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引力 - (2022/02/13 (日) 01:05:00) の1つ前との変更点

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彼らの話をするとき、あるいは聞くとき。どうしても避けては通れない言葉がいくつか存在する。 今回はその中から『引力』というキーワードについて考えよう。 だが……今回は悠長に問答をしている場合じゃあなさそうだ。事態は刻一刻と変動しているものだからな。 まずは答えを話そう。というよりも読んで字のごとくさ。引力とはズバリ『力』だ。 力――パワーとかエネルギーと言い換えても良いかも知れない。 引き合う、引き付けあう“力”。シンプルだが、それゆえに重要な要素だと言っても良いかもな。 さて。“事態は刻一刻と”なんて言ったが今どうなっているか。 そうだな、これも結果から説明しようか。そのほうが紛らわしくないだろう。 トリッシュ一行はルーシーに出会うことが出来ずにいた。それは一体なぜか?そこに関わってくるのが『引力』だ。 まずはトリッシュ。彼女の心に直接語り掛けるような声を聴いたところから。 ルーシー……トリッシュは正体を知らないから、正確に言えばルーシー“らしき女性”の、となるが、とにかく声を聴き。 それをナランチャと玉美に問い。そこから幻聴だの罠だのという、ある意味お約束なやり取りをし。 そうこうしている内に、というのは少々違うが――彼女の耳に声が届くことはなくなった。 では話題に上がったルーシーはと言えば。こちらは改めて説明するほどでもないが…… DIOの館でのやり取りを思い出してもらえればトリッシュに声をかけている余裕なんか存在しないとわかるだろう。 つまり――トリッシュとルーシーの間にはたらく“引力”は弱まり。 もっと言うならルーシーの側はジョニィ・ジョースターというより大きな“力”に『引き寄せられた』という訳だ。 話をトリッシュ一行に戻そう。 “メッセージ”が途絶えたとはいえ。それが罠であれ何であれ。他に行く当てがないのもまた事実。 敵も味方も数少ない現状、とにかく移動すべきだというトリッシュ自身の提案で、声が告げていた方角、北を目指すことになった。 そしてここに新たな『引力』が発生する。 目指していた方角にて地鳴りとともに突如出現した巨大な鉄塔。 玉美に曰く『地元の観光名所にそっくり』とのことだが、なぜそれが今ここに? 先の幻聴、そしてこのタイミング。何もない訳がない。無視できる訳がない。 ちなみに鉄塔それ自体もイギーに支給された紙から地球の『引力』に従って地面に突き刺さった訳だが――今回は置いておこう。 彼らを呼び寄せた“力”は鉄塔のもつ“パワー”の比ではなかったのだから。 最大限の警戒をし。最小限しか音を立てずに歩み続けるトリッシュたち。 不意に先頭を行くナランチャが手を伸ばし立ち止まる。 振り返りこそしなかったが、トリッシュにはその表情がどんなものかは容易に想像できた。 「いくつ?」 スパイス・ガールを介しての問いに、開かれた指が折られて形を作る。『3』だ。 この状況、何をもって優位とするか。これは結構重要な考え方だ。 単純に数の大小のみで語れば互角ではある。あるが――ただただ人数だけが多ければいいってもんじゃあない。 振り返れば、後方の警戒を請け負った玉美の震える足が少し後ろに引いたのがトリッシュの目に留まる。 視線を上げて目を合わせてみれば、瞳が揺れ、一瞬後には口から弱音が漏れ出しそうな表情。だが、それを軽蔑することは出来ない。 トリッシュ様をお守りします!なんて啖呵を切ったって、未知の存在を相手にすると思えば、そりゃあ当然のリアクションだから。 さっき話した優位の定義とはちょっと矛盾するようだが、この時点で数の上での不利が確定。玉美を守りながらとなればマイナスの振れ幅は一層大きくなるだろう。 玉美を安心させるように小さく頷き前を向きなおせば今度はナランチャと目が合う。 少し細められた目は、それも玉美を軽蔑する眼差しではない。『任務を全うするギャングの眼差し』だ。 しかしその“一人で行く決断”を許す訳にはいかない。首を振りナランチャを制する。 迅速な決断を求められるトリッシュ。チリチリとした緊張感が限界に達する。 自身の体調やルーシーの心配もあるからと撤退を宣言しようとした刹那。 「ふたつ先の角にいる三人組!俺たちはこのゲームに否定的な者だッ!  今からそちらに出ていくが、対等な出会いをお願いしたいッ!」 ここで!このタイミングでッ!?ギョッとする三人。 ナランチャがレーダーを数秒見つめ、頷く。間違いない、声の主はこっちに来る。 しかも相手はこちらの人数まで言い当てた。それが何を意味するかは想像に難くない。 真っ先に力を抜き、スタンドを引っ込めたのは意外にも――いや当然、トリッシュ・ウナ。 次いでナランチャと玉美。隊列も崩して横並びに立ち尽くす。 間もなくして現れたのは馬に跨るバンダナの男と、犬。 先ほどトリッシュが“なんにん?”ではなく“いくつ?”と問うたのはこの可能性を考慮してだったのだが、そんなことを喜んでいる場合でもなくなってしまった。 「俺の無礼な願いを聞き入れてくれてありがとう。  さてお三方、こんな夜道にどこへ行こうというんだい?」 バンダナの男から発せられたそれは先ほどの声色と同じ。つまり―― 「オイオイオイオイ、油断させようったってそーはいかねーぜ」 「そッ、そーだそーだッ!こっちは三人、てめーは一人!それともなんだ!そのウマだのイヌだのも戦力に入れるってのかァ!?」 と、トリッシュの心配を代弁するかのようにナランチャと玉美が凄む。 だがわざわざ口に出さ無くても……慌ててトリッシュが制するが、相手の男は柔らかい笑みを浮かべながら馬から降りる。 (犬のほうは警戒しつつも興味なさげに顔を掻いていた) 「まさか!もし、俺たちがゲームに乗っていたとしたら君らに声をかけずにそのまま襲ってるさ。  それに俺は味方を探している――おそらく敵に攫われた。ならばまずは“そのどちらでもない参加者”とは会話をするのが筋ってもんだろう?  ……ま、いずれにしても俺は女性には手を上げるなんてゲス野郎みたいな行動はもってのほかだと思っているがな。  それで、シニョリーナたち。君らはどこかに向かっているように見うけられるが……こんな暗い夜道は危険だ。  俺も一緒に行こう。君の力になりたい」 ……ん? と不思議がる暇さえ与えられないようだ。つくづく状況は変化し続けるものだと痛感する。 ピラピラとメモだか伝言だかの紙切れを振りながら歩み寄ってくるその男には不思議と警戒する気が起きなかった。 「オイてめー、こんな場所でナンパかよ!?」 「サラッとセリフから俺ら抜いてってるんじゃあねェーッ」 そのトリッシュの不思議さはナランチャと玉美も感じているのだろうか。戦闘前の威嚇とは少し毛色の違う敵意を自分の両サイドから感じ始める。 このままでは収まりがつかないと二人の頭に軽くゲンコツを食らわせ、口を開いた。 「その“敵”とやらが女性だったらとか考えないのかしらね?  なァんて言いたいこともあるし、逆に答える理由もないのだけれど……ここで断ってもあなたのこと、絶対に諦めなさそうね。  そして確かに私たちはご指摘のとおり、ある場所に向かっていた。あなたたちがやって来た方向よ。  ま……そのへん込みで、とりあえずそこらで情報交換といきましょうか」 ――と。分かったろう? トリッシュたちに働いた『引力』はシーザー・ツェペリとイギーとの『引力』だったって訳だ。 そして最初に言った通り、引力とはすなわち“力”だ。 ナランチャのエアロスミス、つまりスタンドのパワー。 シーザーの波紋レーダー、呼吸が生み出すエネルギー。 それに比べたら、そりゃあ鉄塔が引力によって落っこちただなんて、些細にもほどがある。 おっと、最後に一つ。 俺が感じ、そしてどうしても君らに伝えたかった『引力』を彼らのセリフとともに紹介して終わりにしよう。 「ところでシニョリーナ。俺は君に会ったのが初めてな気がしないな。どこかで会ったことがあるかい?」 「「て、テメェ性懲りもなくトリッシュ(様)のこと口説いてんじゃあねえよッ!」」 「――あら不思議ね、気のせい程度なら、私もあなたの事を初対面のようには感じられないわね」 「「えっ……エエェ――――ッッ!?」」 【D-3とD-4の境界付近 民家内/一日目 真夜中】 【小林玉美】 [スタンド]:『錠前(ザ・ロック)』 [時間軸]:4部終了後 [状態]:健康 [装備]:H&K MARK23(0/12、予備弾0) [道具]:なし [思考・状況] 基本行動方針:トリッシュを守る 0.今後もトリッシュ様のお役に立つでござる 1.なんだこのナンパ野郎ッ許さんッ!が、トリッシュ殿の命令なのでとりあえず情報交換してやる 2.ナランチャは気に食わないが、同行を許してやらんこともない 【ナランチャ・ギルガ】 [スタンド]:『エアロスミス』 [時間軸]:アバッキオ死亡直後 [状態]:健康 [装備]:なし [道具]:基本支給品(食料1、水ボトル少し消費)     不明支給品1~2(確認済、波紋に役立つアイテムなし) [思考・状況] 基本行動方針:主催者をブッ飛ばす! 0.なんだこのナンパ野郎ッ!?でもトリッシュがあぁ言ってるし情報交換だけすっか 1.早くフーゴとジョナサンを探しに行こう 2.玉美は気に入らないけど 、まあ一緒でもいいか 【トリッシュ・ウナ】 [スタンド]:『スパイス・ガール』 [時間軸]:『恥知らずのパープルヘイズ』ラジオ番組に出演する直前 [状態]:健康 [装備]:吉良吉影のスカしたジャケット、ウェイトレスの服、遺体の胴体 [道具]:基本支給品×4 [思考・状況] 基本行動方針:打倒大統領。殺し合いを止め、ここから脱出する 0.とりあえずこの3人組(?)と情報交換 1.さっきの声……ルーシー?今聞こえないのはなぜ? 2.フーゴとジョナサンを探しに行きたいけど、DIOの館に行くべき? 3.地図の中心へ向かうように移動し協力できるような人物を探していく 【シーザー・アントニオ・ツェペリ】 [能力]:『波紋法』 [時間軸]:サン・モリッツ廃ホテル突入前、ジョセフと喧嘩別れした直後 [状態]:胸に銃創二発(ほぼ回復済み) [装備]:トニオさんの石鹸、メリケンサック、シルバー・バレット [道具]:基本支給品一式、モデルガン、コーヒーガム(1枚消費)、ダイナマイト6本    ミスタの記憶DISC、クリーム・スターターのスタンドDISC、ホット・パンツの記憶DISC、イギーの不明支給品1 [思考・状況] 基本行動方針:主催者、柱の男、吸血鬼の打倒 0.シニョリーナ一行と情報交換しよう 1.フーゴ、どこに……?とにかくフーゴに助かってほしい 2.ジョセフ、シュトロハイムを探し柱の男を倒す ※DISCの使い方を理解しました。スタンドDISCと記憶DISCの違いはまだ知りません。 ※フーゴの言う『ジョジョ』をジョセフの事だと誤解しています。 【イギー】 [スタンド]:『ザ・フール』 [時間軸]:JC23巻 ダービー戦前 [状態]:疲労(ほぼ回復) [装備]:なし [道具]:なし [思考・状況] 基本行動方針:ここから脱出する 0.こいつら(トリッシュ一行)と情報交換?勝手にやってろ、とりあえずついてくけど 1.あいつ(フーゴ)、どこ行きやがった!? 2.コーヒーガム(シーザー)と行動、穴だらけ(フーゴ)、フーゴの仲間と合流したい 3.煙突(ジョルノ)が気に喰わないけど、DIOを倒したのでちょっと見直した [備考] ※イギーのデイパックと中身の基本支給品(食料無し)は鉄塔付近に放置してあります。 ※トリッシュを中心とした地図は他の遺体の点在箇所を示しています。部位は記されておらず、持っている地図に書き写されました。  DIOの館以外に星が記されているかどうかは以降の書き手さんにお任せします。 ※トリッシュとシーザーの面識と引力については完全に“気のせい”です(ジョジョロワ1stのオマージュですので影響力はありません、あってはなりません) *投下順で読む [[前へ>際会]] [[戻る>本編 第4回放送まで]] [[次へ>すれ違い]] *時系列順で読む [[前へ>際会]] [[戻る>本編 第4回放送まで(時系列順)]] [[次へ>すれ違い]] *キャラを追って読む |前話|登場キャラクター|次話| |186:[[ブレイブ・ワン]]|[[小林玉美]]|207:[[どこへ行かれるのですか?]]| |186:[[ブレイブ・ワン]]|[[ナランチャ・ギルガ]]|207:[[どこへ行かれるのですか?]]| |186:[[ブレイブ・ワン]]|[[トリッシュ・ウナ]]|207:[[どこへ行かれるのですか?]]| |193:[[To Heart]]|[[シーザー・アントニオ・ツェペリ]]|207:[[どこへ行かれるのですか?]]| |193:[[To Heart]]|[[イギー]]|207:[[どこへ行かれるのですか?]]|
彼らの話をするとき、あるいは聞くとき。どうしても避けては通れない言葉がいくつか存在する。 今回はその中から『引力』というキーワードについて考えよう。 だが……今回は悠長に問答をしている場合じゃあなさそうだ。事態は刻一刻と変動しているものだからな。 まずは答えを話そう。というよりも読んで字のごとくさ。引力とはズバリ『力』だ。 力――パワーとかエネルギーと言い換えても良いかも知れない。 引き合う、引き付けあう“力”。シンプルだが、それゆえに重要な要素だと言っても良いかもな。 さて。“事態は刻一刻と”なんて言ったが今どうなっているか。 そうだな、これも結果から説明しようか。そのほうが紛らわしくないだろう。 トリッシュ一行はルーシーに出会うことが出来ずにいた。それは一体なぜか?そこに関わってくるのが『引力』だ。 まずはトリッシュ。彼女の心に直接語り掛けるような声を聴いたところから。 ルーシー……トリッシュは正体を知らないから、正確に言えばルーシー“らしき女性”の、となるが、とにかく声を聴き。 それをナランチャと玉美に問い。そこから幻聴だの罠だのという、ある意味お約束なやり取りをし。 そうこうしている内に、というのは少々違うが――彼女の耳に声が届くことはなくなった。 では話題に上がったルーシーはと言えば。こちらは改めて説明するほどでもないが…… DIOの館でのやり取りを思い出してもらえればトリッシュに声をかけている余裕なんか存在しないとわかるだろう。 つまり――トリッシュとルーシーの間にはたらく“引力”は弱まり。 もっと言うならルーシーの側は[[ジョニィ・ジョースター]]というより大きな“力”に『引き寄せられた』という訳だ。 話をトリッシュ一行に戻そう。 “メッセージ”が途絶えたとはいえ。それが罠であれ何であれ。他に行く当てがないのもまた事実。 敵も味方も数少ない現状、とにかく移動すべきだというトリッシュ自身の提案で、声が告げていた方角、北を目指すことになった。 そしてここに新たな『引力』が発生する。 目指していた方角にて地鳴りとともに突如出現した巨大な鉄塔。 玉美に曰く『地元の観光名所にそっくり』とのことだが、なぜそれが今ここに? 先の幻聴、そしてこのタイミング。何もない訳がない。無視できる訳がない。 ちなみに鉄塔それ自体も[[イギー]]に支給された紙から地球の『引力』に従って地面に突き刺さった訳だが――今回は置いておこう。 彼らを呼び寄せた“力”は鉄塔のもつ“パワー”の比ではなかったのだから。 最大限の警戒をし。最小限しか音を立てずに歩み続けるトリッシュたち。 不意に先頭を行くナランチャが手を伸ばし立ち止まる。 振り返りこそしなかったが、トリッシュにはその表情がどんなものかは容易に想像できた。 「いくつ?」 スパイス・ガールを介しての問いに、開かれた指が折られて形を作る。『3』だ。 この状況、何をもって優位とするか。これは結構重要な考え方だ。 単純に数の大小のみで語れば互角ではある。あるが――ただただ人数だけが多ければいいってもんじゃあない。 振り返れば、後方の警戒を請け負った玉美の震える足が少し後ろに引いたのがトリッシュの目に留まる。 視線を上げて目を合わせてみれば、瞳が揺れ、一瞬後には口から弱音が漏れ出しそうな表情。だが、それを軽蔑することは出来ない。 トリッシュ様をお守りします!なんて啖呵を切ったって、未知の存在を相手にすると思えば、そりゃあ当然のリアクションだから。 さっき話した優位の定義とはちょっと矛盾するようだが、この時点で数の上での不利が確定。玉美を守りながらとなればマイナスの振れ幅は一層大きくなるだろう。 玉美を安心させるように小さく頷き前を向きなおせば今度はナランチャと目が合う。 少し細められた目は、それも玉美を軽蔑する眼差しではない。『任務を全うするギャングの眼差し』だ。 しかしその“一人で行く決断”を許す訳にはいかない。首を振りナランチャを制する。 迅速な決断を求められるトリッシュ。チリチリとした緊張感が限界に達する。 自身の体調やルーシーの心配もあるからと撤退を宣言しようとした刹那。 「ふたつ先の角にいる三人組!俺たちはこのゲームに否定的な者だッ!  今からそちらに出ていくが、対等な出会いをお願いしたいッ!」 ここで!このタイミングでッ!?ギョッとする三人。 ナランチャがレーダーを数秒見つめ、頷く。間違いない、声の主はこっちに来る。 しかも相手はこちらの人数まで言い当てた。それが何を意味するかは想像に難くない。 真っ先に力を抜き、スタンドを引っ込めたのは意外にも――いや当然、[[トリッシュ・ウナ]]。 次いでナランチャと玉美。隊列も崩して横並びに立ち尽くす。 間もなくして現れたのは馬に跨るバンダナの男と、犬。 先ほどトリッシュが“なんにん?”ではなく“いくつ?”と問うたのはこの可能性を考慮してだったのだが、そんなことを喜んでいる場合でもなくなってしまった。 「俺の無礼な願いを聞き入れてくれてありがとう。  さてお三方、こんな夜道にどこへ行こうというんだい?」 バンダナの男から発せられたそれは先ほどの声色と同じ。つまり―― 「オイオイオイオイ、油断させようったってそーはいかねーぜ」 「そッ、そーだそーだッ!こっちは三人、てめーは一人!それともなんだ!そのウマだのイヌだのも戦力に入れるってのかァ!?」 と、トリッシュの心配を代弁するかのようにナランチャと玉美が凄む。 だがわざわざ口に出さ無くても……慌ててトリッシュが制するが、相手の男は柔らかい笑みを浮かべながら馬から降りる。 (犬のほうは警戒しつつも興味なさげに顔を掻いていた) 「まさか!もし、俺たちがゲームに乗っていたとしたら君らに声をかけずにそのまま襲ってるさ。  それに俺は味方を探している――おそらく敵に攫われた。ならばまずは“そのどちらでもない参加者”とは会話をするのが筋ってもんだろう?  ……ま、いずれにしても俺は女性には手を上げるなんてゲス野郎みたいな行動はもってのほかだと思っているがな。  それで、シニョリーナたち。君らはどこかに向かっているように見うけられるが……こんな暗い夜道は危険だ。  俺も一緒に行こう。君の力になりたい」 ……ん? と不思議がる暇さえ与えられないようだ。つくづく状況は変化し続けるものだと痛感する。 ピラピラとメモだか伝言だかの紙切れを振りながら歩み寄ってくるその男には不思議と警戒する気が起きなかった。 「オイてめー、こんな場所でナンパかよ!?」 「サラッとセリフから俺ら抜いてってるんじゃあねェーッ」 そのトリッシュの不思議さはナランチャと玉美も感じているのだろうか。戦闘前の威嚇とは少し毛色の違う敵意を自分の両サイドから感じ始める。 このままでは収まりがつかないと二人の頭に軽くゲンコツを食らわせ、口を開いた。 「その“敵”とやらが女性だったらとか考えないのかしらね?  なァんて言いたいこともあるし、逆に答える理由もないのだけれど……ここで断ってもあなたのこと、絶対に諦めなさそうね。  そして確かに私たちはご指摘のとおり、ある場所に向かっていた。あなたたちがやって来た方向よ。  ま……そのへん込みで、とりあえずそこらで情報交換といきましょうか」 ――と。分かったろう? トリッシュたちに働いた『引力』はシーザー・ツェペリと[[イギー]]との『引力』だったって訳だ。 そして最初に言った通り、引力とはすなわち“力”だ。 ナランチャのエアロスミス、つまりスタンドのパワー。 シーザーの波紋レーダー、呼吸が生み出すエネルギー。 それに比べたら、そりゃあ鉄塔が引力によって落っこちただなんて、些細にもほどがある。 おっと、最後に一つ。 俺が感じ、そしてどうしても君らに伝えたかった『引力』を彼らのセリフとともに紹介して終わりにしよう。 「ところでシニョリーナ。俺は君に会ったのが初めてな気がしないな。どこかで会ったことがあるかい?」 「「て、テメェ性懲りもなくトリッシュ(様)のこと口説いてんじゃあねえよッ!」」 「――あら不思議ね、気のせい程度なら、私もあなたの事を初対面のようには感じられないわね」 「「えっ……エエェ――――ッッ!?」」 【D-3とD-4の境界付近 民家内/一日目 真夜中】 【[[小林玉美]]】 [スタンド]:『錠前(ザ・ロック)』 [時間軸]:4部終了後 [状態]:健康 [装備]:H&K MARK23(0/12、予備弾0) [道具]:なし [思考・状況] 基本行動方針:トリッシュを守る 0.今後もトリッシュ様のお役に立つでござる 1.なんだこのナンパ野郎ッ許さんッ!が、トリッシュ殿の命令なのでとりあえず情報交換してやる 2.ナランチャは気に食わないが、同行を許してやらんこともない 【[[ナランチャ・ギルガ]]】 [スタンド]:『エアロスミス』 [時間軸]:アバッキオ死亡直後 [状態]:健康 [装備]:なし [道具]:[[基本支給品]](食料1、水ボトル少し消費)     不明支給品1~2(確認済、波紋に役立つアイテムなし) [思考・状況] 基本行動方針:主催者をブッ飛ばす! 0.なんだこのナンパ野郎ッ!?でもトリッシュがあぁ言ってるし情報交換だけすっか 1.早くフーゴとジョナサンを探しに行こう 2.玉美は気に入らないけど 、まあ一緒でもいいか 【[[トリッシュ・ウナ]]】 [スタンド]:『スパイス・ガール』 [時間軸]:『恥知らずのパープルヘイズ』ラジオ番組に出演する直前 [状態]:健康 [装備]:[[吉良吉影]]のスカしたジャケット、ウェイトレスの服、遺体の胴体 [道具]:[[基本支給品]]×4 [思考・状況] 基本行動方針:打倒大統領。殺し合いを止め、ここから脱出する 0.とりあえずこの3人組(?)と情報交換 1.さっきの声……ルーシー?今聞こえないのはなぜ? 2.フーゴとジョナサンを探しに行きたいけど、DIOの館に行くべき? 3.地図の中心へ向かうように移動し協力できるような人物を探していく 【[[シーザー・アントニオ・ツェペリ]]】 [能力]:『波紋法』 [時間軸]:サン・モリッツ廃ホテル突入前、ジョセフと喧嘩別れした直後 [状態]:胸に銃創二発(ほぼ回復済み) [装備]:トニオさんの石鹸、メリケンサック、シルバー・バレット [道具]:[[基本支給品]]一式、モデルガン、コーヒーガム(1枚消費)、ダイナマイト6本    ミスタの記憶DISC、クリーム・スターターのスタンドDISC、[[ホット・パンツ]]の記憶DISC、[[イギー]]の不明支給品1 [思考・状況] 基本行動方針:主催者、柱の男、吸血鬼の打倒 0.シニョリーナ一行と情報交換しよう 1.フーゴ、どこに……?とにかくフーゴに助かってほしい 2.ジョセフ、シュトロハイムを探し柱の男を倒す ※DISCの使い方を理解しました。スタンドDISCと記憶DISCの違いはまだ知りません。 ※フーゴの言う『ジョジョ』をジョセフの事だと誤解しています。 【[[イギー]]】 [スタンド]:『ザ・フール』 [時間軸]:JC23巻 ダービー戦前 [状態]:疲労(ほぼ回復) [装備]:なし [道具]:なし [思考・状況] 基本行動方針:ここから脱出する 0.こいつら(トリッシュ一行)と情報交換?勝手にやってろ、とりあえずついてくけど 1.あいつ(フーゴ)、どこ行きやがった!? 2.コーヒーガム(シーザー)と行動、穴だらけ(フーゴ)、フーゴの仲間と合流したい 3.煙突(ジョルノ)が気に喰わないけど、DIOを倒したのでちょっと見直した [備考] ※[[イギー]]のデイパックと中身の[[基本支給品]](食料無し)は鉄塔付近に放置してあります。 ※トリッシュを中心とした地図は他の遺体の点在箇所を示しています。部位は記されておらず、持っている地図に書き写されました。  DIOの館以外に星が記されているかどうかは以降の書き手さんにお任せします。 ※トリッシュとシーザーの面識と引力については完全に“気のせい”です(ジョジョロワ1stのオマージュですので影響力はありません、あってはなりません) *投下順で読む [[前へ>際会]] [[戻る>本編 第4回放送まで]] [[次へ>すれ違い]] *時系列順で読む [[前へ>際会]] [[戻る>本編 第4回放送まで(時系列順)]] [[次へ>すれ違い]] *キャラを追って読む |前話|登場キャラクター|次話| |186:[[ブレイブ・ワン]]|[[小林玉美]]|207:[[どこへ行かれるのですか?]]| |186:[[ブレイブ・ワン]]|[[ナランチャ・ギルガ]]|207:[[どこへ行かれるのですか?]]| |186:[[ブレイブ・ワン]]|[[トリッシュ・ウナ]]|207:[[どこへ行かれるのですか?]]| |193:[[To Heart]]|[[シーザー・アントニオ・ツェペリ]]|207:[[どこへ行かれるのですか?]]| |193:[[To Heart]]|[[イギー]]|207:[[どこへ行かれるのですか?]]|

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