【名前】木原 剰余(きはら じょうよ)
【性別】男
【所属】科学/
木原一族
【能力】なし
【概要】
木原一族の一人。
置き去り(チャイルドエラー)専門の保護施設「くちなし学園」を運営する実業家。
表向きは慈善活動家を装っているが、実際は善意の人間を騙し、弱者を食い物にする小悪党。
集められた置き去りたちは衣食住を保証されるものの、その代償として彼による性的暴行や、
売血・研究目的の血液採取といった、生かさず殺さずの搾取生活を強いられることとなる。
木原の人間にしては手段・目的共にかなり世俗的で、より身近に潜む現実味の濃い悪。
同族者からの評価は低く、「木原もどき」、「ゲテモノ食い」といった辛辣な意見のみが並ぶ。
事実、木原一族として見た場合、今の彼は無才に近く、名前どおり木原の「余りもの」。
一族の中でも末端、最下級と見下されているのが現状で、彼の暗愚さをうかがい知ることができる。
本人もそれを意識しており、日々溜まる憤りは弱者を甚振ることで晴らしているという卑劣漢。
血液を研究し、革新的な血液製剤の開発を目指しているが、これまでに目立った成果や実績は無いに等しい。
功名心から生じる焦りが失敗、失策に繋がり、それが新たな焦りを生むという悪循環に陥っている。
いつの日か己の中に流れる木原の血が目覚め、学園都市上層部からも一目置かれる存在になれると信じているが、
現在の彼には己が思い込んでいるほどの地力は無く、今のところは妄想に過ぎない。
彼の司る性質が「迷妄」である事を考えると、この先、研究者としての才能が芽吹くかは怪しいが、
曲がりなりにも木原一族であるため、その妄想が実現してしまう日が来ないとも限らない。
【特徴】
線が細く、スマートショートヘアの優男風で、常に穏やかな微笑みを欠かさない爽やかな男性。
外観は20代~30代の成人男性で、社交的な好青年を演じているが、笑顔の裏に隠された本性は邪悪。
強者に対しては面従腹背し、弱者に対しては生殺与奪を握って弄ぶという俗物根性が染みついており、
前述どおり木原一族にしては世俗的であるためか、名声に拘泥する矮小さを持ち、
施設を運営しているのも、世間に崇められたいという名誉欲が根底にあるからである。
チャイルド・マレスターかつバイセクシャルという性的倒錯者。
時たま輸血パックを啜りながら薄笑いを浮かべる、という奇行が原因で部下たちからの信望は薄い。
能力開発を受けておらず、また実戦向けの研究をしているわけではないので戦闘能力は乏しいが、
狡知には中々自信があるようで、彼の悪事が世間に露見しないのはその手腕と頭脳によるところが大きい。
【台詞】
「おいしいご飯、温かいベッド、綺麗な服。優しい先生たちに大切な仲間達。みんなはここで暮らせて幸せだよねぇ?」
「僕は純粋に善意で彼らを保護しているんですよぉ? 根拠の無い誹謗中傷をするのなら貴方を訴えなくてはなりませんがねぇ?」
「ロリちゃんも開通式から一ヶ月ですっかり中古穴になっちゃったねえ。今度はショタ君の初モノ穴をほりほりして開通式といきますかねぇ」
【SS使用条件】
特になし
特別児童養護施設「くちなし学園」
第10学区内にある置き去り(チャイルドエラー)専門の児童養護施設。
木原剰余が運営し、同施設の施設長を兼任中。
男女併せて50名ほどの置き去りたちが在籍しており、運営資金の大半は支援者からの寄付に頼っている。
プライバシー保護と児童の安全確保の名目で部外者の立ち入りは堅く禁じられており、
侵入者に対しては容赦なく攻撃が加えられるので、養護施設とは思えないほどの物々しさを放つ。
社会的弱者である置き去りたちであっても、彼らの人生には「朽ち無し」というフレーズを掲げているのだが、
その裏には、搾取されるだけの弱者には「口無し」という真意が隠されている。
敷地内は広く、シンボルマークとして梔子の木が植樹されているが、これはただのパフォーマンスであり、
全域に渡って人為的な装飾、加工が施されているため、どこか浮世離れした奇妙な空間となっている。
特に目を引くのは敷地外周をすっぽりと囲う、高く分厚いコンクリート製の外壁であり、
周辺には無数の監視カメラを設置、24時間体制で警備が行われているほか、
出入り用の正面ゲートには詰め所が併設され、銃火器で武装した職員や駆動鎧までもが配置されている。
施設の作りは堅牢で窓や昇降口が極端に少ないという閉塞感の強い無骨な作りとなっており、
部外者が全く気付かれずに建物内部へ潜入する、というのは容易な事ではない。
施設内はかなり入り組んでおり、各セクタごとに頑丈なシャッターで間仕切られている。
児童らには施設内である程度の自由活動が約束されており、規則に違反しない限りはおおむね寛容。
置き去りたちには衛生的な環境の下、十分な衣食住が与えられるが、能力開発は一切行われない。
集められた児童たちも入所前にシステムスキャンが行われ、レベル0判定が出た者のみが入所可能となる。
これは置き去りらによる反逆の可能性を確実に摘み取るための措置であり、
さらに能力開発の代わりとして度重なる刷り込み(マインドコントロール)と投薬が施される。
投薬される薬品の成分はただのブドウ糖であるため、身体には無害ではあるが、
幾度もの刷り込みにより作り出された思い込みは肉体にも影響を与えるほどで、
「悪い子には薬がもらえない、薬を飲まないと死ぬ」という誤信から来る強迫性障害が彼らを縛り付けている。
こうした保険をかけることで脱走を予防しているが、稀に出る規則違反者には別途懲罰が与えられる。
その内容は、職員あるいは剰余による見せしめの公開体罰の後、
他の児童にも強要して違反者へ暴力を加えさせ、共犯の片棒を担がせることで良心を責めるという陰湿なもの。
懲罰は連帯責任制であり、他の児童らも食事の制限や懲罰房への入居といったペナルティが課せられるので、
自重、自治精神を促し、自発的に児童らを相互監視状態へ陥れることに成功している。
全く改善の見込みが無い場合に限り、最終手段として「お泊り会」と称される特別異動措置が執られるのだが、
その内容は、「別組織への致死的な実験の被検体として転向」であり、ここまで来ると児童の生還は絶望的となる。
こうした形で施設は木原剰余をトップとした小さな社会が形成されており、
在籍する児童たちも、かつて過ごした危険に満ちた路地裏で「自分で生きること」よりも、
自由を放棄し、引き換えに得られる衣食住と安全に満足する「剰余に生かされること」を選んだ、
挫折者ばかりで構成されていることが真相の隠蔽を手助けしている一因となっている。
木原一族にしては手ぬるいと思われる仕打ちも、児童を長く飼いならすために仕組まれた剰余の計算なのである。
支援者用に公開される写真に写る子供達は、みなが幸せそうに微笑んでいるのだが、
この施設に在籍する児童は全員「いつも幸せそうに笑顔でいること」を規則で厳しく求められているため、
子供達が見せているのは、彼らが諦観と妥協の果てに作った仮初めの笑顔であることを支援者らが知る由も無い。
最終更新:2012年12月30日 10:18