呪詛「首吊り蓬莱人形」
魔理沙が負けた。
私の一番信頼していた魔理沙が負けた。
なんで?どうして?
私では、メディスンに敵わなかった。
でも、魔理沙ならきっと勝てると信じていた。
なんで?それなのに、どうして魔理沙は負けたの?
「どういう事なの?上海」
「シャンハーイ…(アリス…落着いて)」
「これがどうやったら落ち着けるの?
なんで、どうしてこんな!」
上海に八つ当たりをした所で、何も変わらない。
後に残るのは友人への罪悪感だけだ。
気が付くと、私は魔理沙達に戦いを挑んでいた。
それも秘蔵の人形を持ち出して、だ。
上海ほどではないが、私の創った人形の中でもかなりの完成度を誇るモノだ。
特に魔法にかなり耐性のある素材を使っている。
魔法使い泣かせの人形と言えるだろう。
そう、魔理沙への対策。
私が完全に魔理沙と決別した証。
しかし、それもやがて突破されるだろう。
相手には二刀流の使い手である妖夢、拳法の達人美鈴がいる。
鈴仙の銃撃にもそう長くは耐えられないだろう。
そうなれば、私が自らの手で魔理沙と戦う事になる。
正直、上手く出来る自信が無いのだが、でもこうなってしまった以上、手の平は返せない。
「上海、蓬莱、力になってくれる?」
「シャンハーイ(アリスが思うままに)」
「ホライ(私達はあなたの剣であり、盾)」
人形二人は異口同音、でも同意の言葉を言った。
「シャンハーイ(マスター、指示を)」
「ホライ(マスター、指示を)」
「上海、私の剣になって。妖夢や美鈴とも対等に戦える、最高の剣。
蓬莱、あなたは私の槍。魔理沙を、あの白黒を貫く至高の槍。
和蘭、あなたにも役目を持ってもらうわ。私の盾。近付く者を焼き尽くす鉄壁の盾。
京、オルレアン、西蔵、あなた達は私の銃。近寄らせる事なく、相手を吹き飛ばす音速の銃」
一気に言った為、言い終わってから軽く深呼吸をする。
何故か、全てが終わった時の様な満足感が得られた。
「シャンハーイ(まりさ達と戦うの、つらくないの?)」
「うん、すごく辛い。やっぱり私、魔理沙と戦えないかもしれない。
でも、もし棒立ちになるだけだったとしても私は魔理沙と戦わないといけないの。
だって、裏切った仲間は一戦交えた後にまた仲間になるのが、常ってやつでしょう?
それに魔理沙に一喝入れたいのも本当、発破掛けないと本気になってくれないんだから」
「シャンハーイ(わかった。アリスの気持ち、伝わったよ)」
「上海…
でも、あなたにだけ伝わっても仕様が無い。魔理沙に伝えないと。
まだ私の役目、言ってなかったわね。
私は私の意思。振り下ろす本、魔法は魔理沙への率直な思い。私は私自身の手で思いを伝える。
だから、あなた達はその為の時間を作って。
きっと、やりきってみせるから」
そう、私は魔理沙を信頼しているから。大切だから。頑張って欲しいから。傷付いて欲しくないから。力になりたいから。大好きだから。
私はこの手で思いを伝える。
そして、潔く負けてあっさりパーティに入り込んでやろう。
「アリス!手加減はしないぜ!」
「望むところよ魔理沙!
上海、妖夢を抑えて!和蘭は後ろを守って!倫敦は中国の対処!ストローと京はルーミアと霊夢の妨害!残りは鈴仙に!そして蓬莱!私に!」
「人形一人連れて、お前はどうするんだ?
私はもう、マスタースパークの詠唱を終えてるんだぜ!」
「こうするのよ!スタニングブロウ!」
本を思いっきり魔理沙に振り下ろす。
正直、魔理沙を本気で叩こうという気は湧かない。
心の迷いもあって、隙だらけの一撃だ。
しかし、本の軌道は確かに魔理沙に当たる線だ。
回避動作を取らなければ、直撃は免れない。
隙を狙い、妖夢か美鈴が妨害に来れば魔理沙は動かずして回避が出来、マスタースパークを撃つ事も可能だろう。
しかし、既に人形を回してある。今頃対処に手間取っているはず。
誰も妨害出来る者は居ない。
「うわっ!危ないな」
魔理沙は折角完了した詠唱を破棄し、自ら避けるしかない。
「さあ魔理沙!この魔法を凌ぎ切れるかしら!」
呪詛「首吊り蓬莱人形」
手に持った蓬莱人形が、闇の魔力を圧縮した光線を放つ。
魔理沙は何とか魔法の障壁を形成して防ぐが、真正面からぶつかった魔力は派手な光の飛沫を飛ばしながら、がりがりと互いを削り合う。
魔理沙と私、どちらの魔力が上を行くか。それがこの勝負を分ける。
「魔理沙!勝負よ!
これに勝ったらあなたの言う事を三つぐらい聞いてあげるわ!」
「じゃあ!一つ目はお前も私と一緒に戦う事!
二つ目は適当なグリモワールを寄越せ!
最後はそのスペルラーニングさせてもらう事!以上!」
「馬鹿!それは勝手から言いなさい!
いっぱいいっぱいなんでしょ!」
「お前の方がな!人形オタク!」
「うるさい白黒!」
「うるさいのはお前だ!七色馬鹿!」
「黙りなさい!キノコマニア!」
終わり
最終更新:2008年08月11日 18:16