ロシア連邦とアブハジア共和国間の友好、協力及び相互援助に関する条約
歴史的に形成された堅固な関係、自国民の友好及び善良な交流の伝統に支えられ、
ロシア連邦とアブハジア共和国間の友好関係、善隣及び相互援助の強化が両国家国民の根本的な国家利益に適い、ザカフカーズ地域における平和、安全及び安定の事業に役立つと考え、
国際法の公認に原則及び規定、何よりも国連憲章の目的及び原則への忠誠を確認し、
その関係を質的に新しい水準に上げることを希望し、
人権領域における公認の規定の遵守への忠誠を確認し、
普遍的平和と国際協力の強化を求めつつ、
以下のことに関して合意した。
第1条
締結国は、国家主権及び領土保全の相互尊重、紛争の平和的調停及び経済その他の圧力方法を含む武力又は武力による威嚇の不使用、同権及び内政不干渉、人権及び基本的自由の遵守及び擁護、国際義務の誠実な遂行の原則、並びにその他の国際法の公認の原則及び規定により理路整然と指導されつつ、友好国家としてその関係を構築するものとする。
第2条
締結国は、対外政策領域において密接に協力し、ザカフカーズ地域における平和の強化、安定及び安全の向上問題において協力し、これらの目的において、相互利益となる国際及び地域問題に関する協議を定期的に行うものとする。締結国は、締結国の利益を損なう地域紛争その他の状況の調停への協力のために、調整された努力を傾けることが義務付けられる。
第3条
締結国は、ロシア連邦とアブハジア共和国の主権の擁護、領土保全及び安全の保障の問題において、相互に密接に協力するものとする。締結国は、締結国の何れかの意見により、その攻撃の脅威が発生する時毎に、共同防衛、平和の維持及び相互安全の保障の目的において、相互に至急協議するものとする。これらの協議過程において、何れかの締結国が発生した脅威の除去への協力目的において他の締結国に提供する援助の必要性、種類及び規模が規定されるものとする。
第4条
締結国は、平和への脅威、平和の侵害の除去、並びに何らかの国家又は国家集団側からの侵略行為への対抗のために、その利用できる全ての措置を共同で採り、国連憲章第51条に従い、個別的又は集団自衛権の行使秩序において、軍事を含む必要な援助を相互に提供するものとする。
第5条
締結国の安全、並びにザカフカーズ地域における平和と安定の保障の目的において、締結国の各々は、自国領土における軍事インフラストラクチャー及び軍事基地(施設)のその軍による建設、使用及び完全化の権利を他の締結国に賦与するものとする。
具体的な各場合における当該権利の実現の条件と秩序は、個別協定により規定されるものとする。
締結国は、軍事協力に関する個別協定を締結する。
第6条
締結国は、その何れかに対して向けられた何らかのブロック又は同盟に加盟しないものとする。
締結国の各々は、直接又は間接的に他の締結国に対して向けられた何らかの行動若しくは措置への参加、又はその支持を自制するものとし、その領土が何らかの形で他の締結国に対する侵略の準備若しくは実施又はその他の暴力的行動の目的において使用されることを許さず、並びに同国家と他の締結国間の武装紛争発生の際に第三国に援助を提供しないものとする。
第7条
締結国は、ロシア連邦とアブハジア共和国の領土保全及び既存の境界の不可侵性を承認及び尊重する。両国は、ロシア連邦とアブハジア共和国間の国境線に関する個別協定を締結する。
アブハジア共和国国境の警備は、その独自の安全、並びにザカフカーズ地域における平和と安定の利益に立脚して、締結国の共同努力により実施されるものとする。
締結国は、同問題に関して、個別協定を締結する。
第8条
何れかの締結国の市民は、市民権を取得する締結国の法令により定められた条件と秩序において、他の締結国の市民権を有することができる。
二重市民権問題の解決の目的において、締結国は、個別協定を締結する。
第9条
締結国の各々の領土においては、他の締結国の国家機関及び地方自治機関により交付された文書が承認される。
第10条
締結国の各々は、その人種、性別、言語、宗教、政治又はその他の信条、民族又は社会的出自、財産又はその他の地位に拘らず、市民、政治、社会、経済及び文化的権利と自由をその領土に居住する者に保証することが義務付けられる。
締結国の各々は、他の締結国の領土に居住する自国市民の権利を擁護し、国際法の公認の原則及び規定に従い、庇護と支援を提供するものとする。
各アブハジア共和国市民は、アブハジア共和国代表部が存在しない第三国の領土において、ロシア連邦市民と同じ条件で、ロシア連邦の外交代表部又は領事施設側からの擁護権を有する。
第11条
締結国は、締結国領土への自国市民の自由な入国、同領土からのその出国及びその移動の保障に必要な措置を採るものとする。
締結国は、第三国へのその市民の入国及び出国に対して、共通の体制を保障することが義務付けられる。締結国は、その領土への第三国市民の入国及びその領土からの同市民の出国の体制の規制に関して、一致した複合措置を立案及び実施するものとする。
第12条
締結国は、国家、人種、民族又は宗教的不寛容、敵意又は憎悪に基づいた人又は住民集団に対する暴力の教唆となるあらゆる行動の防止及び阻止のために、しかるべき法令の採択を含む効果的な措置をその領土において実施するものとする。
締結国は、その民族、言語、文化又は宗教的独自性の理由により脅迫又は暴力、差別若しくは敵対行為に曝されているか又は曝され得る者又は住民集団の擁護、並びにその所有の擁護に関して有効な措置をその領土において採るものとする。
第13条
締結国は、自国領土における少数民族の民族、言語、文化及び宗教的独自性の擁護を保障し、同独自性の保持及び発展のための条件を創出するものとする。
締結国の各々は、その意思に反して何らかの同化の試みに処されることなく、その全様相においてその文化を自由に表現、保持及び発展させる少数民族に所属する者の個別的又は少数民族に所属する他者との共同による権利を保証するものとする。
締結国は、少数民族に所属する者の権利と自由の擁護を保障する義務を負い、法の前の平等といかなる差別もない法の側からの平等な擁護に対する権利をこれらの者に保証する。
締結国は、文化、社会及び経済生活、並びに国務の管理、特にその関係する問題への少数民族に所属する者の有効な参加に必要な条件を創出するものとする。
第14条
他の締結国の領土に存在するある締結国の国有財産、法人及び市民の財産の法体制は、事後、締結国間のしかるべき二国間協定により別段の定めがなされない限り、財産所在地の締結国の法令により規制される。
締結国の何れかが、第三者又は第三国が請求を提示する他の締結国領土に存在する財産の所属に関して表明する場合、他の締結国は、その所属に関する問題の最終的解決まで、当該財産の警備及び保護に関する必要な全ての措置を採る義務を有する。
第15条
締結国は、高度の経済統合の達成を希求し、同目的において、貿易経済協力を発展させ、エネルギー及び輸送機関システムの統合、通信及び遠距離通信システムの相互接続のための措置を採るものとする。
締結国は、貿易経済関係において、第三国に付与されているものよりも好適な体制を相互に提供する。
締結国は、以下のレベルにおける経済、貿易、科学技術関係の発展を保障する。
- 国家権力機関
- 銀行及び金融システム
- 領域及び地方(地方自治体)統制機関
- 企業、団体、組織及び施設
- 合弁企業及び組織
- 個人企業家
締結国は、経済情報の広範な交換を実施し、それへの両締結国の企業、企業家及び学者のアクセスを保障するものとする。
締結国は、貿易経済、科学技術その他の協力方面の発展に関する協定を締結する。
第16条
ロシア連邦は、アブハジア共和国領土における決済手段がロシア・ルーブルであることに立脚して、アブハジア共和国の金融及び銀行システムの維持及び機能に対して有効な措置を採るものとする。
第17条
締結国は、投資の促進及び相互保護を含む企業その他の経済活動に対して好適な経済、会計及び法的条件を保障し、両締結国の市民、企業、会社その他の経済協力主体間の各種形態の協業及び直接関係を全面的に奨励するものとする。
第18条
締結国は、その領土における生態学的大惨事の結果の除去における協力、並びに自然及び技術要素により引き起こされ、住民の生活活動に対して脅威を創出する非常状況発生の際の相互援助を相互に提供するものとする。
第19条
締結国は、文化、芸術、教育、観光及びスポーツ領域において、協力及び接触を全面的に助力し、自由な情報交換を促進するものとする。締結国は、同問題に関する個別協定を締結する。
アブハジア共和国は、その就学前施設及び教育施設におけるロシア語の研究を奨励するものとする。
第20条
締結国は、住民の保健、医療科学及び実践、しかるべき物的・技術基盤の発展、薬剤、医療器材製品及び児童給食食品による保障に関する共同行動の必要性を認めつつ、保健領域、社会及び人道分野における協力を発展させるものとする。
第21条
締結国は、他の締結国領土におけるある締結国市民の保健及び社会保障分野における問題を特別協定により規制する。
第22条
締結国は、教育施設、科学研究及び試験設計施設間の直接関係、特に優先方面及び先端技術領域における共同プログラム及び開発の実施を奨励しつつ、科学及び技術領域における協力を発展させるものとする。
締結国は、要員訓練、学者、専門家、大学院生及び学生の交換領域において協力し、好適な条件を創出し、教育に関する卒業証書、学術称号及び学位を相互に承認することが義務付けられる。
締結国は、科学及び教育問題に関する個別協定を締結する。
第23条
締結国は、民事及び税務法令、並びに住民の社会的保護及び年金保障領域における法令を含む経済活動を規制する法令の一元化に関する措置を採るものとする。
第24条
締結国は、国際法の規定及び自国の法令に従い、犯罪、テロリズムその他の過激主義の暴力的現象、麻薬の不法流通、不法移民、並びに民間航空その他の種類の輸送機関の安全に対して向けられた違法行為、文化財の密輸及び横領対策において、協力を実施するものとする。
第25条
締結国は、法令及び国際法文書の立案、採択及び適用に関する情報の定期交換を実施するものとする。
第26条
締結国は、両国家の議会及び議員間の接触及び協力の発展に特別の注意を払うことが義務付けられる。
第27条
本条約の解釈及び適用に関する締結国間の紛争は、交渉による調停の対象となる。
第28条
本条約は、批准の対象となり、批准書の交換日に施行する。
第29条
本条約は、10年の期限で締結される。
締結国の何れかが次期期限満了の6ヶ月以前にその効力を停止する希望に関して、書面による通知により表明しない限り、その効力は、続く5年間自動的に延長されるものとする。
脱退の時点までに、しかるべき締結国は、本条約への加盟期間に渡って発生した全ての義務を遂行しなければならない。
第30条
本条約には、その不可分の一部である、個別の議定書により正文化される修正及び補足を施すことができる。修正及び補足は、他の締結国へのしかるべき通知送付により、締結国の何れかが提案することができる。
第31条
本条約の実現の目的において、締結国は、必要な際、別の条約及び協定を相互に締結し、しかるべき調整機関を設置する。
最終更新:2008年09月21日 18:37