アットウィキロゴ

みほn

<!doctype html>
<html>
	<head>
		<meta charset="utf-8">
		<meta name="viewport" content="width=device-width, initial-scale=1.0, maximum-scale=1.0, user-scalable=no">
 
		<title>reveal.js</title>
 
		<link rel="stylesheet" href="reveal.css">
		<link rel="stylesheet" href="black.css">
		<script src="head.min.js"></script>
		<script src="reveal.js"></script>
	</head>
	<body>
		<div class="reveal">
			<div class="slides">
<section>
<p>「それじゃ、僕からの質問、いいかな?」</p>
<p>僕が腹を立てていることには気がつかないのか、男は何事もなかったかのように言った。</p>
<p>「何ですか!」</p>
<p>僕は少し怒りながら聞いた。</p>
<p>「君の今の恰好は趣味なの?」</p>
<p>男の質問に僕はどう答えていいのか分からなかった。</p>
</section>
<section>
<p>すると男が言った。</p>
<p>「もしその姿で面接に来てくれたら、採用してたんだけどな」</p>
<p>「えっ?」</p>
<p>思わぬ言葉に警戒していたことが頭から消えてしまった。</p>
<p></p>
<p>「実は僕は女性が苦手なんだ。今は少しは慣れたんだが、やっぱりまだ緊張する。だから秘書は男性のほうがいいんだが、取引先には女性秘書のほうが受けがいい。それを解決するのが…」</p>
</section>
<section>
<p>「わたしのような存在、ですか?」</p>
<p>話が思わぬ方向に向かっているような気がする。</p>
<p>「そう。ところで、もう一度聞くけど、君のその恰好は趣味なの?それとも女性として生きたいの?」</p>
<p>どう回答すればいいのか相手の顔をうかがった。</p>
</section>
<section>
<p>僕が何も言わないので、男性は言葉を続けた。</p>
<p>「もし女性として働きたいのなら、採用を検討しよう」</p>
<p>この男性はどういう立場なのだろうか?</p>
<p>面接官に睨まれていたくらいの奴にそんな権限はあるんだろうか?</p>
<p>「あ、あのぉ、あなたは…」</p>
</section>
<section>
<p>「えっ、僕のこと、分かってないの?それで面接に来るのはいただけないな。それじゃやっぱり不採用のままにしておこうかな?」</p>
<p>男性は楽しそうに笑いながら話した。</p>
<p>「僕はあの会社の社長の北原敬三だ」</p>
<p>「えっ!」</p>
<p>驚いた。</p>
</section>
<section>
<p>まさか社長だったなんて。</p>
<p>でもあのとき…。</p>
<p>「面談のとき、面接官から注意されてたじゃないですか?」</p>
<p>「ああ、あれ。どんな人間が受けに来るかを見たかったんだけど、僕が意見を言うと、下の者は従わなくちゃいけないだろ?だから、僕は何も質問しないって約束で、君たちのことを見てたんだ。だから、一言でも質問すると、それは約束違反ってことになるわけさ」</p>
</section>
<section>
<p>「そう…だったんですか?」</p>
<p>「で、どうする?採用を検討ってことでいいかな?」</p>
<p>「…考えさせていただいてよろしいですか?」</p>
<p>「ああ、もちろんだ。ただし無条件に採用というわけにはいかない。少なくとも君の秘書としての能力を見たい。もし女性として働く気になれば1週間テストということで僕の秘書をしてもらいたい」</p>
</section>
<section>
<p></p>
<p>テスト!</p>
<p>テストがあるのか?</p>
<p>考えてみれば当然の話だ。</p>
<p>それにしても、思わぬところから就職のチャンスが転がり込んできた。</p>
<p>女装もできて、仕事もゲットできるのだ。</p>
<p>何を迷う理由があるのか?</p>
<p>24時間、女装するくらいなら、それほど難しくない。</p>
</section>
<section>
<p>しかし趣味の女装ならともかく、女性として働くことなんてできるんだろうか?</p>
<p>他人の目も気になる。</p>
<p>社長みたいにすぐに見破る人だっているだろう。</p>
<p>それにしてもこのチャンスは簡単に諦めるには勿体ない気がする。</p>
<p>僕はどうすべきか分からなくなっていた。</p>
</section>
<section>
<p></p>
<p>その日から悶々と悩む日が始まった。</p>
</section>
			</div>
		</div>
 
 
<script>
 
			Reveal.initialize();
 
		</script>
 
	</body>
</html>
 
最終更新:2016年05月29日 13:53