あずさ3

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あずさ3 - (2007/08/22 (水) 13:47:36) の1つ前との変更点

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-[[あずさ]] -[[あずさ2]] ---- そして酔っ払ったあずささんに襲われ隊  打ち上げ、というのは芸能人にとって大事な仕事の一つ。  特に大御所がやるものだと、人脈関係上参加しておかなかければ色々まずい場合もあり、お酒が飲める二十歳のあずさの場合、必然、この慣例には従うしかなかったりする。  女性達だけでのプライベート、といった場合ではPもいちいちにうるさい事は言わないが、前述の通り大々的な場合は別。最近は交流が当たり前になってきてるとはいえ、765プロとしてはアイドルは全てかわいい娘達、それを傷物にされたらそりゃ困る訳で。無論、真剣に思い合うというのであれば、社長もサポートに回るのであろうが、ちょっとつまみ食いなどされてしまえば、彼女を親から預かる身としても申し訳がたたない。  ……とまぁ、この飲み会の参加がアイドルの仕事なれば、そのアイドルに付き添うのはプロデューサーの仕事なのである。しかし、今回の仕事は失敗だったといえよう。 「プロデューサーさぁん、階段がぐるぐるですー……♪」 「だ、大丈夫ですかあずささん? うわ、お酒臭い……」  いつもはすみっこでビールをコップ一杯、あとはアルコール控えめのチューハイでお茶、じゃなく酒を濁すあずさなのだが、この宴会が無類の酒好きの某トレンディ俳優であり、あまり日本酒は飲んだ事なくてー、という彼女に、それならこういうのはどうだね? と、一切の下心無く、一人の日本酒ファンとして、ある銘柄を勧めてきた。  吟醸酒の意外なフルーティーさ、水の如き飲み越し、かつ、山の景色が思い浮かぶような、身体の中で小波がたつような。  初めて知る日本酒の感激に、あずささんは、完全に心地よく酔った。割といける口だね、と次々とすすめ、Pもそれを横から見ている限りでは、楽しいお酒の範疇ですんでいると思っていた……のだが、ちょうど徳利が一つ空いた途端、彼女はそのまま仰向けにばたっと倒れたのである。  これにはPも焦り、その俳優も焦った。らいじょうふれすよーと言ってる調子が大丈夫ではない。調子にのりすぎてすまなかった、タクシー代は俺がもつから家に送ってくれ、とその俳優に頭を下げられながら、Pもぺこぺこ頭を下げて言うとおり習い、そして、現在である。既に社長には事の次第を連絡しておいた。後日、《心配をかけてしまったという名目で》こちらからまた謝罪をしておかなければならないだろう。縦と横の付き合いがこの世界では大切だから。 「はい、あずささん家に着きましたよ。鍵はどこに……」 「あのー、そこの植木鉢の下にー……」  ……Bランクアイドル直前なんだから、明日にもセキュリティが万全のマンションに引越しさせなければと感じた。  とにもかくにも到着。エレベーターが故障していたせいで、168センチと、女性としては長身の彼女に肩を貸し、四階までのぼってきたのでともかく疲れた。ゆったりとしたソファに彼女を座らせると、冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し、コップに注ぐ。 「ともかく水をたくさん飲んでください。気持ち悪かったら吐いた方がいいですし」 「ぜんぜんー、きもちいいままですよー」 「……明日になったら地獄だと思いますよ」  まぁ、酒酔いにとって一番やばい色、青い色になってない分まだ大丈夫かと、赤ら顔でお酒臭いお姉さんの様子を気遣った後、 「それじゃ、今日はこのへんで失礼しますね。ともかくベッドに横になって」  ぴた、っと彼女の笑顔が止まった。はて、と首をかしげるPに、 「いやですー」「わぁ!?」  抱擁は、突然である。 「プロデューサーさんが一緒に居ないと、私、眠れません……」  息はアルコールを帯びていて、正直拒否したくなるのだけれど、それより、身体に密着する胸が、胸の感触が!? 「そ、そんなわがまま言わないでくださいよ! あ、あの、それじゃ、眠るまで一緒に居ますから、それならね」 「プロデューサーさん?」 「な、なんですか?」  彼女はにこりと再び笑うと、不意、唇を自分の同じ箇所に押し付けてきた。  唐突すぎる、ファーストキスの喪失。 「!? え、あ!?」  すぐさま離れて自分の口元を押さえるP、だが、あずさは止まらない。そのままゆっくり相手にしだれかかり、身長差か、有無を言わせぬ迫力か、……あるいはP自身がそう望んだのか、上から覆われてしまう。  あずさの様子自体は普段とあまり変わってない、だが、大分積極的になってしまう。ゆっくりとネクタイを解き、胸元をはだけさせる。まるで蝶を狙う蜘蛛の構図だと、自分が気づいた時には、 「ま、待ってください、あずささ――」  もう、取り返しがつかなくなっていた。「ひ!?」  男の彼がやけに艶っぽい声を出した理由、……胸元に手を入れた彼女は、Pの乳首を軽く抓った。快感の絶頂、痛さの直前、その前で。  果たしてこれが経験ゆえの責めか、それともこれすら天然か。ともかく、年上の彼女に翻弄されているのは間違いない。 「プロデューサーさんったら、私の胸ばっかり触るんですものー」 「あ、あれは、仕事で、……うあ!?」 「私だって、プロデューサーさんのおっぱい虐めたいんです……ん」 「な、やめ、て、そんな所、舌這わさないで……」  舌先でつんととがったその部分をころがされている。青い果実のような肉体が、急速に熟成されていく。漏れる甘い吐息が彼女の髪にかかると、ますますあずさのこの酔いは、取り返しのつかない所まで加速していき、 「あ、……は、やめ、て」  苦しい快感から開放されたと思った、その目の前には、……ずっと憧れてしまっていたあずさの胸が、はだけていた。  真っ白く、巨大な二つが、衣服という戒めすらからも解かれて、その全貌が目前で明らかになっている。 「プロデューサーさん……私の胸も気持ちよくしてほしいですー……」  いたずらっぽく微笑む彼女に、Pの理性は完全に捻じ伏せられて、 「あ……まるで赤ちゃんみたいですね……うふふ……」  右の乳房へ真っ赤な顔で吸い付きながら、左の胸を撫でるように、ゆっくり、指を食い込ませていく。そうしてる間あずさも、Pの頭をあやすように撫でながら、その手を首筋、うなじ、そして、 「あ……」 「やっぱり、とても硬くなってる……」 「あ、あずささん、その、これ以上は……」 「だーめ」  再び彼女はPを仰向けに押し倒して。 「プロデューサーさんが私を大事にしてくれてるのは嬉しいんですけど、私だって、我慢できないんですよ……?」 「……あ、あの、あずささん。酔っ払っていたんですよね? なんでこんなに、意識はっきり、まさか」  罠――そう感じても、それが嘘か真か解らない侭に、彼女はPのいきりたったものを取り出すとそのまま、 「あん!」 「ッ!」  ……下着だけをずらして、スカートの中に潜む女性のもので飲み込んだ。 「あ……はぁ、お酒のせいかしら、思ったより痛くありません……。……お酒じゃなくて、幸せだからでしょうかー……」 「あ、あずささん、初めて。……ああ!?」 「一人で、何度もしたりしました、気持ちよかったけど空しくもなってー。……でも私今、プロデューサーさんと繋がってる!」  とても幸福そうな表情で、彼女は腰を強く上下に揺すり始める。はじめて女性を知ったPの男が、その柔らかく甘い刺激に、すぐ、果てそうになる。  それだけは避けなくちゃいけない――そう思っても、彼女が上で、自分が下で、 「あ、あずさ、あずささん、出ちゃう! 駄目、です、やめ」  いやらしく甘くよがるPの顔をみせられて、幸せと同化した彼女が止まるはずもなかった。 「ああ、プロデューサーさん、好きです、大好き……ああ……!」 「あ、ああ、……あああ!?」  数秒違いの、互いの絶頂。  でもどちらが後だったか前だったか、どうでもよくなって。  彼女は自分の中で相手を感じる事への例えようの無い歓喜を、彼は大切な人への激しい後悔とそれ以上の開放感を味わい、  やがて、二人してまた唇を重ねあう。その口付けは長く続いた。 「……安全日、そうですか、そうですか、全部あずささんの計画だったんですね」 「ご、ごめんなさーい。だってプロデューサーさん、こうでもしないと私とは……」 「だ、だからって、おそわなくったっていいじゃないですか! 僕のプライドずたぼろですよ!」  裸にシャツ一枚をはおり、べそをかきながらそう叫ぶ相手は、汗をかきながらもにこやかな笑顔を崩さない。  まぁ計画といってもこの日お酒を飲まされている途中で思いついただけであって、ぶっつけ本番もいい所だったみたいだけど。本番だけに。 「でもその、胸を弄られてもだえるプロデューサーさん、かわいかったですよ?」 「それ、ほめ言葉になってないですから……」  しゅん、と拗ねるかわいらしいプロデューサー、三角座りの彼に後ろから近づき、まだはだけた侭の胸を背に密着させて。 「あ、あずささん?」 「……プロデューサーさんは、私みたいな、え、えっちな、人は嫌いですか?」 「嫌い、じゃないですけど」 「その、されてしまうのは」 「……好き、ですけど。……ん」  一回目の口付けは奪うよう、二回目の口付けは互い通じるよう、三回目の口付けは、……とにかく幸せで。 「社長にばれたら、僕首ですよ」 「だったら、私のお婿さんになってくださいー♪」  それはやっぱり違うような、とか言うPはまた軽く押し倒されて。  翌日。765プロの方にわざわざ謝罪に来た俳優に、本当にありがとうございましたーと笑顔で挨拶するあずささんを見て、女の人って怖いと思うPが居たとか。  でもやっぱり、どこまでが天然で、どこまでが計算なのか、計り知れない相手なのだけど。 ---- 限界ギリギリの食生活を送り、パンの耳生活も15日目もさしかかり、 ミックスベジタブルもないけどチャーパンでも作ろうかと考えるP。 サラダ油をみるみる吸い込んでいくこまぎれのパン耳を見る事で、 愛しさとせつなさは溢れるが心強さなど少しも無く。 ある意味、やよいよりもひどい生活水準のうわさを聞いたあずささんが、 でしたら私がごはんを作りましょうかー? と言われ、 ああありがとうございますもうお米を炊くだけでもいいので、 と涙ながらにお願いするPの家に早速向かってみたら、 大家さんが部屋に入っていて、家賃がたまってるからもう出て行けと。 ……一体この赤貧っぷりはどうしでなのだろうか? と、 たくさんの荷物をバンでもってPと事務所に来たあずささんが、 社長にお給料もうちょっとあげてもーと直判断してみたら、 だってあの子給料のほとんどあずさグッズ現品支給なんだもんと、 嬉しいような、生が傍に居るのに悲しいような、複雑な気分なあずささんを見てみ隊らしい。 ----
-[[あずさ]] -[[あずさ2]] ---- そして酔っ払ったあずささんに襲われ隊  打ち上げ、というのは芸能人にとって大事な仕事の一つ。  特に大御所がやるものだと、人脈関係上参加しておかなかければ色々まずい場合もあり、お酒が飲める二十歳のあずさの場合、必然、この慣例には従うしかなかったりする。  女性達だけでのプライベート、といった場合ではPもいちいちにうるさい事は言わないが、前述の通り大々的な場合は別。最近は交流が当たり前になってきてるとはいえ、765プロとしてはアイドルは全てかわいい娘達、それを傷物にされたらそりゃ困る訳で。無論、真剣に思い合うというのであれば、社長もサポートに回るのであろうが、ちょっとつまみ食いなどされてしまえば、彼女を親から預かる身としても申し訳がたたない。  ……とまぁ、この飲み会の参加がアイドルの仕事なれば、そのアイドルに付き添うのはプロデューサーの仕事なのである。しかし、今回の仕事は失敗だったといえよう。 「プロデューサーさぁん、階段がぐるぐるですー……♪」 「だ、大丈夫ですかあずささん? うわ、お酒臭い……」  いつもはすみっこでビールをコップ一杯、あとはアルコール控えめのチューハイでお茶、じゃなく酒を濁すあずさなのだが、この宴会が無類の酒好きの某トレンディ俳優であり、あまり日本酒は飲んだ事なくてー、という彼女に、それならこういうのはどうだね? と、一切の下心無く、一人の日本酒ファンとして、ある銘柄を勧めてきた。  吟醸酒の意外なフルーティーさ、水の如き飲み越し、かつ、山の景色が思い浮かぶような、身体の中で小波がたつような。  初めて知る日本酒の感激に、あずささんは、完全に心地よく酔った。割といける口だね、と次々とすすめ、Pもそれを横から見ている限りでは、楽しいお酒の範疇ですんでいると思っていた……のだが、ちょうど徳利が一つ空いた途端、彼女はそのまま仰向けにばたっと倒れたのである。  これにはPも焦り、その俳優も焦った。らいじょうふれすよーと言ってる調子が大丈夫ではない。調子にのりすぎてすまなかった、タクシー代は俺がもつから家に送ってくれ、とその俳優に頭を下げられながら、Pもぺこぺこ頭を下げて言うとおり習い、そして、現在である。既に社長には事の次第を連絡しておいた。後日、《心配をかけてしまったという名目で》こちらからまた謝罪をしておかなければならないだろう。縦と横の付き合いがこの世界では大切だから。 「はい、あずささん家に着きましたよ。鍵はどこに……」 「あのー、そこの植木鉢の下にー……」  ……Bランクアイドル直前なんだから、明日にもセキュリティが万全のマンションに引越しさせなければと感じた。  とにもかくにも到着。エレベーターが故障していたせいで、168センチと、女性としては長身の彼女に肩を貸し、四階までのぼってきたのでともかく疲れた。ゆったりとしたソファに彼女を座らせると、冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し、コップに注ぐ。 「ともかく水をたくさん飲んでください。気持ち悪かったら吐いた方がいいですし」 「ぜんぜんー、きもちいいままですよー」 「……明日になったら地獄だと思いますよ」  まぁ、酒酔いにとって一番やばい色、青い色になってない分まだ大丈夫かと、赤ら顔でお酒臭いお姉さんの様子を気遣った後、 「それじゃ、今日はこのへんで失礼しますね。ともかくベッドに横になって」  ぴた、っと彼女の笑顔が止まった。はて、と首をかしげるPに、 「いやですー」「わぁ!?」  抱擁は、突然である。 「プロデューサーさんが一緒に居ないと、私、眠れません……」  息はアルコールを帯びていて、正直拒否したくなるのだけれど、それより、身体に密着する胸が、胸の感触が!? 「そ、そんなわがまま言わないでくださいよ! あ、あの、それじゃ、眠るまで一緒に居ますから、それならね」 「プロデューサーさん?」 「な、なんですか?」  彼女はにこりと再び笑うと、不意、唇を自分の同じ箇所に押し付けてきた。  唐突すぎる、ファーストキスの喪失。 「!? え、あ!?」  すぐさま離れて自分の口元を押さえるP、だが、あずさは止まらない。そのままゆっくり相手にしだれかかり、身長差か、有無を言わせぬ迫力か、……あるいはP自身がそう望んだのか、上から覆われてしまう。  あずさの様子自体は普段とあまり変わってない、だが、大分積極的になってしまう。ゆっくりとネクタイを解き、胸元をはだけさせる。まるで蝶を狙う蜘蛛の構図だと、自分が気づいた時には、 「ま、待ってください、あずささ――」  もう、取り返しがつかなくなっていた。「ひ!?」  男の彼がやけに艶っぽい声を出した理由、……胸元に手を入れた彼女は、Pの乳首を軽く抓った。快感の絶頂、痛さの直前、その前で。  果たしてこれが経験ゆえの責めか、それともこれすら天然か。ともかく、年上の彼女に翻弄されているのは間違いない。 「プロデューサーさんったら、私の胸ばっかり触るんですものー」 「あ、あれは、仕事で、……うあ!?」 「私だって、プロデューサーさんのおっぱい虐めたいんです……ん」 「な、やめ、て、そんな所、舌這わさないで……」  舌先でつんととがったその部分をころがされている。青い果実のような肉体が、急速に熟成されていく。漏れる甘い吐息が彼女の髪にかかると、ますますあずさのこの酔いは、取り返しのつかない所まで加速していき、 「あ、……は、やめ、て」  苦しい快感から開放されたと思った、その目の前には、……ずっと憧れてしまっていたあずさの胸が、はだけていた。  真っ白く、巨大な二つが、衣服という戒めすらからも解かれて、その全貌が目前で明らかになっている。 「プロデューサーさん……私の胸も気持ちよくしてほしいですー……」  いたずらっぽく微笑む彼女に、Pの理性は完全に捻じ伏せられて、 「あ……まるで赤ちゃんみたいですね……うふふ……」  右の乳房へ真っ赤な顔で吸い付きながら、左の胸を撫でるように、ゆっくり、指を食い込ませていく。そうしてる間あずさも、Pの頭をあやすように撫でながら、その手を首筋、うなじ、そして、 「あ……」 「やっぱり、とても硬くなってる……」 「あ、あずささん、その、これ以上は……」 「だーめ」  再び彼女はPを仰向けに押し倒して。 「プロデューサーさんが私を大事にしてくれてるのは嬉しいんですけど、私だって、我慢できないんですよ……?」 「……あ、あの、あずささん。酔っ払っていたんですよね? なんでこんなに、意識はっきり、まさか」  罠――そう感じても、それが嘘か真か解らない侭に、彼女はPのいきりたったものを取り出すとそのまま、 「あん!」 「ッ!」  ……下着だけをずらして、スカートの中に潜む女性のもので飲み込んだ。 「あ……はぁ、お酒のせいかしら、思ったより痛くありません……。……お酒じゃなくて、幸せだからでしょうかー……」 「あ、あずささん、初めて。……ああ!?」 「一人で、何度もしたりしました、気持ちよかったけど空しくもなってー。……でも私今、プロデューサーさんと繋がってる!」  とても幸福そうな表情で、彼女は腰を強く上下に揺すり始める。はじめて女性を知ったPの男が、その柔らかく甘い刺激に、すぐ、果てそうになる。  それだけは避けなくちゃいけない――そう思っても、彼女が上で、自分が下で、 「あ、あずさ、あずささん、出ちゃう! 駄目、です、やめ」  いやらしく甘くよがるPの顔をみせられて、幸せと同化した彼女が止まるはずもなかった。 「ああ、プロデューサーさん、好きです、大好き……ああ……!」 「あ、ああ、……あああ!?」  数秒違いの、互いの絶頂。  でもどちらが後だったか前だったか、どうでもよくなって。  彼女は自分の中で相手を感じる事への例えようの無い歓喜を、彼は大切な人への激しい後悔とそれ以上の開放感を味わい、  やがて、二人してまた唇を重ねあう。その口付けは長く続いた。 「……安全日、そうですか、そうですか、全部あずささんの計画だったんですね」 「ご、ごめんなさーい。だってプロデューサーさん、こうでもしないと私とは……」 「だ、だからって、おそわなくったっていいじゃないですか! 僕のプライドずたぼろですよ!」  裸にシャツ一枚をはおり、べそをかきながらそう叫ぶ相手は、汗をかきながらもにこやかな笑顔を崩さない。  まぁ計画といってもこの日お酒を飲まされている途中で思いついただけであって、ぶっつけ本番もいい所だったみたいだけど。本番だけに。 「でもその、胸を弄られてもだえるプロデューサーさん、かわいかったですよ?」 「それ、ほめ言葉になってないですから……」  しゅん、と拗ねるかわいらしいプロデューサー、三角座りの彼に後ろから近づき、まだはだけた侭の胸を背に密着させて。 「あ、あずささん?」 「……プロデューサーさんは、私みたいな、え、えっちな、人は嫌いですか?」 「嫌い、じゃないですけど」 「その、されてしまうのは」 「……好き、ですけど。……ん」  一回目の口付けは奪うよう、二回目の口付けは互い通じるよう、三回目の口付けは、……とにかく幸せで。 「社長にばれたら、僕首ですよ」 「だったら、私のお婿さんになってくださいー♪」  それはやっぱり違うような、とか言うPはまた軽く押し倒されて。  翌日。765プロの方にわざわざ謝罪に来た俳優に、本当にありがとうございましたーと笑顔で挨拶するあずささんを見て、女の人って怖いと思うPが居たとか。  でもやっぱり、どこまでが天然で、どこまでが計算なのか、計り知れない相手なのだけど。 ---- 限界ギリギリの食生活を送り、パンの耳生活も15日目もさしかかり、 ミックスベジタブルもないけどチャーパンでも作ろうかと考えるP。 サラダ油をみるみる吸い込んでいくこまぎれのパン耳を見る事で、 愛しさとせつなさは溢れるが心強さなど少しも無く。 ある意味、やよいよりもひどい生活水準のうわさを聞いたあずささんが、 でしたら私がごはんを作りましょうかー? と言われ、 ああありがとうございますもうお米を炊くだけでもいいので、 と涙ながらにお願いするPの家に早速向かってみたら、 大家さんが部屋に入っていて、家賃がたまってるからもう出て行けと。 ……一体この赤貧っぷりはどうしでなのだろうか? と、 たくさんの荷物をバンでもってPと事務所に来たあずささんが、 社長にお給料もうちょっとあげてもーと直判断してみたら、 だってあの子給料のほとんどあずさグッズ現品支給なんだもんと、 嬉しいような、生が傍に居るのに悲しいような、複雑な気分なあずささんを見てみ隊らしい。 ---- 芸能人の打ち上げは判をおしたように焼肉が多く、 サプリメントをビールで流し込む者達の中、あずささんも偶に混じり、 あまりのみ過ぎないようにさせるのがPの勤めであるが、 緊急に事務所に呼び出されてしまい、サポート無し。 まぁ私も大人なんですし、と適当に相槌をうって打ち上げに参加してたが、 お調子者のりの芸能人達からのアルコール攻撃、電話番号教えて攻撃、 ある程度はかわし続けていたが、だんだんと圧されて来てしまい、 心の中で助けてプロデューサーさぁん! と思っても来てくれるはずもなく、 とうとう観念した風に、携帯をいじりアドレスを教えようと―― ――する振りをしてヘルプメールを送り、そしたらものの五分でやってくるP。 「事務所の方針で申し訳ありませんがお断りしています!」の一言で、 ちきしょーと涙する男達をしりぞけ、焼肉店からも脱出。 そのあと、あまり食べてないあずささんに焼肉より安い焼き鳥を奢るPを見てみ隊。 ---- 完全に自分に依存しているあずささんの将来が心配になり、 思い切ってこちらから別れ話をすると、最初、何を言われたか解らない顔になり、 何かを言おうとしたり、手を伸ばそうとしたり、でも結局何もしなくて、 そんな彼女の前から、今までありがとうございましたと去っていくP。 765プロに居られなくなったPは社長のつてで別の事務所へ移るが、 そんなある日、春香がやってきて無理やりPを引っ張っていき、 拉致されるがままに着いたのはあずささんの部屋で、 そこには、あの美しさも影のように薄れた、頬が少しこけ、髪も乱れ、 ただ空ろな目を壁に向けた侭のあずささんに、思わず駆け寄るが、 瞳はPを写さずに、ただ、「……私は、何もできないんです」 と唱えて、微笑みも、泣きもしないで。そう何もしない彼女が居て。 紙のように乾いた肌、抱きしめると折れてしまいそうな身体、 完全に自分に依存していたあずささんの現在の前で、呆然とし隊は解散して、 あずささんアイドル復帰プロジェクト、部屋とプロデューサーさんと私隊を結成。 1ヵ月後、償いとして自分の人生全てをあずささんに注ごうと、 田舎の安い家を手にいれ、そのベッドに横たわる彼女に毎日微笑み続け、 手をつなぎ、話しかけ、そうやって出来うる限り彼女を大切にするが、 ある日あずささんから放たれた、同情でしょうか? という言葉に、 ……これだけ触れても、あずささんには足りないんだろうか、 ならもっとと思うけど、これ以上どうしていいか解らなくて、 そんなある日お見舞いにやってきた春香さんが、Pと二人きりの時に、 わ、私、生意気言うかもしれません……だけど、 今のあずささんを、プロデューサーさん、本当に愛してるんですか? プロデューサーさんが、……私達が好きだったのは、 ステージの上でまぶしいくらいに輝くあずささんの姿だから……。 という言葉とともに、あずささんへのファンレターを渡して去っていく。 そのどれもが彼女が戻ってくる事を望んでいて―― 「765プロへ戻りましょう、もう一度、担当にしてください」 彼女の表情が、少しだけ、輝いてみえたような気がし隊メーデーメーデー。 失われた体力と技術、そして何より、情熱。 それを取り戻すためのレッスンは生半可なものでなく、 一つずつゆっくり治療していく事よりも、Pは合えて厳しくあたり、 常に一緒に居る事も少なくして、メールでの交流も打ち切って、 それでも二人出会う時には、少しずつだけど微笑めるようになって。 彼女は多くのファンよりもたった一人の彼の為にかつて以上を目指し、 彼は彼女の為でなく何よりも自分の為にかつて以上を目指す。 その総決算であるアイドルグランプリへの出演をかけたオーデション、 あまりにも長い回り道は、それでも、三浦あずさをレベルアップさせて、 圧倒的な実力と心でのアピールは見事夢を果たす事が出来て、 おめでとうございます! と笑顔で言うプロデューサーに、はい! と答え、 もうそこで我慢が出来なくなり、今までずっと敢えて距離をおいていた彼に、 キス、してもいいですか? そう聞いた時には彼女は行動を起こしてい隊なんか長い。 「……というドラマの台本を書いてきたんですけど、どうでしょうか!」 「どうでしょうかも普通に駄目だろ春香!」 というPの言葉に、そんな、寝ずに考えたのにーと、一晩だけでこしらえた事も解り、 だいたいそもそもなんでこんな話を作ったのか、って聞いてみれば、 「え? だ、だってそれは、プロデューサーさんとあずささんの」 「……春香ちゃん、僕はプロデューサーであずささんはアイドル  どうやったってそういう関係とかになっちゃいけないの」 「すごーい、プロデューサーさんの鏡ですね! ……っていえいえ、  あのー、……お二人がうまくいかないと私が困るんですよ」 「困るって何が」「前例が出来ないと、私が私の担当するPさんと……えっと……」 ああそういう事かとやっと納得したPだがそれとこれとは話が違うので、 「お願いしますプロデューサーさん! そ、そうだ! 良かったらあずささんの写メ」 いやそんなもので買収される訳、……、……いやだめだめ! というかそれ消去! どうしたんですかー、なんでもありません! プロデューサー! 今日も平和な765プロ隊閉店。 ----

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