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早苗のわがままボディー

「はぁ?誰が一番セクシーか?」
「そう、人里の連中は純なようでスタイルだけはしっかりしてる小娘どもが多いからねぇ。あんたの基準ではどうなのかと思ってさ」

さて、どうしてこんな会話を進めているのだろうか、と霊夢は自分の記憶に問いかけてみた。
そんなに時を遡る必要はない。珍しく常連連中が顔を見せず、たまには静かな夕餉が楽しめるかと思った矢先にこれまた珍しく普段は竹林の奥にひきこもってる藤原妹紅が姿を現して、そのままの流れで一緒に夕餉を食べている最中にそんなことを言い出しただけのことである。
結局何でそんな話になったのかはよく分からない。そういう趣味なのだろうか。

「…そんなこと聞かれても、人里の話でしょ?知り合いと呼べる人間なんていないみたいなもんだから参考意見も出せないわよ」

一瞬九代目の転生少女の顔が浮かんだが、すぐにかき消した。
あの娘は十分過ぎるくらいにまだまだ成長過程である。

「そういうあなたの基準だとどうなのよ」
「私?…そうだね、団子屋の娘も捨て難いけどやっぱ慧音かねぇ」
「へぇ、あいつなんだ」

霊夢の脳裏にはいかにも生真面目の面をかぶったような半獣の少女の姿が浮かぶ。
ぱっと見でもそこそこのスタイルを持ってるようには見えたが、妹紅が言うよう一番セクシーかといわれるといまいち納得はしきれない。

「いやいや、慧音もあれでかなり着やせするクチなのさ。具体的に言うとわがままボディーがぼんきゅっぼーんって感じ。特にあの尻がたまんないわ…」
「…どこぞの親父みたいな表情は止めなさい」

外の世界だと幻想入りしてそうな言葉だなぁ、と何となく霊夢は思った。
わがままボディーも結構微妙な言葉である。

「東風谷早苗のー」

その時だった。そんな聞き覚えのある少女の掛け声の様な声が聞こえてきたのは。

「突撃隣の霊夢の晩御飯ー!!」

その訪問者はやってきた。
否、やってきてしまったというべきだろう。

障子を勢い良く開けてあらわれたのは守矢神社の巫女である早苗の姿であった。
しかもご丁寧に木で作った看板の様なものを持っている。

「初めて見る方ですね。私は東風谷早苗というものです。向こうの山の神社の巫女をしておりますので、そちらもどうぞご贔屓に」
「おや、そいつはご丁寧にどうも」

妹紅の姿を確認すると目敏く自分の神社宣伝をしている。
さすがあの神様の巫女と言えた。

「…人間の方、ですよね?それにしては妙な感じですけど」
「ああ、人間だよ。一応だけどね。詳しい事情は追々話してあげるさ」
「はぁ」
「…で、わざわざこんな時間に何しに来たのよ?ていうか、その看板何」

煙に巻かれている早苗に助け舟というわけでもないが、霊夢は突っ込みを入れておく。

「これは外の世界で昔はやってた番組内の企画と同じ趣旨で作ったものですよ。他人の夕ご飯にお邪魔してむさぼり食うだけ貪り食ってはいさよならして去っていく外道な番組でしたけど」
「…よく分かんないけど、外の世界って思ったより変な人間が多いのね」

というか冷静な考えなくても、隣ってレベルの距離じゃない。

「…で、暇なの?」
「ええ、ぶっちゃけて言うと」

この娘、色々とはっちゃけ過ぎではないだろうか。
その幻想を破壊したい気分だった。

「ところでお二人で色々と盛り上がってるようでしたけど、何の話をしてらっしゃったんですか?」
「ああ、誰のスタイルがいいかってのの話をね」
「面白そうですねそれは!!」

釣れた。あっさり釣れた。
というか晩御飯はどうでもよかったのだろうか実は。

「ぜひ私にも参加させてください!
「大歓迎だよ。こういうのは参加人数が多い方が面白いし」
「…もう勝手にして」




曰く、鬼の娘はその気になればスタイル抜群のキャラクターになれるのに狙って幼女の姿をしているのではないか。
曰く、狐の式の娘があんなにスタイルが分かりにくい格好をしているのは主が変な虫がつかないようにあえてああさせているのではないか。
曰く、スタイルがよろしくないと巷で噂の天人の娘は裏でかなりのファンクラブが設立されているとか。

等々。その勢いだけで夜を明かせるのではないかという勢いで三人(主に二人)は話し続けたのであった。






「いやぁ、なかなか有意義な話が聞けました」

会話がひと段落したところでとても満足そうな笑みで早苗は言った。
もしかしてこういう話題に飢えていたのだろうか。

「楽しそうで私もうれしいよ。ここの巫女はこういう話題じゃ全然盛り上がれないからねぇ」
「大きな…お世話よ…」

ぐったりとして表情で霊夢はつぶやいた。あふれ出る少女パワーに霊夢は太刀打ちできなかったのである。

「――さて」

その時、妹紅の目が狩人の目になったのを霊夢は見逃さなかった。

「前菜も終わったことだし、主菜を頂く時間にしようか」
「え?…あ、あの、妹紅さん、何か目が怖いんですけど」

後ずさりする早苗。そんな彼女に一歩ずつ近づいて行く妹紅。光景的には下手な怪談より怖い。

「私の千年アイで判断すれば、あんたもなかなかのものをお持ちみたいだネ」
「な、何を仰られてるのかよく…」
「身をもって味あわせてあげる」

壁に追い込まれた早苗。ああ、今宵の犠牲者は彼女である。

「さぁ、あんたのわがままボディー度を計らせてもらうよっ!!」
「うっひょぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

そんな少女らしくない悲鳴が博麗神社に響き渡ったのであった。







「汚されました…」

その言葉を合図に諏訪子と神奈子が博麗神社に襲来したとか「私じゃなーい!!」とか叫び声が聞こえたいう話もあるが、それはまた別のお話である。











妄想続く限り終わらない

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最終更新:2008年12月13日 21:51
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