池沼唯とリベンジ(その7)
某日某所
一人の女性が扉を開ける。
その女性は部屋に入ると迷わずに『ある方向』へと歩を進めた。
澪「…………死んでるな。」
そう、その場所とは唯と憂にゲームが実行された部屋であった。
あのゲームから2週間が過ぎた。
唯と憂の平沢姉妹が音信不通になったという報告が、なかよし学校と桜ケ丘高校から警察に寄せられ、警察による捜査が行われているが未だに二人の消息は掴めずにいる。
一方で周囲に迷惑をかけ続ける重度の池沼の唯を施設に預け、妹の憂は姿をくらませたのではないかという噂まで立っている程である。
澪はしゃがみこみ憂の脈を調べたところ、もう死亡していると判断したようだ。
憂は暗闇に閉じ込められ発狂し頭を掻き毟ったからか、一部髪が抜け落ち、指の爪がボロボロになっていた。
そして逃げようと試みたのだろう、足枷の付けられている足首にもおびただしい傷と血が付着している。
澪はその場で立ちあがり目蓋を閉じた。
説明するとこの作戦の実行犯は主に二人……澪と聡だった。
場所や器具、そして聡が唯を眠らせた薬品などは紬に頼んで用意したが、いつ、どのように実行するなど作戦の詳細は全く教えられてはいなかった。
もちろん梓にはこの作戦があった事すら教えられていない。
平沢姉妹が揃って行方不明になった事を不審に思っていたが、澪と紬はそれを感じさせないように完璧に振舞っていた。
そして唯一、二人以外に作戦に参加した鈴木だったが、この鈴木も唯を懲らしめる為にボコボコにするという事以外は全く作戦を伝えられていなかったのだ。
現に二日目には澪と聡の二人で行われている。
しかし澪と聡以外に作戦を企てた人物がもう一人存在していた…
??「おーい澪、どうだ…死んでるか?」
その人物は憂の死体の前に立っている澪に声をかけ部屋に入って来る。
一呼吸おいて澪はその人物に返答する。
澪「…ああ。終わったよ……」
澪「律」
それを聞いた律は無言で澪の方向ではなく唯の死体の置かれた方向へ歩いていく。
律は唯の死体を通り越し壁に立て掛けられているギターの前まで行きこう呟いた。
律「唯のギー太か…皆離れていったけど、お前だけは最後まで唯のそばにいてやってくれ。」
そう言うと唯のギー太を持ち上げ、真っ二つに千切れた唯の上半身の前まで行き、顔の横に寝かせる様な形でギターを置いた…
その瞬間、痛みによる苦悶の表情で息絶えた唯の顔が一瞬喜びに満ち溢れ微笑んだように見えた。
そして律は澪の方向へと歩いていき、そっと澪の背中を抱しめる。
律「ごめんな澪…お前に怖い思いさせちゃったな…」
澪「いいんだ。これは私から言い出した事だから。」
………半年前律が唯に刺された日
梓が呼んだ救急車はすぐに田井中家に到着し、律は病院に搬送された。
頭に大怪我をし重症だったが、律は記憶など失っていなかったのだ。
律は手術が終わり病室で、記憶喪失…軽音部や音楽の事を忘れてしまったという嘘をつき、唯と憂を油断させ一人で作戦を実行しようと企てていた。
しかし医者や両親や弟の聡、紬や梓など他の人は騙せても、昔からの親友である一人の幼馴染だけは騙せなかった。
病室……
澪「律……どうして記憶がなくなったフリをしてるんだ??」
澪の突然の言葉を聞き律は
律「……やっぱり澪にはばれちゃったかー……」
澪「当たり前だろ…ムギと梓の泣いてる顔を見てほんの一瞬だけ顔をしかめた…」
律「……さすが澪ちゅあんですわね。」
澪「律…ふざけてるなら思いっきり殴るよ…」
律「ごめん…実はな……」
律は自分の考えている作戦を全て澪に伝えた。
その話を聞いた澪は
澪「その役…私がやる。私だって悔しいんだ…」
そして澪は律の記憶の事は省き、律の考えた作戦を聡に伝え、聡をパートナーにした。
それからの澪は琴吹家に足を運び、訳を聞かないでくれと泣きながら紬に作戦を実行するにあたり必要な物を用意してほしいと頼みこんだ。
紬もうすうす何をしようとしているのか感じていたが、澪の気持ちを汲んだ形で何も理由を聞かずに手を貸したのである。
全ての準備が整った澪と聡は時が来るのを待った…
唯や憂が反省もせずに同じことを繰り返す時を…
そして一カ月前に事件は起こってしまった。
聡の目の前で…
そして聡は決断した。今回の作戦の実行を…
こうして今日という日に至ったのである。
澪「やっと軽音部に戻れるな。皆お前を待ってるんだぞ。」
律「ああ…長かったよ。ムギにも梓にも、それに聡にも謝らないとな。」
澪「そうだね。私もいっしょに行ってやるから。」
律「ありがとう…澪。」
そう言うと二人は部屋を跡にするべく扉に向かって行く…
そして律は扉に手をかけ、こう呟きながら扉を閉めた…
律「ゲームオーバー」
END
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最終更新:2011年11月03日 22:55