女性4人の「細穴屋」、0.1ミリの世界で奮闘 東大阪
(2009/09/21 asahi.comより)
リンク元:http://www.asahi.com/business/update/0910/OSK200909100048.html
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髪の毛ほどの太さの穴を開けることに特化した小さな金属加工会社が大阪府東大阪市にある。屋号は「細穴屋(ほそあなや)」。働くのは30~40代の子育て世代の女性4人で、同市内に6千以上ある町工場の中でも異色だ。開業から3年、不況もバネに取引先を全国に広げている。
「バチバチッ、バチッ」。金属部品の上から極細の電極が近づくと、線香花火のような火花が飛び散る。放電によって金属が溶け、徐々に穴が深くなっていく。
正式な社名は「エストロラボ」。専門の細穴放電加工は、ドリルではできない小さな穴を開ける技術で、精密加工をする際の基準となる穴や、金型の空気抜き穴などをつくるのに欠かせない。専門に請け負う会社は全国でも数えるほどしかないという。
穴の直径が小さいほど深くするのは難しくなる。穴径が0.3ミリなら、その100倍の30ミリ以上の深さにできるが、穴径0.1ミリだと、「うちの今の技術力だと4ミリを抜くのが限界かな」と社長の東山香子(ひがしやま・きょうこ)さん(37)は話す。
東山さんは美術専門学校を出て信楽焼の窯元などに勤めた後、誘われて大阪の放電加工機メーカーで働き始めた。父親が鉄工所を営んでいたため技能工になるのに抵抗はなかった。ここで、ものづくりの面白さに目覚めて独立を決意。06年春、同僚の和田恭子(わだ・きょうこ)さん(44)と一緒にマンションの一室を借り、「細穴屋」の看板を出した。
最初は手探り状態。周辺の工場を自転車で営業に回った。「注文通りにできなければ代金はいらない」と成功報酬を条件に仕事をもらっては、難解な図面と格闘した。ホームページに料金表を出して穴1個の加工から請け負い、どんなことがあっても納期を守った。女性が営む金属加工会社という珍しさもあって、徐々に受注が増加。取引先はいまでは全国に約300社あるという。
仕事が増えるのに合わせ、「子連れOK。出勤時間も融通可」という条件で従業員を募集。2年前に山本雅代さん(33)、1年前に塩谷恵美(しおたに・めぐみ)さん(30)が仲間に加わった。2人とも以前は事務の仕事しか経験がなかったが、「子育てと両立できる、やりがいのある仕事に出会えた」という。子どもが突然熱を出したら、仕事をカバーし合って休みがとれる。
穴を開ける金属を固定して基点を定める作業は、1千分の1ミリ単位の微調整が必要。細かな気配りと根気は欠かせない。「個人差もあるでしょうが、どちらかというと女性向きの仕事」と東山さん。出入りの業者から「(手間ひまがかかりそうな作業を)よくやるなぁ」と声をかけられることも。
今年3月、0.1ミリの穴も開けることができる最新の放電加工機を導入した。不況で昨年末から受注は減ってきたが、時間的に余裕がある今こそノウハウや加工データを蓄積し、次のステップへつなげたいと考えた。「融資を受けることができたのも、これまで積み重ねた信用があってこそ。でも、これから返済に頑張らないと」と東山さん。
7月上旬には名古屋市で開かれた「難加工技術展」へ初出展し、技術力をアピールした。具体的な問い合わせをする客が多く、反響はまずまずだったという。
(北村哲朗)
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