一人ぼっち(その2)
「あうーあうー(^q^)」
翌日は灰色の雲が垂れ込め冷たい風が枯葉を揺らす陰鬱な空模様だった。
楽しそうに墓をスポンジで擦る唯の後ろで憂は憎々しげに両親の墓を見つめている。
「お姉ちゃん、もういいよ」
「あうーゆいもっときれいきれいつるれす(^q^)ゆい、えらい!(^Q^)」
「お姉ちゃん!!!」
「んひぃぃぃっ!("q")」
耳をつんざく金切り声に腰を抜かして唯は尻もちをついた。
「お姉ちゃん、言うこと聞かないとお仕置きだからね」
「んびぃぃぃぃぃ("Q")おしおきやー!おしおきだめーーーーー!!!!」
「じゃあさっさと退いてね」
「あう!ゆい、もーきれいきれいおわたれす(^q^;)」
実はお仕置きと聞いてオムツの中で失禁してしまったのだが、幸いウンチは出なかったので憂にはバレなかったようだ。
憂は花入れに菊を突っ込み、線香に火をつけて香炉に立てた。
「あーうー(-人-)」
唯は殊勝に手を合わせ唸っている。
その姿を見ていた憂の内に自分でもよくわからない黒い怒りが沸々とわきあがってきた。
「お姉ちゃん、何してるの?」
「あう?おー…おーのりでつ!おばあちゃ、いてたれす(^q^)」
お婆ちゃんとは隣に住んでいた一文字のお婆ちゃんのことだろう。
両親の葬式のときには何かと世話を焼いてくれた。
それからすぐに亡くなってしまったが。
「ふーん…。大体さ、お姉ちゃんはお父さんとお母さんのことまだ覚えてるわけ?」
「あう(゚q゚)あー…あ~('q')あう!おとうさ、あいすくれたれす(^q^)」
そういえば父は唯によく物を与えていた。
今思うと甘やかすというよりは厄介払いのようなものだったのだろうが。
「あのさぁお姉ちゃん、この人たちはね、私たちを捨てたんだよ」
「あう?('q')」
苛立ちを抑えきれなくなった憂は香炉を蹴飛ばし、まだ火のついた線香を踏みつぶして砕いた。
「だからさぁ、手を合わせる必要なんかないんだよ」
「あ~、うーい?(^q^;)」
「子どもに憂鬱なんて名前つけて。何考えてるのかしらね」
冒涜はエスカレートし、靴の裏で墓石を何度も何度も蹴り飛ばす。
「うーい!ゆい、ぽんぽんすいたれす(^q^)」
「えっ?」
唯が憂の袖を引っ張って言う。
我を忘れて墓を蹴り続けていた憂は虚を突かれきょとんとした顔になった。
「ゆいぽんぽんすいたれす!まんまたべる!(^q^)」
「ははっ。そうだね、お姉ちゃんにはご飯のが大事か。お姉ちゃん、何が食べたい?」
「あうーあいすたべる!(^q^)/」
「もうアイスはデザートじゃない。お腹減ったんでしょ?」
「あうー…('q')あう!はんばぐ!」
「ハンバーグかぁ。いいね。じゃあ駅の近くでお店探そうか」
「あーあー!はんばぐ!はんばぐ!(^Q^)/」
二人は手を繋いで墓地を後にした。
風が、少し和らいだ気がした。
「お姉ちゃん、アイスおいしかったね」
「あうー!あうー!あいすおいちーだた(^Q^)」
最寄り駅に着き、駅前の店でアイスを食べた二人は仲良く自宅への道を歩いていた。
唯は憂と繋いだ手をぶんぶんと振り回している。
憂も珍しく穏やかな表情で唯の好きにさせていた。
「お姉ちゃん、今日はお漏らししなくて偉いじゃない」
「あーう!ゆい、ぶぶぶーできる!えらい!(^Q^)」
「もう。今日だけじゃなく明日からもちゃんと続かないと―」
「あう?うーい、どちたれすか('q')」
憂が急に立ち止まり、唯はつんのめって転んでしまった。
「あれ?平沢さん?」
長い黒髪をツインテールにした小柄な少女が憂たちに目を止め駆け寄ってきた。
中野梓という憂のクラスメイトである。
壁を作り周囲と打ち解けようとしない憂にもめげずに話しかける心の優しい少女だ。
憂は返事をせず、唯の手を離し俯いている。
「今日学校休んでたけど、具合悪いの?」
「今日は、お墓参りに行ってて…」
「お墓参り…まぁ病気じゃないならよかった」
「うん…」
「あーうー(°q°)」
「あ、ごめんなさい一人で喋っちゃって。こちらの方は?妹さん?」
梓にそう聞かれると、憂は苦虫を噛み潰したような顔になった。
「私の…お姉ちゃん…」
「そうなんだ。こんにちは。中野梓っていいます。憂さんと同じクラスなんです」
唯の姿を見て重度の池沼であることはすぐにわかったが、梓は内心の動揺を表情には出さず、笑顔で自己紹介した。
「あーう!あずなん!あずなん!(^Q^)ゆいはゆいでつ!なかよしがっこーでつ!(^q^)/」
唯は梓が気に入ったようで飛び跳ねて喜んでいる。それでは飽き足らず梓に抱きつこうとしたが、憂に『つかのま』と書かれた池沼トレーナーの襟を掴まれた。
「お姉ちゃん、お願いだからやめて」
「あう!ゆいとあずなんおともらち!なかよしつるれす!(`q´)」
「お姉ちゃん言うこと聞かないと―」
「いいよいいよ。大丈夫。唯さんとはもうお友達ですね」
梓はベタベタした不快な感触にも構わず唯と手を繋いでやった。
「あうーあずなんいいこいいこ(^q^)ゆいとあずなんおともらち!」
唯は先ほど憂としたように手を滅茶苦茶に振り回して大喜びだ。
「ごめんなさい…。お姉ちゃん、池沼なの…。気持ち悪いよね」
「ううん。そんなことないよ。いいじゃない無邪気で」
「ほんとに?」
「うん。ね、唯さん?」
「あーうーゆいとあずなんなかよし!うーいもなかよし!(^q^)」
「お姉ちゃん…」
憂にとって唯の醜い姿と池沼行動を見て態度が変わらない知人は梓が初めてだった。
信じては裏切られ傷つくことを繰り返し貝のように閉じた憂の心を梓の飾らない優しさがほぐしていった。
「平沢さんは部活やらないの?」
「その、お姉ちゃんの世話があるから…」
「そっか…。二人で暮らしてるの?」
「うん…」
「あう(゚q゚)」
「大変だね…。でも、たまには自分のために時間を使うことも大事だと思うよ」
「そう、かな」
「うーい、うーい(^q^;)」
唯が尻をもぞもぞさせて憂のコートを引くが、慣れない砕けた会話に気を取られた憂は気づかない。
「そうだよ!私、軽音部なんだけど楽しいよ。たまには唯さんにお留守番してもらって、一緒に演奏しようよ」
「でも、楽器とかできないし」
「大丈夫大丈夫。うちの先輩優しいしすぐ覚えるって」
「う、うーい!(^q^;) あう(゚Q゚)」
ブブブブブブボッブバチュウブバチュウブバチュウ!!
昼に食べた2人前のハンバーグ定食が入ったお腹をアイスが壊してしまったのだろうか。
いつもよりさらに大きな破裂音とともに唯の尻が茶色に染まり、オムツから零れたウンチがズボンの中を通って地面にべちょりと落ちた。
「あう…うーい…ごめんなたい(TqT)」
「えっえっ!?まさか……うっ臭い!!」
池沼行動にも動じず笑顔で唯に接していた梓も、この強烈なウンチ臭を前にしては冷静でいられない。
嫌悪に顔を歪めて唯の手を振りほどき、鼻を手で覆って後ずさる。
それは、憂が今まで何度も何度も見てきた『友だち』の表情だった。
「ごめんね…ごめんね…ごめんね…。お姉ちゃん、帰るよ…」
「えっぐひっく…ごめんなたい~(TqT)」
憂は唯の腕を掴んで梓と目を合わせることなく去って行った。
「あっ…」
我に返った梓が自分のしたことの意味に気付いたときには、茶色いウンチが足跡のように点々と残っているだけだった。
ドカッ
「んひぃぃっ("q")」
憂は玄関の扉を閉めるなり唯を突き飛ばして転ばせ、唯の腹を思い切り蹴り飛ばした。
ドゴッ
「んぎょぉッう゛ーい゛”!やるぢで("q")」
「なんなの?私に何か恨みでもあるの?ねぇお姉ちゃん、私のこと嫌いなの?」
ドゴッ
「ん゛ぎいいいいぃぃぃぃ("q")ゆい、う゛ーい゛つきでつ!うーいごめんなたい!」
ドゴッ
「もういいよ。お姉ちゃんが私のことどう思ってるかわかったから。私は今までずっとお姉ちゃんのことを大切に思ってきたのに。絶対に許さないから」
ドゴッ
「むひぃ…("q")ンオエ」ゲロゲロゲロ
吐瀉物が三和土に広がり憂の靴を汚した。
「汚いなぁ…。掃除してよ、お姉ちゃん」
唯の顔を踏みつけゲロの海に溺れさせる。
「ん…ぎ…うーい…ごめんなた…ひっく」
「…そうだ。お姉ちゃんは私の友だちを奪ったんだから、同じことされても文句言えないよね…。そうだ…そうしよう…」
「うーい…ひっくひっぐ…ごめんなた…」
憂はゲロの中に顔をうずめて泣きじゃくる唯を放って靴を脱ぎ、二階に向かった。
「お姉ちゃーん!見て見て~お友達の豚さんだよ~」
「あう!(゚oo゚)ぶたさん!」
憂の左手には唯の大切なお友達である豚のぬいぐるみが、右手にはカッターが握られていた。
「これをね、こうして…ほらっ!」
ジィィィィ
豚の腹に刃を当て、切り裂いた。
さらに切れ目に手を入れ生地を破ると、白い綿が臓物のように飛び出した。
「あーう?ぶたさん?('oo')」
「ほーらお姉ちゃん、豚さん痛い痛いって。死んじゃうかもよ。ハハッ」
呆然とした唯に綿の出たぬいぐるみを放り投げた。
唯はゲロで汚れた三段腹でそれを受け止めると、ようやく事態を理解しわなわなと身を震わせて泣き出した。
「あ、ああああああぶーぶー!('oo')ぶーぶーだいじょぶでつか!?ぶーぶー!んぶぎい゛い゛い゛い”い゛い゛い゛い゛い゛い゛("oo")」
腹の痛みにも構わずぬいぐるみを強く強く抱きしめて号泣する唯を、憂はニヤニヤと笑いながら見下ろしていた。
姉妹の情など、もはやどこにもなかった。
「う゛ーい゛!う゛ーい゛!ぶーぶーさんいちゃいいちゃいれす!なおちて!!("oo")」
顔を涙とゲロでぐしゃぐしゃにした唯は傷ついたお友達を憂に差し出した。
そこには救いを求める心と憂への無条件の信頼があるだけで、憂が加害者であることなど微塵も考えてはいなかった。
「…………」
憂は予想外の唯の反応に一瞬戸惑ったが、すぐに元の下卑た笑みに戻り、今度は豚の眉間にカッターを押し当てた。
「わかった。お姉ちゃん、よく見ててね」
「あう…ぶーぶー…('oo')」
ジィィィィィィィィィィ
「あーう?(゚oo゚)」
豚の顔は滅茶苦茶に裂け、トーレードマークの不細工な鼻にもVの字の切れ込みができた。
「ほらほらお姉ちゃん。ぷぷぷっいっくよ~」
ビリビリビリビリッ
憂が裂けた生地を両手で引っ張ると、腹の切れ目と繋がり、中の綿が宙を舞った。
「あ~あ~お姉ちゃん、豚さん死んじゃったよ」
破裂した風船のようになった豚の皮をこれみよがしに唯の目の前でチラつかせ、震える手のひらに落とした。
「あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ」
いつもの豚さんのような柔らかさが少しもなく、憧れだった巨大な鼻も引き裂かれ、手に持ったら形が崩れてしまう豚さんの残骸は、
重度の池沼である唯が死の概念を理解するのに十分な説得力を持っていた。
「あああああああああぶたさんんんんんん!!!!!!ああああああああああぐびゅううううううううううぶたさあああああああああああんん!!!!」
唯は大好きなお友達だった豚さんを抱きしめ、あらん限りの声と涙でいつまでも泣き続けた。
憂は、唯の慟哭がすすり泣きに変わってのそりと立ち上がるまで、その様を飽くことなく眺めていた。
「む~ひっく(TqT)とんちゃ、ぶーぶーちんじゃったれす(TqT)ひっく」
雑巾で乱暴に顔を拭われ、ズボンとオムツを脱がされて下半身裸になった唯は、亀の水槽の前でめそめそと泣き続けていた。
すっかり薄くなってしまった豚さんは、唯の部屋の引出しに大切にしまってある。
「お姉ちゃーん、ご飯できたわよ~」
「あう…まんま…(TqT)」
立ち上がった唯はとぼとぼと食卓に向かった。
「あう?(゚q゚)」
食卓の唯の席には大きな皿が置かれ、何やら茶色い物体が載っていた。
「あ~う~い?こえ、なんれすか?(^q^;)」
「何って…お姉ちゃんのご飯よ?」
「あーう…こえ、ゆいのまんま?(^q^;)」
フライパンで炒め物をしている憂の背中に問う。
「そうよ」
「うーい、こえ、ちょこれとでつか?(^q^;)」
「ううん、お姉ちゃんが漏らしたウンチよ」
「ウンチ、まんま?(^q^;)」
「そうよ」
「うーい、ごめんなたい!(^q^)うーい、ごめんなたい!」
「どうしたの?急に謝ったりして。早く食べちゃいなさいよ」
憂はフライパンからペペロンチーノを皿によそい、自分の席に置いて食べ始めた。
「あーうー('q')」
「お行儀悪いわよお姉ちゃん。早く座って食べなさいよ」
「あ~、ゆい、ぽんぽんいぱいれす!まんまいらない!(^q^)」
「あら、ウンチいっぱいして吐いちゃったのにお腹いっぱいなの?」
「ゆい、とんちゃのまんまたべるれす。ウンチ、いらないれす(^q^)」
「へ~」
「んぎゃ(>q<)」
憂はペペロンチーノの載った皿をフリスビーのように唯に投げつけた。
皿が額に直撃してうずくまった唯の顔をスリッパで蹴り上げる。
「呆れた。とうとう私のご飯を食べなくなったのね。お仕置きに鞭打ちするから」
憂の手にはいつのまにか仕置き用の鞭が握られている。
鞭、といっても本来は単なるビニールの縄跳びで、持ち手の片方を切り離し鞭として使っているのだ。
5cmおきに作った結び目に針金を通したその縄跳びは、中世の拷問道具の趣を呈していた。
「おしおきだめー!びしーだめー!うーいごめんなたい!うーいごめんなたい!("q")んひぃぃっ(>q<)」
震えながら懇願する唯を蹴り飛ばして仰向けにさせると、剥き出しの尻に鞭を振り下ろした。
ビシィィィィ!!
「ん゛ぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛("Q")」
ビシィィィィ!!
「お゛ん゛ぎょお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛("Q")」
ビシィィィィ!!
「ん゛”ぎ”い゛”い゛”い゛”い゛”い゛”い゛”い゛”い゛”い゛”い゛”("Q")」
唯の巨大な尻は見る見るうちに真っ赤に熟れたトマトのようになった。
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最終更新:2011年12月31日 03:23