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以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2007/02/18(日)02:02:47.87ID:XT72bbI0

テーマは【ホラー】。

「みーちゃんって怖いものある?」
「怖いもの? 何で」
「いっつも冷静だし。怖がったりすることってあるのかなって」
「そりゃ、私だって怖いことくらいあるよ。『ベッドの下の男』とか」
「……なにそれ?(ちょっと引き)」
「いや、たいした話じゃないんだけど。一人暮しの女の人の部屋に友達が遊びにきたんだけど、
 その友達が夜中になってから突然『アイスが食べたいから一緒にコンビニ行こう』って言うんだって。
 でしぶしぶ外に出るんだけど、
 そうしたらその友達が「ベッドの下に包丁を持った男がいた!」っていうの。
 それで警察に駆け込んで、お巡りさんを連れて部屋に戻ってきたら男はいなくなってた、
 っていう話。怖いでしょ?」
「……怖いね」
「元はアメリカの民話らしいんだけど、身近に感じるようにアレンジしてあるからね。
 寝てるときとかに思い出すとさらに怖いよ。
 ストーリィって、読み手や聞き手の脳に依存するものだし」
「ううぅ……今日は一緒に寝ようね?」
「あ、私仕事あるから無理。先に寝てて?」
「え!? ……じゃ、じゃあ起きてる」
「朝早いくせに何言ってんの。しばらく終わらないから寝なさい」
「鬼!」

電気を消して、ダブルベッドに横たわる。
思い出さないないようにしようとしても、脳が勝手に『ベッドの下の男』をイメージしてしまう。
わたしが怖がりなの知ってるくせに。みーちゃんのばか。
うう……眠れない。ぎゅっ、と目を瞑った。

カタカタ、と音が聞こえた。みーちゃんがキィボードを叩いてる音だ。
お湯が沸いてる音もする。コーヒーを淹れているんだろう。
椅子を引く音がする。またタイプの音。鼻歌も聞こえる。

――何だ。結局一緒にいるんじゃないか。

それなら、ぜんぜん怖くなんかない。そう思った。
そしてわたしは、安心して眠ることにした。


……失敗した。あんな話するんじゃなかった。
怖がる様子が可愛かったから調子に乗ってしまった。
実際、自分の一番苦手な話だっていうのに。

どうも、背後が気になってしかたがない。こういう時、自分の想像力を恨む。
コーヒーを入れて気を引き締めようとするが、上手くいかない。
鼻歌を歌ってごまかそうとしてみるが、上手くいかない。
時々キィボードを叩くけれど、すぐに気に入らなくなって消してしまう。

「……スゥ?」
小声で名前を呼んでみる。反応はない。もう眠ってしまったようだ。
ちょっと意外だった。

Wordの画面を見る。真っ白。
明後日までに三十枚、という言葉が頭を過ぎるが、できないものはしょうがない。
まぁ、明日頑張ればいいか。

そして私は、殺人鬼ではない彼女のいるベッドに、滑り込むことにした。


<了>

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最終更新:2007年02月21日 17:50