とある学級の新任教師

とある学級の新任教師



今日から俺はなかよし学級に担任として赴任する。
え?俺が誰かって?ここの卒業生さ。
俺のクラスの担任だった先生が素晴らしかったので俺もあんな風になりたいと思い教師を目指した。

知的障碍を持つ俺が教師になるのは並大抵のことではなかった。
え?何回浪人して何回留年したかって?聞くなよそんな事。

ともかく俺は自分が担当する教室に行く前に、未だにここで教師をしている目標としてる先生に挨拶をすることにした。
「あらたかし君じゃない。久しぶりね」
「やめて下さいよその呼び方。俺今日から教師なんですよ。」
「そうだったわね。立派になったね」
先生はホロリと涙を流した。

俺にも自分が受け持った生徒を社会に送り出す日が来るのだろうか。
ここが俺が受け持つクラスか。
「皆、今日からここの担任になる」
「あ、たかしくんだー(^Q^)」
俺の自己紹介を遮ったのは、昔クラスメートだった唯にそっくりだった生徒だ。

おかしいぞ。唯は俺と同い年だったけど、確かに俺が卒業した年は留年したけど…。
俺は頭を半分混乱させたまま、生徒名簿を見返した。
そこには確かに、唯の名前があった。

俺は放課後、あの先生にことの真意を訊いた。
「あー、唯ちゃんね。あなたが卒業した後、留年を続けた結果、未だにここに通ってんのよ」

あいつ、何年留年してんだよ。
俺の教師生活はあの唯を卒業させることから始まるのか。
そう思うと赴任初日から不安になった。

結局数年経っても唯を卒業させることが出来ず、俺は転勤するのだが、それを語るのはまたの機会と言うことで。

   池沼唯のSS に戻る

    (2012.08.08)

カウンター

今日: -
昨日: -
合計: -
最終更新:2018年12月30日 18:15