-[[あずさ]] -[[あずさ2]] ---- 芸能人の打ち上げは判をおしたように焼肉が多く、 サプリメントをビールで流し込む者達の中、あずささんも偶に混じり、 あまりのみ過ぎないようにさせるのがPの勤めであるが、 緊急に事務所に呼び出されてしまい、サポート無し。 まぁ私も大人なんですし、と適当に相槌をうって打ち上げに参加してたが、 お調子者のりの芸能人達からのアルコール攻撃、電話番号教えて攻撃、 ある程度はかわし続けていたが、だんだんと圧されて来てしまい、 心の中で助けてプロデューサーさぁん! と思っても来てくれるはずもなく、 とうとう観念した風に、携帯をいじりアドレスを教えようと―― ――する振りをしてヘルプメールを送り、そしたらものの五分でやってくるP。 「事務所の方針で申し訳ありませんがお断りしています!」の一言で、 ちきしょーと涙する男達をしりぞけ、焼肉店からも脱出。 そのあと、あまり食べてないあずささんに焼肉より安い焼き鳥を奢るPを見てみ隊。 ---- 完全に自分に依存しているあずささんの将来が心配になり、 思い切ってこちらから別れ話をすると、最初、何を言われたか解らない顔になり、 何かを言おうとしたり、手を伸ばそうとしたり、でも結局何もしなくて、 そんな彼女の前から、今までありがとうございましたと去っていくP。 765プロに居られなくなったPは社長のつてで別の事務所へ移るが、 そんなある日、春香がやってきて無理やりPを引っ張っていき、 拉致されるがままに着いたのはあずささんの部屋で、 そこには、あの美しさも影のように薄れた、頬が少しこけ、髪も乱れ、 ただ空ろな目を壁に向けた侭のあずささんに、思わず駆け寄るが、 瞳はPを写さずに、ただ、「……私は、何もできないんです」 と唱えて、微笑みも、泣きもしないで。そう何もしない彼女が居て。 紙のように乾いた肌、抱きしめると折れてしまいそうな身体、 完全に自分に依存していたあずささんの現在の前で、呆然とし隊は解散して、 あずささんアイドル復帰プロジェクト、部屋とプロデューサーさんと私隊を結成。 1ヵ月後、償いとして自分の人生全てをあずささんに注ごうと、 田舎の安い家を手にいれ、そのベッドに横たわる彼女に毎日微笑み続け、 手をつなぎ、話しかけ、そうやって出来うる限り彼女を大切にするが、 ある日あずささんから放たれた、同情でしょうか? という言葉に、 ……これだけ触れても、あずささんには足りないんだろうか、 ならもっとと思うけど、これ以上どうしていいか解らなくて、 そんなある日お見舞いにやってきた春香さんが、Pと二人きりの時に、 わ、私、生意気言うかもしれません……だけど、 今のあずささんを、プロデューサーさん、本当に愛してるんですか? プロデューサーさんが、……私達が好きだったのは、 ステージの上でまぶしいくらいに輝くあずささんの姿だから……。 という言葉とともに、あずささんへのファンレターを渡して去っていく。 そのどれもが彼女が戻ってくる事を望んでいて―― 「765プロへ戻りましょう、もう一度、担当にしてください」 彼女の表情が、少しだけ、輝いてみえたような気がし隊メーデーメーデー。 失われた体力と技術、そして何より、情熱。 それを取り戻すためのレッスンは生半可なものでなく、 一つずつゆっくり治療していく事よりも、Pは合えて厳しくあたり、 常に一緒に居る事も少なくして、メールでの交流も打ち切って、 それでも二人出会う時には、少しずつだけど微笑めるようになって。 彼女は多くのファンよりもたった一人の彼の為にかつて以上を目指し、 彼は彼女の為でなく何よりも自分の為にかつて以上を目指す。 その総決算であるアイドルグランプリへの出演をかけたオーデション、 あまりにも長い回り道は、それでも、三浦あずさをレベルアップさせて、 圧倒的な実力と心でのアピールは見事夢を果たす事が出来て、 おめでとうございます! と笑顔で言うプロデューサーに、はい! と答え、 もうそこで我慢が出来なくなり、今までずっと敢えて距離をおいていた彼に、 キス、してもいいですか? そう聞いた時には彼女は行動を起こしてい隊なんか長い。 「……というドラマの台本を書いてきたんですけど、どうでしょうか!」 「どうでしょうかも普通に駄目だろ春香!」 というPの言葉に、そんな、寝ずに考えたのにーと、一晩だけでこしらえた事も解り、 だいたいそもそもなんでこんな話を作ったのか、って聞いてみれば、 「え? だ、だってそれは、プロデューサーさんとあずささんの」 「……春香ちゃん、僕はプロデューサーであずささんはアイドル どうやったってそういう関係とかになっちゃいけないの」 「すごーい、プロデューサーさんの鏡ですね! ……っていえいえ、 あのー、……お二人がうまくいかないと私が困るんですよ」 「困るって何が」「前例が出来ないと、私が私の担当するPさんと……えっと……」 ああそういう事かとやっと納得したPだがそれとこれとは話が違うので、 「お願いしますプロデューサーさん! そ、そうだ! 良かったらあずささんの写メ」 いやそんなもので買収される訳、……、……いやだめだめ! というかそれ消去! どうしたんですかー、なんでもありません! プロデューサー! 今日も平和な765プロ隊閉店。 ---- 昼食後誰もいないはずの事務所に戻るとソファーの陰で揺れているアホ毛がひとつ 「あずささん今日はオフですよ?忘れ物かなにかですか?」と声をかけると 「う〜ん、うまく隠れたと思ったんですけど〜」とどこかボケた返事 話を聞くと散歩中に迷ってしまい歩き続けていたら事務所の前だったらしい (帰巣本能のようなものだろうか)と思いはしたが言葉には出さず 「少しお茶でも飲んでいきますか?俺も少し休憩しようと思ってましたし」 と言うと快諾してくれて談笑タイム しばらくすると「疲れでしょうか〜少し眠くなってしまいました〜」と 「お昼寝もいいんじゃないですか?今日は他に誰もいませんから」 「では少しだけ〜」とほどなくしてスースーと寝息が聞こえ始める さて仕事と思ったものの、二人きりであずささんが眠っているという状況に落ち着くことができず ついついあずささんの寝顔を見つめてしまうP 誰も聞いていないのだから、と「あずささん、好きです」と言ってみると すぐ「私もプロデューサーさんが好きです〜」と笑顔で答えが返ってきて 「うふふ、うれしいです」と抱きつかれ腑に落ちないものと幸せを両方感じつつ二人の今後を話し合い隊 ---- >[おいてかないで] 「おはようございます〜」 「あ、おはようございますあずささん」 といつもの事務所での風景なのだが、あずさの心は晴れなかった。 なぜなら昨日、またいつもの方向音痴でスタジオ入りを遅らしてしまい、危うく歌番組に穴を開けるところだった。 帰りの車の中、妙に黙って怒っているのか、何かを考えてるのか静かなPが怖かった。 「あの…Pさんは…」 「Pさんならもう来ていますよ」 と小鳥さんに聞いて、まず昨日の事を謝ろうと、社長室の前に差し掛かった時、不意に 「担当プロデュースを降ろさせてください」 と、はっきり聞こえたPの声に心臓が止まりそうなくらいに驚いて思わずドアに聞き耳を立てる。 「本気なのかね」 「はい、はっきり言ってあずささんの方向音痴は筋金入りです、もうこうするしか…」 (えっ?そんな…) 「しかし彼女に話は」 「既に夕べ話しました、彼女も納得してくれてましたよ『仕方がない』と…」 (嘘っ!そんな話聞いてない、私聞いていない…) 「そうか…それなら調度よかった、僥倖と言うのかな、実は先週新しいPが入ったので彼に任せようかと思うのだよ、 君よりは若いがかなりの実力の持ち主らしい、きっと上手くやってくれるだろう」 (そんなっそんなぁぁぁ!! ) あずさは目の前が真っ暗になっていくのを感じた。 「…!なるほど、それなら安心です、これで自分もあずささんに専念できます」 「うん、三浦君にはやはり専属で付いていなければと前から思っていたのだよ」 「はい、千早には悪いですがこれで担当を外してもらえれば」 「うむ、如月君の担当を急がせよう」 「お願いします」 と、いう後半の会話を聞いてないでその後社長室から出てきたPに 「私は嫌です、おいてかないで下さい、Pさんじゃないと駄目なんです〜」 とPの手を握ったまま離さないで子供みたいに駄々をこねだして泣き出したあずささんに 「え?え?あ、あずささん?」 最初は訳が分からずオロオロして、事態を理解したらしたで収拾つくまで、あたふたするPと、 あずささんはあずささんで、専属Pになったと分かって嬉しいのと 今まで醜態晒して恥ずかしくてもう、まともに顔も見れなくてもうどおしましょ、と泣き笑いしてて、 オマイら小学生かとを想像した俺キモ改め背中がむず痒い。 ---- >[さよならの向こう脛] 「さよならです」 突然の別れの言葉にあずさはビクリと身を震わせる。 「どうして…」との言葉が喉から出ずに只、 待ってと差し延べた手を払いのけた冷たい態度に絶望感がひしひしと押し寄せた。 クルリと背を向け、上着と帽子をとるPの姿が涙で霞んで見えなくなるー…。 声にならない鳴咽を上げながらあずさはがっくりとうなだれる。 そしてー…。 「はいオッケーです…」 とPが出て行ったドアから入って来た。 「うん、あずささん今の調子ならドラマのシーン大丈夫です…あずささん?どうしたんです?」 と、演技の練習が終わっても、しくしくと泣いているあずささんに駆け寄ると、 いきなりカバッと抱き着かれて、そのまま離れないあずさ。 「あ、あずささん?」 「…やです」 「え?」 「嫌ですぅ〜」 と、どうやら感情移入のスイッチが切れなくなったみたいで、 ここまで慕われて嬉しいけど、これじゃ本番じゃ大変な事になりそうだと 頭を悩ましてるPと、頭じゃ解っているんだけど、嘘でもPと別れるシーンを演じて、 すっかり混乱中な、恋愛事にはやっぱりウブなあずささん を想像したら頭がむず痒い。 ---- 休日の朝、オフと聞いて思い切ってPの家に来たあずささん。 いくらチャイムを鳴らしても反応があらず、ふとノブをひねってみると、 鍵が開いており、思い切って入ってみれば、……予想以上に汚れた部屋で。 食器とカップラーメンの空き容器でいっぱいのキッチンと、 衣服が散乱した床をみて、うわぁと思ってしまうが、 その奥のベッドにくるまるPの姿をみつけると、それに一瞬で目を奪われ、 おそるおそる近づいて、あのー、プロデューサーさん朝ですよー? と声をかけてみても、無垢といっていいほど安らかな寝顔は反応をみせず、 頬をつついても、んぅと身をよじるだけで、なんだかそれだけで幸せだったが、 突然、Pがあずささんに寝ぼけて腕を出しそのまま抱きしめ、 ちょ、ちょっと!? と焦るが、目を閉じたままPは「あずささん……」と。 起きてる、じゃなくて、私の夢? と思うと幸せになりそのまま寄り添い眠り。 ……柔らかい感触に違和感を覚え起きるとあずささんが傍に居て汗をダラダラ流し隊おはよう。 ---- 一体これはどういう状況か解らないが、とりあえず身を離して、 と身体を離そうとしたらまるでうなぎを掴もうとする人みたく、 あずささんが自分に追いすがり、あげくのはてには自分が下、 相手が上、ああこれが幸せの重さと柔らかさ? と目をぐるぐる回し、 そんな中頬まで摺り寄せてきて、本能が暴走をする前に理性が、 「あずささん!」と思いっきり叫び、なんとか気づいてもらう。 ……一瞬自分がどういう状況か解らなかった彼女だったが、 体勢に気づくと、すぐさま身体を離しあうあうと口パクで。 状況から省みると相手じゃなく自分が襲ったって寸法で、 わ、私ってなんてはしたない事を、みたいな感じになり、 ……とりあえずなんであずささんがここに居るんですか? と聞けば、 ひゃ、ひゃい! 遊びに来ましてーと変な声を出し、 その後始終照れっぱなしで部屋の掃除でもはじめてみ隊朝ごはん。 ---- 普段の休日はどうしても寝て曜日になってしまうが、 今日は朝から起きていてもあずささんのおかげで目がぱっちりで、 自分の下着を拾おうとした相手に、自分でやります! とか、 色々見られてはまずいものがあるクローゼットを開けるのを阻止したりとか、 午前中の数時間、それだけで部屋はすっかりきれいになり、 それじゃ、ごはんでも作りましょうかー、とまで言ってくれて。 だがツードアの冷蔵庫にはビールや昨日食べたつまみの残りしかなく、 それでしたら買い物に、と。え? と。 休日、女性、しかもあずささんと買い物に行くって、 一体なんのご褒美なんだろうと思いつつ、あら、鮭がお安いですねーと、 鮭と水菜のパスタとかどうでしょうかー? と、いやなんでもいいです。 こうして家に帰り冷蔵庫に食材をいれるあずささんの横どうしようかな、 と思っていたらあずささんの写真を彼女にみつかり、あ、と固まり隊いっぱい食べよ。 ---- とりあえず写真の件はいったんおいておいて食事を作ってもらう間、 一体どういう言い訳をしたらいいんだろう、と考えてる内、 お待たせしましたー、ととても美味しそうな鮭と水菜のクリームパスタ。 パスタの茹で汁はそのまま調味してスープに使えるんですよー、と、 言っているが、そ、そうなんですかー、としか返せず。 流石あずささんが作るとだけあって非常に美味しいのだけれど、 あの、さっきの写真、と彼女が切り出してしまえば舌が働かなくなり、 いや実はあれはそのう、と口ごもると、あずささんももじもじして、 やや暫くあった間、照れた笑顔で、よろしければ一緒に写真撮影しません? 「え?」「そ、それでそれ、お互い持つのはどうでしょうー?」「え、え?」 しかも本格的な写真屋さんに撮影してもらう事にして、 商店街の裏にあるような所でとってもらい、ディスプレイに飾るのは駄目と念押しして、 即日現像。あずささんが帰った後二人並ぶ写真を眺め、疲れたけど幸せすぎ隊出勤。 ----
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