池沼唯は、放っておきたい一匹豚
唯の生涯通算で五十回目の交通事故が起こったのは、十一月の下旬のことだった。
憂や梓などが張る厳しい監視から抜け出した唯が、商店街から逃走、車の目の前へその醜く太った体で踊り出たのだ。
その車は速度違反をしていた。
あとで聞いた話によると、百二十は下らなかったらしい。
非常に頭が悪いということで知られている平沢唯だが、この時は運も悪かった。
車道へ飛び込んだ唯の脇腹に、黒光りするベンツが突き刺さる。
空中へと舞い上がる唯を、憂や軽音楽部員達は非常に驚きながら見つめていた。
ぐしゃり、という音とともに唯が頭から落下し、
熟れたトマトを地面に落とした時と似た光景が展開された時にも、
彼女達はまだ茫然自失としていた。
彼女達が我を取り戻したのは、近くを歩いていた女性の、甲高い叫び声が響き渡った時であった。
その後、唯は救急車で掛かり付けの総合病院へ搬送、
一命は取り留めたものの、殆どの会話能力を失うに至った。
元々手のつけられないレベルの池沼であった唯がさらに池沼としてパワーアップしたのだが、
それでも憂や軽音楽部員達は生きていたことを喜んでいた。
しかし、覚えていた数少ない日本語の殆どを忘れ、
ハゲをさらに大きくさせて病院から帰ってきた唯を見た時、
彼女らはこの喜びはぬか喜びに終わるかもしれないという暗い予感に捕われた。
そしてそれは、寸分の迷いなく正しい予感だった。
朝!
唯「ぐごご~ががががが~ずべびぃ~、すぶべが~(=pq=)」
平沢唯のいびきが豚のように汚いというのはいつものことだが、最近は特にうるさい。
平沢憂は、大口を開いて眠る池沼を前にため息をついた。
憂「お姉ちゃん……」
唯の眠る汚れたベッドの周辺には、デジタルアナログを問わずに十を超える数の目覚まし時計が設置されている。
それらを同じ時間に一斉に鳴るように設置しているのだが、どうやらは効果はないようだ。
全ての時計が、壁にたたき付けられている。
恐らく、時計で目を覚ました唯が
「う゛う゛ー(`q´)あ゛あ゛あ゛ー(`q´)」
などと呻きながら投げたのだろう。
ため息をついて、憂は懐から黒い機械を取り出した。
対象に高圧電流を流す機械、スタンガンである。
それを首筋へ押し当てて、スイッチを入れた。
唯「ん゛ん゛びいいいいいぃぃぃ!("Q")あ゛がががががががががあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛("q")」
憂「あ、間違えて最大で放電しちゃった」
唯を起こすとき、憂はスタンガンを使用している。
普段は最小の威力で起こしているのだが、寝起きで注意が散漫になっていたのだろう、
誤って最大パワーで放電してしまった。
唯「あぎゃぎゃぎゃぎゃー!("q")あびぼがべ……がががぁ……("q")」プスプスプス
唯の体から煙が立ち上る。あまりの威力に『おやつ』Tシャツの襟までも焦げてしまっている。
あちゃー、と呟いて、憂は唯のこめかみを思い切り踏み付けた。
唯「あぎゃ("q")」
唯が間抜けな声をあげたが、憂は気にしない。
後ろ手に持っていた巨大なタッパーを開き、中身を唯のTシャツとズボンの中にぶちまけた。
透明な色をした冷たい四角形の物体。スーパーで購入した氷である。
唯「ぎょももも゛も゛も゛も゛も゛!!("q")あびゃびゃびゃびゃあー!("q")」
これには唯も堪らない。
人間にあるまじき獣じみた叫び声をあげ、憂の足を跳ね退けて唯は飛び上がった。
憂「お姉ちゃん、おはよう。もう、ちゃんと目覚ましで起きるようにしないと、駄目だよ。メッ!」
かわいらしく『メッ!』しながら、憂は唯の顎を軽く蹴りつけた。
蹴られた唯は「あ゛ーう゛ぅ゛?("q")」と意味不明な呻きをあげる。
憂「お姉ちゃん、ご飯できてるよ。服脱いで降りてきて」
言いたいことを言うと憂は部屋を出ていってしまった。
唯は「むひぃ("q")むひぃ("q")」などといいながらパジャマを脱ぎにかかる。
スルリ、と簡単にオムツ一丁になった。
池沼である唯は、本来ならこんな簡単に服を脱ぐことはできない。
これには理由がある。
唯が言語能力を失う前、唯はパジャマの袖に腕を引っ掛けて骨折してしまったのだ。
唯の体格ピッタリに特注したのが仇となった。
それ以降、憂は唯に買い与える服を、サイズの大きい服にしていた。
それゆえに池沼唯でも脱ぐことができたのだ。
そして、服の中に氷を入れたのにもわけがある。
憂は『服脱いで降りてきて』と一回だけ言った。
当然、池沼である唯には理解出来るはずもない。
しかし、服の中へ氷を投入しておくことで、唯は冷たさや不快さからひとりでに服を脱ぐのだ。
唯「あう、あううー(^q^)」
裸になった唯はなぜかご満悦だ。
ぶくぶくと肥え太った自分の体を見て、豚になったとでも思ったのだろう。
機嫌良さそうに四つん這いになり、部屋を出ていく。
唯「ぶひひー、ぶふふぃー(^pq^)」
さすがに十年以上住んでいる家で迷うことは、池沼唯でもそう多くあることではない。
よだれを盛大に垂らしながら、唯は階段を降りた。
唯「キャキャ、キャキャキャー!ぶひ、ぶひぃー(^pq^)」
階段を降りたところで唯の嗅覚がみそ汁の匂いを捉えた。
豚のように鼻を動かし、歓喜する。
唯は四つん這いのままリビングに突っ込んだ。
唯「ぎゃ(>q<)」
しかし唯はその場で止まってしまう。
床に転がっていたペンで転んだのだ。
顔面から床に突っ込み、さらに勢いのまま顔で床を滑っていく。
鼻がおかしな形に変形していた。
唯「んひいいいいいいい!!("pq")あんぎゃああああ!!("pq")」
憂「……馬鹿だなー。本当に人間だったのかしら、これ」
あまりにも愚かな唯の行動に、憂は呆れたように呟いた。
憂「ご飯できてるよ。食べなさい」
「あふぅ、あふぅ("pq"三"pq")」などと言いながら地面を転がる唯を無理矢理起き上がらせ、服を着せる。
そして池沼唯の目の前に、憂は食パンを一斤放った。
パン屋で買ったスライス前のものだ。
非常に簡素である。ぎゃあぎゃあ喚いていた唯が途端に静かになり、がっつき始めた。
唯「ぺちゃぐちゃ、もぎゅもぎゅ(^pq^)あううう(^pq^)/」
唯の食事が簡素なのに対して、憂の食事は非常に豪華だ。
炊きたての白米にシャケの切り身、程よい濃さに味付けがなされた味噌汁や、美しい色合いの卵焼き。
旅館の朝食と比べても遜色ない出来だ。
何事においてもプロ級の実力を発揮する憂らしい、素晴らしい和食である。
憂「味覚がないくせに美味しそうに食べるわね、お姉ちゃん……」
生暖かい視線を上から送りながら、憂は呟いた。
憂が唯の食事において手を抜くようになったのは、とある過去の出来事に起因している。
ある日、憂がから揚げの下ごしらえをしていた時のことである。
急遽用事が入ってしまった憂は、生の鶏肉と、から揚げ用の粉、そして油を、温める前の状態で放置して家を空けたのだ。
用事を終わらせた憂が台所に戻った時には、鶏肉も粉も、油すらもなくなっていた。
唯が食べ、そして飲んだのだ。
その時、憂は悟った。
この池沼にまともな食料を与える必要などない、ということを。
それは、唯が病院から帰ってきてから一週間のことである。
それから唯は今まで、おざなりな食事を与えられていた。
しかし、唯には文句を言うだけの言語機能は備わっていない。
そもそも、食事の内容が変化していることにすら気がつかないほどの池沼なのだ。
唯「あう~あう~(^pq^)」ビジャグヂョ
憂「お姉ちゃん、もう私は学校に行くよ!」
唯には学校がない。
それは唯の先天的障害に加えて、後天的障害によって日本語すら話せなくなったためである。
池沼を飼うために存在する仲良し学校といえども限度がある。
最重度の池沼である唯を御しきることは不可能だ。
それゆえに、池沼唯は退学の判定を下されたのだった。
唯「あうう?('q')あうあう、あうあああー?('q')」
憂「ゴメンネお姉ちゃん。私、日本語と英語しかわからないんだ。
池沼語は勉強してないの。じゃ、行ってきまーす!」
不思議そうな顔付きであうあうと言う唯を相手にせず、憂はバッグを抱えて出て行ってしまった。
その背にはギターケースが収まっている。
憂は軽音楽部に所属しているのだ。
唯「あ゛う゛っ!?(°q°)あ゛ーあ゛ー?('q')う゛う゛ぅ゛ぅ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛い゛ー?('q'≡'p')」
先程までそこにいた憂がどこかに行ってしまった。
驚いた唯は辺りを見回すが、どこにも憂は見当たらない。
唯「う゛ーう゛ー(`q´)う゛ががががあ゛ー!(`q´≡`p´)あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ーーー!!(`q´)」
突然消え失せた憂に怒った唯は、床に寝そべってごろごろし始めた。
着て間もないにも関わらず服にはよだれと鼻水がべったりとくっついてしまっている。
それらが床に付着し、汚く装飾した。
一通り転がった唯は、(`q´)という表情から('q')という表情になって立ち上がった。
自分がなぜ転がっていて、なぜ怒っていたのか。
そして自分が怒っていたということすらも忘れてしまったのだ。
普通ならありえないことだ。
だが、いけぬ魔王であり、IQ25の唯でなら有り得ることなのである。
唯「あうう?('q')あーうう……('q')」
疑問の表情を浮かべ、唯は呟いた。
あうあう('q')あうあう('q')と唸り、キョロキョロしていたが、やがてその視線が固定される。
唯「あーう!('q')あうああ、あーうう?(^q^)/」
虚空を見つめながら笑顔で話しはじめたのだ!
唯が今いる場所はリビングである。
そしてリビングには『唯が暴れた場合に破壊されてしまう』という理由から物が全くない状態だ。
あってもテーブル、椅子、窓、扉くらいのものである。
唯の友達(笑)である豚の弁当箱やうんたん♪、ぎいたなどは唯の部屋にある。
唯の友達(笑)はリビングにはいないのだ。
では唯がなにに話しかけているのかと言うと、それは池沼以外には見えない『何か』である。
見えない誰かと会話をしているのだ。
唯「あうあー、あぎゃぎゃぎゃ……(^q^)/」
虚空「」
唯「ぎょももももwwww(^q^)」
虚空「」
唯「んっひっひっひっひっ!(*^q^*)うんたん♪うんたん♪\(^q^\))三((/^p^)/」
常人には見えない誰かにおだてられたのか、唯は突然うんたん♪をやり始めた。
当然手にはカスタネットもギターもないので、手の平を打ち鳴らすことになる。
唯の三段腹がぶよぶよと揺れ、手の平と荒い息遣いが汚らしいハーモニーを奏でた。
唯「んひーっ!\(*^q^*\))三三((/*^p^*)/」
興奮して、唯の頬が紅潮した。普通ならかわいらしく感じられるだろう。
しかし百キロを余裕で上回るデブの池沼ではそんな感情は沸き起こらない。
むしろ唯は人々に『汚い赤色だ、ぶっ殺してえ』という感情を抱かせるのだ。
それが、池沼クオリティー。
唯「あうあう、あうあーっ!\(*^q^*\))三((/*^p^*)/うんたん♪うんたん♪
あぎゃぎゃぎゃぎゃー!\(*^q^*\))三((/*^p^*)/」
一心不乱に手の平を打ち鳴らす唯。
しかし、必死になりすぎていて足元がお留守だったようだ。
なにもない空間であるにも関わらず、唯は足を滑らせ、
窓ガラスに頭から突っ込んでしまった。
唯「んひんひ……あうっ?('q')」
池沼である唯は脳の動きが弱い。
頭や肩に多くのガラスが突き刺さったため、
痛みが飽和し、痛覚が麻痺してしまったのだ。
家の中にいたのにいきなり変な緑色のところへ移動したなあ、と自分の家の庭を不思議そうに眺めている。
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最終更新:2012年03月05日 02:12