Story5 魔導
あの時すぐに動けなかった自分に苛立ちを感じた少年は、
アビリティではなく、剣技の修行に明け暮れていた。
「おい、レオン。そんなに剣ばかり振ってたって疲れるだけだぞ?それとむこうの空がまずい事になっている。
いっぺん外に出てみろ。」
彼がそう言ったので俺は首を縦に振った。
外に出てみた。
すると遠くの空に黒っぽい何とも禍々しい雲が浮いているではないか。
そしてその雲の本体は、空に浮かぶ飛行物体だった。
赤い瞳のマ-ク。
あれは冥界ハデシアを象徴するマ-クだ。
大昔に本で読んだ記憶がある。
しかし何故、この世界を副管理人であるハデスの船がこんな所にあるのか。
何やら怪しいにおいが感じられるが。
よく見ると船から紫の雨のような物が降り注いでいる。
邪悪な気配を感じ取れる。
それがついにはこっちにまで及んできた。
「何だあれは・・・?」
少年がボ-ッと見ていると男が吼えた。
「レオン、どけろっ!」
俺がついさっきまで居た所に紫の雨が降り注ぎ、そこから他の魔物とは
見るからに違うリ-ダ-格の様な奴が出てきた。
それに続いて後ろの方から雑魚も大量に出てくる。
「ファントっこいつらは?」
「知らん。ここまで邪悪な気配を放つ魔物など始めてみた。」
男がそういうとリ-ダ-格の化け物がフン、と鼻を鳴らし不愉快そうに言って見せた。
「魔物・・・だと?俺たちをそのような下等生物と同じにしないで貰いたいねぇ?人間君。」
「魔物で無いとしたら何だ・・?魔人か?」
「魔導(マドウ)とでも言おうか。ハデス様が生み出してくださった史上最大の邪悪だ。」
「ハデス・・・だと?」
ハデスは、この世界の総管理人であるゼウスの弟で、かなり名の知れた存在であり、
信仰している者も少なくは無かった。
黒幕がそれだと知って驚くのも無理が無い、と言う訳だ。
「さぁて、俺の獲物になってくれるのはどいつだ?」
最終更新:2008年07月30日 13:06