「夜更かしなどされてどうされたのですかお嬢様」
「今日はなんだか眠れないのですよ」
「お嬢様、もしや発じょエフン、エフン失礼いたしました」
「??? 昼間にお昼寝しすぎたのかしら」
「で、ですよね(セ────フ!)そういう時は静かに目を閉じて横になっているのが良いのだそうですよ」
「えー、退屈ー」
「でしたら古典的な方法ですが、羊の数を数えていると眠くなるのではないでしょうか」
「ふうん、まあ試してみるのですよ。執事に教えてもらったからしつじを数えてみるのです」
「それはひょっとしてギャグで言っておられるのですか、お嬢様」
「(まあ、ダジャレとはいえ私がお嬢様の眠りのサポートを出来る役回りならそれは喜ばしいこと)」
「しつじが一羽、しつじが二羽、しつじが三羽」
「鳥で勘定ですか(ガビーン」
「しつじが二七羽、しつじが二八羽、むにゃ……すぅ、すぅ」
「(どうやら眠りに就かれたご様子。私もそろそろ寝るとしよう)」
「うーん、うーん、しつじが、たくさんのしつじが追いかけてくるのですむにゃ……うーん」
「(って、うなされているっ!?)」
「うーん、痛い、痛いのですよ、食べないでくださいです、うーん」
「(食べる!? というかやっぱり鳥のイメージなんですか私は!)」
「むにゃ……もう食べられないのですよう」
「(その台詞はニュアンスが違いますお嬢様、いやそれどころではなく!)」
「うにゃあ、そんなところまで、わ、わ、わ、うーんうーん」
「(ゴクリ。いったいどういう状況なのですか──っ!?)」
「…………すぅ、すぅ」
「(えっ、そこで寸止めですか!? せめて最後までお願いします!)」
「すぅ、すぅ……」
「(ああ、夢の中で私はお嬢様にいったいどのような悪行を……ふおおおおおおおおお許しくださいませ!)」
結局一睡もできなかった。
最終更新:2014年01月20日 01:07