1月14日、第六学区、アミューズメントパークにて…
「すみません!遅れました。」
「おせぇぞ」
「何やってんのよぉ!」
「まぁまぁ」
雅から非番を無理やり貰い、稜、狐月、麻美、正美の4人で遊ぶことにしたのだった。
なぜそうなったのかは日にちを遡り、先日のことだった…
映倫にて…
「え?第六学区のアミューズメントパークの招待券?」
「ええ、本当は麻美さんと二人で行きたいと思ってとったんですが…」
「うっかり4枚取っちゃったってやつ?」
「はい。捨てるのももったいないので、後二人、誰を誘えばいいか迷ってしまって…」
「う~ん…あ、じゃあ稜と正美を誘えばいいじゃん!」
麻美は少し考えてから提案した。
「そうですね…そうすれば神谷君と風川さんの仲を修復する手伝いができますしね!」
「じゃあ、膳は急げ!!あたしは正美を説得するから…」
「神谷君は、私が。」
「頼んだよぉ!」
「はい!」
そして放課後支部に向かう途中の道にて…
「は?アミューズメントパーク?…無理だろ…明日は出番だ…」
「非番にしてもらいましたよ?」
「じゃあ部屋で寝てる…」
稜は、そっけなく答えた。
そのとき、狐月は、稜の微妙な気持ちの変化を見逃さなかった。
「風川さんが居るから?」
「!?…ち、ちげぇよ!!」
稜は、虚を突かれたのか、口では否定をしているが頬が赤くなっていた。
図星のようだった。
「仲直りするチャンスだが?」
「…」
「本当に逃げるのかい?」
「逃げねぇ」
「じゃあ…」
「行ってやろうじゃねぇか!!」
稜はあっさり狐月の誘導作戦に引っかかった。
そして狐月は、内心でガッツポーズを決めていた。
再び現在にて…
「じゃあまずはジェットコースター行く?」
「いいですねぇ!二人は?」
「二人に任せる…」
「ジェットコースター、初めてだから怖いな~…」
「じゃあ、座席は…「あたし狐月の隣がいい!!」
「では二人が一緒で」
「ああ…」
「…うん…」
「「…」」
麻美と狐月は、稜と正美の間に、壁が見えていた。
「麻美さん…」
「こりゃたいへんねぇ…」
こうして四人はジェットコースターに乗った。
「さーって次は…!?」
麻美は、稜と正美をみると、目を丸くした。
「だからわたしは別れたくて別れたわけじゃ…「それを今ここで言ってどうすんだ?」
「それは…「はいそこちょっとストーップ!!!」
麻美は、口喧嘩になりかけた、正美と、稜の間に割って入った。
「い~い?今日はパーッと遊ぶんだから!喧嘩はなし!!」
「分ったよ…」
「ごめん…」
そんな二人の姿を見て、狐月は麻美のわき腹をつついて耳元で囁いた。
「手強いですね…」
「そうね…仲がよかったのも考えものってことねぇ…」
「そうだ、次はそこのバーチャルシューティングをやりましょう!!」
「狐月!!スコアで勝負しよう!」
「はい?エリートの私たちは当てるのが普通なんですが?」
「じゃあ…やる?」
「では同じ部屋で。」
「それじゃあ稜と正美はまた一緒に楽しんでね!!」
そう言って、二人はそのアトラクションへ向かって行った。
「あ!ちょ!待てよ!!」
「置いてかないで!!」
バーチャルシューティング部屋にて…
そこは、敵が見えるゴーグルに、痛みを感じることができるプロテクターを、着けて遊ぶ、アトラクションだ。
360度、敵が周囲を囲み、背中合わせで、稜と正美はレーザーガンを構えた。
『3、2、1…ゴー!!』
開始と同時に、ウオォ!と敵が一気に攻め寄ってきた。
「おせぇ!!」
稜は的確に敵の頭を打ち抜いた。
「負けないんだから!!」
正美も、負けじと、敵を打ち抜いた。
「稜のバカ!!」
「は!?バカはお前だろ!!」
再び口喧嘩が始まった。
「わたしの気持ちを理解してないもん!!」
「当たり前だろ!!」
「なんでそれが当たり前なの?!!」
「じゃ、何で別れた!理由を言わねぇんだよ!!言わなきゃ解んねぇだろうが!!!」
「!!」
「何があったが全部言えよ!!なんであんな演技までして俺と別れたんだよ?!!」
「それは…」
正美は、急に俯き、レーザーガンを構えるのを止め、動かなくなった。
「?…危ね!!ボーっとすんな!!」
稜は正美に攻撃をしようとした敵を打ち抜いた。
「ごめんね…」
「あ?」
「わたし…稜が全部理解してくれてるって思い込んでた…でも…そうだよね…何も言わなきゃ…気づかないよね…」
「…俺も悪かった…」
「え?」
「お前を守るって言ったのに…何一つ気付いてやれなかった…俺も人として…男として失格だよな…」
「そんなことない…」
「いで!!」
「きゃ!」
二人は、同時に、ゲームオーバーになった。
「なんだよ…いいとこだったのによ…」
「あのね…稜…」
「ん?どうした?」
「『あの日』わたしに起きたことを…話したいから…」
「じゃあ…二人が来るまで待つか…昼飯食いながら話そう」
「うん」
こうして、二人は狐月たちを待った。
「ふー!楽しかったぁ!!」
「バカな…このエリートの私が…スコアで負けるとは…」
「どんまい…」
「ん?貴方たちはゲームオーバーですか?」
「ああ、諸事情でな…」
「ねぇ!お昼にしよう?」
「ああ、そうだな…」
「「?」」
狐月と麻美は、稜と正美の間の雰囲気が変わっていることに気がついた。
「誤解が解けたみたいですね?」
「よかったぁ~」
昼食広場にて…
「え!?キツネが黒幕!?」
「じゃあ、午後の授業に正美が居なかったのは…」
「うん…別れ話をすらすら言えるように特訓させられてたの…」
「それで無感情だったのか…やっと解った…」
「神谷君、ずっと考えていたのはそのことだったのかい?」
「ああ、まぁな」
「だとして…なぜそこまでして二人の仲を裂こうと…」
「そんなことよか打開策だ…」
「まぁ、そうねぇ…二人はあのキツネに睨まれてるわけだし」
「4人で一緒に帰るというのは?」
「それでごまかせるのか?」
「弄りと、弄られキャラを演じれば…」
「「それだ!!」」
こうして4人は昼食を取った。
そして、その後も、暗くなるまで4人は遊んでいた。
「ふぅ~!!遊んだ遊んだ!最後は観覧車で締めよう!」
あたりはすっかり暗くなり、アトラクションはイルミネーションで輝いていて、観覧車に乗る時間にはちょうどいいタイミングだった。
「わたし、稜と乗りたい!!」
「言わなくてもそうするつもりよ?」
こうして、それぞれは、ペアになって観覧車に乗った。
稜と正美の観覧者にて…
「きれいだな…」
「うん…ねぇ、稜」
「ん?」
「ごめんね…」
「もういいって、済んだことなんだからよ」
「ありがと…ん…」
正美は、稜の顔に近づき、キスをした。
「高台でのお返し!!」
正美は少しいたずらっぽい笑みを浮かべていた。
「ったく」
いい雰囲気だった。
そのころ狐月と麻美は…
「うわ~…本当にしちゃってるよ…」
「見てて微笑ましいですね。」
「じゃあ…あたしたちは…」
「うわ!」
麻美は、突然狐月を座席に押し倒し、その上に乗りかかった。
「濃厚なキスを…ん~…」
「ま、ままま待ってください!!」
狐月は思いっきり慌てふためいていた。
そんな状態の狐月を見た麻美は…
「プッ…あははは!!なにそれ~?それが男子が女子に見せる反応?」
麻美は、狐月をからかうように笑った。
「か、からかわないでください!!」
「わかったわかった」
二人の関係はまさに、草食系男子と肉食系女子に近かった。
こうして4人は一生残るであろう思い出を、作ったのだった。
END

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最終更新:2012年01月03日 13:26