千早 十

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千早 十 - (2008/02/20 (水) 17:00:20) の1つ前との変更点

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-[[千早メニュー]]へ ---- 北風が吹きすさぶ寒い中、私は先に仕事を上がり、夕飯の材料を買い込み家路に就いていたら、 前を歩くPに気が付いた。声をかけようとしたら、後ろから私を追い越した一人の女性がPの行く手を遮ぎった。 「やっぱり!Pだぁ!」 「君は……!」 嬉しそうにその女性はPに抱き着いた。驚き、戸惑いながらも笑うPに私は立ち尽くしてしまった。 誰だろう…今まで仕事関係で知り合った人かしら?それにしては、かなり親しい間柄の様だ。 私はPに気付かれない様に他人を装いながら二人の後ろを着いていく。 なにやら女性は自分の事とか、今の身の回りの事とか話している。Pはうんうんと懐かしそうにそれでいて、 時折、見せる悲しそうな目でその女性の話を聞いていた。もしかしたらー…。 「いっけないっ舞台稽古があるんだった!時間に遅れちゃうっ!」 じゃあね、と女性は駆け出す。が、すぐに立ち止まって振り向き、左手の手袋を外して、 その手の薬指に光る指輪をPに見せ、敬礼して幸福いっぱいに笑った彼女の顔。 「……!!」 私はその時敬礼で応えた嬉しそうな、それでいて寂しい目で笑ったPの顔を一生忘れないだろう。 彼女の姿が夕暮れの人波に消えてもPはまだそこに立ち尽くしていた。 私は声もかけられずその背中を見続けるしか出来なかった。 やがて、首を左右にコキコキと鳴らして、ふぅっと大きな溜め息をつくと、 「帰ろうか、千早。」 と振り向いた。 「気が付いてたんですか?」 と、私は驚いた。 「まぁな。」 そして私の下げている買物袋を覗き込む。 「おっ、今夜はシチューかぁ…早く帰ろうぜ。千早の作ったシチューは旨いからな。」 そしていつもの顔で並んで歩くP。 夕暮れの風は冷たく、私はPにくっつく様に寄り添う。Pは黙って肩を抱いてくれる。お互い無言のまま…。 「さっきの人は俺が昔、駆け出しの頃、プロデュースしたんだ…。」 「…!!」 「お互い、まだ若かったなぁ…結局、ランクDで終わっちゃってさ、あっさり事務所辞めたと思ってたらさ、 あいつ……ちゃんと自分の道、見つけていたんだ…夢を追い掛けて羽ばたいてたんだよ…。」 肩を抱いた手が僅かに震えてた…。 「引退した後、連絡も取れなくなってたから気掛かりだった…でも今日、やっと…喉のつっかえが取れたよ。」 「P…。」 「すまない…こんな事話して…でも…」 「いいんです…!それよりも私に包み隠さず話してくれたのが私は嬉しいです……。」 初めて見る弱そうな、それでいてなにか安堵感に心底ほっとしているPだったが、 次の瞬間にはもう迷いを振り切って、明日を見つめる目をしているのを見て あぁ、やっぱりPは大人なんだなぁとその横顔を暫く見つめていたら、 気付いて照れたのか急にそわそわと落ち着きがなくなり、 「〜〜〜〜〜〜…。」 「P?」 と、問い掛けたその瞬間お互いの右頬を合わせるように顔をくっつけた。 吹きすさぶ寒風の中、確かに耳元にその言葉は届いた。 「何処までも一緒に羽ばたこう…!。」 その言葉は今の私にとって不安に取り乱しかけたのを救ってくれるのには充分でとても嬉しかった……が、 「いかん、こんなに頬が冷え切ってるじゃないか」 と、猫の様に頬を擦り寄せだした。 伸びかけの髭跡がくすぐったいやらむず痒い。 ちょっ……!Pっ!駄目…く、くすぐったいです……くっ…! ---- 今まで仕事をこなしてくれた千早に感謝しようと思い メッセージカードを添えたバラの花束をプレゼントしようと思い立った 早速大きな花束を買いメッセージカードを書いてみると 普段言えないような気持ちまで書いてしまい渡すのが照れくさくなってきた このまま渡さないのも気が引けるのでどうしようかと思案していると 事務所の衣装保管部屋にイベント用の熊の着ぐるみがあったことを思い出した スーツを脱ぎ、小鳥さんに手伝ってもらいながら熊の着ぐるみに着替える 千早が事務所に帰ってくるまで待っていると数分たってからやってきた 「ただいま戻りました。……どうしてこんな所に熊が?」 不自然に立っている着ぐるみをしげしげと見る千早に両手で持っていた花束を差し出す 「え? 私にこの花束をプレゼント? このカードの字からしてプロデューサーかしら」 千早は花束を受け取り、メッセージカードを無言で読み始めた しばらく読んでいると千早はクスクスと小さく笑いだした 「プロデューサー、私の事を普段そういう風に見てくれていたんですね」 「…………」 「調子に乗って書いてみたはいいものの、このカードを いざとなって渡すとなって恥ずかしくなっていうところですか? 気持ちはわからなくも無いですけど こんな青臭い文章を読まされるほうも少し恥ずかしいんですよ」 「…………!」 少し赤くなった顔をカードで半分くらい隠しながら話す千早に 熊の中にいるのが最初からバレてたのか!と気がついた 「その……出来ればこういうのは面と向かって渡して欲しいです」 回りくどい事してるから余計恥ずかしくなり、照れ隠しも何も もうどうにでもなれと千早に抱きついた 「きゃ! プ、プロデューサー、くすぐったいですよ」 ほのかに香るバラの匂いをかぎつつ、被り物のせいでよく見えないけれど 腕の中に確かに感じる千早の華奢で柔らかな感触を堪能しつつまったり観察したい今日この頃の俺 ---- 千早が主題歌を歌った新しい恋愛ドラマを千早と二人で見てみた ドラマの内容はなかなか凝った設定で展開も面白く主題歌が良くマッチしていた 「千早が主題歌歌ったドラマだけあって面白いな」 「私が歌ったこととドラマの面白さは関係ないですよ」 千早は千早でドラマの登場人物に共感を持ったようで珍しく熱心に見ている 録画しておいて正解だったと思っているとドラマのヒロインの台詞が気になった そうこうしているうちに次回を期待させる内容でドラマは終わった 「なぁ千早、女の子っていうのは『好き』と言われるのと 『愛してる』と言われるのだとどっちが嬉しいものなんだ?」 「そうですね、私の歌が好きと言われたりすると嬉しいですけど 愛していると言われたことはないのでどっちが上というのは分かりません」 自分のことではなく歌のことを引き合いにする千早に思わず苦笑してしてしまう しかし、どうも気になると止まらないので千早で確かめてみることにした 「千早、君を愛してる」 「……! な、何言っているんですかプロデューサー!」 「好きといわれてのと比べてどう?」 「そ、そんなの分かるわけないじゃないですか!?」 「そりゃ残念。じゃあ千早、君が好き、愛してるよ」 「も、もう知りません!」 慌てて耳まで真っ赤になってプリプリと可愛らしく怒る千早によそに 普段言い慣れないことはあまり言うものじゃないなぁとふと思う しかし、千早の反応が思いのほか可愛らしくて面白いので耳元で好きだよと 言ってみた時の千早の反応を楽しくほんわかと観察したい今日この頃の俺 ----
-[[千早メニュー]]へ ---- 北風が吹きすさぶ寒い中、私は先に仕事を上がり、夕飯の材料を買い込み家路に就いていたら、 前を歩くPに気が付いた。声をかけようとしたら、後ろから私を追い越した一人の女性がPの行く手を遮ぎった。 「やっぱり!Pだぁ!」 「君は……!」 嬉しそうにその女性はPに抱き着いた。驚き、戸惑いながらも笑うPに私は立ち尽くしてしまった。 誰だろう…今まで仕事関係で知り合った人かしら?それにしては、かなり親しい間柄の様だ。 私はPに気付かれない様に他人を装いながら二人の後ろを着いていく。 なにやら女性は自分の事とか、今の身の回りの事とか話している。Pはうんうんと懐かしそうにそれでいて、 時折、見せる悲しそうな目でその女性の話を聞いていた。もしかしたらー…。 「いっけないっ舞台稽古があるんだった!時間に遅れちゃうっ!」 じゃあね、と女性は駆け出す。が、すぐに立ち止まって振り向き、左手の手袋を外して、 その手の薬指に光る指輪をPに見せ、敬礼して幸福いっぱいに笑った彼女の顔。 「……!!」 私はその時敬礼で応えた嬉しそうな、それでいて寂しい目で笑ったPの顔を一生忘れないだろう。 彼女の姿が夕暮れの人波に消えてもPはまだそこに立ち尽くしていた。 私は声もかけられずその背中を見続けるしか出来なかった。 やがて、首を左右にコキコキと鳴らして、ふぅっと大きな溜め息をつくと、 「帰ろうか、千早。」 と振り向いた。 「気が付いてたんですか?」 と、私は驚いた。 「まぁな。」 そして私の下げている買物袋を覗き込む。 「おっ、今夜はシチューかぁ…早く帰ろうぜ。千早の作ったシチューは旨いからな。」 そしていつもの顔で並んで歩くP。 夕暮れの風は冷たく、私はPにくっつく様に寄り添う。Pは黙って肩を抱いてくれる。お互い無言のまま…。 「さっきの人は俺が昔、駆け出しの頃、プロデュースしたんだ…。」 「…!!」 「お互い、まだ若かったなぁ…結局、ランクDで終わっちゃってさ、あっさり事務所辞めたと思ってたらさ、 あいつ……ちゃんと自分の道、見つけていたんだ…夢を追い掛けて羽ばたいてたんだよ…。」 肩を抱いた手が僅かに震えてた…。 「引退した後、連絡も取れなくなってたから気掛かりだった…でも今日、やっと…喉のつっかえが取れたよ。」 「P…。」 「すまない…こんな事話して…でも…」 「いいんです…!それよりも私に包み隠さず話してくれたのが私は嬉しいです……。」 初めて見る弱そうな、それでいてなにか安堵感に心底ほっとしているPだったが、 次の瞬間にはもう迷いを振り切って、明日を見つめる目をしているのを見て あぁ、やっぱりPは大人なんだなぁとその横顔を暫く見つめていたら、 気付いて照れたのか急にそわそわと落ち着きがなくなり、 「〜〜〜〜〜〜…。」 「P?」 と、問い掛けたその瞬間お互いの右頬を合わせるように顔をくっつけた。 吹きすさぶ寒風の中、確かに耳元にその言葉は届いた。 「何処までも一緒に羽ばたこう…!。」 その言葉は今の私にとって不安に取り乱しかけたのを救ってくれるのには充分でとても嬉しかった……が、 「いかん、こんなに頬が冷え切ってるじゃないか」 と、猫の様に頬を擦り寄せだした。 伸びかけの髭跡がくすぐったいやらむず痒い。 ちょっ……!Pっ!駄目…く、くすぐったいです……くっ…! ---- 今まで仕事をこなしてくれた千早に感謝しようと思い メッセージカードを添えたバラの花束をプレゼントしようと思い立った 早速大きな花束を買いメッセージカードを書いてみると 普段言えないような気持ちまで書いてしまい渡すのが照れくさくなってきた このまま渡さないのも気が引けるのでどうしようかと思案していると 事務所の衣装保管部屋にイベント用の熊の着ぐるみがあったことを思い出した スーツを脱ぎ、小鳥さんに手伝ってもらいながら熊の着ぐるみに着替える 千早が事務所に帰ってくるまで待っていると数分たってからやってきた 「ただいま戻りました。……どうしてこんな所に熊が?」 不自然に立っている着ぐるみをしげしげと見る千早に両手で持っていた花束を差し出す 「え? 私にこの花束をプレゼント? このカードの字からしてプロデューサーかしら」 千早は花束を受け取り、メッセージカードを無言で読み始めた しばらく読んでいると千早はクスクスと小さく笑いだした 「プロデューサー、私の事を普段そういう風に見てくれていたんですね」 「…………」 「調子に乗って書いてみたはいいものの、このカードを いざとなって渡すとなって恥ずかしくなっていうところですか? 気持ちはわからなくも無いですけど こんな青臭い文章を読まされるほうも少し恥ずかしいんですよ」 「…………!」 少し赤くなった顔をカードで半分くらい隠しながら話す千早に 熊の中にいるのが最初からバレてたのか!と気がついた 「その……出来ればこういうのは面と向かって渡して欲しいです」 回りくどい事してるから余計恥ずかしくなり、照れ隠しも何も もうどうにでもなれと千早に抱きついた 「きゃ! プ、プロデューサー、くすぐったいですよ」 ほのかに香るバラの匂いをかぎつつ、被り物のせいでよく見えないけれど 腕の中に確かに感じる千早の華奢で柔らかな感触を堪能しつつまったり観察したい今日この頃の俺 ---- 千早が主題歌を歌った新しい恋愛ドラマを千早と二人で見てみた ドラマの内容はなかなか凝った設定で展開も面白く主題歌が良くマッチしていた 「千早が主題歌歌ったドラマだけあって面白いな」 「私が歌ったこととドラマの面白さは関係ないですよ」 千早は千早でドラマの登場人物に共感を持ったようで珍しく熱心に見ている 録画しておいて正解だったと思っているとドラマのヒロインの台詞が気になった そうこうしているうちに次回を期待させる内容でドラマは終わった 「なぁ千早、女の子っていうのは『好き』と言われるのと 『愛してる』と言われるのだとどっちが嬉しいものなんだ?」 「そうですね、私の歌が好きと言われたりすると嬉しいですけど 愛していると言われたことはないのでどっちが上というのは分かりません」 自分のことではなく歌のことを引き合いにする千早に思わず苦笑してしてしまう しかし、どうも気になると止まらないので千早で確かめてみることにした 「千早、君を愛してる」 「……! な、何言っているんですかプロデューサー!」 「好きと言われるのと比べてどう?」 「そ、そんなの分かるわけないじゃないですか!?」 「そりゃ残念。じゃあ千早、君が好き、愛してるよ」 「も、もう知りません!」 慌てて耳まで真っ赤になってプリプリと可愛らしく怒る千早によそに 普段言い慣れないことはあまり言うものじゃないなぁとふと思う しかし、千早の反応が思いのほか可愛らしくて面白いので耳元で好きだよと 言ってみた時の千早の反応を楽しくほんわかと観察したい今日この頃の俺 ----

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