうではいつの間にかブルーシートがひかれ、その上で唯の肉が波打っている。ぎーたのボディは吹き飛び、Aがギザギザになったネックを唯の頭に突き立てていた。

憂「お姉ちゃん!ああっお姉ちゃん!!ひっお姉ちゃん!!!!」

憂は唯の頭にぎーたが突き刺さるたび、自らの頭を押さえて悲鳴をあげた。
唯の痛みを代わりに感じているのかのようだ。

憂「お姉ちゃん!!!ううっお姉ちゃん!!ひぃぃっお姉ちゃん!!!!」

両親は憂が9歳のときに失踪した。唯のようにすべてを忘れてしまえば楽だったかもしれない。
だが『捨てられた』という恐怖と憎悪と心細さは憂の心にこびりついて離れることはなかった。
学校の教師は下手に関わり問題が起きることを恐れて憂を避けた。
同級生の多くは「池沼がうつる」といって近寄ろうともしなかった。仲良くなったごくわずかな友人も、唯の姿を見ると一目散に逃げ出した。
唯一親身になってくれた一文字のお婆ちゃんは、加減を知らない唯が体当たりして植物状態にしてしまった。
プロ市民の団体は話を聞いてくれたが、彼らが心を砕いているようで、その実自分のことしか考えていないことは子供心に感じ取った。想像を絶する孤独の中、憂は唯に強く依存するようになった。それは、愛情というより同化に近いものだった。
憂が池沼の妹でも、排泄の介護の繰り返しで身体に糞尿の臭いが染みついても、
義務教育を受けている子供が家庭を切り盛りしていても、異常さを感じず普段通りに接してくれる、唯一の人間。

唯はたとえ度が過ぎる悪戯をして拷問されても、目が覚めたらけろっと忘れて憂に笑顔を見せてくれたし、毎日憂が作る食事を心から喜んでくれた。
唯の無条件の肯定があるからこそ、池沼の権利なるものを振り回して周りから孤立しても平気でいられた。
唯のうんたん♪に対する思い、憂はそれと同じものを唯に見出していた。
憂にとってのうんたん♪、それが今、破壊されようとしていた。

憂「あああぁぁあぁお姉ちゃん!!!!お姉ちゃん!!!!!!」

その時、唯の身体がひと際大きく痙攣した。ぎーたがついに頭蓋骨を割り、脳にまで達したのだ。

憂「が”あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”あ゛”ひぃぃぃぃい゛”い゛”い゛”い゛”い゛”い゛”い゛”い゛”い゛”い゛”」

憂は頭を掻き毟り白目をむいて絶叫すると、その場に倒れた。
唯の心臓が止まるのと時を同じくして、憂の知性は完全に瓦解した。

紬「憂ちゃん、大丈夫ー?あら。脈はあるのね」

脈はあった。だが、もう憂が起き上がることはない。

ブブブー!

弛緩した憂の肛門から大便が排出された。

―――─
A「あぁお嬢様、ようやく死にましたよ。ふぅ池沼ってこんなにしぶといもんなんですかね…」

Aの額には大粒の汗が浮かんでいる。Aは血まみれの手でそれを拭った。

紬「ご苦労さまでした。あちらの方も終わりました。それで、死体の処理もお願いしてしまってもいいですか?」
A「はい。いいように取り計らいます。任せてください」
紬「向こうの方は一応体は綺麗ですから、売るなり焼くなり捨てるなり、お好きなようにしてください。もし費用がかかるようなら負担しますので」
A「わかりました」
紬「Aさん、本当にありがとうございました。お世話になりました」

紬は深々とお辞儀した。

A「いえ、そんな!自分はこんなことでしかお役にたてませんから。また何かあったら呼んでください。いつでも飛んでいきますよ」
紬「まぁ、頼もしい。ふふっ」

持ち込んだものを片づけ、軽く掃除をして地上に出ると、秋の高くどこか切ない空が橙に染まっていた。
紬の寝不足の目に夕日が染みる。
大きく伸びをしてひんやりした空気を吸い込むと、一陣の強い風が吹き抜けた。

紬「さわちゃん、終わったよ…」

たなびく黄金色の髪を押さえながら、紬は去っていく風につぶやいた。

―――───
エピローグ


抜けるような青空の下、紬は街を見下ろす小高い公園のベンチに座っていた。
昨夜はこの秋一番の冷え込みだったらしい。実際、今も気温はさほど上がらず肌寒い。
街を眺めるのに飽き、足元に目を移したとき、土を踏みしめる足音が聞こえた。
足音はまっすぐベンチに近づいてきて、その人は紬の隣に腰を下ろした。
さわ子だった。
お互い名前も呼ばず、見つめ合うこともせず、どちらからともなく手を握り合った。

ビラ事件の翌日、琴吹家を訪れたさわ子は、意外にも好意的に迎えられた。
さわ子がしっかりした人間であることはすぐにわかったし、
紬の両親は娘に普通の女の子らしくあることを望んでいたので、娘の成長を喜んですらいた。
しかし、紬は大事な一人娘であるし、教師と生徒での交際はやはり認めるわけにはいかないので、彼らは一つ条件を出した。
さわ子は琴吹家の斡旋で他校に赴任し、紬はこれまで通り学業に励む。
そして紬がけじめをつけた後、一日だけ二人で会うことを認めるが、それ以降卒業までの1年半の間は会わないこと。
それを守り、卒業してもなお二人の気持ちが冷めないのなら交際を認める。両親はそう約束し、二人は快諾した。

1年!たった1年!二人にはそれが7日のようにも1日のようにも思えた。
二人は互いに身を寄せ合い、相手の温もりを感じながら、同じ光景を思い浮かべていた。
1年半後、この公園で再会したとき、二人の気持ちは冷めるどころかさらに強くなっているだろう。
そして、もう誰にも邪魔されない、祝福と光の道を歩むのだ。

     ("oo")HAPPY END('q')


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    (2011.10.07-08)

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最終更新:2018年12月30日 17:48