「ぐっ!かっ、はっ!!」
口に含んでいた物を全て、まだ料理の残っていた皿に吐き出す。
直ぐにコップの水を口に含み、口内を綺麗に洗い流そう…とした辺りで、そのコップの中身がおよそ人間が飲むのに適さないものであると気付いた。
ついさっきまでは、綺麗に透き通っていた水が今では白く濁り、下部には茶色いものさえ沈殿しているのだ。
慌てて台所まで走り、汲み置きの水を掬って、目的を果たした。
その一部始終を、一人の少女が見ていた。
この素敵な晩餐会の料理を用意してくれた少女だ。
「ふーん、そのまま死んでくれれば良かったのに」
本気で残念そうな声が後ろから向けられた。
もう、こんな経験をするのも二回目になる。
紅魔館という屋敷で働いていたこの少女は、最初の調教相手だったルーミアと只ならぬ関係があるらしく、彼女から自由を奪ったりするのはやめてくれと言われていた。
それ故に、おおよそ性奴隷にするものとは思えない待遇をして来たのだが、料理を作ってくれると言うので、頼んでみたらこれだ。
最初は、ルーミアが発見してくれたから良かったが、今日は二人きりである。
臭いなんてものには、他の生き物ほど敏感でない人間には、僅かな香りの違いから毒を判別する事など出来もせず、毒入りの料理を口に入れてしまったという訳だ。
「これで………二回目だぞ」
「そうね。でも成功したのは初めて。単純な馬鹿で良かったわ」
この少女は、兎に角生意気な態度を見せるのである。
ルーミアも最初の頃は中々に嫌味ったらしかったが、彼女の場合はそれよりも頭に来るものがある。
「………なんでこんな事をした?」
出来るだけ声音は冷静なものに、しかし怒りは露わにしつつ。
「簡単じゃない。あんたが死ねば、私もルーミアも自由になれるの。これから他の人があんたに捕まるみたいな事も無くなるしね」
割りと、自分でもその通りだと思う。
しかし、彼女の認識には大きな誤りがあった。
「待て、もし俺が死んだら、ルーミアは悲しむと思うぞ?」
「はぁ?なんであんたが死んだらルーミアが悲しむのよ」
何処までも生意気な姿勢を見せて来る。
「俺とルーミアは恋仲だ、聞いてないか?」
およそ、調教者が言うのに相応しくない言葉だ。
まさか、調教対象に恋をされるだけでなく、こちらからもしてしまうなんて。
「はっ……そ、そんな筈無いでしょ!なんでルーミアがあんたみたいな最低な男に恋しなきゃいけないのよ!」
少女は酷く動揺している風だった。
そりゃあ、そうだろう。
二人は、もしも異性だったなら間違いなく付き合っていた関係だという。
それどころか、行く所まで行ってしまっていてもおかしくはない。
そんな風に思っていた中で、自分が「最低」だと称する男に最愛の友人を奪われたのだ。
とんでもないショックだろう。
「だからリトル、俺は君を自由にさせてあげてるし、君の魔力を封じたりもしていないだろ?……殺傷能力のあるものを除いて、だが」
さすがに攻撃魔法を使われてしまっては、勝ち目が無い。
俺は魔法なんて全く知らないし、そもそも人間だし。
だから攻勢のものだけを封じていたのだが、さっきの様な幻術を使われる危険性は拭い切れないのだった。
ならばいっそ、全てを封じてしまえば良いと思えて来るのだが。
ルーミアの話では、魔法を使う者から魔力を奪うと言うのは、自己を形成する上での礎の一つを失うのに等しいと言う。
精神が不安定になって、酷い場合はそれだけで感情の欠如や、精神崩壊に繋がるらしい。
人間に当て嵌めるのならば、四肢を失うレベルになるのだろうか。そこまで酷い事になるだなんて。
なので、この小悪魔―リトルには、多少リスキーであるがかなり自由を与えている。その所為で、生意気さに手を焼くのだが。
「自由って言っても、このただっ広いだけが取り得の屋敷から出してもらえないんじゃ、大した自由じゃないわよ。あーあ、あんたがさっさと寿命迎えてくれたら良いのに」
「残念ながらまだまだ生きるがな。――ああ、それと」
「何よ、死んでくれないあんたに興味は無いわ」
なんとまあ、無茶苦茶な言葉だ。
しかし、それ程に俺は憎まれているのだ。
「まだ、お仕置きがまだだったよな」
唇を歪ませ、歯を露出させる。
間違いなく、嫌な笑みだ。
「お仕置き?何の話よ」
一方、リトルは純粋に疑問を持っている様だ。
何故そんな話になるのか、頭の中で繋がらないらしい。
「仏の顔は三度までって言うが、俺にとってそれは少し気が長過ぎる。俺に二度目は既に無いんだ。だからリトル、君には毒を盛った罰を受けてもらう」
まるで偉い科学者が理論を並べて、学説を証明する様に壮大に言うが、内容は滅茶苦茶だ。
「だから、なんでそうなるのよ。良いじゃない、あんたは残念ながら生きているんだし。未遂なら良いでしょ、未遂なら」
「成功してたら、罰を与えようにも与えられないがな。兎に角、君は今の立場から見なかったとしても、人を殺めようとしたんだ。これを裁くのは当然の事じゃないか?」
「妖怪は人間を襲うのが普通。その方法が多少横道逸れたって普通よ」
「君は、今までに人肉を食べた事があるのか?」
「っ………た、食べてみようと思ったのよ」
「じゃあ残念だな。代わりに俺が君を食べてあげよう。勿論、こっちの意味だけどな」
言い終わるとほぼ同時に、リトルの上着のボタンを外して行く。
リトルは引き離そうと腕を掴んで来たが、元々か弱い少女な上に、今はこの屋敷の結界である程度、腕力が抑制されている。全く障害にはならない。
間も無くして、ブラウスまではだけ、ブラジャーに隠された大きな胸が露出した。
「くっ………毒で死んでくれたら良かったのに………」
リトルは軽蔑の眼差しを向けながら、吐き捨てる様に言った。
「勘違いはするなよ。今回のはあくまで、君のお仕置きであり、それはつまり教育だ。別にこんな昼間っから調教をしようとは思っていない」
また、口を歪ませる。にやり。
「言葉で言って聞かない子には、体で覚えさせる。教育の基本だよな?」
子供、特に人間の。
悪魔の、もう子供と言うよりは少女であり、体だけを見るならば十分女性として見れる相手にする事では無いだろうが。
「なっ、何をする気っ!?」
リトルは思わず一歩引こうとしたが、背中に手を回してそれを阻害する。
自然と俺とリトルの距離は近くなる。
俺は態と、姿勢を低くしていたので丁度、リトルの巨乳に顔が埋もれる形になった。
その柔らかさを堪能した後、おもむろに顔を上げ、リトルの唇を無理矢理奪い、その口内を犯しまくった。
終始、リトルは顔を真っ赤にしている。
とことん、こういう事には免疫が無い娘だ。
「さて、優しくするのもこれぐらいだ。これからは心を鬼して行くからな」
最終更新:2009年02月18日 00:47