池沼唯の海水浴(その7)
警察官「裁判があり、お姉さんに判決が下ります。あなたにも色々とご協力頂かないといけません。パトカーで暑に向かいます。同行して頂けますか?」
憂「わかりました・・・。」
憂は胸の内がわからないような無表情のまま、警察官と一緒にパトカーに乗った。
それからは、あっという間に時間が過ぎていった。
憂と唯は毎日のように事情聴取をされ、唯は毎回暴れ出すのでスムーズに調査が進まない。
憂が唯と警察の間に入り、何とか事情を聞き出せていた。
憂は事情聴取の前には必ず、男の子の両親へ謝罪をしに行ったがいつも門前払いを食った。
警察署での事情聴取が終わり家に帰ると、いつもマスコミが待っていたのだ。
自分の家は目の前にあるのに人の壁が邪魔で入れないので、憂は渋々マスコミの相手をしていた。
しかし、すぐに憂はマスコミに答えずに力ずくで家に入るようになった。
憂「・・・。」
憂の口数は明らかに減った。
親友である梓や純が電話やメールをくれたり、家まで来てくれるが、1回も応じていない。
両親は既に他界しており、莫大な遺産だけで生活していたので憂は頼れる人がいなかった。
マスコミは飽きたのかすぐに家には来なくなった。
少しは落ち着けると思った憂だったが、そうはいかない。
家にいる間中、無言電話や悪戯電話に悩まされ、不幸な手紙や宗教勧誘の手紙も送られてくる。
夜中でも石が投げ込まれ、一か月で10枚以上の窓ガラスを割られたのだ。
憂は日毎に精神をすり減らしていたが、唯一の支えがあった。
それは、唯だった。
憂「お姉ちゃん。私がお姉ちゃんを助けるからね。」
憂は家に帰ると寝る時間を削ってまで、勉強に没頭した。
元々、頭脳明晰だった憂は人の倍以上勉強したおかげで有名大学の医学部へ入学。
そして、憂が入学してすぐに唯の裁判が行われた。
未成年、介護レベル5、IQ25の重度池沼、動機は殺人ではなくスイカと間違えた為、他にも細かい事はあったが、それらにより唯に下った判決は無罪だった。
しかし、唯はこれからも精神病院での生活を命じられたのだ。
もちろん、男の子の遺族は納得がいかず控訴したが判決は覆らなかった。
この判決に嫌がらせもエスカレートしたが、憂は無罪の判決を知り、勉強に打ち込んだ。
数年が経ち、憂が大学院を終えようという頃、唯に異変が起こった。
精神病院での生活も慣れ、暴れ回る事も少なくなったが最近になってまた増えたのだ。
しかも、今まで見たこともないような暴れっぷりに職員達も手を焼いていた。
気絶させる以外、唯を大人しくさせる方法がないので毎回スタンガンなどを使い気絶させた。
ある日、唯が暴れ出した時にちょうど良く憂が面会に来たのだ。
憂の手前、職員達もあまり手荒なマネは出来ず、どうやって唯を静かにさせようか悩んでいた。
だが、職員達は我が目を疑った。
憂に会うと唯はピタッと暴れるのを止め、トコトコと憂の近くまで行きジッと憂の顔を見つめているのだ。
職員達は偶々だと思ったが、憂が来ると必ず静かになるので職員達は憂に話すことにした。
職員「実はこういうことがありまして・・・。」
憂「私と会う時だけ大人しくなる?」
職員「はい。急に大人しくなるんです。」
憂「お姉ちゃん・・・。」
職員「何か心当たりはありますか?」
憂がこの話を聞く頃には憂も立派な医者になり、職員は一人の医者として憂に聞いた。
憂「そうですね。手掛かりが少なく、それだけでは何とも言えません。」
職員「そうですか・・・。」
憂「そこで相談なんですが、一晩だけ姉を家に泊まらせて頂きたいんです。」
職員「えっ!?それは出来ません!」
憂「無理な相談だとは承知しています。しかし、もう何年も姉と生活をしていないので姉の現状がわかりません。」
職員は眉をひそめ聞いている。
憂「一晩だけ一緒に生活させて下さい。そうすれば、私からも何かしらの解決策を出せると思います。」
職員「ですが・・・。家ではなく当病院でもいいのでは?」
憂「姉はこちらで何年も生活し精神的にも限界かもしれません。我が家に帰れば心に余裕が出来、こちらでの生活も改善されるはずです。」
職員「・・・。」
まだ20代の若造からの頼み事など聞くはずもないが、憂は優秀な成績で卒業し今後が期待されている医者の一人なのだ。
憂が勤めている病院も優秀な医者ばかりで一目を置かれている。
ここの職員達も憂の評判は知っており、強く言い返せないのだ。
憂「私から院長に話をしても構いません。」
職員「わかりました。私から院長に言います。今度、平沢さんが来られるまでには答えを出します。」
憂「よろしくお願いします。良い返事をお待ちしています。」ニコッ
憂は口角だけを上げ頭を下げると、部屋から出て行った。
今日は唯に会いに来ていたので唯の部屋に行こうとすると後ろから声がした。
「うーい!」
憂「お姉ちゃん!」
憂が後ろを振り向くと、そこには『かいご』と書いてあるTシャツを着ている唯がいた。
8月に入り夏も本番を迎えたので、唯はTシャツと短パンを着ている。
唯「うーいーーー!(^q^)ノシ」
唯は憂に会えて嬉しいようで手を振りながら、こちらへ走ってくる。
憂「お姉ちゃん、そんなに走ったらまた吐いちゃうよ。」
唯「はぁはぁ("q";)」
唯は10mぐらいを走っただけなのに肩を大きく揺らし、額には汗をびっしょりかいている。
職員「こんにちは。」
唯の後ろにピッタリとくっ付いている職員が憂に挨拶をした。
憂は微笑んで返した。
唯「うっ!("q")」
唯が1度だけ大きく体を揺らすと、職員が素早くポケットからビニール袋を取り出し唯の顔を覆う。
唯「おげえええええええええええええ!!!!ゲロゲロゲー("Q")」ビチャビチャビチャ
次の瞬間、唯の大きな口から酸っぱく独特な臭いがするゲロが放たれた。
職員の行動が遅かったら今頃は床だけではなく憂や唯の服もゲロだらけだっただろう。
唯「げぼっ!・・・ふごっふごっ!・・・おえっ!("q")」
職員「唯ちゃん、全部吐こうね。」
職員はそう言いながら唯の背中をさすっている。
この病院は患者1人に対して最低1人の職員が面倒を見ている。
唯には3人の職員が見ているが今は1人だけだ。
憂「お姉ちゃん、大丈夫?」
唯が吐き終わり、落ち着いたのを確認して唯に声を掛ける。
唯「あうっゆい、いぱいげーげちた(^q^)」
全部吐きだした唯はスッキリした様子で憂に答える。
唯の口からは何とも言えない臭いがしたが、憂は我慢する。
憂は臭いから逃げるように職員の方に目をやると、職員はビニール袋を縛り別の袋に入れていた。
視線を唯に戻すと唯がソワソワしている。
何かを待っているのだろうか。
唯「うーい、あえ!(^q^)」
憂「持ってきたわよ!はい!」
憂がカバンの中から取り出したのは豚のぬいぐるみだった。
唯「わーい♪ぶーぶーでつー(^q^)/」
唯は豚のぬいぐるみを受け取るとキャッキャとはしゃいだ。
憂「また破いたんですか?」
憂が怪訝そうに職員へ尋ねた。
職員「はい。唯さんが騒いでいたので駆け付けると豚のぬいぐるみを床に叩きつけていました。」
職員は唯から目を離さずに憂と話している。
職員「たまに何かを抑えられなくなり暴れ出すんです。でも、憂さんが来ると静かになるんですよね。」
憂「そうですか・・・。」
憂と職員は豚のぬいぐるみと近くにいた患者と遊んでいる唯を見つめながら黙り込んだ。
唯が豚のぬいぐるみを破いたのは今年に入り5回目だ。
お友達の豚さんを破くなど以前の唯からすると考えられない。
何か唯の中で変化があったのだろうか。
憂「原因はわからないですか?」
職員「ええ。落ち着いた後に唯さんに聞いてもわからないそうで。」
唯が遊んでいた患者がいなくなったのに気付くと憂と職員は唯の所へ歩き出した。
唯「ぶーぶー、いいこでつねー♪こえあげまつ(^q^)」
唯はポケットからビー玉を取り出すと豚のぬいぐるみの前に置いた。
憂「お姉ちゃん、それじゃあ私は帰るね。」
唯「あう~、うーいかえる?('q')」
憂「うん。仕事抜け出して来たからね。」
唯「やー!ゆい、うーいといる(>q<)」
憂「また近いうちに来るから、ね?」
唯「やーの!うーい、かえるいわない(>q<)」
職員「憂ちゃんはお仕事だって。ほら、もうすぐ晩ご飯よ。今日は唯ちゃんの大好きなカレーだって!」
唯「あう!かえーでつか!?(^q^)」
職員「うん!憂ちゃんとバイバイしないとカレー食べれないわよ。」
憂「カレー美味しそうだね~♪」
唯「ゆい、かえーたべる~♪(^q^)」
職員「それじゃあ、憂ちゃんにバイバイしましょうね。」
唯「あう!うーい、ばばーい♪(^q^)ノシ」
憂「じゃあね、お姉ちゃん!」
憂は唯と別れた後、仕事に戻り帰路に就いた。
食事を済ませると自分の部屋に戻り何やら作業を始めた。
憂は今日も深夜まで起きていた。
それも全ては唯の為。
そして、自分の為でもある。
翌週。
憂は唯がいる病院に来ると、まずは呼ばれていた応接室へ向かった。
コンコン。
憂がドアをノックすると、中から「どうぞ。」と聞こえた。
憂「失礼します。」
職員「憂さん、こんにちは。」
先日、憂が唯の外泊を頼んだ職員だ。
憂「こんにちは。」
憂は続けて言った。
憂「それで、あの話はどうなりました?」
職員「院長から許可が出ました。」
憂「本当ですか!?」
憂は歓喜の声をあげた。
職員「但し、条件があります。送り迎えは私達がします。ご自宅へ17時に送り、翌朝8時に迎えに来ます。」
憂「15時間・・・。」
憂は職員に聞こえないようにポツリと呟く。
職員「もう一つ。就寝前と起床後はこちらへ電話して頂いて唯さんの声を聞かせて下さい。」
憂「わかりました。それで日にちは?」
職員「今週の土曜日はいかがでしょうか?」
憂「大丈夫です。」
職員「では、土曜日の17時に唯さんをご自宅まで送ります。」
憂はその後、簡単に話を済ませ唯の部屋へ移動した。
この前はこの廊下を歩いている時に唯から声を掛けられたが、今日はいないようだ。
憂が個室の前に来ると、『平沢 唯』の札が見えた。
だが、名札は唯が貼った豚やアヒルのシールでほとんど隠れていた。
よく見てみると新しいシールが貼ってあった。
小鬼のシールだろう。
可愛らしいデザインで唯が好みそうだ。
憂はノックをし、返事を待たずに部屋に入る。
憂「お姉ちゃん、いる?」
ドアを開けると、唯が昼食を食べていた。
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最終更新:2011年11月12日 02:20