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闇符「ルーミア、もっと災難に負けず」




最近、実に災難続きだ。
例の異変は解決される階さえ見せない。
どうも、予想しているよりずっとこの異変は大きなもののようだ。

さて、私に出来る事だが、以前としてそれほど多くは無い。
どうもこの世界の空気には馴染めず、魔法を使う事も儘ならない。
何とかしたい所だが、如何しようも出来ない。
まずこの空気は幻想郷の物と大きく違い、魔力の気と言う物がまるで無い。
いや、正しく言えばそれが巧妙に隠されているのだ。
職業や種族が魔法使いの者はそれも上手く利用出来るのだろうが、私は残念ながら魔法を使うより剣で切り刻む方がずっと得意なタイプだ。
そして、それもこの小さな体では出来るはずが無い。

「世の中は上手く行かないものなのかー」
「何いっちょ前に言ってるんだよっと」

魔法使いだ。
私はとりあえず今まで生きて来た中で魔法使いを羨ましく思った事は一度も無いが、今になって初めてそう思った。

「ううー、ほっぺた抓ったら痛いのだー」
「悪い悪い、そんなに強く抓ったつもりじゃなかったんだけどな」

魔法使いは慌てて取り繕う様に私の頬を撫で出した。
本当に結構痛かったのでこれは素直に嬉しい。
この外見なら別に頬を撫でるぐらい、何らおかしくはない行動なのだろうが、どうも抵抗がある。
それは私がこの姿に慣れていない証拠だろうか。

「魔理沙はどうやって魔法を使ってるの?」
「やけに唐突な質問だな、何でまたそんな事を聞くんだ?」
「この世界じゃ魔法が上手く使えないんだ」

我ながら、口調が安定しない娘である。
どうも「のかー」「のだー」以外を使おうとすると、語尾やら何やらが迷走してしまう。

「うーん、私は特に何も意識しなくても使えるんだけどな…何と言うか、こっちの空気にも簡単に馴染めた」

これを才能と言うのだろうか。
いや、この魔法使いの場合は努力の末に勝ち得たものだろうか。
どちらにしても私には無い貴重なものだ。

「私は無理だなー。
空気に馴染むってのがよくわかんない」
「まぁ、お前は専門家じゃないから仕方ないかもな。
お前も魔法使いだったらわかるんだろうけどな」
「魔理沙ずるい」
「ずるいって言われても…まぁ、私はこれで生きているからなぁ」
「じゃあコツ教えて」
「ええ!?コツって言われても、上手く…そうだな、波長を合わせろとでも言うか…感覚的にこう、空気と同じになると言うかだな…」

それが出来れば苦労しないって事、認識出来ているのだろうか。
波長を合わせる、そう言えばそっちの専門家も居たはずだ。

「じゃあ鈴仙に聞いてみる」
「おっ、それは良いな。あいつなら私より上手く説明出来ると思うぜ」
「はーい」

私が見るにあの月の兎、私並…いや、私以上に魔法を使うのが上手く行っていない様に感じるのだが。
密接に関係しているからこそ、上手く行かなかったりもするのだろうか。

「そう言えば今鈴仙、何処に居るの?」
「あー、そういえば何処だっけか。あいつ結構早寝だからもう寝てるかもしれないな。お前より早く寝るってのもアレな気がするけどな」

あの月の兎が何百年生きているか知らないが、まず単位が一つ違うのでその表現は間違っているだろう。
その「アレ」が私が思っている内容と違うなら別だが。


実際魔法使いの言葉は正しく、今夜のキャンプ地点で会う事が出来た。
本当に寝ようとしていたらしく、既に着替えも済ませてある。
ちなみに私は着替えなんて気の利いた物は持ち合わせていない。
それだとあんまりだと魔法使いが洗濯から、乾燥まで全て魔法でやってくれたりするのだが。

「波長の合わせ方教えてー」
「ええ!?な、何を急に…」
「私、もっと魔法をこの世界でも使えるようになりたいの」
「そうは言われても…私もあんまりこの世界では魔法が使えないのよ」
「なんで?」
「この世界の波長は、幻想郷の波長とはまるで違う、だからあっちの波長に完全に慣れてしまった身ではまるで合わせるなんて行動が出来ないの。
月から幻想郷に来た時も大分苦労したんだけどね。
って、ルーミアに難しかったかな、この話」
「そんな事無いよ。
でも、魔理沙とか霊夢はちゃんとそれが出来るんだね、なんでかな」
「まぁ、巫女と魔法使いだからね。予め備わってる能力としてそういうのが得意なんだと思う。
私の能力も初めから持ってた物だけど、そもそも私は月生まれだから地上ではまた勝手が違うんだなぁ」
「それだけかな?」
「え?どういう意味?」
「あなたは霊夢と魔理沙の方から波長を合わせていると言った。しかし、本当はその逆なのかもしれない。
波長が、世界が霊夢と魔理沙を受け入れている。
そう考える事も可能と言う話よ」
「…ルーミア?」
「って、霊夢が言ってた!」
「ふふっ、そっか。
でもその霊夢の話、一理あるのかもしれない…
そもそも霊夢だけが何事も無かったかの様に神社に居て、目が覚めたらこんな事になっていたって言うし…」
「魔理沙が霊夢と直ぐに会えたって言うのも、ただの偶然じゃない気がするな」
「そうだね。うーん、まだまだ謎が多いなぁ、この異変」
「頑張って早く解決しないとね」
「うん、そうだ。
じゃあルーミア、その為にも魔法を使う練習しよっか」
「おー、名案なのかー」

ふと思ったが、彼女はもう寝るつもりだったはずだ。
かなり悪い事をしてしまったのでは無いだろうか。

一応、それとなく元気付ける事には成功したので感謝して貰いたいぐらいではあるが。

私は毎晩彼女が早くに眠る理由を知っている。


月の兎と言えども、私の様な生粋な妖怪とは違う。
精神的にもずっと弱いのだ。

それで他人の精神を操るのだから、皮肉な話だが。





続く




のかー?





あとがき

冥異伝の一場面その2
一応、ゆうかりんステージを想定して書いています

あのステージ、やたらと迷うんですよね
こまっちゃんの言葉を借りるなら、迷うとは生きる事、うどんげを書く上ではぴったりな場所だと思います


後、うどんげの口調について。
冥異伝のうどんげ、微妙に慧音っぽい口調なんですよね。「~だ」って
しかし、それはあくまで自分の中で慧音専用、専売特許なので自分のうどんげの口調で書かせてもらいました
優しいお姉さん

魔理沙はもう、魔理沙ですね
ちゃんと「ぜ」も言ってるぜ

ルーミアの心の呟きは私自身の言葉…って感じに思えるかもしれませんが、実は違います
口調が迷走している、これが自分の中の人前のルーミアです
ちょっと萌えが入ったり、可愛過ぎたりするのも迷走の一部
決して、私の趣味ではありません

ええ、きっと












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最終更新:2008年09月16日 23:56