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闇符「ルーミア、災難に負けず」



ここの所、災難続きだ。
突然幻想郷は東京市とやらと繋がってしまうし、暇潰し兼状況把握にチルノを利用しようと思ったら、あろう事か何故か成り行きで巫女に同行してしまう結果となってしまった。
大方予想は付いている、どうせ紫の暇潰しか何かだろう。
しかし傍迷惑なものだ。
唯一、今回の件で楽しみ…と言うより不快では無いと感じるのは、人間やそれに準ずる者に間近で触れ合える事だろうか。
不思議と巫女達は妖怪の私を信用し「仲間」だと思っている様だ。
何時裏切るかもわからないような者に気を許すとはなんとも言い難い事だが、それを迎撃する事も可能だと考えているのだろうか。
確かに封印を施されている私が巫女に喧嘩を売って勝てるはずも無いのだが。

「ルーミア、ご飯よー」

巫女の声が響いた。
今はやはりチルノを利用している(されている?)ミスティアと言う夜雀を倒しに行こうと、広大な公園へと足を踏み入れている所だ。
この辺りの妖怪はあらかた倒してしまっており、とりあえず今日の寝床にするつもりだ。
どうやら夕食も出来上がったらしい。
私は料理は出来ず、専ら食べるしかしない。
そもそも、調理をすると言う概念を持つ妖怪は稀、普通はそのまま齧り付くか、丸呑みだ。

「おー、お待ちかねなのだー」

巫女の方に走って行くと、焼けた肉の匂いが徐々にして来た。
ここ最近は肉なんて食べれなかったのに珍しい、そろそろ問題の夜雀の気配も近くなって来ているので、私にもっと頑張れとでも言いたいのだろうか。
頑張れも何も、私は一応今出来る最大の事をしているのだが、どうもそれは伝わり難いらしい。
まさか、私の性格作りがバレているとでも言うのだろうか?

「そろそろミスティアも近付いて来てるみたいだからね、しっかりと精を付けて置きなさいよ」
「わかったのだー」
「そう言えばルーミア、お前闇繋がりでミスティアの弱点とか知らないのか?」

またこの魔法使いは無理難題を聞いてくる。
闇繋がりと言われても、寧ろ私は夜目があまり利かない、反対の立場とでも言える。

「知らないのだー。でも、大抵そういう妖怪は武器よりも魔法が効くはずなのだー」
「おっ、そうなのか。それなら私の出番だな」
「じゃあ私はあんまり力になれないでしょうか、今回は補助に回るべきですかね」
「妖夢も戦うと良いと思うわ。実質この中で魔法が得意なのは魔理沙だけ、ダメージソースは最低二人は居るわ」
「そうだな、私一人だと色々と大変だぜ」
「あの、私は…」
「中国は適当に補助しときなさいよ」
「そうだな」
「そ、そうですか…」

哀れ、紅美鈴。
多分私も戦闘にはあまり参加しないと思うが、回復が必要なら彼女から先に回復してやる事にしよう。
しかし、巫女の作る食事は毎回いまいち味が薄い。
意図的に薄味にしているのだろうが、精進料理、と言うものだろうか。
…ただ貧乏性が付いてるだけなのかもしれないが。
ちなみに私の基本的な食事は、血の滴る生肉なのでそのままの味で十分だ。
肉は焼くと味が落ちるし固くなる。人間は何と損をしているのだろう。
ここ数日、生肉を食べていない。
かと言って、この「東京市」の妖怪の肉は不味い。
そもそも、グロテスクな妖怪が多く、食べる気も失せる。
もっと普通の動物、豚や牛は居ないのだろうか。
鳥や鼠でもまあ、我慢出来ない事は無いのだが。
しかしこれだと、自慢の髪も痛んでしまう。
食生活の痛みは髪にも出ると言うが、実際今がそうだ。
なんとなく髪に元気が無い気がする。
前髪を軽く撫でてみると、少し毛羽立っているのがわかった。

「あら、どうしたのルーミア、髪なんかいじって」
「ううー、なんだか気持ち悪いのだー」
「そういえば、こっちに来てから髪も洗ったりしてないんだよな、すっかり忘れてたぜ」

普通、忘れるだろうか?
一応表向きの性格上、そんなに身嗜み等に気遣うのは不自然なので言い出さなかったのだが、巫女達が洗っているのをそれとなく羨ましそうに見つめるぐらいはしてたのだが。

「じゃあ、丁度ほら、あそこに池もあるし、洗いましょうか」

巫女の指差す方向には、不思議とそこそこに綺麗な池がある。
こういう場所の池と言えば「沼」と言った方が正しい場合がほとんどなのだが、これは確かに池だ。

「そうしてくれると嬉しいのだー」
「自分では洗わないのか?」

こんな単純な質問をするのは魔法使いだけだ。
いや、他3名も事情は知らないだろうが。

「ルーミアのリボンは御札で、自分では触れないのよ。
それだと髪を洗うのに不便でしょ?」
「なるほどな。髪一つ洗うのも大変だって訳だ」
「そーなのだー」

幻想郷がまともな間はリトルに洗ってもらったりしていたのだがね、今じゃリトルが何所に居るかも知れない。



「どう、ルーミア、気持ち良い?」

巫女は桶の水を私の頭に少しずつ流し、髪を揉む様に洗って来た。
いかにも割れ物を触る様な手付きだ。
しかし、初めてにしては上出来、七十点と言った所だ。
ちなみにリトルならもっと遠慮無く洗う。その時は私も遠慮無しに痛いなら痛い、力が足りないならそうとはっきり言うのだが、まさか今そう言えるはずも無い。

「気持ち良いのかー」
「良いのかーって、なんで自分の事なのに疑問系なのよ」
「そーなのかー」

しかしいつも思うのだが、これは少々、馬鹿っぽいと言うより、馬鹿その物な気がする。
案の定、巫女もこれ以上会話は成り立たないだろうと言った様子で私の髪を洗うのに専念し出した。
当面の目標としては、もう少しこの口調をどうにかして、リトル以外ともまともな会話をする事だ。

「霊夢は髪、洗わないの?」

これは流石に違和感があり過ぎただろうか、言ってから後悔する。

「あら、ルーミアが洗ってくれるの?」
「お返しなのかー」

軌道修正、成功。
ちなみにまだまだ洗い足りないので、それきり言葉は発しない。
リトルにされていても思うのだが、こんなに髪を伸ばしていると他人にやってもらうのは何となく気が引ける。
かと言って、短くするのは私的に嫌だし、リトルに見られればきっと大笑いされるだろう。
これから巫女には世話になる事になる、機会があれば少しずつ素も出して行こうか。
それが還元になってくれるだろう。本来の私を伝える事が。

「もう良いよー、じゃあ霊夢、頭下げてー」

ああ、まだ弊害があった。
身長が足りないのだ。





続く



のかー?



あとがき

東方冥異伝プレイ中に思ったこと








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最終更新:2008年09月16日 23:54