9月1日、この日は2学期の始業式だが、今月最大のイベント大覇星祭の話でもちきりなっていた。
そして、稜たちのクラスでは…
「いいかお前ら…今年は何が何でも1位を獲るぞ!!」
「なんで先生が気合入れてるんですか?」
稜は、妙に熱が入っている雄介に、質問した。
「去年のあの日を覚えているか?」
「あ~」
「確か~…私の記憶によりますと、『共学の常盤台』と噂されているのにも関らずの第5位でしたよね?」
すかさず狐月が結果を口にした。
「そうだ!!あの後この学校に通っている生徒の親から抗議の電話やクレームが止まなかったんだよ!!!」
雄介は今にも泣きそうな声で言った。
「んで?」
「『なぜうちの子が出ているのに1位になれなかったんだ!!』って言われたんだよ!!」
「あ~…居るよねぇ、そういう親、稜はどう思う?」
麻美は雄介の話に納得しながら、稜に聞いた。
「しょうがねぇだろ…大覇星祭はぶっちゃけ肉体競技だからな、それに能力がかぶさっただけだ…」
「おぉ!!かみやぁ!お前は解ってくれるのかぁ?!俺の気持ちを!!」
「先生気持ち悪いっす…」
「う…」
稜は、雄介に身も蓋もない返答をした。
そんな中、一人だけ首を横にかしげている生徒が居た…
「ねぇ、稜」
「ん?正美、どうした?」
「大覇星祭ってな~に?」
「は!?」
「え!?」
雄介の、クラスの生徒全員が正美の質問に驚いた。
「風川…後で神谷に聞け、いいな?」
「はい…」
「とにかく!!競技に出るメンバーを今から発表する!!」
雄介はざわつく生徒たちを静かにされるように言った。
「まずは、障害物競走だ!ウチのクラスでこれにでるのは…神谷!!」
「はい…」
「これは学年対抗で各学年から二人の選抜だ!障害物は破壊可だ!」
「おお!見せ所かよ!?いいじゃねぇか神谷!!」
「そして玉入れ!これは全クラスからの3人ずつ選抜で、ウチのクラスからは神谷、斑、火川だ!!」
「おぉ」
「また俺かよ…」
「10キロマラソンは…ウチのクラスからは出ないことになった」
「なんで!?」
「この中で一番体力がるのは?」
「神谷!」
満場一致だった。
「さすがに神谷ばっかりには負担は掛けられない!風紀委員は俺たちにとっても大切な存在だからな!」
こうして大覇星祭の参加種目と参加者が決められた。
そして当日、長い開会式を終え、稜は、第4種目になっている障害物競走の会場へ、正美と一緒に歩いて向かっていた。
「楽しみだなぁ!稜が出る種目!」
「気が重いんだよなぁ…あれ」
「第1走者でしょ?」
「まぁな…「稜!」
「ん?」
突如二人の前に夫婦が現れた。
「親父!母さん!!」
その夫婦は、稜の親だった。
「元気そうだな?ん?そちらの方は?…おっと、相手の名前を聞くときはまずこちらから名乗るのが礼儀だったな」
稜の父親は微笑みながら言った。
「初めまして、私は、稜の父親の、神谷 秀(かみや ひで)です」
「同じく母親の、神谷 理穂子(かみや りほこ)です」
「あ、えっと、は、初めまして!風川正美です!え~っと…」
「フフ、稜のガールフレンドですよね?」
「ああ、まぁそんなとこだ」
緊張している正美をフォローするように稜は言った。
「今年は何に出るんだ?」
「障害物と玉入れってとこだな…」
「正美さんは?」
「え?えっと、わたしは…応援です…」
「じゃあ、がんばって応援してくださいね?」
「は、はい!」
「…じゃあ、俺たち時間もねぇから先行ってるよ?」
「ああ」
「行くぞ?」
「う、うん!」
稜と正美は、稜の親を後にした。
「なんでそんな緊張してたんだ?」
「だって…稜のお父さんはかっこいいし、お母さんは美人だし…」
「ふ~ん…お、着いたな…んじゃ、しっかり応援頼むぜ?」
「うん!」
そして、第4種目、障害物競走が始まろうとしていた。
『ただいまから、第4種目、障害物競走を開始します、第1走者の生徒はスタートラインで待機をしてください』
稜はスタートラインにたった。
「なぁんだ、映倫の第1走者はたいした事なさそうだな!!」
稜の右隣の走者は余裕な感じで、稜を見下していた。
「…お前速いのか?」
対する稜も相手を挑発するように言った。
まさにそれは、一触即発だった。
「それではこれより障害物競走を始める!!ただし!走者への妨害は不可とする!破った場合は即失格!!では!位置について!!用意!ドン!!!」
第1走者はいっせいにスタートダッシュを決めた。
一つ目の難関に差し掛かった。
それは、王道の網くぐりだった。
「…」
稜はスライディングで網をくぐり抜けた。
「何だ、お前もか!」
「…」
稜は二つ目の難関に差し掛かった。
二つ目の難関はピッチングマシーンから容赦なく飛んでくる玉をよけきる障害だった。
「斬ってもいいんだよな…」
そう呟くと、稜は閃光真剣を出し、次々と飛んでくる玉を一刀両断にして行った。
「すごい…」
観客席から見ていた正美も驚愕していた。
そして稜は、また次の最後のへと向って行った。
最後の難関は、高さ3メートルはある、壁越えだ。
ここまでで、半分の走者は脱落していた。
「なるほど…」
稜は閃光真剣を二刀流にして、壁に突き立て、ロッククライミングのように上った。
そして、なんと2位でゴールを駆け抜けた。
1位は、電撃使い(エレクトロマスター)の男子生徒だった。
「惜しかったねぇ!」
「まぁな、次は玉入れだ」
稜は、正美と合流し、次の種目、玉入れの会場へ向かった。
「遅いよ!稜!!」
「悪かったな…移動距離が思ったより遠くて」
「まあ、とにかく、今回の対戦相手は風輪学園だ。気は抜けない。」
「そうだな」
「やるぞ~!!」
「おー!!」
『ただいまより、第7種目、玉入れを開始します。一回戦目の学校生徒は速やかに入場してください。』
「俺たちだっけか?」
「そうだ」
「っしゃあ!!行くか!!」
会場に入ると、稜たち、映倫に対し、風輪学園の人数が圧倒的に多かった。
「ねぇ…これって…ハンデ?」
「でか過ぎだろ…」
「それでは!用意!!始め!!!!」
「!?」
開始早々火の玉や、電撃が飛び交い、そこは、小さな戦場になっていた。
「これじゃあまともに入れられねぇじゃねぇか」
「稜、どうするの?」
「ひとつ思いついたことがある…けど」
「けど?」
「狐月と麻美の力が必要になる」
「分かった。」
「任せて!!」
「んじゃ、麻美!援護頼む!」
「うん!」
稜は、転がっている自分たちが入れる玉を、ひとつずつ拾って行き、両腕いっぱいになるまで抱えた。
「させるか!!」
それに気付いた風輪の生徒が、稜に攻撃をしてきた。
「させない!!」
「うぉ!」
麻美が、その生徒を、パチンコ玉を弾丸のように飛ばし、吹っ飛ばした。
「狐月!!」
「そう言う事か!!」
狐月は体制を低く構え、両手を頭上に構えて、その上に、稜が乗った。
「いっけぇ!!!」
狐月はエアロハンドを発動させ、稜を真上に飛ばした。
すると稜は、そのまま空中で前転し、近くの籠に、ダンクをするかのように玉を押し込んだ。
「やりい!!」
そしてタイムアップとなり、映倫の勝ちで勝利を収めた。
しかし、次の試合で、映倫は、惨敗した。
そして、1日目の競技が終わった。
「もう帰るのか?」
「あなたの元気な姿を見れただけでよかったわ?」
「それじゃあ、私達はこの辺で、あと、稜、彼女を悲しませるような事はするなよ?」
「分かってる」
「それではまた」
「おう」
二人は学園都市を後にした。
そして、ナイトパレードで、稜と正美は仲良く花火を見ていた。
一方その頃、狐月と麻美の方では…
「はい、何も飲んでないだろ?」
「ありがと」
狐月は麻美にドリンクを渡して、隣に座った。
「「…」」
お互い、沈黙が続いた。
「ねぇ、今日の狐月かっこよかったと思うよ?」
「神谷君の間違いじゃないのか?」
「ううん…そんなこと無い!」
「うれしいよ」
いつの間にか、二人は、手を握り合っていた。
そして、翌日以降の種目が終わり、映倫は4位で、大覇星祭は終了した。
END

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最終更新:2011年12月19日 18:35