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魔術(まじゅつ) - (2019/11/20 (水) 19:40:28) のソース

【種別】 
異能・技術

【元ネタ】 
[[wikipedia-魔術>http://ja.wikipedia.org/wiki/魔術]]
[[wikipedia-近代西洋儀式魔術>http://ja.wikipedia.org/wiki/近代西洋儀式魔術]]

【初出】 
一巻で[[インデックス>禁書目録(インデックス)]]が着用している[[歩く教会]]が事実上の初出。
[[魔術師>魔術師(まじゅつし)]]が行使した魔術としては、一巻での[[ステイル>ステイル=マグヌス]]が生み出した[[炎剣]]が初出。

#contents

*【解説】 
[[魔力>魔力(まりょく)]]を消費し、[[異世界>位相]]の法則を無理やり現実世界に適用することで、
様々な超自然現象を引き起こす技術。
文化や伝承によってその様式は千差万別であり、突き詰めれば何でもありの異能力だが、
基本的には上記の定義を満たす行為全般を指す。

元々は[[原石>原石(げんせき)]]や何らかの宗教的奇跡に対する羨望から開発されたものらしく、
「真の奇跡に人の手で追いつこうとすること」
「神話の内容を切り取り、分割し、時には拡大解釈まで行い自分のものにしようとする行為」
「[[才能>超能力(ちょうのうりょく)]]の無い人間がそれでも才能ある人間と対等になる為の技術」などとも表現される。

魔術を行使する人間は一般に[[魔術師(まじゅつし)]]と呼ばれる。
[[学園都市>学園都市(がくえんとし)]]が支配する学問(=自然科学)とは研究方法や対象の扱い方が全く異なるが、
曲がりなりにも世界の法則を明らかにしようとする関係上れっきとした学問であり、
しっかりルールを守らなければ使用することはできない。
逆に言うと正規の手順を踏めば素人でも使える。
故に魔術師は単に魔術を使えるだけでは不十分で、自力で改良・研究・開発までできて一人前となる。

魔術の知識はこの世のものではない『[[異世界>位相]]』の知識であるため、
通常、人間にとっては『毒』であり、使用する度に精神を蝕まれるリスクがあるが、
宗教防壁(≒宗教観)によってある程度緩和することができる。

*【発動手順】
一般的手順としては、基本的にまず自分の生命力から『[[魔力>魔力(まりょく)]]』を精製する所から始まる。
生命力、つまり人間の体に元から流れているエネルギーを「原油」として、
魔術を使う前に魔力という「ガソリン」に精製するわけである。

魔力が得られたら、自分の血管や神経、[[霊装>霊装(れいそう)]]に魔力を通し、
身振り手振り・呪文の詠唱・文字の筆記・道具の使用などの方法によって魔術的な『記号』を示して、
『記号』に応じた「異世界の法則」を現世に持ってくることで発動する。

どんなものが『記号』になるかはケースバイケースだが、
基本的には神話や伝承をモチーフにしたものが用いられる。
わかりやすい例を上げれば、神話に登場する伝説の武器を『記号』として用いれば、
伝説の武器が起こした宗教的奇跡を再現できるという具合である。
この時用いる、魔術的記号を表すための道具を『[[霊装>霊装(れいそう)]]』と呼ぶ。

霊装を使わずに身振り手振りだけでも『記号』を示すことはできるが、
伝説の武器に関する魔術なら霊装を使った方がはるかに成功率が高まり、効率よく魔術を行使できる。
作中では「直線を引くためにフリーハンドではなく定規を使うようなもの」と例えられている。

霊装は必ずしもオリジナルの伝説の武器そのものを使う必要はなく、
レプリカでもある程度の効果を上げられるし、
形や役割が似ていればその辺の傘を伝説の武器の代わりにすることもできたりする。([[偶像崇拝の理論>偶像の理論(ぐうぞうのりろん)]])

喩えるなら魔術とは、神話をモチーフにした演劇に近く、霊装は演劇における小道具や大道具に相当する。
さらに大規模な魔術を使用する場合には、霊装よりも大規模な補助道具として劇場に相当する神殿を用いる。

ただし厳密に言えば、神話伝承に頼らず全くのゼロから記号を構築することも不可能では無い。(例:[[召喚爆撃>召喚爆撃(しょうかんばくげき)]])
しかし、大抵の場合は既存の神話を参考に記号を探すことが多い。
これは前述のように、そもそも「異世界」の多くが宗教から作られたものであるということ、
魔術の多くが神話の再現という形を取るということに加え、魔術と宗教が密接な関係を持つという性質上、
魔術に適さない神話は長い歴史の中で淘汰されており、魔術に最適化された神話だけが残っているので、
ゼロから構築するよりも淘汰の中で生き延びて来た神話を参考にした方が効率が良いからである。
(ゼロからの構築は神話を新しく創作することに等しい。)

個人の魔力以外にも、[[地脈・龍脈]]のような惑星を廻るエネルギーや、
[[天使の力(テレズマ)]]のような別位相のエネルギーも魔術に利用できる。
ただし、個人の魔力を使ってこれらのエネルギーを「呼び込む」という手順があるため、
個人の魔力をうまく操作できないとこれらのエネルギーも利用することはできない。
この方法は莫大な量の力を利用できるが、同時にリスクも大きくなる。
また、個人の魔力と違い、地脈などは最初から性質が決まってしまっているため、
「魔術を使うためにエネルギーを精製する」のではなく、
「使うエネルギーに合わせて魔術を選ぶ」という考え方で運用する必要がある。

上記のように魔術は地球の環境(例:東西南北、大気や重力)を前提としたものも多く、
それらが無い宇宙空間においては既存のルールに縛られない未知の魔術を構築できるらしい。

*【長所と短所】
一人一つしか獲得できない超能力とは違い、習得できる術式には制限が無い。
例えば[[発火能力(パイロキネシス)]]で水を出すことはできないが、魔術師は自在に火も水を出すこともできる。
ケルト神話や[[北欧神話>北欧神話(ほくおうしんわ)]]のようにベースとなる法則は存在するものの法則間に厳密な区分は無く、
「ケルト神話に感化された北欧神話」などのように、別の法則を自由に取り込むことができる。(例:[[唯閃>唯閃(ゆいせん)]])
同じ神話やモチーフを扱いながらも、解釈を捻じ曲げたり一つの意味を拡大解釈して組み込む事で、
全く別の術式を生み出す事もできる。 (例:[[聖人崩し>聖人崩し(せいじんくずし)]]や[[光の処刑>光の処刑(ひかりのしょけい)]] 等)
個々人の才能で異能の質も量も決まってしまう超能力と異なり、
自分で望むように組み合わせて異能をセッティングすることができる。
超能力と比べれば、非常に自由度・万能性が高く、便利な力であると言える。

とはいえ便利なばかりではなく、魔術は異能の「セッティング」に莫大な手間と時間がかかる。
具体的には霊装や術式作成にはかなり時間がかかり、まともにやると数~数十年、
短縮しても数日がかりという事もザラで、ものによっては数百年かかるものまである。
また、同一の魔術であっても手順の圧縮や改良などが加わると、
それに応じて詠唱や魔法陣などの下準備も変化する。(例:ステイルのルーンカードの展開方法)
そのため魔術師同士の戦いは下準備がメインであり、
そこでいかに戦力を整え、相手の魔術への対抗策を練るかが課題となる。
この点においては、起こせる現象の自由度は低くとも、発動に必要な手間や時間がかからない超能力の方が便利と言える。

最大の欠点とも言えるのが『[[火花]]』と呼ばれる現象である。
上記の通り、魔術は別世界の法則を現実世界に適応して現象を起こす技術であるが、
別世界の法則を現実世界に適応する過程で位相と位相がぶつかり合って、火打ち石の火花のように歪みが生じ、
現実世界の誰かにその負担が『不幸』という形で&bold(){押し付けられる}。
これは「位相の『火花』」と呼ばれ、運命や理不尽な死、不幸な事故、人々の巡り合わせやコイントスの裏表にさえ干渉する。
つまり魔術を行使すればするほどその分の『不幸』が誰かに押し付けられ、
やがては「不幸による理不尽な結末」が世界のどこかで発生するのである。
強大な実力で魔術業界に多くの功績を残した[[アレイスター>アレイスター=クロウリー]]は、これを知ったことが原因で魔術を見限り憎むようになった。

*【特性】
魔術は式のようなものであるため、相手の魔術をうまく逆算・妨害すれば中和もできる。
もちろん相手の魔術を詳しく知っている必要があり、
そのためにあらゆる魔術知識を所蔵する『[[禁書目録>禁書目録(インデックス)]]』が作成された。
境遇や立場などの都合上、作中で活用されたことはあまりないが、
実際にインデックス自身は[[黄金練成>黄金練成(アルス=マグナ)]]の仕組みの看破、
[[天罰術式>天罰術式(てんばつじゅつしき)]]の効果を割り出す等、魔術に対する高い分析・対応能力を有している。
[[強制詠唱>強制詠唱(スペルインターセプト)]]や[[魔滅の声>魔滅の声(シェオールフィア)]]もその能力あってこその技。
自分の専門分野であれば、禁書目録に頼らずともある程度は使用可能な技術であり、
[[アックア]]が『聖人崩し』を中和したり、
[[神裂火織>神裂火織(かんざきかおり)]]が[[鋼糸>鋼糸(ワイヤー)]]で魔法陣の乗っ取りを行ったり、
ステイルが『[[破滅の枝>破滅の枝(レーヴァテイン)]]』にルーンで割り込みをかけたりしている。

超自然現象を発生させた後は、ものによっては物理法則に従うこともある。
(例:[[ヴェント]]の風の流体力学によるかけ合わせ)。

*【社会・宗教との関係】
異世界は基本的に宗教が生み出したものであるため、異世界を力の源とする魔術は宗教との関わりが深い。
故に魔術は基本的に神話の再現という形を取る。
わかりやすい例を挙げれば、[[光の処刑>光の処刑(ひかりのしょけい)]]や[[聖人崩し>聖人崩し(せいじんくずし)]]は、
十字教神話における神の子の処刑を再現した魔術である。
逆に、魔術やそれに類するものが神話の元になることもあった。(例:[[黒小人(ドヴェルグ)]]、[[オティヌス]])

社会的にも魔術と宗教は近く、魔術組織が宗教的組織と認識されたり、
宗教的組織の一部門として魔術組織が運営されていることもある。(例:[[必要悪の教会(ネセサリウス)]])
とはいえ、真の奇跡に人の手で追いつこうとする魔術の理念は純粋な宗教からは不遜と見なされており、
宗教と魔術は厳密には区別される。

誰でも使える割に一般に普及していないのは、社会への影響等を考えてのことではなく、
単純に敵対する魔術師に対し情報を秘匿する必要があるからである。つまり軍事機密のようなもの。
逆に言うと(細かい仕組みはともかく)魔術の存在そのものを隠蔽する気はあまり無いらしく、
インデックスは魔術を公言しているし、[[学園都市>学園都市(がくえんとし)]]を襲撃してきた魔術師も人目を気にせず魔術を行使している。
それどころか(珍しいケースではあるが)魔術が公にされている社会も無くは無い。
[[第三次世界大戦]]の中で多くの不可解な現象が確認され、
徐々に世界中で魔術の存在が認められ始めているが、まだ陰謀論めいた憶測の域を出ない。

*【科学との関係】
科学サイドとの不可侵協定が存在するため、
余りに科学的な手法を取り入れた魔術・霊装は処罰対象になる場合がある。
作中では[[レアシック]]のレーザー研磨機によるルーン刻印、
[[リチャード=ブレイブ]]のビタミンB2を用いたルーン刻印を紫外線で浮かび上がらせる方式などが摘発されている。

才能ある人間、すなわち[[能力者>能力者(のうりょくしゃ)]]が使用しようとすると、
脳の構造が違うため肉体に過負荷がかかり、その結果死んでしまう可能性をも孕んでいる。
[[土御門元春>土御門元春(つちみかどもとはる)]]や[[エリス=ウォリアー]]がその例。
所謂魔術と超能力の競合現象であり、能力開発を受けた人間なら[[無能力者>強度(レベル)]]でも同様にダメージを受けてしまう。
また使用する術式の規模にもよるが、能力者の使用時にどの程度の反動が来るかは決まっておらず、バクチ性が高くなる。
土御門のように何度か使用してもギリギリで生き延びたり、[[サンジェルマン]]に感染・発現した能力者のように使用直後に即死してしまう事もある。
反動が生じるのは魔力を精製する際のようで、[[魔法陣>魔法陣(まほうじん)]]を書くなど、術式の準備をするだけなら問題はない。

因みに科学サイドから見た魔術(オカルト)とは、「ただの偶然を必然として、見えないルールを思い描くこと」らしい。
「見えないルール」ということを考えると、案外近いようにも思われる。
[[一方通行>一方通行(アクセラレータ)]]が[[エステル=ローゼンタール]]の[[死霊術>死霊術(しりょうじゅつ)]]を見た際は
「歴史や伝統で思い込みを強化し、[[自分だけの現実(パーソナルリアリティ)]]を拡張している」と推論した。
また一方通行が数学的手法で魔術書を解析した際には、
「虚数に似た架空の数字を織り交ぜた、たった一行の『特異な物理公式』」を入力することで、
[[エイワス]]の攻撃に対する『限りなく本物に近い推論』を導き出し、
そのパラメータを使って[[打ち止め>ミサカ20001号(最終信号・打ち止め)]]を救うための魔術を発動している。
科学と魔術の間には明確な境界線が存在するとされるが、
[[アレイスター>アレイスター=クロウリー]]によると実際には[[原型制御>原型制御(アーキタイプコントローラ)]]によってそのように思い込まされているに過ぎず、両者の間には無限に近いグラデーションがあるらしい。
アレイスター曰く「ミリバールとヘクトパスカル」「ユカワとフェムトメートル」のように、同じ概念を違う視点から捉えているようなものであるようだ。

第三次世界大戦終結後、『[[グレムリン]]』の暗躍によって科学と魔術が本格的に交差してきたことに伴い、
だんだんと「超能力者による魔術の利用」というケースも現れ始めている。
例を挙げれば、
[[黒夜海鳥>黒夜海鳥(くろよるうみどり)]]が、[[サイボーグ]]は自分の体とそうでないものとの区別があいまいであることを利用し、
対象物を無理やり「自分の体の一部」と設定した上で、
肉体にかかる魔術の過負荷を対象物に転化して破壊する、という攻撃的な応用手段をとっている。
しかし、リスクを全て押し付けられるほど甘くはないようで、その時所有していたサイボーグの『腕』を3本失っている。
他にも特定の領域に足を踏み入れると発動する魔術を仕掛けた領域に能力者を誘導し、魔術を使用させてダメージを与えるといった使用法もあった。

*【関連】
→[[魔術師(まじゅつし)]]
→[[魔道書(まどうしょ)]]
→[[魔術・術式一覧表]]
→[[ノタリコン]]
→[[能力者・魔術師相関図]]
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