【名前】エルヴィ=アールグレーン
【性別】女
【所属】魔術
【能力】「大黒袋」「夜闇の小人(ハインツェンメルヘン)」「妖刀村正」「黄金翼のサンダル(タラリア)」「伝令神の水銀杖(ケーリュケイオン)」「魔弾(フライクーゲル)」「アルゴスの瞳」「暴風の王(テュポーン)」「テルの魔弩」その他風の魔術
【能力説明】「大黒袋」
神話「因幡の白兎」において、大国主が兄弟である八十神の荷物を入れていた袋を元にした霊装。
見た目は真っ白い袋。
八十神はその名のとおり非常に多数の神々であり、その多数の神々の荷物を入れることができたこの袋は何らかの手段で内部の空間を拡張していたと解釈。
それにより、この霊装は小型の物置1つ分くらいの容積を得ている。
また、この霊装は布の繊維が魔法陣を形成するように織られており、魔法陣を構成する糸が1本切れるだけでも霊装としての性質を失ってしまうほどデリケートな霊装でもある。
彼女はこの霊装をブラウスの袖口、胸元、胸ポケット、スカートのポケット、その他ブラウスやスカートの襞の中などに付いているファスナー付きポケットの中などに仕込んでおり、その中にそれぞれ複数の霊装を保管している。
「夜闇の小人」
ドイツの民話に出てくる、人が寝静まった夜中に人の代わりに仕事をしてくれたという小人「ハインツェンメルヘン」を元にした霊装。
見た目は長い髭をたくわえた小人を模した手のひらサイズのぬいぐるみ。
布でできたゴーレムのようなものであり、その見た目とは裏腹にそのサイズとしてはかなりの力を持っているほか、近況に限り術者の意のままに動かすことが可能。
ただし、元となる民話から、直射日光に当たると魔術が解け、ただのぬいぐるみに戻ってしまう。
彼女はこれを「大黒袋」の中に忍ばせており、霊装の整理および霊装の取り出し、「魔弾」による銃撃等はこの霊装を用いて行っている。
「妖刀村正」
部分部分で見ると特におかしなところはないが、全体として見ると、まるで「刃紋の形状までもが完璧に計算されて作られた」ような違和感を受ける日本刀の霊装。
村正の銘が一部残っているため、元は村正一派の刀鍛冶が鍛えた刀だったと思われるが、とある
神道系魔術師に盗み出され、霊装に改造された結果現在のようになった。
霊装としての性質は、吉原百人斬りなどに代表される「まるで刀に魅入られたかのように殺人事件などの血なまぐさい事件を起こした」伝承および、妖刀や魔剣と呼ばれる武具が大抵の場合持っている「武具自体が血を求め様々な災いを起こす」という伝承を元とした「血を求める性質」、つまりは「より血が多いところへ向かって行く性質」である。
また、吉原百人斬りの伝承においてたった一本の刀で多数の人を斬ったことから、血によっては切れ味が落ちないという性質も持つ。
この性質により、適当に振るおうと首筋や心臓などの急所に向かって刀自体が勝手に動き、投擲すれば人に向かって飛んで行く。
改造によって銘はほとんど消え、特徴的な刃紋すら大部分が失われているものの、刀としての機能には影響はなく、霊装として用いずとも人一人くらいなら真っ二つにできるほどの切れ味を誇る。
「黄金翼のサンダル」
ギリシャ神話における商業神ヘルメスのはいていた黄金の羽の生えたサンダル「タラリア」を元にした霊装。
見た目は金糸によって編まれたサンダル。
タラリアの持つ「履いた者を世界のどこへなりとも風よりも早く運ぶ」という伝承を、風よりも早く運べたのは履いた者を風に乗せて運んでいたからだと解釈。
さらに、ヘルメスは元はトラキアにおいて信仰されていた羊飼いおよび風を司る神であったとされることから、足の裏に空気を圧縮し、それを解放することで履いている者を吹き飛ばすようにしての高速立体機動を可能とする。
「伝令神の水銀杖」
ギリシャ神話の商業神ヘルメスが所持していたという杖「ケーリュケイオン」を元とした霊装。
見た目は絡みつく二匹の蛇の意匠が施されたアマルガム製の杖。
ヘルメスはローマ神話の神マーキュリーと同一視され、さらにケーリュケイオンは水星を表す惑星記号の基となったことから、ケーリュケイオンはマーキュリーと同名の金属元素「水銀」を表すようになったと云われる。
このことから、この霊装は持ち手の一部から水銀を抽出し、その抽出した水銀を自在に操ることができる。
「魔弾」
ドイツの民間伝承およびそれを元に創られたオペラ「魔弾の射手」に登場する「魔弾」を再現しようとしたと思われる霊装。
だが伝承におけるデメリットをなくすことばかりにこだわりすぎた結果、デメリット自体はほぼなくなったものの、肝心の霊装としての性能が大幅に劣化してしまった。
本来ならば百発百中の魔弾となるはずが、銃から撃ち出す瞬間にのみ対象に向かって力がかかるだけの残念霊装と化している。
普段は近代に使われた旧式の銃に装填されたままスカートおよび両袖の「大黒袋」に入っており、有事の際の撹乱等に主に用いられる。
「アルゴスの瞳」
ギリシャ神話に登場する巨人アルゴスの全身についていたといわれる「眼」を元にした霊装。
見た目は小さな孔雀の羽が封じ込められた大きめのスーパーボールくらいの大きさのガラス球。
現在はネックレスのように首から掛けられている
アルゴスは全身に幾つもの目を持っており、その目が交代で眠ることにより、常に目を覚ました状態でいることができたという。
この伝承を元に作られたのがこの霊装であり、上記の伝承のとおり所持者が目を閉じている間、その者の目としての効果を発揮する。
ただし、この霊装における所持者とは、この霊装を持っている人間ではなく、霊装に所持者として認識される人間である最後にこの霊装を体内に収めた人間を指す。
また、この霊装は効果範囲が非常に広く、たとえ地球の裏側にあろうと効果を発揮する。
ちなみに、現在の所持者は彼女ではない。
「暴風の王」
ギリシャ神話における怪物「テュポーン」を元にした魔術。
テュポーンは大地母神であるガイアのゼウスに対する怒りによってタルタロス(奈落)との間に産み出された怪物であり、肩からは百の蛇の頭が生え、炎を放つ目を持ち、腿から上は人間と同じだが腿から下は巨大な毒蛇がとぐろを巻いた形をしているという。
この魔術では、大地母神たるガイアを大地の象徴であると解釈。さらに、大地に青銅製の杭などを用いてタルタロスを再現した結界を張ることで、大地(ガイア)と奈落(タルタロス)が交わる場所を作り出し、そこからテュポーンを生み出す。
生み出されたテュポーンは、テュポーンが台風を意味する英語の基となったことから、竜巻によって伝承において語られるテュポーンを象ったような姿で、大きさは小さな家ほど。
また、神話において不死の怪物として語られることから、たとえ体のほとんどを消し飛ばされようとすぐさま再生する。つまりは風版「魔女狩りの王」みたいなもの。
ただし、この魔術によって生み出されたテュポーンは結界の外に出ることが出来ない上にコントロールすら出来ず、さらに結界が崩壊するとそれに伴って術式が保てなくなり結界と共に消滅してしまう。
「テルの魔弩」
2mほどもある巨大なクロスボウに「妖刀村正」を矢としてつがえ、風の魔術を併用してマッハ2近くの速度で打ち出す魔術。…魔術?
打ち出す際に速度のみを重視してぶっ放しているため、普通の矢を用いた場合100メートル先の車にすら当たらないほど精度が悪い。
また、この魔術を「テルの魔弩」と呼ぶ理由はクロスボウを用いる魔術だから、というものなので、魔術の名称こそ「テルの魔弩」だが、全くもってスイスの英雄ウィリアム=テルとは関係がない。
【概要】フリーの魔術師。フィンランド出身で歳は20代前半。
魔法名は「ducitur157(松明を掲げる者)」。
世界中を旅して回っており、その先々で様々な品物(そこの特産品やたまに霊装)などを買い込み、次の目的地でそれらを売り払ってまた買い込むというまるで行商のような日々を送っている。お金が足りなくなればしばらくアルバイトをして資金を稼ぐこともあるとか。
またその過程で様々な厄介事に首を突っ込んだりもしていたりもするため、いい意味でも悪い意味でも顔が広い。
彼女がこのような生活を送っているのは、「世界の全てを見て、その全てを体感する」ため。
そのため、時々とんでもないことをしでかすことがあり、過去には滝や崖の上から飛び降りたりジャングルに単身で突撃を仕掛けたり。そんなサバイバルの成果か、はたまた元からか熊とタイマンして勝つようなレベルの身体能力を持っている。
過去に日本に来た際に出会った変わり者の神道系魔術師に師事しており、「大黒袋」及び「妖刀村正」はその魔術師のところで手に入れたもの。
日本語もその魔術師から習ったものだが、最初冗談で英語で「師匠」を意味する「Master」を日本語では「ご主人様」と言うと教えられ、それを信じ込んでいたため、一時期絵面が「世間知らずのお嬢様を騙してご主人様と言わせて悦に入る変態」みたいなことになっていた。
今では呼び方は「師匠」になっているが、わざわざメイド服を着てその魔術師に会いに行き、人前で「ご主人様」を連呼するなどまだ忘れてはいない様子。
現在はまだ見ぬ景色を追い求め、学園都市への侵入を試みているようだ。
【特徴】高めの身長。年の頃は20代後半。
髪は長めの銀髪で、緑色の目をしている。ほぼ常時糸目。
一部を除いて全体的にスレンダーなため、髪の色が薄いなこともあって儚げな深窓の令嬢といった見た目。
服装は真っ白なブラウスにゆったりとしたプリーツスカートといった前時代のお嬢様学校を思わせるものだが、ブラウスの至るところに取り付けられたファスナーがそれを完全にぶち壊している。
2つのバイオリンケースを携帯しているが実際にバイオリンが入っているのは片方のみで、もう片方には「テルの魔弩」で用いるクロスボウのパーツが入っている。
【台詞】
「ネパールのお守りはいかがですかー?山奥の秘境の村に伝わる悪霊を追い払う霊験あらたかなお守りですよー」
「師しょ……おっと間違えた。ご主人様ー。私を置いてくなんて酷いですよー。ご主人様ー」
「さあ、いざ行かん学園都市!見たこともない景色を目指して!」
【SS使用条件】特になし