【名前】夕弦銅坑(ゆうげん どうこう)
【性別】男
【所属】魔術
【能力】『写し八百万神』、『恵みの御神米』。
【能力説明】
仏教で言う所の写経の神道版。祝詞写しや写し百神の技法を参考に、八百万神の名と性質を書き連ねた冊子。複数所持。
冊子として利用しているのはA5リングノートだが実質的には護符の集合体である。ボリューム増し増しの500ページ超。黒色のブックカバーを付けると傍目からは分厚い手帳のようにしか見えない。
性質的には魔道書というよりかは護符であり、その分密度も魔道書に比べれば薄い。古代に栞として用いられていた夾算をマジックアイテムとして製造し任意のページ各所に挿している。
紙の表側には八百万神の名を延々と書き連ね、紙の裏側には使用する表側に記載した神の性質に則った術式の詳細を書き連ねている。
神の中には複数の性質を有しているタイプも存在する為、表側は同じ神名・裏側の術式内容が相違している
パターンもあるし、同じ神名・同じ性質という記載内容を複数ページに渡って書き連ねているパターン(言うまでも無くより強大な魔術を行使する為)もある。
詠唱無しで魔術を発動できる利点がある一方、使用したい特定の神の名と術式が記載されている紙を指で挟んで初めて魔術を使用できるという縛りがある。
しかし、夾算を挿している場合は指で挟む必要無く、しかも挿している分だけ魔術を使用できる。所持する夾算の数は全部で五本。夾算は『一枚』しか挟めない。
また、ノートから紙を切り離し燃焼させてできた灰は記載していた神の性質に沿う森羅万象(例:土、水、火、風、金属etc)を『吸収』する特徴がある。
元々の祝詞写しや写し百神の場合土地を清める為に灰を土に埋め、災いから脱却する為に川へ灰を流すという所作を行っていた。
これを実戦用として独自解釈を織り交ぜながら昇華させ、術者が生み出した物であろうと他人が生み出したものであろうと元より自然又は自然現象として存在していたものであろうと紙に記載していた神の性質と合致する現象を灰が『吸収』し、同性質を『吸収』する事で単純な足し算では無く比例的に『強化』される自動術式群『神送り』は肥え太る事で連鎖的に強大化し続ける。『吸収』から次の『吸収』まで200秒以上経てば自動消滅する。
例:火の神カグツチの名と性質(=術式)を記載した紙を切り離し魔術で燃焼させる→灰を核とする自動術式群『神送り』発動→燃焼によってできた灰は紙を灰にした燃焼魔術を『吸収』する→敵対魔術師が火属性魔術を放てばそれも『吸収』する→強大化した火の怪物達は術者が障害と見做したものに襲い掛かる。
日本神道において『恵み』を意味する米、つまり稲を用いた防御侵食魔術。原作に登場した棕櫚魔術と類似している。
『食い止める』『弾き返す』等々の防御機能を『恵み』と認識し、防御魔術を侵食する性質を稲に付与させている。
種子としての役割も持つ籾が指定場所へ接触する事で魔術は発動する。結界などの防御魔術に籾が触れた瞬間、現象として現れている防御用の『壁』に対して籾から生える根が侵食を開始する。
防御魔術を構成する魔力を栄養源に稲は瞬く間に成長し、稲穂に籾が形成され、その籾が防御魔術へ落ちる事で再度侵食を開始する。魔力を吸収して成長する稲は根を含めて通常のものより大きくなる。
魔術に限らず侵食中の稲を破壊するために攻撃が加えられると稲は枯れ(=『恵み』の消失)、同じ『恵み』である防御魔術の内、根が侵食していた箇所を道連れとして消失させる。部分的な消失が防御魔術全体に波及するタイプであれば全体が消失する(魔力欠乏による消失は言わずもがな)。
術式そのものを根本から破壊するような魔術ではないので魔力など必要なものがあれば張り直しは可能である為再展開前に攻勢を仕掛けるのが常套手段である。
対象となる防御魔術に対する厳密な基準として防御の『性質』が挙げられる。干渉を食い止める『遮断』、干渉を弾き返す『反射』、防御に干渉した物or者に制裁を加える『反撃』などが『恵み』と判定される。
言い換えれば干渉を受け流すタイプには侵食を始めとする全体的な効果が弱まり、干渉を吸収するタイプの防御魔術に至っては全く効果を発揮しない欠点が存在する。
また、他の欠点も存在する。要塞クラスの防御魔術にも根を侵食させる事はできるのだが、ここまでのクラスになるとその超高強度から『恵み』の“過多”と判定されてしまう。
『恵み』とは“過多”であってもいけないのである。つまり、要塞クラス以上の防御魔術に対しては侵食して魔力を吸収する事自体はできるのだが吸収量が通常に比べて大きく減り、仮に成長したとしても繁殖の為に必要な籾が形成される前に『恵み』の“過多”により稲は枯れてしまう。
しかも枯れても防御魔術は消失しないという有様に陥ってしまうのである。これは枯れる前の稲に攻撃を加えて無理矢理枯らしても同様である。よって安定的に効果を発揮できるのは要塞クラス未満の防御魔術までとなる。
侵食される前に種子となる籾を消滅させれば全く問題無いのだが、その数が膨大。元より籾のようなとても小さく且つ超軽量級の物体を数多く所持する事は難しく無い。
攻撃魔術の類で風に乗せて籾を運べば遠距離からでも仕掛ける事ができるので、様々な戦略・戦術に組み込む事ができるだろう。
【概要】
『
神道系出雲派』所属の魔術師。未成年ながらバリバリの武闘派魔術師であり、その戦闘能力の高さから『怪童』と呼ばれている。魔法名『何物をも貫く矛ならここに在る(Pike591)』。
飛び抜けた直接戦闘能力の持ち主であり、加えて防御侵食魔術の所持者でもある事から拠点攻略戦にも強い。
外見からは虫一匹すら殺せないような気弱な優男というイメージしか抱かれない儚げな少年だが、実戦では直接戦闘担当の冠に相応しい規模の戦闘を行う。
速筆家であり、魔術『写し八百万神』で用いる新たな魔術を護符代わりのノート一枚に記載するスピードは並では無い。
理知的で冷静。テンションは何時も均一に保ち、淡々と己の役目を遂行するクールな人間。しかしながら完璧主義者である為に他人に仕事を任せるという事ができない。
他人を信頼していないとか信用していないとか以前の問題で、当人の性格上致し方無いとしか表現のしようが無いと周囲からは見做されている。
自分に課せられた役目を100%遂行する為に出雲派の性質上目立った戦闘機会は少ないながらも単身敵陣へ挑んでいく姿勢を繰り返した事から何時の間にか『怪童』などという別に欲しくも無い異名を与えられてしまった。
仮に誰かが夕弦に課せられた仕事を手伝おうとすると、夕弦の機嫌は露骨に悪くなる。それでも実力行使で排除しないのは一応仲間意識がある証明かもしれない。どうしても協力が必要な時は渋々受け入れているが、作戦の完璧遂行の為の確認を何度も念押ししてくる。
元々フリーの魔術師で数年前に出雲派へ流れてきた。本人曰く東日本出身らしく、当地の魔術結社や結社予備軍の存在をある程度知っているらしいが同じ神道系で東日本に勢力圏を構築している遠野派や皇室派に席を置かなかった理由は未だ判然としていない。
完璧主義という事は、言い換えれば仕事で手を抜いたり手心を加たりが無いという事である。夕弦が敵に温情やお情けを掛ける事は無い。
感情の起伏が無いわけでは無い。夕弦にも怒りや悲しみの感情は存在する。しかし、それを顔色として雰囲気として表現はしない。全ては戦場において、荒れ狂う魔術が闊歩する魔術師同士の戦闘において、繰り出す強大な魔術の脈動が夕弦の抱く感情を雄弁なまでに語り尽くしている。
【特徴】
174センチ70キロ前後。18歳。眉毛まで掛かる程度の長さの前髪。後ろ髪は首元より少し下まで掛かる程度の長さ。金髪。
垂れ目で見るからに気弱。儚げな雰囲気を醸し出している。男ながらも流行のメンズ用香水を使用している。
胸元のボタンを外したカッターシャツに紺色のスラックスを穿く姿は何処かの高校生か何かかと勘違いされてもおかしくない。
実際高校には通っていない。夕弦が辿ってきた人生の詳細を知る者は現状誰一人として存在しない。
【台詞】
「うん…うん…今日は……何だか心が毟られるな。決して不愉快じゃないんだけど…この感情を言葉として表現するのは僕には無理だな。まるで物言わぬ石像みたいなヤツだな僕は。…いっその事この心が蠢くままに、僕の邪魔をする連中へ何も語り掛けず、彼等を生の終着点(おわり)へ導く衝動溢れる調(しらべ)を奏でてみようかな」
「魔術師なら命乞いなんてみっともない真似なんかするなよ。魔術師は“異常”なんだ。正常なんかじゃ無い生き方なんだ。僕だったら命乞いする前に自分の首を掻き切ってるよ」
「何で付いてくるの?……手伝い?…………はああああぁぁぁ……」
【SS使用条件】
特になし
最終更新:2016年05月14日 22:57