ウェハースチョコかけご飯に於ける派閥
ウェハースチョコかけご飯のバリエーションは多岐に渡る為、
有史以来、その調理法や作法によって多数の派閥が存在している。
1900年代初頭にWCRA(世界ウェハースチョコかけご飯協会)が設立されるまで、
各派閥は自身の正当性を主張し、対立と抗争を繰り返してきた。
現在、こういった過激な運動は成りを潜めて来たが、
水面下では各派閥の小競り合いが続いている。
ウェハースチョコかけご飯のあれこれ
現在、WCRAに於いて推奨されている、もっともポピュラーな調理法は、
磨りつぶしたウェハースチョコレートに牛乳を加えて食べる、
いわゆるミルク・ウェハースチョコかけご飯タイプである。
WCRAの公式レシピブック「365日ウェハースチョコかけご飯の本」(発行:民明書房)にも、
このミルク・ウェハースチョコかけご飯タイプのレシピが一番最初に紹介されているが、
それ以外にもウェハースチョコおにぎり等、様々なレシピが約400点掲載されている。
しかし、ウェハースチョコかけご飯のバリエーションについては、
WCRAが把握しているだけでも約1200種の調理法が存在し、
WCRAに未発見の調理法や、レシピが失われ、名前だけが残っている調理方などを加えると、
およそ3000種類のウェハースチョコかけご飯が存在するものと見られている。
「正道」と「邪道」
WCRAによってスタンダードなレシピが定められたことで、
ウェハースチョコかけご飯を巡る長きに渡る争いと混乱は、ひとまずの解決に至った。
しかし、スタンダード・レシピを定めた結果、
今度は、WCRAによってレシピを認められた調理法こそが「正道」であり、
それ以外の調理法は「邪道」であり、忌諱すべきものであると主張する派閥が台頭し始め、
現在に於ける「邪道食い」論争へと繋がっていったのである。
正道・王道
一般的に正道、又は王道と呼ばれる派閥が主張している
食べ方は、
前述したミルク・ウェハースチョコかけご飯タイプを含め、
WCRAの公式レシピブックに掲載された調理法である。
しかし、公式レシピブックは現在まで21回の改訂が加えられ、
レシピの追加、または削除が行われている。
その為、正道・王道派の中にもいくつかの派閥が存在するとされる。
いわゆる初版の公式レシピブックである「The Rice of ChocolateWafel」に掲載された、
50種のレシピこそが正道であると主張する派閥。
最も古くから残る正道・王道派であり、老年層を中心とした支持を得ている。
改訂毎に変更されるレシピに基づき、正道邪道の判別を付ける派閥。
正道・王道派の中では最も大きな派閥であり、WCRAへの影響力も高いとされている。
革新派の主張に加え、他の邪道とされているレシピの一部も、
正道とすべきであると主張する一風変わった派閥。
レシピの改訂によって正道から外された調理法の支持者や、
新たなウェハースチョコかけご飯を歓迎する若年層等が中心となって形成されている。
邪道
一般的に公式レシピブックに掲載されていない調理法や、
ウェハースチョコではないものをご飯にかけるもの、
また、ご飯以外にウェハースチョコをかけるもの等が「邪道」とされている。
「邪道食い」とはこういった調理法を支持する人間を揶揄する言葉であるが、
昨今に於いては、チョコウェハースかけご飯を食べる際に、
箸やれんげ以外の道具を用いたり、調理の際に決められた作法に従わない調理法も、
「邪道食い」と一括りにされる傾向がある。
「邪道食い」とされる一般的なもの
「たまごかけご飯」
邪道と言うより、ウェハースチョコかけご飯と派閥を分ける敵対勢力という側面が強い。
「カレーライス」
隠し味と称してウェハースチョコを使用する事が問題視されている。
「チョコインウェハースかけご飯」
ウェハースにチョコレートを挟んだタイプではなく、
ウェハースそのものをチョコレートで包んだものを使用する調理法。
スタンダードなウェハースチョコかけご飯に比べて甘味が強く、
若年層を中心とした人気を得ているが、
ウェハースチョコかけご飯の繊細な甘味のバランスが損なわれるとして、
忌み嫌うものも少なくない。
「ウェハースチョコかけパスタ」
ご飯の代わりにパスタにウェハースチョコをかける調理法。
邪道食いの中では最も知名度が高く、公式レシピに幾度か掲載されたこともある。
名古屋ではこの食べ方を「正道」と主張する派閥が市民の95%を占めているという。
「ウェハースチョコかけパン」
ご飯の代わりにパンにウェハースチョコをかけて食べる調理法。
通常、液状にすることが多いウェハースチョコをペースト状にすることが特徴で、
食パンやコッペパンに「かける」というよりも「塗って」食べることが多い。
「ウェハースチョコかけビーンズ」
英国を中心に根強い人気を持つ調理法。
ご飯の代わりにベイクド・ビーンズにウェハースチョコをかけて食べる。
インゲン豆を煮込む際に、トマトソースの代わりに、
ウェハースチョコソースで煮込むタイプもある。
「ストロー食い」
いわゆる、食べる作法について「邪道」とされる食べ方。
チョコウェハースかけご飯をミキサーにかけてペースト状にしたものを、
タピオカなどを食べる際にも使用する、太めのストローで飲んで味わう。
冷やしておくと甘味が引き立ち、喉ごしが良くなるとされる。
「かけない食い」
ウェハースチョコをご飯にかけずに丸かじりした後にご飯を口に含み、
牛乳で共に押し流す食べ方。
WCRAが2001年に開催した「WCRA国際ウェハースチョコかけご飯早食い選手権」に於いて、
日本人の小林選手が披露し、二位に大差をつけて優勝した。
しかし、「これウェハースチョコと飯喰ってから、牛乳飲んでるだけじゃん!」と、
他の参加者から判定に抗議が殺到し、現在も論争の的となっている。
「トーキョー食い」
かけない食いを更に発展させた食べ方。
ウェハースを牛乳や水に付けてふやかすことで更に食べやすくなるとされる。
トーキョー食いというネーミングは、
前述の「WCRA国際ウェハースチョコかけご飯早食い選手権」で、
この食べ方を披露した選手が軒並み日本出身だったところから来ている。
この他にも様々な調理法や食べ方が存在するとされる。
「邪道食い」に対する反応
邪道食いに対する反応は各国、各地域によって様々ではあるが、
WCRAが各加盟国の約1000万人を対象に行った統計調査によると、
調理法の邪道に好感を持たない人が75%
作法の邪道に好感を持たない人が92%という結果が出ており、
全体的に「邪道食い」への風当たりは決して良いものではない。
また、各派閥の対立がそのまま「正道」と「邪道」へと移り変わり、
抗争を続けている国も少なからず存在している。
日本国では他の加盟国に比べて表面上「邪道食い」を受け入れている節はあるが、
しかしながら「邪道食い」を忌諱する風潮は未だに強く、
インターネット上などでは、「邪道食いはよせーっ!」といったワードが、
日本Googleの検索ワードで上位を獲得する等、
「邪道食い」を好む人間への誹謗、中傷が絶えない。
本当に楽しいウェハースチョコかけご飯
しかしながら、元来、ウェハースチョコかけご飯とは個人で楽しむ食の在り方である。
WCRAが掲げる「ウェハースチョコかけご飯を愛する者の宣言」にも、
第一条にはこう記されている。
「人は生まれながらにして、
自由かつ平等にウェハースチョコかけご飯を食す権利を有する」
不詳、筆者である私自身は、いわゆる一般的に邪道とされる
ウェハースチョコかけご飯を好む人間であるが、
この、ウェハースチョコかけご飯を愛する者たちが最も尊ぶ一文にこそ、
私はこの問題への答えが含まれていると思えてならない。
ウェハースチョコかけご飯を食べる時、
人は誰しも美味と出会う幸福を求めるものである。
それは救いにも似た心地で、誰からも邪魔されず、
独り静かに豊かに食べるウェハースチョコかけご飯は、
何者にも代え難い御馳走であるだろう。
だからこそ、「正道」「邪道」といった括りは、
非常に物事を矮小に捉えた見方でしかないと言える。
そこにウェハースチョコがあり、ウェハースチョコと出会う何かがある限り、
それは等しくウェハースチョコかけご飯なのだ。
終わりに
ウェハースチョコかけご飯とはシンプルである。
シンプルであるからこそ、捉え方の違いが争いを産み続けてきた。
ウェハースチョコかけご飯とは奥が深い。
奥が深いからこそ、多くの調理法とそれを信奉する派閥を形成した。
しかしながら、これらは全て逆に捉えれば、
シンプルだからこそ、皆が純粋に楽しめる。
奥が深いからこそ、様々な味わいと出会うことが出来る。
そんなウェハースチョコかけご飯が持つ、食の魅力へと再び出会うことが出来るだろう。
私は何時の日か、正道や邪道といった対立がこの世から消え去り、
皆が笑顔で、肩を寄せ合い、
それぞれのウェハースチョコかけご飯を楽しめる時が来ることを願ってやまない。
獅子戸錠二(ハンター錠二)より一言
「邪道食いはよせーっ!」
最終更新:2008年11月14日 04:55