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そらの上の舟渡し

ある川のほとりに、その地域を支配する有力者と、そのとても美しい娘がいました。
彼女は有力者である父の言いつけを守り、毎日機織りに精を出していました。
彼女の織る布はそれは見事で、高価な値がつくものでした。
父親はそんな娘に感心をしていましたが、年頃になって化粧も恋もしない娘を不憫に思い、
川の向こう岸に住んでいる働き者の青年と結婚させることにしました。
青年と娘の二人は新しい生活を始めました。

しかし、結婚してからの娘は青年との暮らしに夢中で、毎日はしゃぎまわり、
機織りの仕事をまったくしませんでした。
父親も初めは新婚だからと大目に見ていましたが、いつまで経ってもその有様で、
腹を立てた父親は娘をこちら側へ連れ戻し、機織りを命じました。
そして仕事をきちんとするのであれば、年に一度だけ青年と会うことを許してやろう、と言うのです。

娘は青年と離れて暮らすのがとても辛く、涙を流しました。
しかし、父の言いつけを破るわけにもいきません。
娘は青年に別れを告げ、川を渡りました。

それ以後、反省した娘は年に一度の再会を励みに、機織りに精を出すようになりました。
ところが最初のその日、雨が降ったために川が増水し、その年は会うことができませんでした。
次の年は舟人が病気にかかり、その次の年も、その次の年も、どういうわけか会うことができませんでした。
川辺に佇み、悲観に暮れる娘を見てか、背後から声を掛ける者がありました。

「・・・おい、そんなところで泣いてどうしたんだ?」

はっとして振り返ると、大きな鎌を片手に持った少女が立っていました。
驚いて言葉が出ない娘に、少女は問いかけます。

「向こう岸に渡りたいのか?」

娘は必死に頷きました。それを見て少女はニヤっと笑ったような気がします。

「いいよ、私が向こう岸まで渡してあげる。ただし、お代は頂くよ。」

娘は涙を流しながら感謝しました。
そして、あなたは一体どなたですか、と訪ねました。

「私は小野塚小町。三途の川の、水先案内人さ」



七月七日、瞬く星々を背後に、織姫を乗せた舟は、
そっと天の川を渡るのでした。






【雑談】居酒屋きめぇまる 312店舗目【愚痴】>>410

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最終更新:2008年09月26日 07:55
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