「ザイフリート! ねえ、ザイフリート」

「はい、なんでございましょうか、ジークリンデお嬢様」

「ジークちゃんはおなかが空いたのですよ。ご飯はまだなのかしら」

「お嬢様、ですから今まさに作っているところだと、先ほど申し上げたばかりではありませんか。もう少しで出来上がりますから、せめてあと十分お待ちいただけませんか」

「うにゃあお。もう我慢できないのですよ。猫缶がいい」

「お嬢様。この国では猫缶は人間の食べ物より高いのですよ。ただでさえ二人世帯で生活が苦しいのに、そのような贅沢を申されましても」

「ええー、そんなはず無いでしょう。猫缶なんてちょっと外でおねだりしたらみんなホイホイ持ってきてくれるのですよ?」

「お嬢様、そこにお座りなさい。よろしいですか、このクローゼットの中には何が入っているとお思いですか」

「にゃーん(はー、めんどくさい)」

「ご覧ください! お嬢様が猫缶が食べたいとおっしゃったので私が必死でスーパーを駆けずり回って買い占めた、ひと缶38円の猫缶アソートの山ですよ」

「(プイッ)」

「それをお嬢様は……お嬢様は『おいしくない』のたった一言で見向きもせず!」

「だっておいしくないんですもの。せめて『◯ーバ・プレミオ』でないと猫缶とは言えないと思うのです」

「高級品じゃないですか! それはいつも相手をしてくれる少女が富裕層だからでしょう!?」

「ナァーォ(私は安い女ではないのですよ?)」

「く、く、く。このザイフリート、猫より安い食べ物で生活しているというのにお嬢様ときたら、せめて少しでも働いていただ」

(バッ!)(ハシッ!)(ダッ! もぐもぐもぐ)

「ああっ、それは私のおかず! なんということを!」

「んにゃあーーん。ザイフリートにはそのお徳用猫缶をあげるのです。良かったわね猫缶が減って。お腹もふくれたし私は遊んでくるのですよ」

「私は猫じゃありません! ああ、お待ちくださいお嬢様ぁ~~~!」

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最終更新:2014年01月18日 07:56