火車切広光
さぁ、燃えろ。
折角五百年の眠りから覚めたんだ。
五百人燃やすまで、人に従ってやる気は無いね。
☆
「ああ、フルーレ?ごめんごめん、伝言とか頼むの面倒だったし、勝手に出て来ちゃって。うん、そう、今はエルサレムに居る。いやぁ、都会だねぇ。誰も地面を歩いていないよ。そんで、目的は勿論、わかってるよね?」
『広光?あんなのが今もあるとは限らないけど……いや、イスラエルの人間から見れば刀なんてただの時代遅れ。ひょっとしたら、今も沈んでるかもね。シロアム池に』
「そう、それを狙って態々ここまで来たんだよ。んじゃ、軽く池を蒸発させるけど、良いよね?」
『今時観光名所にもならないでしょ、ただの池なんて。地元民から見れば「ああ、そないですか」程度。国際問題には成りそうにも無いね。最悪、後からあたしが村雨で水を溜めるから、問題無いよ』
「あーあ、あんたは何十本と妖刀の類を持ってるんだよなぁ。羨ましいと言うか、妬ましいと言うか」
『妖刀は持ち主を選ぶのよ。あんたの場合、火の刀ぐらいにしか選ばれないだろうから、仕方が無い事だね』
「ま、良いよ。絶対手に入れてやるから」
『そうそう、その意気。かなーり本気にならないと彼奴等を従わせる事は出来ないよ』
「その為の馬頭だよ。あいつの刀を信じて、精々切り結ばせてもらおうとしましょう。謙信公愛用の妖刀、火車切広光と」
「とまあ、そんな上手く行かんわな」
シロアム池に辿り着いたあたしは、そのまま馬頭を呼んで池の水を全て蒸発させた。
そしてインガに探してもらった訳、だが…………
「そんな遥か昔に失われた物が、今も残り続けている訳が無いわ。事実、この湖底からは鉄の匂い一つしない」
火車切広光なんてこの池には無かった。
「はぁ……んじゃ、せめて鉄以外のお金になりそうなもんはない?一儲けしないと、こんなとこまで来たあたしが馬鹿みたいだ……」
「実際に馬鹿なんじゃ……」
「はい、シャラーップ」
最終更新:2009年09月23日 18:25