《works 274》

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《works 274》 - (2009/01/08 (木) 22:21:44) の1つ前との変更点

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身長:165cm 体重:45kg 誕生日:不明 血液型:不明 趣味、特技:社交ダンス えろいコスチュームが人気のホムンクルスさん。 ちなみにセーラー服→軍服→ブレザーと経て現在の格好に至っている。 クラリスはホムンクルスにメイドやバニーガールの格好をさせているので多分クラリスの趣味。 いいぞもっとやれ。(もっとやる=Saga3再録という意味を込めて) アゾートとは錬金術の究極であり到達地点。 従って上がないのでバージョンを上げる事でパワーアップを表現している。とても漢らしい。 公式登場はクラリスの右腕的ポジションであるため結構多いが、 アンソロではドブレを庇っていたとはいえネツァクとアンデッド相手にすら苦戦したり、 「悠久の処女宮」ではクラリスの大望成就の足止め役として出るも湯上谷舞の捨て身の攻撃に 初めて恐怖という感情を味わわされ、体液を撒き散らしながら肉体を破壊され ぶっちゃけ舞とミナの引き立て役として敗北するなどろくな人生(ホムンクルス生)を送っていない。 さらに可哀想なことに、当初「クラリス・パラケルススの最高傑作」と言われていた立場も works317(みいな)に取って代わられた。 317にクラリスが話しかけるシーンで「私の最高傑作になる」と言っているのである。 もっとも、クラリスはいつでもこんな事を言っている気もするが。 さらにさらにSaga1時代からの盟友であるねこみみホムンクルスのチカ・タイガーフィートが 『遺伝子の力』でとんでもない強さと萌え容姿に強化されて帰ってきてしまった。 さらにさらにさらに助手のルミが来てしまえば右腕ポジションは奪われるのが道理なのである。 さらにさらにさらにさらに審判の日では[[Works666>http://www30.atwiki.jp/aquarianagetcg/pages/2143.html]]なる上位互換機が出てしまった。 666はデメリット付きだとはいえ、274の復活はいまだ遠いのか。 TCG版ではSaga2で下位能力が量産されまくった挙句、 簡易版のスキル『シンクロ』が超強化されて充分過ぎるほどの強さになったと判断されたのか Saga3では274も含めてこのタイプの能力者は出てきていない。 (一時的に「あなたと合体したい……」カードは出て[[茗子>《皆口 茗子》]]がよくそのエサにされている) そしてそのシンクロと強力なスキルを持つworks666が出てしまったのである。 274は再生を諦められて放置されているのだろうか…… 挙げ句の果てに、テイルではクラリスに自信満々に思考も会話も出来ないコピーと間違われる体たらく。 274の側からはクラリスを一途に慕っているというのに。 アンソロで出奔したのは弱い自分ではクラリスの役に立てない事を悩み恥じて故の事であり、 AAAでも青テイルでクラリスへの一方通行の絆が描かれている。 彼女の人生に光明が訪れるのはいつのことになるだろう。 あんパン食べて無表情に感動してた頃が懐かしい(´・ω・`) もっともそのあんまりな扱いが人気の源であるという意見もある。 戦闘能力は高く強力。無表情に光弾を撃っていると思うと萌える。 フェンリルやデスる~んと組むと凶悪。 317、13など274以外のworksシリーズも存在しているが、本家では長いこと274しか出てこず、 複雑で解決時に混乱を招く能力や小説・マンガでのひどい扱い、コスプレっぷり、 そして何よりもリリアすら上回る名前のものすごい長さのおかげで274=worksと呼ぶのがすっかり定着している。 本家カードリストの名前読み欄は彼女が基準になっているくらい長かった。 さあみなさんご一緒に、 ほむんくるす・あぞーと“わーくすにいななよん”ばーじょんさん しかし現在ではそれすらも越えられてしまい涙を誘う。 以下比較。works274に幸あれ。 ホムンクルス・アゾート“works274”Ver.3 ほむんくるす・あぞーと“わーくすにいななよん”ばーじょんさん デューク・フリーズ“フリードリヒ・フォン・アイヒェンドルフ” 読書好きな魔法使いの貴族令嬢“レン・ラルファ・アーシャ” どくしょずきなまほうつかいのきぞくれいじょう“れん・らるふぁ・あーしゃ” ---- 906 名前:名無しプレイヤー@手札いっぱい。 投稿日:2008/02/24(日) 01:30:39 ID:v67vw2cF0 わがままなのかもしれんが、もっと好きなキャラで戦いたいよ。 911 名前:名無しプレイヤー@手札いっぱい。 投稿日:2008/02/24(日) 02:27:31 ID:oiEyG8O+0  >>906 Works274使いたい 今度も復活しなかったかorz 913 名前:名無しプレイヤー@手札いっぱい。 投稿日:2008/02/24(日) 02:41:19 ID:v67vw2cF0  >>911 復活すらしてないのか・・ごめんな 泣 83 :NPCさん:2005/04/23(土) 09:58:30 ID:??? 欲望直結・・ホムンクルスリキッド 雇いたい・・works274(SagaⅠ) 283 :名無しさん@お腹いっぱい。:2005/05/07(土) 23:01:22 ID:svJ39dfb  >>274 急がないでいいから、体の方をお大事にしてください。 で、ホムンクルスの方の話だけど、サーガⅡのworks274って、みんなの脳内でどんなキャラになってる? ブレイク前後で見た目が違いすぎるせいか、さっぱりイメージが湧かないのです 188 :名無しさん@ピンキー:2006/07/16(日) 17:01:02 ID:??? サーガ2からついていけてない漏れ 望たんハァハァ 189 :名無しさん@ピンキー:2006/07/16(日) 20:59:12 ID:??? 案ずるな、私もだ。 works274激ラヴ。 297 :名無しさん@ピンキー:04/12/16 13:57:50 ID:??? 鈴鹿決戦時のクルスたんはworks274並のスペックだと妄想して已まない。 148 : ◆GLZLASTY8I :03/10/24 21:50 ID:??? すでに散々言われてますが、ソフィエルエロ杉 当たったのはSPだけど、こっちもエロ…… Works274はセーラー服からブレザーに変わってる…… 自分は好きですが ** 母と、娘と。 22 名前: 高砂大反転 ◆v2RA6aU/Dk 投稿日: 02/10/20 02:05 ID:??? 遅ればせながら新スレおめです。手土産にSSを持参しましたよ。 works274おつかれさま記念、そのわりにはダークか!? 満身創痍なのか!? 年齢制限はありませんが、ちょいと痛い描写があるかもです。  パラケルススの塔、最上階。塔の主であるクラリス・パラケルススの居室を、works274が訪れた。 「ただいま帰還しました、クラリス様」 「お帰りなさい、works274。早速だけど、報告を聞かせてくれる?」  直立不動でクラリスの前に立つworks274は、その表情をほんのわずかだけ曇らせ、直後に自嘲した。所詮はクラリスの“作品”にすぎない自分が何を期待しているのか――暖かなねぎらいなど、望むほうが間違っている。  もちろんそれらを口に出すことはなく、works274は報告を開始した。 「――はい。最終的に準々決勝で敗退という結果に終わりましたしたが、非常に貴重なデータを豊富に収集することが出来ました。とりわけ結城望やフェンリルといった強豪との試合は情報価値が高いものと思われます」  魂なきホムンクルスにふさわしい、淡々とした口調で報告を続ける。とはいえ、この報告には大した意味がない。詳細な戦闘記録なら、内蔵の記憶媒体から直接データをサルベージした方が早いからだ。 「また、戦闘能力で勝る出場者が常に勝利を収めるわけではないということが興味深い点です。第三者による支援行動、人間力が勝敗の鍵を握ることは通常の戦闘ではあまり考えられませんが、戦略の一形態としては考慮すべき価値があるでしょう」  あえて口頭での報告を行わせる理由は、こうした主観を含んだ報告に価値を認めているためだろう。クラリスは“作品”たちを無慈悲に使い捨てる一方で、我が子のように愛情を注ぐという矛盾を行う傾向がある。  もっともそれは、己の錬金術師としての業績に対する愛着であり、芸術家が己の手になる作品を愛でるのと同質のものなのだろうが。 「――報告は以上です。より詳細な記録に関しては、口頭ではなく記録媒体からの直接閲覧を推奨します」  締めくくり、works274は一礼した。満足げな顔のクラリスが、童女のように頬をほころばせる。 「はい、ご苦労様。それにしてもまさかあなたが私より勝ち進むなんて思わなかったわ。よく頑張ったわね、works274」 「……恐縮です」  思いがけない暖かな言葉に違和感を覚えつつ、works274は答えた。ただ……ホムンクルスとして生を受けてからの経験上、クラリスがこういう顔をする時は決まってとんでもないことを言い出す時なのだが。 「そんなわけでね、頑張ったあなたにプレゼントがあるの。気に入ってくれると嬉しいわ」  クラリスは無邪気な……無邪気すぎて気味の悪い笑みを浮かべると、机の上にある瀟洒なベルを鳴らした。澄んだ音色が響き、ほどなくしてクラリスの背後……実験室に繋がるドアが開いた。 「失礼します」  聞き覚えのある……だが疑似脳内の聴覚情報分野には登録されていない声が、ドアの向こうから聞こえる。次の瞬間、works274は自らの目を疑うという、人造生命にあるまじき非合理的な錯覚を抱いてしまった。 「……っ!」  驚愕。works274の空っぽの魂を揺さぶったのは、人間風に言うならそんな衝撃だったろう。 「紹介するわね。あなたの妹――いえ、二人目のあなたよ。works274」  クラリスの紹介を受け、自分と同じ顔の少女はぺこりと頭を下げた。 「はじめまして。――works274といいます」  その声――なるほど、聞き覚えはあっても登録されていないはずだ。一番聞き慣れた『自分の声』を他から聞くことなどあり得ない――あり得ない、はずだった。 「クラリス様――これは」 「驚いた? ふふ、もう『驚く』なんていう感情も学習してるのね。おかーさんは嬉しいわ」  くすくすと嗤いながら、クラリスが冗談めかして言う。 「あなたは本当によく学習したわ。だからぁ、このへんでシェイプアップしておこうと思うのよ」  つんつん、と自分の頭をつつくクラリス。 「あなたが学んだ情報のうち、必要なものだけをこの新しいあなたに記憶させてあるの。プリインストールってやつね。この子は全くの白紙からスタートしたあなたと違って、生まれながらにして今のあなたと同等の発達度を持つわ」  新しいオモチャを自慢げに見せびらかす子供のように、クラリスは満面の笑みで解説してみせた。 「もちろんボディの方も新型よ。でもあんまり変えると互換性がなくなるから、限られたフォーマットの内で飛躍的にぱわーあっぷ!させるの大変だったんだから」  大袈裟なジェスチャーを交えた解説を聞きながら、works274は最悪の結論を想定した。そしてそれは、いくつか考えられる中で最も可能性の高いものでもある。 「マム……!」  意味を持たないうめきが漏れる。それを聞いて、クラリスは嗤った。 「あら……久しぶりね。もう、そんな風に呼んでくれることはないと思ってたわ」  童女と慈母が同居する、きっとworks274が一番好きだった笑顔。その笑顔で、クラリスは告げた。 「私からあなたへの、最後のプレゼントよ。受け取ってちょうだい、愛しい我が娘」  その言葉が聞こえるか聞こえないかのうちに――  ――死の刃が、works274に襲いかかった。 「っ……!」  襲いかかるもうひとりの自分の攻撃を、危ういところで受け流す。互いに戦闘用に創られたホムンクルスだが、クラリスの言うとおり性能の差は歴然だった。 「あなたを処分します、姉さん……いいえ、旧き私」  まるで鏡写しのような白い髪に、真紅の瞳。そこに宿る虚ろな輝きすら、自分とそっくり同じだった。 「くっ!」  即座に身を翻し、一直線にドアへと疾走する。その背に、クラリスの脳天気な声がかかった。 「あらぁ、逃げちゃうの? せっかくのプレゼントなのに」  そう言いながらも、クラリスは楽しそうだ。そもそもこのパラケルススの塔にいる時点で、クラリスの掌の上も同じである。この部屋からworks274が逃げられないようにするなど朝飯前だろうに、クラリスはそれをしなかった。 「逃走は無意味です」  背後から、もうひとりの自分が言う。まったくその通りだとは思ったが、この肉体が選択したのはその場からの逃走だった。はたして、部屋のドアは何の抵抗もなく開く。まるで逃げろと言わんばかりに。  works274は廊下に転がり出すと、各所に設置されたテレポーターのひとつに駆け寄った。新型の自分と正面からやり合う愚は犯せない。まずは潜伏し、可能ならばトラップを張る。反撃はそれからだ。 (……なぜ?)  疑似脳内のひどく冷静な部分が、このまま新型の手にかかることを推奨してくる。所詮は創られし命、創造主の意志に従って次代に継承されるのがベストではないのか。  答えは出ぬままに、テレポーターが作動する。淡い光に包まれ、一瞬後にはworks274の姿は消失していた。  残された新型はクラリスに向き直り、問う。 「追跡しますか?」 「ええ、お願いね。あの子を消したら――あなたが、完全なworks274よ」 「了解しました」  新型はクラリスに一礼すると、悠然たる足取りでテレポーターに歩み寄る。旧型を追って消えていくその姿を見送り、クラリスはひとりほくそ笑む。館内放送のスイッチを入れ、全館に告げる。 「あーあー、テステス。本日は晴天なり……って雨だけど。いきなりで悪いんだけどぉ、西棟研究ブロックにいる子たちは総員退避。言うこと聞かないで死んじゃっても知らないからね。繰り返しまーす……」  一方的な放送を入れ、目の前に置いた水晶玉に視線を落とす。ふたりのworks274が、果たしてどんな戦いを演じるか……想像するだけでも心が躍る。 「さあ、楽しませてね……私の可愛い娘たち」  水晶玉に映る光景に熱っぽい視線を注ぎながら、クラリスは呟いた。  研究ブロックを駆け抜けながら、works274は答えの出ない自問自答を繰り返していた。 (なぜ、逃げてしまったのか)  この身はホムンクルス。ただ生まれたという理由だけで生きていられる人間とは違う。生まれながらに目的を与えられたものは、目的達成のために存在せねばならない。  そして、works274に与えられた目的とは、ホムンクルスとしての高みを目指すこと。それを継承する新たな自分にすべてを託し、このまま消去されるのが一番合理的……いや、それ以外の回答などあり得ないのに。 (なんて、無様……)  創られたばかりの自分ならば、こんな馬鹿げた行動など取りはしない。なるほど、クラリスの言葉を借りるならば“シェイプアップ”が必要になるわけだ。長く存在し、感情などというものを学び……この身は、度し難いほどに弱く、愚かになった。 「っ……接近警報……?」  背後から高速で接近する敵性体を感知する。配置したトラップをことごとく無効化し、あるいはわざと作動させながらも傷ひとつなく、新型が追ってくる。  脚部への負担を無視した加速を行い、眼前の培養室に駆け込むと、棟のセキュリティに干渉し、機械的・魔法的双方に厳重な封鎖をかける。いかな新型と言えど、これを突破するには時間がかかるはずだ。  とはいえ時間稼ぎのタネも、ここにきて品切れだった。 「ここは……そう。帰ってきてしまったのですね」  ここは培養室。ホムンクルスが生み出され、その短く報われぬ生涯の第一歩を刻む場所。選んだつもりはなかったが……皮肉なことだ。 「皮肉、だなどと。人間のようなことを」  言ったそばから今度は自嘲。ああ――本当に、この身は余計なことを学びすぎたのだ。今も背筋を凍らすこの怖れなど、その最たるものだった。  クラリスの手によって生み出され、創るも壊すも胸先三寸のこの命。失われることなどとうに承知の上だったはずのちっぽけな命が、こんな時になっていかにも惜しかった。 「お許しください、マム――それでも私は怖ろしいのです。死、というものが」 「――我々に死という概念は存在しません」 「っ……!」  背後から、扉の開く音とともに声がかかる。瞬間、works274は室内の培養槽に眠るホムンクルスたちに最大の干渉をかけた。ガラスの割れる大合唱が響き、動けるすべてのホムンクルスが新型へ殺到する。 「度重なる命令違反に続き、機材の破損と無断使用。はななだ度し難い存在ですね、あなたは」  新型のつぶやき。同時に、襲いかかったホムンクルスたちの動きが止まる。 「works274は組織戦対応型。同調攻撃は確かに強力ですが……あなたに出来ることが、私に出来ないはずがないでしょう。どちらも私なのだから」  新型の言うとおり、雑兵を何体動かしても意味はない。そして性能で上回る新型に、一対一で勝利することは不可能。万策尽きたというわけだ。 「どちらも私? ……違います。私は、あなたとは違う。同じものが同時に二つ存在することはありえません」 「たしかに相違点は認められます。私には、あなたのような無意味な感情など存在しません。ですがどちらにせよ、あなたはすぐに消去されます。意味はありません」  ――無意味。その通りだ。こんな会話に意味はない。  同じものが二つ。その矛盾を解決するには――どちらかの消滅を持ってしかない。 「ふっ……!」  両手の甲に内蔵した刃を伸ばし、白磁のごとき肌の上に光る文様が浮かび上がる。全くの無意味であることを自覚しながら、works274は悠然と立つ新型に躍りかかった。 「……あくまで抵抗しますか。旧型の私は相当に狂ってしまっているようですね」  同じように刃を伸ばし、新型が迎え撃つ。パワーもスピードも新型が上――対して自分にあるものといえば、無意味な感情とちっぽけな命への執着。まるで勝負にならない。 「消えなさい」  新型の両手が霞んだと見えた瞬間、二本の刃がworks274の全身をなますに刻む。ご丁寧にも、魔力で加熱した刃による攻撃だった。傷口から異臭と白煙を放ち、works274は割れたガラスの培養槽へ向かって放り投げられる。 「あぐぅっ!!」  傷口を同時に焼く連撃に加え、ガラスの破片が新たな傷を増やしていく。最初の交錯で、既に致命傷だった。  這ってでも立ち上がろうとするworks274を、新型が踏みつける。 「理解していますか、旧型。あなたの行為はどれひとつ取っても重大な背信行為です。その罪は、ただ消去するだけで済むものではありません」  その気になればいつでも消去できるであろうに、新型はすぐにはとどめを刺さなかった。 「これは処刑です」  力無い抵抗を試みるworks274の腕を、容赦なく刃がえぐる。傷口を同時に焼かれているため、体液の損失は最低限にとどまったが……それはこの処刑が始まったばかりだと言うことを意味する。 「意識を保ったまま原型が分からなくなるまで破壊し、失敗作のスライムの餌になってもらいます。感情などに踊らされた旧型の末路としては妥当でしょう」 「感情という言葉に……こだわるのですね」 「黙りなさい」  works274の抗弁には、速やかに返答が行われた。底冷えのする声とともに、灼熱の刃が腹腔に突き入れられ、内部組織を焼く。 「ぐぅぅっっっ!」  くぐもった悲鳴とともに、青い光弾が無差別に放たれた。そんなやぶれかぶれの攻撃が新型に通用するはずもなかったが、培養室の設備やホムンクルスたちへの被害は甚大だった。 「……なんということを」  works274を蹴り飛ばし、新型が吐き捨てる。そのさまを見て、works274は確信した。 「あなたにも、あるのですね。怒りという感情が」  蹴り飛ばされたおかげで離れられた。何とか立ち上がる。足下にぼたぼたとこぼれ落ちるのは、体液というより破壊された組織そのものだろう。失った肉片と内臓の分だけ、体が軽かった。 「黙りなさいと言っています」 「あなたは感情がないのではなく、その表現を知らないだけ。感情とて情報の一形態には違いないのだから、複数の情報を有機的・無意識的に処理する能力を持つ私たちがそれをもつことはむしろ自然です」  ひゅーひゅーと、風が鳴っていた。それは単に発声機能の損傷によるノイズだったのだが、works274は既にそんなことを認識してはいなかった。 「生まれたてのあなたのために教えておきましょう。あなたが私を旧型と侮り、処刑などと無駄な行為に時間を費やした。その感情を、慢心と呼びます」 「認めません」  新型は掌をこちらに向け、光弾を放つ。works274はそれを避けなかった――避けられなかった。  その一撃を受けて吹き飛びながら、works274は生き残った体内の魔力回路を総動員してひとつの術式を編み上げた。だがそれを有効に使うには、距離が遠すぎる。 「――」  視線をめぐらす。死屍累々と横たわるホムンクルスたちが目に入った。攻撃の余波で破壊されているものもあるが、大半は動けないだけで中枢は生きている。 「この期に及んで同調攻撃ですか? 無意味です」  その言葉に応えるような余力はない。そして、変化は現れた。新型の目前で、横たわるホムンクルスたちが次々に蒸発していく。 「エーテル分解? 自爆でもするつもりですか」  ホムンクルスの構成物質を分解し、魔力気体に変換。ここで攻撃魔法を使えば、培養室ごと木っ端微塵に吹き飛ぶことだろう。 「私を道連れに自爆したところで、クラリス様が新たな私を創るだけです。そんなことも分からないのですか」  新型が歩み寄ってくるが、works274は答えない。答えずに、堅く握った右拳を新型へと向けた。新型は自爆するつもりだと決めてかかっている。自爆するならそれでよし、そうでなければ物理攻撃で仕留めるつもりか。 (本当に愚かなのはどちらなのか……やはり、私の方でしょう)  けれど、この命を守るために自爆するのでは意味がない。それを理解できないのなら―― 「私は……死にたく、ない」  その言葉は新型に届いたろうか。そうして、新型へと向けた拳に最後の力を込めた。  ぶしゅうっ!  works274の手首が、内側から爆破したように弾け飛ぶ。体液を限界まで圧縮して放つ、いわば水圧式ロケットパンチ。半ば破壊された腕だからこそ出来た、捨て身の一撃だ。  刃を出したままの拳は、油断しきった――というよりは攻撃など受けても受けなくても変わらないといった風情の新型に突き刺さる。 「無駄だというのが……!!!?」  余裕綽々の新型の顔が、紛れもない苦悶に歪む。 「自壊術式……馬鹿な!」  右拳は即座にどろりと溶けてなくなり、溶解は突き刺さった胸板へと伝播していく。敵に捕獲された時などを考慮し、works274に設定されていた自死回路の発動だ。本来自分自身に対してしか効果のない術だが……新型は、自分と同じ肉体を持っている。  水圧式ロケットパンチの発想は、単に意表を突くだけの大道芸ではない。自壊術式を編んだ右拳は即座に切り離さなければ、溶解は自分にもおよんだろう。本来そのための術なのだから。 「溶けっ……そんな!?」  そして、自壊術式はキャンセルできない。その効果は体内で構成されるあらゆる魔力回路に優先する。完全な、自殺のための魔術―― 「助け、クラリス様……マム! 助けて……っ」  本人の意志に反した自死回路の発動という不測の事態に、冷静だったはずの新型がパニックを起こす。その言葉に、力つきたはずのworks274が反応した。 「あの方は……私のマムです。あなたなんかが、気安く呼ばないで」  立ち上がる。新型を見下ろす。そして、残った左腕さえも撃ち放つ。 「助けっ……ぐ」  悲鳴は半ばで途絶えた。自壊が発声機構にまで及ぶのと、発射された左手が顔面を破壊するのと、どちらが早かったのか……もう、わからない。 「……そう。そんなこと、だったのですね」  既に八割方が溶けてなくなった新型……その残滓の上に、works274は崩れ落ちた。自分と同じ紅い瞳が、こちらを向いたまま溶け落ちていく。  笑わせる。なにが『死にたくない』だ。  自分はただ――自分と同じ顔の少女が母の寵愛を受けるのが許せなかっただけだなんて。 「……マム。聞こえているのでしょう」  一部始終を見届けたはずの母へ、報告を開始する。 「……妹を殺しました。私が“works274”です、マム……」  それが限界。そうして、彼女の意識は闇に沈んでいく。  意識を失う刹那の一瞬……深い深い闇の底に、愛しい母の笑顔が見えた。 「あらあら。自分の生まれた場所をこんなに壊して、もう。困った娘ねえ」  戦闘の狂乱が去った培養室。音もなくその場に現れたクラリスが、倒れ伏すworks274を抱き上げる。その顔はいつものように不気味な無垢に染まっていたが、どこか誇らしげな色も窺えた。 「クラリス……! なんだ、この有様は!」  そこへ、血相を変えたステラ・ブラヴァツキが訪れた。室内の惨状に顔をしかめ、works274を腕に抱いたクラリスに詰め寄る。 「くすくす……ちょっとしたドメスティック・バイオレンスってところかしら?」  飛び散った体液や組織片に服が汚れるのも構わず、クラリスは腕の中のworks274に愛しげに頬を寄せた。 「ねえステラちゃん。あなた、家庭を持つ気はある?」 「何の話をしてる。この損害はちょっとしたどころではすまんぞ」 「もちろん、私が責任もって直すわよ。娘のしたことですものね?」  クラリスはこともなげに言い放ち、培養室をあとにする。背後でステラがなおも何か言っていたが、気にすることもあるまい。 「すぐに治してあげるわ、真っ先にあなたをね。今夜はお赤飯よ」  呼吸すらしていないworks274に、クラリスは優しくささやく。  その瞳に、まぎれもない母の表情を浮かべて。 (了) ---- 681 :名無しプレイヤー@手札いっぱい。:2005/08/21(日) 19:30:08 ID:ebGFhCY5 WORKS-274は誰も使ってないのかな? 漏れのデッキの主力にしたいんだけど、何か良い使い道とか 弱点とか教えてくれ 682 :名無しプレイヤー@手札いっぱい。:2005/08/21(日) 20:17:31 ID:Ym/WmFaK  >>681 ほら、シンクロ改正されちゃって存在価値が殆どないってのが問題点かな… ちなみにworks274は全て小文字、Works317、Works666は最初が大文字、そして274と317は数字の読みが日本語だが、666は数字そのままである。
身長:165cm 体重:45kg 誕生日:不明 血液型:不明 趣味、特技:社交ダンス えろいコスチュームが人気のホムンクルスさん。 ちなみにセーラー服→軍服→ブレザーと経て現在の格好に至っている。 クラリスはホムンクルスにメイドやバニーガールの格好をさせているので多分クラリスの趣味。 いいぞもっとやれ。(もっとやる=Saga3再録という意味を込めて) アゾートとは錬金術の究極であり到達地点。 従って上がないのでバージョンを上げる事でパワーアップを表現している。とても漢らしい。 公式登場はクラリスの右腕的ポジションであるため結構多いが、 アンソロではドブレを庇っていたとはいえネツァクとアンデッド相手にすら苦戦したり、 「悠久の処女宮」ではクラリスの大望成就の足止め役として出るも湯上谷舞の捨て身の攻撃に 初めて恐怖という感情を味わわされ、体液を撒き散らしながら肉体を破壊され ぶっちゃけ舞とミナの引き立て役として敗北するなどろくな人生(ホムンクルス生)を送っていない。 さらに可哀想なことに、当初「クラリス・パラケルススの最高傑作」と言われていた立場も works317(みいな)に取って代わられた。 317にクラリスが話しかけるシーンで「私の最高傑作になる」と言っているのである。 もっとも、クラリスはいつでもこんな事を言っている気もするが。 さらにさらにSaga1時代からの盟友であるねこみみホムンクルスのチカ・タイガーフィートが 『遺伝子の力』でとんでもない強さと萌え容姿に強化されて帰ってきてしまった。 さらにさらにさらに助手のルミが来てしまえば右腕ポジションは奪われるのが道理なのである。 さらにさらにさらにさらに審判の日では[[Works666>http://www30.atwiki.jp/aquarianagetcg/pages/2143.html]]なる上位互換機が出てしまった。 666はデメリット付きだとはいえ、274の復活はいまだ遠いのか。 TCG版ではSaga2で下位能力が量産されまくった挙句、 簡易版のスキル『シンクロ』が超強化されて充分過ぎるほどの強さになったと判断されたのか Saga3では274も含めてこのタイプの能力者は出てきていない。 (一時的に「あなたと合体したい……」カードは出て[[茗子>《皆口 茗子》]]がよくそのエサにされている) そしてそのシンクロと強力なスキルを持つworks666が出てしまったのである。 274は再生を諦められて放置されているのだろうか…… 挙げ句の果てに、テイルではクラリスに自信満々に思考も会話も出来ないコピーと間違われる体たらく。 274の側からはクラリスを一途に慕っているというのに。 アンソロで出奔したのは弱い自分ではクラリスの役に立てない事を悩み恥じて故の事であり、 AAAでも青テイルでクラリスへの一方通行の絆が描かれている。 彼女の人生に光明が訪れるのはいつのことになるだろう。 あんパン食べて無表情に感動してた頃が懐かしい(´・ω・`) もっともそのあんまりな扱いが人気の源であるという意見もある。 戦闘能力は高く強力。無表情に光弾を撃っていると思うと萌える。 フェンリルやデスる~んと組むと凶悪。 317、13など274以外のworksシリーズも存在しているが、本家では長いこと274しか出てこず、 複雑で解決時に混乱を招く能力や小説・マンガでのひどい扱い、コスプレっぷり、 そして何よりもリリアすら上回る名前のものすごい長さのおかげで274=worksと呼ぶのがすっかり定着している。 本家カードリストの名前読み欄は彼女が基準になっているくらい長かった。 さあみなさんご一緒に、 ほむんくるす・あぞーと“わーくすにいななよん”ばーじょんさん しかし現在ではそれすらも越えられてしまい涙を誘う。 以下比較。works274に幸あれ。 ホムンクルス・アゾート“works274”Ver.3 ほむんくるす・あぞーと“わーくすにいななよん”ばーじょんさん デューク・フリーズ“フリードリヒ・フォン・アイヒェンドルフ” 読書好きな魔法使いの貴族令嬢“レン・ラルファ・アーシャ” どくしょずきなまほうつかいのきぞくれいじょう“れん・らるふぁ・あーしゃ” ---- 本家ハァハァスレではスカートをたくし上げて脱ぎかけのパンツが脚に絡まっているイラストが突如投稿されて盛り上がった過去がある。 906 名前:名無しプレイヤー@手札いっぱい。 投稿日:2008/02/24(日) 01:30:39 ID:v67vw2cF0 わがままなのかもしれんが、もっと好きなキャラで戦いたいよ。 911 名前:名無しプレイヤー@手札いっぱい。 投稿日:2008/02/24(日) 02:27:31 ID:oiEyG8O+0  >>906 Works274使いたい 今度も復活しなかったかorz 913 名前:名無しプレイヤー@手札いっぱい。 投稿日:2008/02/24(日) 02:41:19 ID:v67vw2cF0  >>911 復活すらしてないのか・・ごめんな 泣 83 :NPCさん:2005/04/23(土) 09:58:30 ID:??? 欲望直結・・ホムンクルスリキッド 雇いたい・・works274(SagaⅠ) 283 :名無しさん@お腹いっぱい。:2005/05/07(土) 23:01:22 ID:svJ39dfb  >>274 急がないでいいから、体の方をお大事にしてください。 で、ホムンクルスの方の話だけど、サーガⅡのworks274って、みんなの脳内でどんなキャラになってる? ブレイク前後で見た目が違いすぎるせいか、さっぱりイメージが湧かないのです 188 :名無しさん@ピンキー:2006/07/16(日) 17:01:02 ID:??? サーガ2からついていけてない漏れ 望たんハァハァ 189 :名無しさん@ピンキー:2006/07/16(日) 20:59:12 ID:??? 案ずるな、私もだ。 works274激ラヴ。 297 :名無しさん@ピンキー:04/12/16 13:57:50 ID:??? 鈴鹿決戦時のクルスたんはworks274並のスペックだと妄想して已まない。 148 : ◆GLZLASTY8I :03/10/24 21:50 ID:??? すでに散々言われてますが、ソフィエルエロ杉 当たったのはSPだけど、こっちもエロ…… Works274はセーラー服からブレザーに変わってる…… 自分は好きですが ** 母と、娘と。 22 名前: 高砂大反転 ◆v2RA6aU/Dk 投稿日: 02/10/20 02:05 ID:??? 遅ればせながら新スレおめです。手土産にSSを持参しましたよ。 works274おつかれさま記念、そのわりにはダークか!? 満身創痍なのか!? 年齢制限はありませんが、ちょいと痛い描写があるかもです。  パラケルススの塔、最上階。塔の主であるクラリス・パラケルススの居室を、works274が訪れた。 「ただいま帰還しました、クラリス様」 「お帰りなさい、works274。早速だけど、報告を聞かせてくれる?」  直立不動でクラリスの前に立つworks274は、その表情をほんのわずかだけ曇らせ、直後に自嘲した。所詮はクラリスの“作品”にすぎない自分が何を期待しているのか――暖かなねぎらいなど、望むほうが間違っている。  もちろんそれらを口に出すことはなく、works274は報告を開始した。 「――はい。最終的に準々決勝で敗退という結果に終わりましたしたが、非常に貴重なデータを豊富に収集することが出来ました。とりわけ結城望やフェンリルといった強豪との試合は情報価値が高いものと思われます」  魂なきホムンクルスにふさわしい、淡々とした口調で報告を続ける。とはいえ、この報告には大した意味がない。詳細な戦闘記録なら、内蔵の記憶媒体から直接データをサルベージした方が早いからだ。 「また、戦闘能力で勝る出場者が常に勝利を収めるわけではないということが興味深い点です。第三者による支援行動、人間力が勝敗の鍵を握ることは通常の戦闘ではあまり考えられませんが、戦略の一形態としては考慮すべき価値があるでしょう」  あえて口頭での報告を行わせる理由は、こうした主観を含んだ報告に価値を認めているためだろう。クラリスは“作品”たちを無慈悲に使い捨てる一方で、我が子のように愛情を注ぐという矛盾を行う傾向がある。  もっともそれは、己の錬金術師としての業績に対する愛着であり、芸術家が己の手になる作品を愛でるのと同質のものなのだろうが。 「――報告は以上です。より詳細な記録に関しては、口頭ではなく記録媒体からの直接閲覧を推奨します」  締めくくり、works274は一礼した。満足げな顔のクラリスが、童女のように頬をほころばせる。 「はい、ご苦労様。それにしてもまさかあなたが私より勝ち進むなんて思わなかったわ。よく頑張ったわね、works274」 「……恐縮です」  思いがけない暖かな言葉に違和感を覚えつつ、works274は答えた。ただ……ホムンクルスとして生を受けてからの経験上、クラリスがこういう顔をする時は決まってとんでもないことを言い出す時なのだが。 「そんなわけでね、頑張ったあなたにプレゼントがあるの。気に入ってくれると嬉しいわ」  クラリスは無邪気な……無邪気すぎて気味の悪い笑みを浮かべると、机の上にある瀟洒なベルを鳴らした。澄んだ音色が響き、ほどなくしてクラリスの背後……実験室に繋がるドアが開いた。 「失礼します」  聞き覚えのある……だが疑似脳内の聴覚情報分野には登録されていない声が、ドアの向こうから聞こえる。次の瞬間、works274は自らの目を疑うという、人造生命にあるまじき非合理的な錯覚を抱いてしまった。 「……っ!」  驚愕。works274の空っぽの魂を揺さぶったのは、人間風に言うならそんな衝撃だったろう。 「紹介するわね。あなたの妹――いえ、二人目のあなたよ。works274」  クラリスの紹介を受け、自分と同じ顔の少女はぺこりと頭を下げた。 「はじめまして。――works274といいます」  その声――なるほど、聞き覚えはあっても登録されていないはずだ。一番聞き慣れた『自分の声』を他から聞くことなどあり得ない――あり得ない、はずだった。 「クラリス様――これは」 「驚いた? ふふ、もう『驚く』なんていう感情も学習してるのね。おかーさんは嬉しいわ」  くすくすと嗤いながら、クラリスが冗談めかして言う。 「あなたは本当によく学習したわ。だからぁ、このへんでシェイプアップしておこうと思うのよ」  つんつん、と自分の頭をつつくクラリス。 「あなたが学んだ情報のうち、必要なものだけをこの新しいあなたに記憶させてあるの。プリインストールってやつね。この子は全くの白紙からスタートしたあなたと違って、生まれながらにして今のあなたと同等の発達度を持つわ」  新しいオモチャを自慢げに見せびらかす子供のように、クラリスは満面の笑みで解説してみせた。 「もちろんボディの方も新型よ。でもあんまり変えると互換性がなくなるから、限られたフォーマットの内で飛躍的にぱわーあっぷ!させるの大変だったんだから」  大袈裟なジェスチャーを交えた解説を聞きながら、works274は最悪の結論を想定した。そしてそれは、いくつか考えられる中で最も可能性の高いものでもある。 「マム……!」  意味を持たないうめきが漏れる。それを聞いて、クラリスは嗤った。 「あら……久しぶりね。もう、そんな風に呼んでくれることはないと思ってたわ」  童女と慈母が同居する、きっとworks274が一番好きだった笑顔。その笑顔で、クラリスは告げた。 「私からあなたへの、最後のプレゼントよ。受け取ってちょうだい、愛しい我が娘」  その言葉が聞こえるか聞こえないかのうちに――  ――死の刃が、works274に襲いかかった。 「っ……!」  襲いかかるもうひとりの自分の攻撃を、危ういところで受け流す。互いに戦闘用に創られたホムンクルスだが、クラリスの言うとおり性能の差は歴然だった。 「あなたを処分します、姉さん……いいえ、旧き私」  まるで鏡写しのような白い髪に、真紅の瞳。そこに宿る虚ろな輝きすら、自分とそっくり同じだった。 「くっ!」  即座に身を翻し、一直線にドアへと疾走する。その背に、クラリスの脳天気な声がかかった。 「あらぁ、逃げちゃうの? せっかくのプレゼントなのに」  そう言いながらも、クラリスは楽しそうだ。そもそもこのパラケルススの塔にいる時点で、クラリスの掌の上も同じである。この部屋からworks274が逃げられないようにするなど朝飯前だろうに、クラリスはそれをしなかった。 「逃走は無意味です」  背後から、もうひとりの自分が言う。まったくその通りだとは思ったが、この肉体が選択したのはその場からの逃走だった。はたして、部屋のドアは何の抵抗もなく開く。まるで逃げろと言わんばかりに。  works274は廊下に転がり出すと、各所に設置されたテレポーターのひとつに駆け寄った。新型の自分と正面からやり合う愚は犯せない。まずは潜伏し、可能ならばトラップを張る。反撃はそれからだ。 (……なぜ?)  疑似脳内のひどく冷静な部分が、このまま新型の手にかかることを推奨してくる。所詮は創られし命、創造主の意志に従って次代に継承されるのがベストではないのか。  答えは出ぬままに、テレポーターが作動する。淡い光に包まれ、一瞬後にはworks274の姿は消失していた。  残された新型はクラリスに向き直り、問う。 「追跡しますか?」 「ええ、お願いね。あの子を消したら――あなたが、完全なworks274よ」 「了解しました」  新型はクラリスに一礼すると、悠然たる足取りでテレポーターに歩み寄る。旧型を追って消えていくその姿を見送り、クラリスはひとりほくそ笑む。館内放送のスイッチを入れ、全館に告げる。 「あーあー、テステス。本日は晴天なり……って雨だけど。いきなりで悪いんだけどぉ、西棟研究ブロックにいる子たちは総員退避。言うこと聞かないで死んじゃっても知らないからね。繰り返しまーす……」  一方的な放送を入れ、目の前に置いた水晶玉に視線を落とす。ふたりのworks274が、果たしてどんな戦いを演じるか……想像するだけでも心が躍る。 「さあ、楽しませてね……私の可愛い娘たち」  水晶玉に映る光景に熱っぽい視線を注ぎながら、クラリスは呟いた。  研究ブロックを駆け抜けながら、works274は答えの出ない自問自答を繰り返していた。 (なぜ、逃げてしまったのか)  この身はホムンクルス。ただ生まれたという理由だけで生きていられる人間とは違う。生まれながらに目的を与えられたものは、目的達成のために存在せねばならない。  そして、works274に与えられた目的とは、ホムンクルスとしての高みを目指すこと。それを継承する新たな自分にすべてを託し、このまま消去されるのが一番合理的……いや、それ以外の回答などあり得ないのに。 (なんて、無様……)  創られたばかりの自分ならば、こんな馬鹿げた行動など取りはしない。なるほど、クラリスの言葉を借りるならば“シェイプアップ”が必要になるわけだ。長く存在し、感情などというものを学び……この身は、度し難いほどに弱く、愚かになった。 「っ……接近警報……?」  背後から高速で接近する敵性体を感知する。配置したトラップをことごとく無効化し、あるいはわざと作動させながらも傷ひとつなく、新型が追ってくる。  脚部への負担を無視した加速を行い、眼前の培養室に駆け込むと、棟のセキュリティに干渉し、機械的・魔法的双方に厳重な封鎖をかける。いかな新型と言えど、これを突破するには時間がかかるはずだ。  とはいえ時間稼ぎのタネも、ここにきて品切れだった。 「ここは……そう。帰ってきてしまったのですね」  ここは培養室。ホムンクルスが生み出され、その短く報われぬ生涯の第一歩を刻む場所。選んだつもりはなかったが……皮肉なことだ。 「皮肉、だなどと。人間のようなことを」  言ったそばから今度は自嘲。ああ――本当に、この身は余計なことを学びすぎたのだ。今も背筋を凍らすこの怖れなど、その最たるものだった。  クラリスの手によって生み出され、創るも壊すも胸先三寸のこの命。失われることなどとうに承知の上だったはずのちっぽけな命が、こんな時になっていかにも惜しかった。 「お許しください、マム――それでも私は怖ろしいのです。死、というものが」 「――我々に死という概念は存在しません」 「っ……!」  背後から、扉の開く音とともに声がかかる。瞬間、works274は室内の培養槽に眠るホムンクルスたちに最大の干渉をかけた。ガラスの割れる大合唱が響き、動けるすべてのホムンクルスが新型へ殺到する。 「度重なる命令違反に続き、機材の破損と無断使用。はななだ度し難い存在ですね、あなたは」  新型のつぶやき。同時に、襲いかかったホムンクルスたちの動きが止まる。 「works274は組織戦対応型。同調攻撃は確かに強力ですが……あなたに出来ることが、私に出来ないはずがないでしょう。どちらも私なのだから」  新型の言うとおり、雑兵を何体動かしても意味はない。そして性能で上回る新型に、一対一で勝利することは不可能。万策尽きたというわけだ。 「どちらも私? ……違います。私は、あなたとは違う。同じものが同時に二つ存在することはありえません」 「たしかに相違点は認められます。私には、あなたのような無意味な感情など存在しません。ですがどちらにせよ、あなたはすぐに消去されます。意味はありません」  ――無意味。その通りだ。こんな会話に意味はない。  同じものが二つ。その矛盾を解決するには――どちらかの消滅を持ってしかない。 「ふっ……!」  両手の甲に内蔵した刃を伸ばし、白磁のごとき肌の上に光る文様が浮かび上がる。全くの無意味であることを自覚しながら、works274は悠然と立つ新型に躍りかかった。 「……あくまで抵抗しますか。旧型の私は相当に狂ってしまっているようですね」  同じように刃を伸ばし、新型が迎え撃つ。パワーもスピードも新型が上――対して自分にあるものといえば、無意味な感情とちっぽけな命への執着。まるで勝負にならない。 「消えなさい」  新型の両手が霞んだと見えた瞬間、二本の刃がworks274の全身をなますに刻む。ご丁寧にも、魔力で加熱した刃による攻撃だった。傷口から異臭と白煙を放ち、works274は割れたガラスの培養槽へ向かって放り投げられる。 「あぐぅっ!!」  傷口を同時に焼く連撃に加え、ガラスの破片が新たな傷を増やしていく。最初の交錯で、既に致命傷だった。  這ってでも立ち上がろうとするworks274を、新型が踏みつける。 「理解していますか、旧型。あなたの行為はどれひとつ取っても重大な背信行為です。その罪は、ただ消去するだけで済むものではありません」  その気になればいつでも消去できるであろうに、新型はすぐにはとどめを刺さなかった。 「これは処刑です」  力無い抵抗を試みるworks274の腕を、容赦なく刃がえぐる。傷口を同時に焼かれているため、体液の損失は最低限にとどまったが……それはこの処刑が始まったばかりだと言うことを意味する。 「意識を保ったまま原型が分からなくなるまで破壊し、失敗作のスライムの餌になってもらいます。感情などに踊らされた旧型の末路としては妥当でしょう」 「感情という言葉に……こだわるのですね」 「黙りなさい」  works274の抗弁には、速やかに返答が行われた。底冷えのする声とともに、灼熱の刃が腹腔に突き入れられ、内部組織を焼く。 「ぐぅぅっっっ!」  くぐもった悲鳴とともに、青い光弾が無差別に放たれた。そんなやぶれかぶれの攻撃が新型に通用するはずもなかったが、培養室の設備やホムンクルスたちへの被害は甚大だった。 「……なんということを」  works274を蹴り飛ばし、新型が吐き捨てる。そのさまを見て、works274は確信した。 「あなたにも、あるのですね。怒りという感情が」  蹴り飛ばされたおかげで離れられた。何とか立ち上がる。足下にぼたぼたとこぼれ落ちるのは、体液というより破壊された組織そのものだろう。失った肉片と内臓の分だけ、体が軽かった。 「黙りなさいと言っています」 「あなたは感情がないのではなく、その表現を知らないだけ。感情とて情報の一形態には違いないのだから、複数の情報を有機的・無意識的に処理する能力を持つ私たちがそれをもつことはむしろ自然です」  ひゅーひゅーと、風が鳴っていた。それは単に発声機能の損傷によるノイズだったのだが、works274は既にそんなことを認識してはいなかった。 「生まれたてのあなたのために教えておきましょう。あなたが私を旧型と侮り、処刑などと無駄な行為に時間を費やした。その感情を、慢心と呼びます」 「認めません」  新型は掌をこちらに向け、光弾を放つ。works274はそれを避けなかった――避けられなかった。  その一撃を受けて吹き飛びながら、works274は生き残った体内の魔力回路を総動員してひとつの術式を編み上げた。だがそれを有効に使うには、距離が遠すぎる。 「――」  視線をめぐらす。死屍累々と横たわるホムンクルスたちが目に入った。攻撃の余波で破壊されているものもあるが、大半は動けないだけで中枢は生きている。 「この期に及んで同調攻撃ですか? 無意味です」  その言葉に応えるような余力はない。そして、変化は現れた。新型の目前で、横たわるホムンクルスたちが次々に蒸発していく。 「エーテル分解? 自爆でもするつもりですか」  ホムンクルスの構成物質を分解し、魔力気体に変換。ここで攻撃魔法を使えば、培養室ごと木っ端微塵に吹き飛ぶことだろう。 「私を道連れに自爆したところで、クラリス様が新たな私を創るだけです。そんなことも分からないのですか」  新型が歩み寄ってくるが、works274は答えない。答えずに、堅く握った右拳を新型へと向けた。新型は自爆するつもりだと決めてかかっている。自爆するならそれでよし、そうでなければ物理攻撃で仕留めるつもりか。 (本当に愚かなのはどちらなのか……やはり、私の方でしょう)  けれど、この命を守るために自爆するのでは意味がない。それを理解できないのなら―― 「私は……死にたく、ない」  その言葉は新型に届いたろうか。そうして、新型へと向けた拳に最後の力を込めた。  ぶしゅうっ!  works274の手首が、内側から爆破したように弾け飛ぶ。体液を限界まで圧縮して放つ、いわば水圧式ロケットパンチ。半ば破壊された腕だからこそ出来た、捨て身の一撃だ。  刃を出したままの拳は、油断しきった――というよりは攻撃など受けても受けなくても変わらないといった風情の新型に突き刺さる。 「無駄だというのが……!!!?」  余裕綽々の新型の顔が、紛れもない苦悶に歪む。 「自壊術式……馬鹿な!」  右拳は即座にどろりと溶けてなくなり、溶解は突き刺さった胸板へと伝播していく。敵に捕獲された時などを考慮し、works274に設定されていた自死回路の発動だ。本来自分自身に対してしか効果のない術だが……新型は、自分と同じ肉体を持っている。  水圧式ロケットパンチの発想は、単に意表を突くだけの大道芸ではない。自壊術式を編んだ右拳は即座に切り離さなければ、溶解は自分にもおよんだろう。本来そのための術なのだから。 「溶けっ……そんな!?」  そして、自壊術式はキャンセルできない。その効果は体内で構成されるあらゆる魔力回路に優先する。完全な、自殺のための魔術―― 「助け、クラリス様……マム! 助けて……っ」  本人の意志に反した自死回路の発動という不測の事態に、冷静だったはずの新型がパニックを起こす。その言葉に、力つきたはずのworks274が反応した。 「あの方は……私のマムです。あなたなんかが、気安く呼ばないで」  立ち上がる。新型を見下ろす。そして、残った左腕さえも撃ち放つ。 「助けっ……ぐ」  悲鳴は半ばで途絶えた。自壊が発声機構にまで及ぶのと、発射された左手が顔面を破壊するのと、どちらが早かったのか……もう、わからない。 「……そう。そんなこと、だったのですね」  既に八割方が溶けてなくなった新型……その残滓の上に、works274は崩れ落ちた。自分と同じ紅い瞳が、こちらを向いたまま溶け落ちていく。  笑わせる。なにが『死にたくない』だ。  自分はただ――自分と同じ顔の少女が母の寵愛を受けるのが許せなかっただけだなんて。 「……マム。聞こえているのでしょう」  一部始終を見届けたはずの母へ、報告を開始する。 「……妹を殺しました。私が“works274”です、マム……」  それが限界。そうして、彼女の意識は闇に沈んでいく。  意識を失う刹那の一瞬……深い深い闇の底に、愛しい母の笑顔が見えた。 「あらあら。自分の生まれた場所をこんなに壊して、もう。困った娘ねえ」  戦闘の狂乱が去った培養室。音もなくその場に現れたクラリスが、倒れ伏すworks274を抱き上げる。その顔はいつものように不気味な無垢に染まっていたが、どこか誇らしげな色も窺えた。 「クラリス……! なんだ、この有様は!」  そこへ、血相を変えたステラ・ブラヴァツキが訪れた。室内の惨状に顔をしかめ、works274を腕に抱いたクラリスに詰め寄る。 「くすくす……ちょっとしたドメスティック・バイオレンスってところかしら?」  飛び散った体液や組織片に服が汚れるのも構わず、クラリスは腕の中のworks274に愛しげに頬を寄せた。 「ねえステラちゃん。あなた、家庭を持つ気はある?」 「何の話をしてる。この損害はちょっとしたどころではすまんぞ」 「もちろん、私が責任もって直すわよ。娘のしたことですものね?」  クラリスはこともなげに言い放ち、培養室をあとにする。背後でステラがなおも何か言っていたが、気にすることもあるまい。 「すぐに治してあげるわ、真っ先にあなたをね。今夜はお赤飯よ」  呼吸すらしていないworks274に、クラリスは優しくささやく。  その瞳に、まぎれもない母の表情を浮かべて。 (了) ---- 681 :名無しプレイヤー@手札いっぱい。:2005/08/21(日) 19:30:08 ID:ebGFhCY5 WORKS-274は誰も使ってないのかな? 漏れのデッキの主力にしたいんだけど、何か良い使い道とか 弱点とか教えてくれ 682 :名無しプレイヤー@手札いっぱい。:2005/08/21(日) 20:17:31 ID:Ym/WmFaK  >>681 ほら、シンクロ改正されちゃって存在価値が殆どないってのが問題点かな… ちなみにworks274は全て小文字、Works317、Works666は最初が大文字、そして274と317は数字の読みが日本語だが、666は数字そのままである。

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