11時
「ザイフリート! ねえ、ザイフリート」
「はい、なんでございましょうか、ジークリンデお嬢様」
「ジークちゃんはおなかが」
「お腹が、空かれたのでございますね。今日は本マグロ100%の高級猫缶をご用意してございます」
「ふにゃ!? んーでも今日は普通のごはんが食べた」
「そうおっしゃると思いまして、実はランチも作っております。ささ、どうぞ(ニコッ)」
「ん。気が利くのですね」
「いつもどおりでございますよ、お嬢様」
13時
「ふぁー……」
「お昼寝でございますねお嬢様。そうではないかと思いタイミングを見計らって干しておいた、ふかふかもふもふぽかぽかのクッションでございます。お日様の香りがしますよ(ニコッ)」
「にゃにゃ!? なんだか用意がいいのですよ。でもありがとう」
「いつもどおりでございますよ、お嬢様」
15時
「ねえザイフリート、喉が」
「ティータイムでございますねお嬢様。本日はティーバッグではなく、本物のロイヤルミルクティーでございます」
「むむ、お茶だけじゃ味気な──」
「デザートはサクサクの手作りスコーンでございます。大地様からいただいたものですのでぜひご賞味を」
「──うん」
「いつものことですからわかりますよ、お嬢様」
22時
「……ん」
「就寝でございますね、お嬢様。すでにベッドメイクは完了しております。いつでもどうぞ」
「うにゃあお。寝室の香水、そろそろ飽きてきたので今日から気分を変えたいのです」
「そうおっしゃると思いまして、実は本日新しい香りのものに変えておきました。ささ、どうぞ(ニコッ)」
「あ、うん、ありがと」
「ではおやすみなさいませ、お嬢様。ごきげんよう」
「………………………………………………………………………………………………………………………………………………むー」
(ガバッ)
「(欲求不満なのです。こんな何一つ不自由ない生活よりずっと、私は気ままなことを言ってザイフリートの困る顔が見たいのですよ!)」
「そうおっしゃると思いまして、実は私、困り顔で息を殺してお待ちしておりました」
「(ビクッ)うにゃ!?!?!?」
「さあお嬢様、思う存分私の困り顔をご鑑賞くださいませ」
「もぉーザイフリートの馬鹿! 余計なことしなくていいのです」
「お嬢様、そのようなわがままをおっしゃられても困ります」
言葉とは裏腹に、二人はなんだかとても嬉しそうなのでした。
最終更新:2014年01月25日 00:13