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story1  正義が分からない

一筋の日も差さない、夜の呪いに犯された世界があった。
 その名も夜想世界ノクティヌス。
 そこは王の絶対的支配により、ほとんどの国、大陸が滅んでいた。
 王に立ち向かおうとした者、つまり反逆者に残された道は王城での公開死刑のみ。
 次第に人々はあきらめる様になった。
 もう何を王に求めても無駄だ、と。
 王に絶対支配されている今、楽しみなどひとつもない。
 またつまらない一日が始まろうとしている。
―朝
 今日もまた数人、反逆者が王の目の前に連れてこられた。
 俺は王子として王の隣に座らせられている。
 ただ座っているだけなのだが。
 何するわけでなく、ただ負け犬の遠吠えを散々聞かされる毎日。
 反逆者というものは基本的に頭が足りないのだろうか?
 父上に刃向かってどうなるか分かっているくせに何故反逆するのだろう。
 覚悟を決めているのか?
 いや、違う。
 自分の正義を貫くために命を落とすのは馬鹿のすることだ。
 昔、父上に教えてもらったた覚えがある。
 本当に大馬鹿者だ。
 自分の命を何だと思っているのだ。
 父上の絶対支配から逃れられない事は身をもって知ったくせに。
「貴様は私の何に不満がある?言ってみよ」
「何が、だと?全てだ。貴様のせいで俺は王と言う立場どころか、王国すら無くしたんだ。お前のその力のせいでな」
「そうか、貴様はグルドガルルの王だったか。あのようなちっぽけな国、無くなった所で誰も悲しみはしない」
「なんだとッ!」
「くだらん。言いたい事はそれだけか?こいつを処刑台にはりつけておけッ」
「はっ」
「お前等ッ!何故あのような物に従うのだッ!あやつが正しくない事ぐらい貴様等も分かっているはずだ」
「王の命令は絶対だ」
 それから少したった頃グルドガルル王の死刑は執行された。
 彼は、首がギロチンによって落とされる直前まで吠えていたようだ。
 彼は正義を貫く者以上の、馬鹿者だった。
 あれはもはや王ではない。
 国を失い、憎しみを王にぶつけに来ただけの愚か者だ。
 そこまでして死にたいのか。
 俺にはそれがわからない。
 何故父上に逆らうのか分からない。
 父上は反逆されるような事はしていないし、あんな王の国は滅ぼされて当然だ。
 俺には分からない。
最終更新:2008年08月01日 15:09