「もう、そこは空気を読んで欲しかったのに……」
直ぐに走って追いついた玲霧は、すっかりいつもの玲霧だった。
いつも通りである事が辛い程に。
「俺なりに空気を読んだ結果だ。鈍感で悪かったな」
言って、金髪頭をぐりぐり撫でる。
玲霧は終始目を細め、しかし嫌がる素振りは見せなかった。
それどころか、幸せそうで……解放してやると、笑顔が見えた。
空元気なのは明確だ。
もしこんな状況下にあって、心から笑顔を作れる人間が居たら俺は軽蔑する以前に、尊敬してしまうだろう。
全てが、玲霧に関するあらゆる情報がこれより与えられる。
そして、間違いなくそれは知って嬉しい情報じゃない。
かと言って、玲霧はそれから逃げる事を望んでいない。
責任も感じているのだろう。
自分の所為で、皆は。団の掛け替えの無い仲間であり、友人であり、家族が傷付けられた。
普段は明るい癖に、自分に非がある事に関しては見ていてこっちが心配になる程に責任を感じてしまうのが玲霧だ。
全てを知った上で……
全てを知った上、で。
「ロミオ、行こう」
俺は、思わずはっとしてしまった。
まるで、玲霧に心を覗かれていたかの様なタイミング。
以心伝心なんて、あるものなのだろうか。
だったら、玲霧とその関係であるのは悪くない。
だが、今だけはその接続を切ってしまいたい。
そうしないと、とてもこれから起こる出来事にお互い、耐え切れないと感じた。
「ああ」
我ながら、素っ気無い返事だ。
普段はよく喋る癖に、細かい口の利き方は無口な奴っぽいから、これまでモテなかったのだろうか。
皆、俺の性格とかは認めてくれているみたいだが、踏み込んだ関係には絶対になりたがらない。
今度からは愛想良くするなら、とことん良くしてやろうか。
それはそれで、気持ち悪がられるか。
ただ、静かに。しかし、自信を持って一歩一歩と歩を進めると、間も無くして扉があった。
何でも無い、普通の鉄製の引き戸だ。
よく、RPGなんかでラスボスが潜んでいる部屋にありそうな、やたら装飾が付いていたり、頑丈そうな二枚扉だったりする訳ではない。
有り触れた、ただの扉。
しかし……だからこそか、この扉の置くに居る人物の悪意が伝わって来る気がする。
いや、これは悪意ではないかもしれない。
純粋な気持ちだ。
純粋な、淀みない悪意。
それが悪意なのかさえ、自分では気付いていない様な……
そうか、独裁者だ。
自分以上に優れた人間は居ない、だから全員ひれ伏すべきだ、そんな風に考えているんだ。
ある意味で哀れですらある。
そんな人間が、玲霧を創ったのか。
「……開けるよ」
玲霧は静かに、それでも声音だけはいつもの玲霧で聞いて来た。
そういえば、いつものお茶らけた間違った敬語はもう使われていない。
つまりは、そういう事だ。
もう、冗談をかましている状況じゃない。
「ああ」
またこんな返事。
懲りないな、俺も。
玲霧が左手でドアノブに手を掛け、右手の拳銃を構えつつも一気に引く。扉は、極自然に開いた。
そして、その奥の部屋が、直ぐに目に飛び込んできた。
本来は会議室か、名のある者の部屋として機能していたのだろう。
ちょっとしたソファ数脚と、やや長めの机が鎮座されている。
そして、それら障害物全ての奥に、そいつは居た。
年の頃は、はっきりとはわからない。
若々しそうでもあるし、壮年にも見えた。
それは、そいつの顔があまりにもすっきりとしていて、だけど眉間の皺だけは深く、彫像の様に刻まれていたからだろう。
背は、百七十センチを少し越すぐらいだろうか。インディと同じぐらいの身長。
その情報からして、こいつがインディに化けていた事実が現実味を帯びて来る。
体格は、決して良い方ではない。細身と言うのが正しいだろう。
服装は会社員が着る様な黒いスーツ。ボタンは止めていない辺りが何処と無くマフィアを彷彿とさせる。
「入ってきたまえ」
男が、はっきりと玲霧の方を向き、手招きした。
声は、俺よりも高い。
それだけなら、二十代も前半の青年に聞こえる。
口調だけはやけに仰々しいが、声音は案外軽い。
玲霧は、油断なく部屋を確認し、銃を下ろさず室内に足を踏み入れた。俺もそれに続く。
「まずはお久し振り。我が娘よ」
不快感。
玲霧はその言葉にあからさまに顔を顰めたが、俺まで同じ様な表情をしそうになる。
その言葉の内容自体に、間違いは無いだろう。
確かに、玲霧はこの男に創られたに違いない。
それは事実だが、こいつが玲霧の父親面をしている事には耐えられない。
同じく、玲霧もこいつが自分の父親の様に振舞う事に対し、不快を、怒りを感じているに違いない。
心にも無い事だ。それが明確に理解できる。
「あなたから私に言う事は、それだけ?」
感情や様子とは違い、玲霧の声は落ち着き払っていた。
それは、さっき初めて俺の本名を読んだ時と同じ、トーンの低い声だ。
「何だ。そんなに私に言う事が積もり積もっているのか。ふっ、まずは彼氏の紹介か?それとも、もう結婚か?ははっ、娘はやらんぞ、若造よ」
何だこいつは。
一々、言う事一つ一つが鼻に付く。
生理的嫌悪感が先立つ。
こいつの声など、もう聞きたくない。
しかし、こいつの口からしか俺達の必要としている情報は語られない。
「ええ、溜まっている。だから、私の質問に答えて。まず、あなたは誰」
淡々とした声音で告げられる、端的な質問。
玲霧が、五歳は大人びて感じられる。
「父の名を忘れたか、どうしようもない娘だな。だが、私に名前は無いよ。何故なら、私以外の存在には等しく価値が無いのだから。そんな者の名は知る必要が無い、同時に、私も取るに足らぬ者に語る名は持たない。ある意味フェアーだろう?」
口を開く度に、喉笛を切り裂きたくなる男だ。
どこをどう道を踏み外せば、こんな思想に行き着けるのか。
ある意味で、それに興味さえあった。
「そう…………じゃあ主人(マスター)と呼ばせてもらう。主人、あなたは私の全てを知っている。全てを教えて」
皮肉とはわかっているが、玲霧がこの男を謙った様な呼称で呼ぶのが、悔しかった。
もう十分に、危険な、救いようの無い人物だとわかったのに、そんな言葉、勿体無いのに……と、次々と否定の感情が溢れ出して来る。
「何だ。もっと親子の会話を楽しもうじゃないか……まぁ良い。そうだな、お前の全てを語ってやろう。…………ふん、そういえばお前にも名前は無かったな。卑しい人間なんて、悉皆名前を付け合うものだからお前にも名前は与えておくべきか……」
「私は玲霧」
即答。
玲霧の言葉と瞳に、迷いは無い。
玲霧は、自分の、俺に付けられたその名を、何の迷いもなく言ってみせた。
何故だか、目頭が熱くなって来そうになる。
「その男に付けられた名か。やはり、屑は意味の無い事を…………」
「私にとって、この名前は大切な意味を持っている。簡単に否定しないで」
玲霧は、やはり毅然として返す。
ここまで話を聞いていて、俺は何となく今の声が、玲霧の地声であると感じた。
いつもの高い声は、全て演技……結局、玲霧は俺にも本当の顔は見せていなかったのか。
それが、創造主の前では、強い敵意と共に曝け出されている……皮肉な話であると思うと同時に、どこか嫉妬さえ感じた。
「ふっ、そうか。やはりお前はそうなんだな。ならば、呼んでやろう。玲霧よ。私の創った完璧な手駒の欠陥品よ。
今からその、生い立ちから記憶を失うまでの事を言ってやる。そして、その後は消してやろう。
もし、私に泣いて縋る様な事があればその存在だけは残してやろうと思ったものを、やはり馬鹿な出来損ないだ。
消せてしまうと思うと、実に清々しい気分になるよ。ああ、早く語り終えて消してしまいたいなぁ。ああ、消したい。
今直ぐにでも存在を抹消してやりたい!」
狂っている。
人としてではなく、生き物として。生命として。
今まで以上に強い嫌悪感が湧き出して来た。
ああ、語り終えてみろ。
その時に、俺は今まで溜めて来た感情を一気に爆発させてやろう。
それはきっと、玲霧も同じだ。
超能力者か何か知らないが、実のところ、何処まで戦えるんだ?
変装なんてみみっちい事をしたり、フランさんだけは敵に回そうとしない辺り、彼女には敵わないと踏んでいるのか。
ならば、俺と玲霧の二人を同時に相手にしたらどうなんだ?
案外、苦戦するんじゃないのか?
「結論から言ってやろう。玲霧、お前は私が私の為だけに創った人型の道具だ。私は、道具というものに飽き飽きしていた。
だから、意思を持ち、自律する人間を使おうと考えた。
パソコンにはバグがあるし、携帯電話なんて圏外や、充電切れであればまるで役立たない。武器も同じだ。銃器にも故障はあるし、ナイフなんて刃毀れしたり、一度斬って皮脂でも付いたらもう斬れない。
私は完璧な道具を求めた。つまりそれは、道具を使う道具だ。私自身が武器を握る必要は無い。道具に武器を握らせれば良い。だから私は、自分の能力を最大限に使った。
私は単純な超能力だけを持つのではない。『魂』を操る事も可能だ。魂とは、俗に言う幽霊や亡霊じゃない。もっと純粋な、死んだ人間から抜け出したモノ、そのもの。私はそれを集めた。
ただ量を集めるんじゃない、勉学に秀でた者の魂。徒手格闘術に秀でた者の魂。様々な武道の達人の魂。銃器の扱いを称えられた者の魂。優秀な魂を集め、それを一つに纏め上げた。
だが、いくら優秀な人間でも魂は劣化する。若い魂を手にしなければならない。
だから私は、一年に一人ずつそういう人間を秘密裏に殺し、魂を手に入れた。丁度、殺した人数は十六人。掛かった年数も十六年だ。どういう事かわかるか?
私は十六の魂を十六年で集め、それで人型を作り出した。ちゃんと実体を持たせて、な。
それが玲霧、お前だ。今尚記憶しているんじゃないか?自分の年齢は十六歳である、と。
そうだ、お前は確かに十六歳だ。お前は十六年目にやっと完成した、私の手駒だ。
私は無論、お前の完成を喜んだ。自分の力を賞賛したのもあったし、単純に一つの作品を作り上げた事に対しての満足感もあった。私は嬉しくなり、すぐにお前を使った。
手始めに、チンケなマフィアのファミリーを皆殺しにさせた。そしたら、命令して直ぐにお前はそれを成し遂げた。半日も掛からなかっただろう。
お前には、明晰な頭脳と、天才的な身体能力。射撃の腕に、驚異的な第六感も『搭載』されていたからだ。
私は、直ぐに自分の仕事に更なる満足をし、お前を使い続けた。
初めのお前は、意思を持っていながら、私に絶対服従をした。『すりこみ』とでも言うのか。下等な動物が初めに見たものを親と思うように、お前は私は主人であると認識していたからだ。
しかし、ある時それは終わった。お前は、賢くなり過ぎた。初めは、ただ切れるだけの頭が、余計な感情を知り過ぎてしまった。人間を殺す内に、自然と覚えてしまったのだろう。
そうして、お前は私に何と言った!?
私は覚えている。こう言ったのだ『主人(マスター)、これ以上無意味な殺生を続けるつもりですか』と!
お前は私に創られて初めて、私に意見した。私に歯向かった。私を同程度の存在として扱ったのだ!
私が居なければ、私が魂を集めなければ、そこに存在すらしていなかったモノが、創造主に歯向かった!!
そうして、気付いた。お前は、私に『合わなかった』と。
道具ならば、何でもそういう事はある。握りにくい鋏があるだろう。持ちにくいシャープペンはあるだろう。扱いづらい電子機器があるだろう!
お前は、私にとってのそれだったのだ玲霧!私は、お前を女として作った事にはちゃんとした思惑があった。
お前はきっと、私を愛するだろうと。道具なんぞに私も好かれたくはなかったが、『愛の力』なんて糞みたいなものは、命を賭したとしても相手を守りたい、そう考えさせるらしいからなぁ!
だから、私はお前に私を好かせようとした!
だが、お前は好くどころか、意見した!否定した!
はは、はははははは。全く馬鹿な話もあったものだ。なぁ玲霧よ!!
結果、私はお前を殺そうとした。いや、壊そうとした。だが、それでは晴らされないものがあると感じた。
だから私は、お前に『教育』なるものを施してやろうとした。
中々に面白かったぞ?道具を、道具を使って痛め付ける娯楽はな!
初めは鞭を使ってやったが、それでは面白みが無かった。
そこで、私は新たなる娯楽を考えた。
日本では『針の筵』なんて言葉があるだろう?他にも、『針を千本飲ます』とも言う、『茨の道』とも言うそうじゃないか。
だから私は、そんな言い回しを全て現実にした。
針を大量に突き立てた筵に一時間も二時間も座らせ、実際に針を千本、嫌がる口に無理矢理突っ込み、飲み込ませた。
胃はおろか、内臓が酷い状態になったんじゃあないか?
お前は死ぬ事が無いからな、何でも出来た。
正確には死なないんじゃない、死んでも、創れ直せた。
お前は、魂を纏め上げた、継ぎ接ぎだと言っただろう?だから、お前は死んでも、元の十六の魂に戻るだけだ。
それで再び、お前を創れば良い。
私は二回目以降、それに馴れたのか、記憶は引き継がれていた。
お前は、酷い拷問を受け、そのまま死ぬ度に創り直され、しかし記憶は引き継いで……十回作り直した辺りで、いよいよ学習した様だな。
泣いて額を床に擦り付け、必死に許しを請うた。
そろそろ私の心も晴れて来た頃だったから、お前をまた、使う事にした。
思えば、それが間違いだった。それは、お前を解放するという意味でもあったからな!玲霧!!
後は何となく、想像が付くだろう?お前は、仕事に向かったヴェネツィアで……前々から気に入らなかった、あの街の支部を壊滅させようと思ったのだ。しかし、お前は、お前はあろう事か入水自殺を試みた。私が知らぬ内に、自ら運河に飛び込んで!
それ以降は、お前の知る物語だ。どこまでも陳腐な、取るに足らないおままごとだ。
大方、度重なる苦痛と恐怖で、お前の心は限界を迎えていたのだろう。
あれだけの人間の魂を束ね上げておいて、そんな事が起こり得ったという事は、少し遊び過ぎたのか?
どうでも良い。お前の心は入水の時、一度壊れたのだろう。
そして、再び全く新しい心が作り上げられた。それは自分自身の手で。
つまり、お前は記憶喪失などではなく、一度あの時点で人生を終えていたに等しい。
そうして、言葉通りの第二の人生を始めていた。
良いじゃないか?優しい優しい、お友達が出来たのだから。
お前は、道具として生まれたのに、そいつ等には人間としての扱いを受けたのだろう?
私も、それは祝福してやろう。
何しろ、私の道具である名前も無い『お前』はもう消えて無くなったのだからな。
お前は今、人間としての『玲霧』だ。
ああ、良かったじゃあないか。結構結構。パチパチパチ」
終わった。
ひたすらに長い男の話は、終わった。
疑問はもう、無い。
俺も、そして玲霧自身も、心に受けた衝撃は大きいが、疑問が晴れたという点では、晴れ晴れともしていただろう。
だが、それによりはっきりと思った。
この男は、とても野放しにしておけない、と。
もう、駄目だ。
この男には、哀れや怒りの感情なんて、とても湧いて来ない。
呆れた、呆けた。
もう駄目だ。救われない。
救いようが無い。
いくらキリストの神が恩寵を与えるからと言っても、流石にこいつだけは見放すだろう。
気付けば俺は、薔薇十字の銃口を男に向けていた。
一刻も早く、殺さなければならないとばかりに。
しかし、それよりも早かったのは玲霧だった。
初めから銃を手にしていた玲霧は、一瞬にしてそれを男に向け、引き金を引く……指が、『無かった』。
間も無くして、人差し指だけではなく、中指、薬指、小指、親指、全て消えて行く。
掌ももう無い。手首まで、全てが無い。
やがて、肘までが消え、玲霧の右腕は『無くなった』。
床に、黒いワルサーが落ち、耳障りな音を立てて転がる。
俺も、玲霧も、状況が飲み込めずに呆然としていた。
玲霧が痛がる素振りを見せないところから、痛みは無いのだろう。
一瞬にしてピアノ線に切られて、どこかに運搬されたとか、そういうのではない。
もっと大きな『意思』によって『消された』。
「何を驚いている?私はちゃんと言っただろう。お前を作り直した、と。つまり、お前を分解する事も容易に可能だ。本当は一思いに消してやる事も出来たのだがな、それだと芸が無い。少しずつ、少しずつ消してやろう。お前を拷問していた時の様にな」
男の声は、呪詛の様にも聞こえた。
途端に俺は、強い絶望を感じてしまった。
手出しが出来ない。
俺が下手に動いたら、それこそ奴は玲霧を完全に『消し去る』。
かと言って、これから黙っていても奴はきっと、玲霧を消す。
想像以上だった。
前にフランさんは、錬金術で人間を作る事も出来る、と言っていた。
だから、俺は何となくそのイメージを持っていた。
しかし、実際は。実際の玲霧はそれとは大きく異なっていた。
ここまで、創造主の意のままになる存在だったなんて。
まるで四六時中心臓を摑まれている様な状態だ。
それか、体に巻き付けられた時限爆弾のスイッチを握られている状態だ。
奴がその気になれば、何時でも玲霧は『存在を消される』。殺されるんじゃない、消されてしまう。
どうする、どうすれば俺は玲霧を助けられる。
どうすれば、奴を、この理不尽な主従関係を作った張本人を止められる。
不意打ち、それじゃ駄目だ。道連れの様に玲霧を消して来るだろう。
そもそも、隙のある様に見えて、かなりの警戒をしている男だ。そんなチャンス、まず来ない。
正攻法は有り得ない。俺が攻撃の姿勢を見せた瞬間に終わりだ。
どうする?何が出来る?俺は、何の為に此処に居るんだ?
フランさんは、あんな性格だが『運命』というやつを信じていた。
自分が今の団員達に会えたのも運命、必然だと。
俺が玲霧と会えたのも、必然に他ならない、と。
なら、俺が今この場に居合わせたのも必然、運命神だか何だか知らないが、そいつの書いたシナリオ通りという事か?
と言う事は、俺は何らかのアクションを起こせるのか?
まさか、神の奴だって唇を噛み締めて、ただ唸っているだけの登場人物を用意する筈が無い。
俺は、何かが出来る筈だ。
運命に台本は無いから、俺にその答えは与えられていない。
だが、監督は俺の名アドリブを期待してこの役を与えたのか?
一つに答えを絞る事で、物語の多様性が失われる事を危惧したのか?
ならば、今出来る事は一つだ。
必死に考える。俺のすべき、最善の行動を我武者羅に模索する。
時間はもう、あまり無い。
しかし、玲霧はまだ玲霧のままで居る。
右腕は失ってしまっているが、まだ十六……単純計算で今ので二、三個の魂は失われてしまったが、まだ残りの魂達は玲霧という一個の人間を形成出来ている。
それが、好ましい出来事だとは思わない。
本来、まだまだ未来を生きる筈だった人間の魂が、無理矢理一纏めにされている。
客観的に見れば悪に違いないだろう。
ならばいっそ、完全に消え去ってしまった方が、魂も解放され、死んだ人間達も成仏出来る。
謂わば、玲霧の呪縛とそれを成す魂の呪縛は、天秤に掛けられている。
そして、間違いなく全世界民の多数の意見は、後者の皿を重くするだろう。
十六と、良くわからない、一に充たると言えるかすらわからない魂。
差は歴然だ。
でも、いや、だからこそ。
俺はその中で一つの主張をしたい。
「誰に罪があるんだ」
突然声を上げた俺に、二人の視線が集まる。
玲霧は何処か、安心……もっと単純な、安らぎさえ感じている様だった。
男は、とりあえず見向きはしたが、大した感慨も無い様だった。
未だ、起爆スイッチに指を乗せている。
下手な事をすれば、直ぐにそれは押し込まれる事だろう。
「なあ、あんた。好い加減止めにしないか?一々する事が悪趣味なんだよ。こんな女のガキを甚振った過去を持ちつつ、今、また弄ぼうって言うのか?悪趣味過ぎて涙さえ出て来る。だから、あんたが止めないなら、俺が止めさせてやる。玲霧、今助けてやるからな」
男が、起爆スイッチに乗せる手に僅かずつ、力を込めるのがわかる。
すまん玲霧、ちょっと指先でも消えたらごめんな。
「何だと?」
もう、男も取り繕わなかった。
演技の必要がないと判断したのだろう。
怒りを、不快をそのまま叩きつけて来る。
「こういう事だ」
俺は瞬間、一度は下ろした銃を右……玲霧の立つ方向に向け、一気に引き金を引く。
一度の銃声。俺の薔薇十字に、三点バースト改造はされていない。
一発だけの弾丸が、黒い脅威が玲霧の体に吸い込まれる。
ほとんど、俺は狙いを付けていなかった。
玲霧は、胸部から噴水の様に血を噴き出させてその場に倒れる。
赤い、鮮烈な赤の動脈血だ。
そして直後、男は色失ってほとんど呟く様に言った。
俺がまるで信じられない、と思いつつ。
「お前……気が、狂ったのか?いや、下種な人間らしい思想か……私に消されるぐらいなら、自分が殺す、と…………」
俺ががっくりと床に膝を付くと、男は飄々とした態度を取り戻し、続けた。
「ははは、そうか。
面白い。実に面白い。いやぁ、確かお前はローランドという名前だったか?それぐらい、私だって調べていたよ。
ロミオ君、君は自分を慕った少女をその手で射殺した。いや、慕っていたからこそ、相愛だったからこそ、なのか?
確か君は、意外にも恋愛経験はゼロ。本気で愛せる女が居なかったし、愛されもしなかったそうじゃないか。
それで、やっと出来た大切な女を殺した、自分で殺した、と。
いやぁ、辛いだろうねぇ。可哀想だねぇ。皮肉だねぇ。ああ、私にも何となくわかるよ。
私が、玲霧に、そこに転がっている死んだ女に意見された時に似ているだろう。
悲しいよなぁ。心が張り裂けそうになるよなぁ。胸が痛いんだよなぁ。
いやしかし、よくぞそれを覚悟して行動出来た。やはり肝は据わっている様だ。
流石世界一のマフィアの一員だけある。凄いよ、君」
男の長い、追い討ちにしかならない戯言を聞きつつ、俺は玲霧を一目見、直ぐに目を逸らした。
本当に、血溜まりが出来ている。
赤い血が、白と茶色をベース色として作られた服を染め上げている。
黒いスカートも、今や赤黒くなっている。
男は、崩れ落ちた俺の肩に手を置いて来た。
不思議と、安心に近い感覚を覚えてしまった俺が不思議に思える。
「お前は、殺したんだな。本当に。あれは、血糊じゃないよな。いや、見てわかる。あんなに血糊の詰まったチョッキなんて無い」
冷静だ。
男は、もしかすると俺よりも冷静だ。
一度は驚愕しつつも、冷静に状況を分析出来ている。
「それに、この臭いは血の臭いだ。鉄分を含んだ、血液の……お前は、本当にあの少女、殺したんだな」
俺の体は、無意識に震えていた。
玲霧を撃った事で、心が悲鳴を上げている様だった。
だから、しばらくは気付けなかった。
俺の肩に置かれている手も、震えていた事に。
「……あんた?」
俺は、尚も震える唇で、静かに言葉を紡いだ。
ちゃんとした発音にはなっていなかったかもしれない。
「はは、ははははは。あいつは、道具だ。私の、手駒だ。お前達が、壊れた銃やナイフを捨てる様に、捨て置くべきだ。もう、私にあれは必要無いからな。もっとちゃんとした道具は、また作る予定だからな。そうだ、そうなんだ。あいつはもう、私には無関係……」
まるで、自分に言い聞かす様だった。
さっきまでの、俺の悲しみを助長する為の言葉じゃない。
これは、この男の本心だ。心の呟きだ。
「くそっ!なんで俺はまだ未練を持っている!!なぁ、どういう事だ!ローランド!!どうしてあいつを殺した!俺の娘を!俺の妻を!俺の……友人を!!」
さっきまでとは、飄々としていた男とは、まるで言っている事が違っていた。
これではまるで、玲霧を、真剣に愛していて……
「俺はさっき、言ったよな。あれは全部、事実だ。それはお前にもわかっただろう。あんな嘘を吐く事に、意味なんてない。俺は最初、本当に玲霧を道具と思っていた。だから、扱い易い道具を誇らしく思っていた。文字通り、愛用していたと言えるだろう。だがな、ある時、それから『用』の文字が消えてしまったんだ」
男の口調は、大分落ち着いていた。
しかし、そこにあの、救い様の無い狂人の面影は無い。
普通の、俺とも大して年も変わらない、青年に思えた。
「俺は、玲霧を愛してしまった。だが、俺は今まで愛されなかった。
他人からは勿論、家族にさえ、だ。
わかるだろう?俺は異端だった。いや、異端どころじゃない。異常も異常、完全に人知を超えていたんだ。
この世界の影に隠されがちだが、超能力、妖怪、魔物、幽霊、精霊、神。偶像だと思っていたものは、全て実在する。
それをわかった上で、人間は俺を拒んだ。
俺は、あまりにも特殊過ぎたんだ。
初めは、超能力の延長だと思われていた。祖先には、妖怪と結ばれた者も居たから、その血の名残が出たのだとも言われた。
それだけじゃ説明が付かないと思われた時、幽霊が宿ったんだと言われた。
それなら、何となくわかる。幽霊は、実体に干渉出来ないが、干渉もされない。
そこに、人間の特性が付加された。
何にでも潜り込み、それに細工も出来る。
ああ、俺の能力の説明がまだだったか。
簡単な事だ。『あらゆるモノへのハッキング』その言葉がぴったりと合致する。
つまり俺が玲霧を作り上げたのは、魂にハッキングしたんだ。
十六の魂を現世に留め置き、それを一つにする。
そして、その魂の集合体に一人の少女の形を作らせた。
なぁ、思っただろ?人間業じゃない、と。
錬金術なら、不可能じゃないそうだがそれは肉体を練成するんだろ?
そして、死人の魂をその肉体に無理矢理留め置く。
それは完全な人造人間じゃない。
言葉的には、クローンが近いだろう。
結局、その魂は、器を替えて行動を再開するのだから。
だが、俺は大量の魂を犠牲にしたとは言え、完全な『個人』を作ってしまった。
他にも、色々と人間を超越した行動が出来たよ。自分で思い起こすのも恐ろしい程にだ。
すまん、話がぶれたな。
俺は、結局最終的には愛されなかった俺は、人の愛し方を知らなかった。
最近の俺は、すっかり人間を自分より下にしか見ていなかったしな。
だから、自分の愛する気持ちにうっすらと気付きつつも、否定して来た。
もう、道具として作ってしまったものをどう扱えば良いのか、分からなくなってきていた。
その矢先だ、玲霧に苦言を呈されたのは。
そこで俺は、誤った爆発を起こした。
愛を憎しみに一変させ、とことん彼女を痛め付けた。
そしてその末に、彼女を失った。
ローランド。俺、案外人間らしくないか?
玲霧を失った後、俺、必死に探し回ったんだぜ?
そして、要約手がかりを摑んだ時、泣きそうになった。
そんな弱い心、捨て去ったつもりだったのに。
はぁ…………すまん、俺、急にお前に馴れ馴れしく……いや、くそっ、俺………………」
俺にはまるで、男が少年の様にすら思えた。
自分の心に素直になれなくて、だけど真っ直ぐで……
そして、直ぐに思い直した。
この男は、子供のまま育ってしまったんだ、と。
体だけは大人になって、人の温もりを知らず生きた所為で、心は少年から成長せずに止まってしまった。
ある意味で素直、ある意味で不安定。ある意味で、脆く、時には、邪悪。
彼自身が、自分の異常に気付いたのが少年期だったのだろう。
……だが、俺は彼に同情しようとは思わなかった。
それは、酷く失礼に思えた。
どう同情するのかさえ、よくわからないから。
俺は、人間を代表して同情してやるのか?慰めるのか?
そんな大それた役、出来る筈が無い。俺以外の、何者かにも。
そして何より、この男はそれを望んでいない。
安い同情なんて、されたく無いに決まっている。
「なぁ、ローランド。お前、玲霧を撃つって初めから決めてたのか?そうすれば、俺はきっと揺らぐだろうって、確信していたのか?ああ、俺は今、これ以上が無い程に揺れている。作戦は大成功だ。良かったな」
勘違い甚だしい。
まさか、この俺が初めから玲霧を傷付ける選択肢を取るとでも思っていたのか?
いや、そんな馬鹿な男じゃない。
「俺自身、実は自分が信じられない。ほとんど、体が勝手に動いたんだ。思考なんて、途中でストップさせたよ。だが、俺が怒鳴った時、あいつは、玲霧は安らかそうな顔をした。もう、俺が自分を撃つってわかってたんだろうな。あいつは、俺を怨んではいなかったよ」
ああ、今更ながら、涙が出て来た。
俺は、沢山のシナリオを実は考えていた。
なんだかんだで、玲霧が一人で何とかやって、この男を殺すシナリオ。
俺が男の気を引いている間に、玲霧に殺させるシナリオ。
俺が、なんだかんだでこの男を殺すシナリオ。
結局、俺と玲霧の殺されるシナリオ。
だが、どれも気に入らないし、現実味が無い。
何度もリライトする様に、思い浮かべた。
それでも、出て来なかった。
そしたら、素直な気持ちが口から出ていて、玲霧を撃ってしまっていた。
「ローランド。俺は敵だ。恐らく、人類共通の。だから、俺はあくまでお前達の敵であり続ける。俺に感傷は通じない。俺とお前は、同時に思い人を失った。だが、俺はもうお前の為に玲霧を創り直そうとは思わない。それはつまり、俺自身の為にも創り直さない」
わかっていた。
俺は、利口じゃない。
今でも、なんで玲霧を撃ったのか、自分がわからない。
そういう意味で、俺は狂人だ。
「だがな、一つ言わせてもらおう。俺が玲霧を呼んだ理由。それは、実は単純だった」
口調を、より一層静かに、穏やかにする男。
「本当はな、消すつもりなんて無かった。正直、葛藤があった。玲霧の顔を見て、猶更それは強まってな……俺はもう、玲霧に嫌われたくなかったから、その存在を『なかったこと』にしたくもあった。同時に、玲霧とは『やりなおそう』とも考えていた。もう道具じゃない、誕生は歪だったけど、一人の少女と、酷く今更だが仲良くやって行きたい、そんな希望もあった」
男の声は、震えている。
その目からは、俺以上に涙が流れていた。
止め処なく、止め処なく流れて……体中の水分が無くなるのでは、とも思った。
「そこで俺は、全てを語った。わざと憎まれる様に。いや、事実だから、そもそも俺は憎まれるべきだった。とんでもない極悪人だ。その事実に変わりは無い。そして、玲霧は俺を撃とうとしたよな。だから『とりあえず』その腕を消した。まだ悩んでいた。このまま悪人として、死のうかとも。玲霧を消して、完全な決別をし、更に手を黒く染めて行こうか、ともな。そしたら、これだ。先を越された気分だよ。ローランド。俺のさっきの挑発、実は本心も入っていた。ローランド、本当に殺したんだよな」
男はもう、完全に素だった。
俺の隣に、膝も、肘も突き、半ば倒れ込んでしまった。
「ローランド、玲霧は、世界の一部になれていたか?俺の作った、人工の少女だったが、お前達の中に、溶け込めていたか?」
何を今更。
俺に聞く必要も無いだろうに。
「ああ、溶け込み過ぎていた。俺が『世界の一部』と思ってしまう程に」
自分でもキザったらしいのはわかる。
だが、素直な気持ちだった。
散々、この男は素を曝け出したんだ。俺までそれに乗らなかったら、男が……いや、中濱が廃る。
俺にとっての玲霧は、『一個人』の域を当に脱け出していた。もう、『世界』だった。
光や、水や、酸素。その他様々なもの達。
それと同じく、それが無いと、俺の人生に、生態活動に支障が出て来るとさえ感じていた。
俺はそんな認識だったが、団の皆は、そこまで行かなくても大事な友人には変わりなかっただろう。
欠ければ、間違いなく深く悲しむ程に。
「そうか。で、お前は何でその玲霧を殺した?」
尤もな疑問。
そこまでの存在に膨れ上がっていた彼女を、俺はかなり自然に。
それこそ、蚊でも殺す様に殺した。
まるで、矛盾して来る。
「勘違いするな。俺は、玲霧を撃ったんじゃない」
俺の言葉が、ゆっくりと部屋に反響して行く。
それがはっきりとわかった。
そして、その反響は何も部屋だけじゃない。
目の前の男の心にも、響き渡って行く。
「は?」
予想通り、男は再び色を失った。
本当に蒼白。ビニールや樹脂で出来た人形にも見える。
「だから、俺は玲霧を殺していない」
もう一度、同じ趣旨の言葉を繰り返す。
男の顔は、更に青くなる。
もう、初対面の時の男はそこに居なかった。
「なら、そこに倒れているのは誰か?玲霧だ。それに間違いは無い。それに、俺は生命を奪った。それも間違いでは無い」
一度、軽く息を吸う。自分でも、笑っちゃう様な事を言おうとしているんだがな。
「俺の銃に装填されているこの弾、実はゴム弾だ。殺傷能力なんて無い。そして、あの赤い……『血みたいなもの』の正体だが、トマトだ。あんた、玲霧を作っておきながらちゃんと記憶していなかったのか?あの娘は、あんなに胸が大きくない。全部、トマトだ。鉄の臭いか?それは、あのトマトが特殊だからだ。俺の友人の為だけに品種改良された、鉄分を多く含んだトマト」
演技。
それも、俺としては終始笑い出してしまいそうになっていた、中学校の文化祭よりもレベルの低いお芝居。
その小道具は、やはり中学生レベルだった。
「な……に…………」
男は全身蒼白なまま、口をぱくぱくとさせる。
まるで、瀕死の魚だ。
それもそうだな。
「あんた、俺が思った以上にツンデレだったんだな。いやはや、最低の屑野郎とは一時思っていたが、それよりも今はユニークだって印象の方が強いよ。だって、全部玲霧の前でゲロしたんだからな」
真っ白になった男は、いよいよ崩れ落ちる。
それこそ、ビルが倒壊する様に。
「あんたは、十六人殺した上に、玲霧を利用して何百人と殺した。普通なら、死刑は免れない……が、マフィアの類は全て正当防衛と言い張れる。薔薇十字団(おれら)としたら、子分が随分と世話になった……ってトコだが、あんた、ちゃんと分別はあったようだな。凶悪な類ばかりだ、正直ウチも手を焼いていた様な、な。それに、殺した十六人も全員犯罪者、だろ?」
男は、放心し切った様な状態のままだが、僅かに頷いた。
「結局あんたは、ヘタレだったって訳だ。婦女暴行の罪は消えないが、後は正当防衛。過剰防衛ですらない。何で気付いたか、わかるか?」
今度は、首を横に振る。
「銃の名手に関してはな、アテがあるんだ。支部にな。そいつ以上の名人は、ウチのジュリーを除いて居ないだろう。だが、あんたはそいつを狙わなかった。何故なら、悪人じゃなかったからだ。後は、察しがついたさ」
動き出して良い雰囲気になった事で、玲霧が起き上がる。
体中を、トマトの果肉で赤く染め上げて。
ちなみにこのトマト、種無し、余計な水分無しで作られている。
つまり、見た目は完璧に血、そのものだ。
「ロミオ、仕方が無かった事とは言え、ファーストキスですよ。ファーストキス。何でそこまでリアルなお芝居を決め込むんですか!」
そして、漏らす言葉は他愛も無い不平。
相変わらず、煩い女だ。
「知るか。そもそも俺もファーストだ。有り難く思え」
しばらく、男を無視して話を続ける。
本当に、どうでも良い会話を。
「…………ははっ、ははははははは。なんだ、あはははは、そういう事か。私も、舐められたものだな!」
男が急に起き上がった瞬間、玲霧の体が完全に『消滅』した。
跡形も無い。後には本当に、虚空だけが残されていて……
「大した奴等だ。俺を騙し通した挙句、俺の恥ずかしい慕情についてまで自白させるなんて」
俺は、別に玲霧が消えたという事実に驚愕はしなかった。
むしろ、当然だと感じていた。
「ローランド。俺を好きにしてくれ。薔薇十字団の団員を石川が傷付けたのは、他でもない。俺の差し金だ。お前には俺を好きな風にする権利がある」
男はそういて、両腕を突き出して来た。ご丁寧に、手首を重ねて。
「残念ながら、俺はあんたを警察になんか連れて行かないぞ。そしたら、俺もどうなるかわからん。ただ、俺の独断であんたの処分は決めさせてもらおう」
一度、言葉を切る。
その意味を汲み取ったのか、男は再び玲霧を『再生させた』
右腕のちゃんとある、在るべき姿の玲霧を。
「消す時は簡単なのに、創るには一度ゼロに戻す必要があるんだね」
玲霧が、尤もな疑問を口に出した。
一応、良いシーンなんだけどな。これ。
「働け。あんたがヤバイ奴なのには変わらないし、危険ってのもわかる。だから、俺等に監視されてろ」
プロトタイプの1話4章
誰も死なないストーリーを書きたかった
でも、気に入らなかったので没行きに
最終更新:2009年10月17日 00:26