誰?小説家?Zって小説家風多いよね
たまごんの手元には、小さなキーホルダーがあった。作業所で作ったものだろう。色とりどりのビーズが、陽の光を受けてきらめいている。
「それ、お前が作ったのか?」
「うん! 最初はうまくできなかったけど、頑張ったんだ!」
たまごんはキーホルダーを指で転がすようにしながら、ふっと小さく息を吐く。
「そうか……大事なものなんだな」
たまごんは少し照れたように頷いた。
「昔の仕事では、怒られてばっかりだったんだ。遅いとか、ミスが多いとか。でも、今の場所では『よくできたね』って言ってもらえるんだ」
僕はたまごんの言葉を噛みしめる。
社会は常に速さと効率を求める。だが、それがすべてではない。人には、それぞれのペースと役割があるはずなのに――。
「自分の場所を見つけたんだな」
「ん!!!」
誇らしげに胸を張るたまごんに、僕はもう一度、微笑を浮かべた。缶コーヒーの温もりが、少しだけ優しく感じられた。
最終更新:2025年09月23日 12:12