【ミリマス】高坂海美「Connect U」
執筆開始日時
2019/08/10
概要
それでも良ければどうぞ
1
部屋の明かりを消すと、室内が真っ暗に――ならなかった。開いている窓から入ってくる星と月の明かりには、慣れてしまえば歩くのには困らない程度の光量があった。
日付がかわり、それからいくらかが過ぎているくらいの時刻。親も既に寝静まっているだろう。私の家からは生活音は消えていた。学習机の上に置かれている時計の音と、わずかに吹いている風の音だけが聞こえる。周囲の住人もすっかり寝てしまっているみたいだった。
自分の部屋のはずなのに、深夜だというだけですっかり慣れない空間になっちゃっていた。昔の人が「丑三つ時」って言って怖がっていたのも、今は分かる気がする。
スマートフォンを手に取り、壁に寄りかかって座る。それから、スマートフォンの中に入っているなんちゃらカードを取り出し、機内モードにして、自分自身のケータイ番号に電話を掛けた。
ただ一つの光源が、暗い部屋の中でとっても眩しい。眠たくてしょうがない今の私の脳と目を強く刺激した。
はっきり言えば眠い。寝たほうがいいのも分かっている。それでも私は昨日ゆりりんから聞いた怪しいウワサを――「別の自分と繋がる電話」のウワサを試そうとしている。
どうしてなのかは、今の私には分からない。
もしかしたら、それを尋ねるために、私はウワサを試しているのかもしれない。
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最終更新:2020年05月25日 16:52