地上に出ると月が出ていた。あたりは明るい。川越にDIOの館がひっそりとその姿を晒している。 月光が二人の頭上から影を伸ばしている。道行く民家の窓に二人の姿が反射し、ぼんやりと影が揺らぐ。 ディエゴは鼻先を頭上に向けると、湿った空気を嗅ぎ取った。腹一杯に空気を吸い込むと、満足気に首を回した。視線を下げれば向かいの窓にジョニィが映っている。その指先は、逸れることなくディエゴの後頭部を指差していた。 「いつまでそうしてるつもりだ。人のことを指差してはいけません、ってママに習わなかったのかい、ジョニィ?」 地下にいた時からずっとそうだった。ディエゴが遺体の気配を探ろうとするたびに、鼻を鳴らしてあたりの匂いを嗅ぐたびに―――ジョニィは滑らかな動きでディエゴの後頭部に狙いをつけた。 その動きには焦りがなく、手馴れた様子だった。断固たる決意を感じさせず、まるで当たり前のように殺意を抱くジョニィにディエゴは内心ゾッとしていた。 窓に映ったジョニィがディエゴを見返す。ディエゴがずれたヘルメットの位置を調整しようと手を挙げると、ジョニィは無言のまま一歩下がり、狙いを付け直した。 居心地の悪い間が二人のあいだを漂う。行く宛をなくした腕を振り下ろし、体の両脇でブラブラと遊ばせる。しばらく経ってから鏡張りの世界でディエゴが歯をむき出しに笑った。鋭い歯が何本も覗いていた。 「おっと、君の場合はパパに、だったか。ジョースター家はなんだって大切なことをパパから学ぶんだ」 「気づいていないと思うけど、君の獣臭い息がここらに充満しているんだ。大口叩いてないでさっさと目的地に向かったらどうだ」 窓に映ったディエゴがゆっくりと目を細めた。それを合図にジョニィは浅く息を吸い、そして止めた。二人はしばらくのあいだ黙りこくった。随分と長い間そうしていたが、どちらも動かなかった。 やがてディエゴは目をそらし、一本奥まった脇道に向かって歩きだす。5メートルほど間隔をあけてジョニィはあとに続いた。 沈黙のまま、二人は黙々と歩き続けた。家と家のあいだを歩いた。橋を渡った。何度か立ち止まり、気配を探り―――そしてまた歩き出す。 ディエゴはどこに向かっているか、一向に教えなかった。ジョニィも聞かなかった。 ほとんど会話を交わさず、黙々と二人は進んだ。雲が月を覆って辺りがほんのりと暗く染まった。DIOの館にたどり着いた頃には影がほんの少し伸び、砂埃とかすかな血の匂いが風に乗ってあたりを覆っていた。 DIOの館を前に二人は並んだ。ジョニィは頑として先に扉に手をかけようとせず、仕方なしにディエゴが扉を開いた。 「ようこそ、我が館へ」 ディエゴが小さく茶化したが、ジョニィは何も言わなかった。扉を開いた途端、玄関ホールに一人の男が立っていた。 「ようこそ、[[ルーシー・スティール]]の館へ。歓迎するぜ、[[ジョニィ・ジョースター]]、[[ディエゴ・ブランドー]]」 ボルサリーノ帽子を被った、いかにも、といった感じのギャング風の男がいた。 鼻にかかったその声は、生理的に二人に嫌悪感を抱かせた。芝居ががった態度が不愉快だった。落ち着きのない目線が猜疑心をかきたてた。 警戒を顕にするディエゴに対し、ジョニィは数巡の後、その脇をすり抜けるように一歩進んだ。ディエゴを追い越すときにジョニィがそっと呟いた。 「奪われる星の下に生まれてるんだな、君ってやつは」 ムーロロのあとをついて、ジョニィが階段を上っていく。ディエゴはしばらくの間、そこに佇んでいたが、やがて首を振りながら歩きだした。 ◆ 二階の天井の高い角部屋に、ジョニィたちは案内された。 入口から向かって正面と左側の二箇所に、縦長の窓がそれぞれひとつずつあった。正面の窓のすぐ前にはこちらを向くように書き物机が置かれている。その両脇にはおよそ二メートルの高さの本棚が並んでいる。 左手には来客用に机と椅子が四脚が用意されていて、反対側には部屋主がくつろぐようにソファセットがある。 全体として高級感が漂っている空間だった。その空間の真ん中にルーシーがいた。 そよ風が向かいの窓からカーテンを中に引き入れ、ジョニィとディエゴの頬を撫でながら部屋を抜けていく。 その風に煽られて、ルーシーのワンピースの裾がめくれた。傷つきやすい脚と異様な膨らみのお腹が際立った。 ルーシーがなにか小さく呟いたが、風の音に遮られ二人には何も聞こえなかった。 ジョニィはさっと部屋に入ると壁伝いで左に逸れ、ディエゴから距離をとった。ムーロロはルーシーの近くに寄り添い立っている。ディエゴは入口に立ったまま、警戒心の高い猟犬のように部屋全体を眺めた。その指先がピクピクと震えた。 「ほんの少し目を離したすきに素敵なお友達ができたようだな、[[ルーシー・スティール]]」 ディエゴはルーシーの足元にうずくまる[[セッコ]]、ソファに座って俯く琢馬、そして傍に立つムーロロを順に眺め、そう言った。 「身篭ったガキと寝るってのはどんな気持ちなんだ、お前たち。さぞかしルーシーは『お上手』なんだろうな」 ディエゴがテーブルについた。誰も動かないのを見て、驚いたような表情をディエゴは浮かべた。 ジョニィに向かって両手を挙げ、肩をすくめる。悪人の俺が席につこうって言うんだ、なぜお前は座らない? そう言いたげな白々しい表情だった。 ジョニィはしばらくそのまま動かずにいたが、ゆっくりとディエゴの正面の席に座った。 机は蹴飛ばすには大きすぎる。椅子から立ち上がり跨ぐならば、一瞬ではあるが隙はできる。スケアリー・モンスターズの間合いではあるが、ジョニィに最初の一発を外すつもりはなかった。ルーシーにつきまとう三人が未知数である今、交渉―――もしそれが本当に交渉ならば―――するのもやぶさかではなかった。 「椅子が足りねェみたいだが」 ムーロロはルーシーのために椅子を引き、その向かいに腰掛けた。ディエゴから順に右回りにルーシー、ジョニィ、ムーロロ。これで四人が席に着いた。 「残りの二人に席に着くだけの度胸とオツムがあればな。おしゃべりがお望みなら他所でやってくれ、ボルサリーノ」 「決めるのはお前じゃねェ、[[ディエゴ・ブランドー]]。主催者はルーシーだ。お前は招かれた客に過ぎないんだぞ。 それに俺はボルサリーノじゃない。ムーロロだ。[[カンノーロ・ムーロロ]]だ」 「気が向いたら覚えておいてやるよ、ボルサリーノ」 ムーロロがポケットからこれ見ようがしに拳銃を取り出し、机の上においた。ディエゴはそれを見てせせら笑った。 今更拳銃ぐらいで誰も驚かなかった。ルーシーは夢見がちな瞳で机についた三人の顔を見渡した。ジョニィも黙ったまま二人のやり取りを見つめた。 「カードでもやりながら話をしようや」 ムーロロがそれぞれにトランプを配り始めた。誰も手をつけないので三枚ほど配ったあたりでムーロロはその手を止めた。 「面白みのないやつら」 そうもごもごとムーロロは呟いた。 「これじゃあ掛金の上乗せもできやしねェ」 「図に乗るなよ、チンピラ。お前が一番この中で格下なんだ。どなたの遺体かもわからないくせにでかい面叩くな」 「……本当にそう思うのか? マジで、そう思っているのか―――ディエゴ?」 『遺体』の言葉を合図に部屋中の音が止まった。ムーロロは残された少ないトランプを手の中で弄ぶ。視線はディエゴを捉えたまま離さない。ディエゴもムーロロを見下ろしたまま、微動だにしない。 ルーシーの足元で[[セッコ]]がよく懐いた飼い猫のようにうずくまっている。砂糖菓子をかじる音が四人の間にふらふらと流れた。 ディエゴは肘をテーブルに載せ、前のめりになった。右隣に座ったルーシーに顔を寄せながら囁く。 「なぜ逃げなかった」 「おい、話は終わってねェぞ、ディエゴ―――……」 ムーロロの言葉は遮られた。 「俺はお前に聞いているんだぞ、[[ルーシー・スティール]]。俺の配下の恐竜を始末した時点で―――例え匂いで追われることは確実だとしてもだ―――距離をとって振り切ることはできたはずだ。 俺はジョニィと一緒にここまでやってきた。そしてこのボルサリーノは館に入った時点で俺たちの名前を呼んだ。 スタンドか、遺体の力か、支給品の何かか―――それはわからない。だが俺たちの動きを何かしらで把握していたのは確かなはずだ。 ならなぜ逃げなかった?」 この賭けに勝算があるっていうのか―――ディエゴの最後の言葉は寸前で飲み込まれた。ディエゴが言い切る前にルーシーが顔を覆って机に突っ伏し、そして体を震わし始めたから。 嘲りと同情が三人の男たちの間で行き交ったが、それもほんのわずかな時間だった。 ルーシーが右手を鋭く突き出したと同時にディエゴの左目が鋭く痛んだ。そしてジョニィとムーロロはディエゴの顔から『左目』が浮かび出るのを見た。 「この通りよ、ジョニィ。コイツは遺体を所有している。ここまであなたにバレないようにしていたみたいだけど」 ディエゴは反射的に左手を挙げかけたが、そのまま諦めたように、机の上に腕をおろした。ルーシーが手を引っ込めるとディエゴの左目も元の場所へと収まった。 ルーシーが手を開くと、間の抜けた音を立てながら右目の眼球が机の上に転がった。三人の視線がそれを追った。 ジョニィだけが別のものを見ていた。正面に座ったディエゴの左目を真っ直ぐに見つめていた。机の下でピクリ、とジョニィの指先が動いたことに、誰も気づかなかった。 「獣相手に言葉が通じるとは思えなかった。遺体を人質に取られることが私にとっての最悪だった。 でもこうすれば、アナタはテーブルに付かざるを得ない。そうじゃないかしら、ディオ?」 「小賢しいじゃないか。博打に勝ったっていうわけだ」 「いいえ、まだ始まったに過ぎないわ。あなたをテーブルにつかせることに成功しただけ」 「えらく謙虚なんだな。1、2、3、4……5対1じゃさすがの俺も苦戦するぜ?」 「……本当にそうかしら」 ルーシーは自分を除く『4人』を見渡した。 正面に座ったムーロロは椅子の背に体重をかけ、二本足でバランスをとって体を揺すっている。目深く帽子を被って、視線の行先はわからない。 [[セッコ]]は砂糖菓子に夢中、琢馬はディエゴが部屋に入ってから全くと言っていいほど動いていない。現状に興味が一切もてないようだった。向かいの壁を漫然と眺め続け、それに飽きたら自分の手をじっと睨みつけることを繰り返している。 「本当に」 そして、ジョニィ。ルーシーは右に座った青年の顔を横目で眺めた。 呼吸をしているかどうかもわからないほどに、ジョニィは穏やかに見えた。体中の力が一切感じられない。だが眼光だけが、飛び抜けて鋭い。 こわばった目が一つ一つを見透かすように注がれている。机の上に置かれた右眼球に。ディエゴの持つ左眼球に。そしてルーシーの膨らんだ腹部、遺体の頭部に。 ジョニィ、あなたを本当に信頼していいの? ルーシーはそれを問いかけられない。 自分が夫を失ったように、ジョニィも唯一無二の親友を失った。しかし同じ悲しみが一切ジョニィからは感じ取れなかった。それがルーシーをためらわせる。 テーブルのナプキンを握るものはまだ誰でもなかった。四人の腹の探り合いは続く。ムーロロが姿勢を正すとゆっくりと机の上の右眼球に手を伸ばした。 ムーロロはディエゴとジョニィに目配せを送る。別に盗もうってわけじゃない。ただ今からちょっとした手品をお見せしよう。 上品で丁寧な態度でムーロロの手が眼球に触れかけた。眼球はムーロロの手が触れる前からズズズ……と音を立ててムーロロ自身の手の方へ引っ張られていった。まるで何かに引かれ合うかのように。 「どこだ」 ムーロロが手を引っ込めると、眼球は勢いをなくした。眼球が心細げに動くのをやめるのを見て、ディエゴがムーロロに訪ねた。 「どこの部位だ」 「それを知ってどうなる。それに俺が教えるとでも?」 「だがお前はそれがどなたの遺体かもわかっていない」 「いいえ、彼は知っているわ」 ルーシーが二人の間に割って入った。ムーロロは批難するような目で向かいのルーシーを見つめたが、彼女はそれを無視した。 「あなたとジョニィの来訪を教えてくれたのも彼。私が数時間気絶している間に何が起きたかを曖昧ながらも教えてくれたのも彼」 ルーシーにとって何より優先しなければならないのは自身の安全だった。 交渉が暗礁に乗り上げれば、ディエゴは文字通り牙を向くことになりかねない。 ディエゴを飽きさせてはならない。ディエゴを餓えさせてはならない。進展を印象づけるためにルーシーはムーロロの一部を売り渡した。 「彼の情報網はホンモノよ。路地裏の排水管の数まで彼は知ってるの」 「女は信頼ならないな、ボルサリーノ。あしながおじさんは骨折り損だ」 「見返りが凶暴な恐竜野郎だったとは―――割に合わねぇよ、ほんと」 ムーロロがぼやいた。向かいから送られた恨みがましい目線にルーシーは顔を伏せる。結局のところ、今のルーシーに許されたことは見極めることだけだ。 遺体に相応しいのは誰か。机に座ったのはディエゴ、ムーロロ、ジョニィの三人だけだった。 三人の中に白馬の騎士はいなくとも、遺体が揃うまでは安全を保証してくれるパトロンがルーシーには必要だった。 なにせ[[カーズ]]が遺体の一部を所持しているのだ。自体は一刻を争うことになっている。 「そうなるとジョニィ、お前がこの場で一番貧乏神だ」 ディエゴの言葉に全員の視線がジョニィに向く。 遺体に関する情報のアドバンテージはこのテーブル上には存在しなかった。そうなれば残すは誰が、いくつ、遺体を所持しているかだ。 ディエゴはさりげなさを装って眼球をジョニィの方向へ誘導した。眼球の勢いは止まり、ルーシーとムーロロのちょうど間で勢いをなくす。 ジョニィは遺体を所持していない。ディエゴとムーロロはその事実を同時に確信した。 「俺は馬車馬のごとく働いた。ボルサリーノは王女様の護衛兵。王女様は玉座に座ってふんぞり返るのが仕事ってもんだ。 お前は一体何を持っている? 空手でノコノコ賭博場にやって来る田舎者でもないだろう。財布の中身を見せてもらわなきゃカウンターには座れないぜ」 「机につくのに参加料を取られるって話は聞いてない」 初めてジョニィが口を開いた。そして―――おもむろに眼球に手を伸ばした。 ムーロロは素早く拳銃を手にとると、銃口の先をジョニィに向けた。ジョニィの動きが止まった。 「図に乗るなよ、[[ジョニィ・ジョースター]]……! 5対1だとディエゴは言ったが、それはお前にとっても当てはまるんだぜ」 眼球までの距離は数センチ。眼球は動いていない。もしもムーロロが止めなければ、ジョニィはそのまま眼球を自分のものにしていただろう。 ディエゴは尻を浮かし、机の上に覆いかぶさった姿勢で動かない。対面のジョニィから目が離せない。 ディエゴの毛が逆立ち、尾てい骨のあたりが妖しく蠢いた。恐竜化の前触れだ。その鼻は戦いの匂いを嗅ぎつけていた。 ジョニィの眼が燃えた。真っ黒な目で対面のディエゴを眺め、そしてその視線をルーシーに向けた。 ルーシーは怯えた。[[セッコ]]は砂糖菓子をかじるのをやめ、琢馬がうつむいていた顔を上げた。部屋は膨張するのをやめ、一気に収縮していく。 ジョニィを中心に空間が渦巻く。ジョニィが数センチ、その手を動かせば弾丸と牙が部屋を切り裂くのは明らかだった。 風がカーテンを揺らした。ジョニィは体を起こすとその指先をそのまま口元に持っていった。 「しーっ…………」 沈黙を促す。机についた三人が耳を澄ますと、扉をひっかくような音が聞こえた気がした。 数秒もしないうちに、それは耳障りな回転の音に変わった。止まることのない永遠を思わす音。音は這い上がるように動き、表に飛び出た。 それは明らかな意図を持った音だった。発生源はルーシーの足元から、そして腹部へ移り……遺体の頭部を宿すその場所へ。 「こ、これはッ!?」 「――――――『タスク act2』」 ルーシーの腹部に大きな弾痕がうごめいているのをディエゴは見た。ジョニィは座った目で、三人の顔を見渡した。 「貴様、ジョニィィィィイイ―――!? 何を考えてやがるッ―――!?」 「7秒以内に机から離れて壁に手をつけろ。今更僕を殺したところで回転は止まらない。回転を操れるのは僕だけだ。二人共従ってもらう」 椅子を蹴飛ばす音と悲鳴が響いた。ムーロロがジョニィのこめかみに銃口を突きつけ、喚いた。ジョニィは動じなかった。 ジョニィは椅子に座ったまま、ディエゴから目を離さない。両手は机に乗ったまま、ディエゴの方へ綺麗に向けられている。 ルーシーの混乱もムーロロの怒りも二人には届かない。男たちは互いに見つめ合う。ディエゴは口の端を歪ませ、吐き捨てた。 「いいのか? 遺体を諦めてお前とルーシーをこの場で八つ裂きにすることもできるんだぜ」 「本当にそう思っているのならお前は既にそれを実行しているだろう。ハッタリは効かない。それに僕が大人しくやられるとでも?」 ジョニィの目は燃えている。変わらず、黒く燃え盛る。ディエゴは苦々しい表情を浮かべ立ち上がると、時間いっぱい使い切って、壁際まで下がった。 両手は壁につけず、視線はジョニィに向けられたままだった。妥協ラインは引かれた。そしてジョニィはそれをのむ。 ディエゴが動いたのにならい、ムーロロも同じく距離をとっていた。二人が下がりきったのを合図に弾痕がルーシーの椅子の背に移動した。 途端、木片が飛び散るには大きすぎる音が聞こえた。いともたやすく椅子そのものが木っ端微塵になってしまっていた。 ルーシーがそのままバランスを失い、倒れかけた。ジョニィはさっと手を伸ばすと彼女を受け止めようとした。 が、[[セッコ]]が既にルーシーを抱きかかえていた。この騒動の間も[[セッコ]]は砂糖菓子に夢中だった。それは琢馬も同じことだった。 一度だけ立ち上がったが、何も起きなかったことを確認すると、またソファに座り面白くもない壁面を見つめ直す作業に戻っていた。 ルーシーは[[セッコ]]に小さくありがとうと囁くと、ポケットからいつもより大きめの砂糖菓子を取り出した。そして喜ぶ[[セッコ]]にそれを手渡しながら、付け加えるように言う。 「[[セッコ]]、新しい砂糖菓子があるんだけど……欲しい?」 少し離れたところにあるの―――そうルーシーが言うのを待たず[[セッコ]]は頷き、彼女の指示を待っていた。 ディエゴとムーロロの顔に嫌悪感が浮かぶ。傍に立つジョニィですら、不気味な様子に顔をしかめた。 しかし背に腹は変えられない。ルーシーが合図を出すと[[セッコ]]は館の地面に沈み、どこかへと向かう。ジョニィとルーシーはふたり揃って窓際まで後退した。 油断なく指先が向けられたままだった。最後の最後までジョニィはディエゴを睨み、ディエゴはジョニィを皮肉げに見返した。 二人の体が窓枠から外へ雪崩打つ。ディエゴが窓際までいって覗き込めば、二人を器用に抱えた[[セッコ]]が背泳ぎをしながら館から離れていくのが見えた。 ◆ バシン! 小気味良い、乾いた音が夜空に届いた。ジョニィは早くも赤く腫れ始めた頬を抑えるとルーシーを見た。怒りに燃えたルーシーの瞳が真っ直ぐに見つめ返している。 「……弁解する気はない。あの状況で君を安全に連れ去るにはこうするしかなかった」 「土手っ腹に穴をあけられた状況で、あなたは同じことを言えるかしら」 「僕自身、ムーロロに銃を突きつけられていたんだ。何よりディオがその気になったなら間違いなく僕がやられていた」 「だから公平、ここは一つ僕の顔に免じて許してよ―――そう言う気?」 ルーシーはジョニィに背を向け、体の前で腕を組んだ。ジョニィはここに来て初めて戸惑った表情を浮かべた。 たとえ最強のスタンドを持っていようと、聖人の遺体を持っていようと、ディエゴ相手に一歩も動じない肝っ玉を持った男であろうと―――女の子の喜ばせ方は自身で学ばなければいけない。 たとえ相手が人妻で、妊娠者で、年下の気難しい小娘だとしてもだ。どんな困難な状況でも女の子の機嫌を取らなければならない時が男にはある。 ジョニィはルーシーの背中から視線をそらすと、顔を伏せ、思い直したように前を向いた。耳たぶに軽く触れながら、ぼそぼそと言う。 「君には覚悟があるように感じた。もし僕が君を過大評価しているなら謝る」 「……謝る必要はないわ。でも私も謝らないわ、ジョニィ」 月が伸ばしたルーシーの影を見つめ、ジョニィはため息を吐いた。相変わらずルーシーはこちらを向かない。少し離れたところから、四つの砂糖菓子相手にはしゃぐ[[セッコ]]の声が聞こえてきた。 ため息を合図にルーシーがこちらに首だけを回し視線を送る。ジョニィはためらいながら彼女に近づいた。ルーシーは離れなかった。 すぐ脇に立つと、同じ方向を向いたまま話を続けた。視線の先には穏やかに川が流れ、その水面に月が反射して写っていた。 「南に向かいたいと思う。信用できる連中がいるんだ」 「……遺体を揃えるのが先だと思うけど」 首をかすかに振り、ジョニィは言う。 「信頼できるだけじゃない。ルーシー、確かに遺体は『最後には』僕『ら』が手に入れる。だが『この』遺体はあの方のものであって、あの方のものじゃないんだ」 「……話がよく見えないわ」 ルーシーは眉をひそめ、苛立ち気に言った。ジョニィは一度呼吸を挟むとディエゴの言葉を思い出しながら『この遺体』に対する違和感を説明する。 なぜヴァレンタインは遺体の部位を集めきり、そしてもう一度それをバラバラにして支給品にしたのか。 なぜこのタイミングでスティールを始末したのか(なぜもっと早く始末しなかった?)。 そもそもなぜスティールを司会進行に据えたのか。なぜ[[ルーシー・スティール]]が参加者に選ばれたのか。 「ディオが言うことはもっともね。それがどうアナタが言った『信頼できる連中』につながるのかしら」 話の途中、ルーシーは右腕を乱暴に振ってジョニィの言葉を遮った。 ディエゴやムーロロがあとを追ってくる可能性もある。難しい話は移動しながらでも、目的地についたあとにしてもいい。要点が聞きたかった。 ジョニィは顔に手をやると、先の混乱でどさくさに紛れて手に入れた右の眼球を取り出した。ルーシーは顔をしかめ、かばうようにお腹をさする。 二人を中心にうずが沸き起こる。水面に波紋が浮かび上がり、ザザザ……と音を立てて波が立ち上がった。 [[セッコ]]は顔を上げると、耳をぴくぴくと震わせて空気の震えを感じ取った。二つの遺体と強い意志に呼応するように、辺りに大きな図形が浮かび上がる。 それは大規模な地図だった。この殺し合いの全体像を表した、これまでで最も大きな地図が地面に浮かび上がった。 うっすらと出来上がった地図を見下ろした時、ルーシーの目が細められた。 遺体は次の遺体を指し示す、そういう話は聞いたことがあった。であるならば―――この遺体が『あのお方』のものであれば―――少なくとも7つの星が浮かび上がるはずだった。 だが、地面に咲いた星の数は―――5つと1つ。 「ずっと心の中に引っかかっていたことなんだ。あとは確信が必要だった。上乗せする1%のための確信が……」 ジョニイは自分たちがいあるあたりに咲いた1つの星をさし、南西に固まったいくつかの星を指した。 咄嗟に天を仰いだルーシーに釣られ、ジョニィも空を見上げた。そこには何も言わない星屑たちが彼らを見下ろしている。 「全てはジョースターだ。この遺体の中心にはジョースターがいる……ッ!」 地面は蠢く。[[セッコ]]が囁く。地図はまだ決まっていない。 砂糖菓子にかじりつく[[セッコ]]の歯が、普段より鋭く、長くなっていたことには誰も気がつかなかった。 ◆ 「やられたよ、完全に出し抜かれた」 「その割には上機嫌そうだが」 窓から身を乗り出していたディエゴは体を引っ込ませるとクスクス笑いながら、テーブルに戻り、ムーロロの真正面に座った。 「スティールが死んだいま、ルーシーの株は大暴落だ。カードとしては使えない上、女一人抱えて移動したり戦ったりするのは煩わしい。 どちらにしろアイツが遺体を孕んでる以上、誰にも手出しはできないんだ。ジョニィがわざわざ子守役を引き受けてくれたと考えれば別段問題でもない。 それに……」 しゃべりすぎたと思ったのか、ディエゴはそこで突然口を閉じた。 ムーロロが先を促すように顎を振ったが、ディエゴは怪しげに微笑むだけだった。 キザな野郎だ、とムーロロは毒づいたが結果は変わらなかった。ディエゴは面白がって余計クスクス笑いを悪化させた。 張り切ったゴムがちぎれたような、だらしない空気があたりをさまよっている。いつの間にか琢馬も姿を消していた。二人ともそんなこと、と意に介さなかった。 ムーロロは机に散らばったカードを丁寧に集めなおすと、縦にカードを切り始めた。 なかなかの枚数をまとめているのもかかわらず、不思議と紙同士が擦れる音は聞こえなかった。 うまいものだな、とディエゴが褒めるとムーロロは小さく頷いた。テーブルで輪っか上に広げ、端の一枚を指で弾いた。ドミノ倒しのように一枚が起き上がる衝撃で隣が立ちあがり、最後には全部が支え合うように机の上で立ち上がった。 ディエゴは感心した。ムーロロはカードをもう一度集め、混ぜ合わせ始めた。癖のようだった。 「ジョニィたちは南に動いてるぜ。スピードはそこまで早くない。お前の脚ならすぐにでも追いつけるだろう」 カード遊びを続けながらムーロロが言った。ディエゴはムーロロの手元に視線を向けたまま、答える。 「オイオイオイオイ……俺は別に情報が欲しいわけじゃあない(あったら嬉しいのは事実だが)」 「腹を空かせた狼に別の獲物を差し出したところで、食べられてしまうことに変わりはないってわけか。だけど俺だって大人しく食われるつもりはないぜ」 先と同じようにカードを輪っか上に広げる。ムーロロの指先がカードを弾くと「イテッ!」とキンキン声が聞こえた。 ディエゴの目の前でカードたちから手と足が生え、今度は本当にそれぞれの足で『立ち上がり』はじめた。 ディエゴは汚いものに触れかけたように机から体をめいっぱい離した。両方の親指が神経質そうに、手のひらを柔らかく引っ掻いている。 「『スタンド』だったのか」 「自衛の手段だ。あの状況で襲われたらひとたまりもないんでね」 「キモが座ってるじゃないか」 カードたちが歓声を上げ、踊りながら机の上でに広がる。それまでのお喋りが嘘のように、二人は突然黙り込んだ。互いの目から視線が逸らせなくなった。 館のどこかを彷徨う琢馬の気配がする。それが二人の間をふらふらと漂い、妨げている。 机の上でカードたちがそろりと動き、隊列を組んだ。ディエゴの唇が徐々に大きく裂け、耳の下まで牙が伸びてきた。ムーロロは机の上に置かれたディエゴの手のひらに、キラリと輝くウロコがあるのを見つけた。 一度ちぎれたゴムがキリキリ……と音を立てるほどにまた、引き伸ばされる。 そして―――生暖かい風が二人の左手の窓から入った時―――二人はそのゴムをどちらも切るつもりがないことを、唐突に理解し合った。 ディエゴは共犯者にむける独特の笑みを浮かべた。ムーロロは真面目くさった顔でボルサリーノ帽子をかぶり直し、大きなあくびを一つした。 「なぁ、『ムーロロ』……」 「おう、『ディオ』」 「君とはいい友達になれそうだよ」 ムーロロの頭の片隅に、黄金に輝く流れ星がさっと走った。それも一瞬のことだった。顔を振ってその記憶を振り落とした。 「恐竜にされたらかなわねェ」 机越しにディエゴが差し出した手を、見下すとそう言った。良い気分がしないディエゴは手を引っ込めようとした。 それが引っ込むか、引っ込まないかのうちに、かわりにムーロロは一枚のカードを差し出した。 ディエゴはそのカードを手にとった。ムーロロを見つめたが、何も言わない目がディエゴを見返しているだけだった。 カードをひっくり返し、表を見る。ジョーカーだった。だがそこいたのはただのジョーカーではなく、体を苦しげに震わせているジョーカーだった。 ディエゴが見つめる先でジョーカーの姿がゆっくりと変わっていく。 ウロコが生え、爪が伸び、牙が顎を貫きかけるほどに尖っていった。やがてカードから突き出ていた四本の手足も変わり始めた。二本の足で支えていた体は今では前傾体制をとり、獲物を狙う肉食動物のような振る舞いをし始めた。 手のひらの上で踊る恐竜を見つめているうちにディエゴの中で笑いがこみ上げてきた。 最初は抑えていたが、そのうちどうしようもなく、ディエゴは大きな声で笑った。 ムーロロは何も言わず、机越しにディエゴを見つめた。冷めた目だったが、その奥には揺れる光が芽生えていた。 「窓のそばに控えている恐竜をさげてくれ。爬虫類は苦手なんでな」 ムーロロの言葉と一緒にカーテンが外へと流れ出た。少しづつではあるが風は強まっていたようだった。 【D-2 南東部 川辺/1日目 夜中】 【[[ジョニィ・ジョースター]]】 [スタンド]:『牙-タスク-』Act1 → Act2 → ??? [時間軸]:SBR24巻 ネアポリス行きの船に乗船後 [状態]:右頬に腫れ [装備]:ジャイロのベルトのバックル、遺体の右目 [道具]:[[基本支給品]]×2、リボルバー拳銃(6/6:予備弾薬残り18発) [思考・状況] 基本行動方針:ジャイロの無念を―― 1.ルーシーと共に行動。当面の目標はジョースター一族と合流すること。 2.遺体を集める [備考] ※Act3が使用可能かどうかは次の書き手さんにお任せします。 【[[ルーシー・スティール]]】 [時間軸]:SBRレースゴール地点のトリニティ教会でディエゴを待っていたところ [状態]:処女懐胎 [装備]:遺体の頭部 [道具]:[[基本支給品]]、形見のエメラルド、大量多種の角砂糖と砂糖菓子 [思考・状況] 基本行動方針:?? 0.ディエゴから離れる 1.ジョニィと共に行動し、遺体を集める。身の安全を最優先。 [備考] ※遺体を通してトリッシュ・[[カーズ]]に声をかけています。([[カーズ]]に対しては『あの方』を装っています) その他の遺体所有者を把握しているか、話しかけられるかは不明です。 【[[セッコ]]】 [スタンド]:『オアシス』 [時間軸]:ローマでジョルノたちと戦う前 [状態]:健康、恐竜化(進行:極小) [装備]:カメラ [道具]:シュガー、エンポリオ、重ちー、ポコのしたい写真集 [思考・状況] 基本行動方針:?? 0.角砂糖うめえ 1.DIOが死んでしまって残念 2.人間をたくさん喰いたい。何かを創ってみたい。とにかく色々試したい。新しい死体が欲しい。 3.[[吉良吉影]]をブッ殺す [備考] ※『食人』、『死骸によるオプジェの制作』という行為を覚え、喜びを感じました。 ※千帆の事は角砂糖をくれた良いヤツという認識です。ですが[[セッコ]]なのですぐ忘れるかもしれません。 ※恐竜化はディエゴから距離をとっているため、進行は緩やかで、無意識です。遺体を譲渡されれば解除されるかも、しれません。 【C-3 DIOの館/一日目 夜中】 【[[ディエゴ・ブランドー]]】 [スタンド]:『スケアリー・モンスターズ』+? [時間軸]:大統領を追って線路に落ち真っ二つになった後 [状態]:健康、なかなかハイ [装備]:遺体の左目、地下地図、恐竜化した『オール・アロング・ウォッチタワー』一枚 [道具]:[[基本支給品]]×4(一食消費)鉈、ディオのマント、ジャイロの鉄球 ベアリングの弾、アメリカン・クラッカー×2、カイロ警察の拳銃(6/6) 、シュトロハイムの足を断ち切った斧 ランダム支給品11~27、全て確認済み (ディエゴ、ンドゥ―ル、[[ウェカピポ]]、ジョナサン、[[アダムス]]、ジョセフ、エリナ、承太郎、花京院、 [[犬好きの子供]]、仗助、徐倫、F・F、アナスイ、[[ブラックモア]]、[[織笠花恵]]) [思考・状況] 基本的思考:『基本世界』に帰り、得られるものは病気以外ならなんでも得る 1.ムーロロを利用して遺体を全て手に入れる。 [備考] ※DIOから部下についての情報を聞きました。[[ブラフォード]]、大統領の事は話していません。 ※教会地下に散乱していた支給品は全てディエゴが『奪い』ジョニィは自分の持っていた道具以外何も手にしていません。 ※ディエゴが本来ルーシーの監視に付けていた恐竜一匹が現在ディエゴの手元にいます。 【[[カンノーロ・ムーロロ]]】 [スタンド]:『オール・アロング・ウォッチタワー』(手元には半分のみ) [時間軸]:『恥知らずのパープルヘイズ』開始以前、第5部終了以降 [状態]:健康 [装備]:トランプセット、フロリダ州警察の拳銃(ベレッタ92D 弾数:15/15)、予備弾薬15発×2セット [道具]:[[基本支給品]]、ココ・ジャンボ、無数の紙、図画工作セット、川尻家のコーヒーメーカーセット、地下地図、遺体の脊椎、角砂糖、 不明支給品(2~10、全て確認済み、遺体はありません) [思考・状況] 基本行動方針:自分が有利になるよう動く 1.ディエゴを利用して遺体を揃えるた。ディエゴだってその気になればいつでも殺せる……のだろうか。 2.琢馬を手駒として引き留めておきたい? [備考] ※現在、亀の中に残っているカードはスペード、クラブのみの計26枚です。 会場内の探索はハートとダイヤのみで行っています。 それゆえに探索能力はこれまでの半分程に落ちています。 ※支給品二つの中身はフロリダ州警察の拳銃(ベレッタ92D 弾数:15/15)と予備弾薬15発×2セットでした。どちらも元は[[サンタナ]]の支給品です。 【[[蓮見琢馬]]】 [スタンド]:『記憶を本に記録するスタンド能力』 [時間軸]:千帆の書いた小説を図書館で読んでいた途中 [状態]:健康、精神的動揺(大) [装備]:遺体の右手、自動拳銃、アヌビス神 [道具]:[[基本支給品]]×3(食料1、水ボトル半分消費)、双葉家の包丁、承太郎のタバコ(17/20)&ライター、SPWの杖、 不明支給品2~3([[リサリサ]]1/照彦1or2:確認済み、遺体はありません) 救急用医療品、多量のメモ用紙、小説の原案メモ [思考・状況] 基本行動方針:他人に頼ることなく生き残る。 0.??? 1.自分の罪にどう向き合えばいいのかわからない。 [備考] ※参戦時期の関係上、琢馬のスタンドには未だ名前がありません。 ※琢馬はホール内で[[岸辺露伴]]、[[トニオ・トラサルディー]]、虹村形兆、[[ウィルソン・フィリップス]]の顔を確認しました。 また、その他の名前を知らない周囲の人物の顔も全て記憶しているため、出会ったら思い出すと思われます。 また杜王町に滞在したことがある者や著名人ならば、直接接触したことが無くとも琢馬が知っている可能性はあります。 ※ミスタ、ミキタカから彼らの仲間の情報を聞き出しました。 ※スタンドに『銃で撃たれた記憶』が追加されました。右手の指が二本千切れかけ、大量に出血します。何かを持っていても確実に取り落とします。 琢馬自身の傷は遺体を取り込んだことにより完治しています。 *投下順で読む [[前へ>To Heart]] [[戻る>本編 第4回放送まで]] [[次へ>かつて運命になろうとした『あの方』へ]] *時系列順で読む [[前へ>次の目的地に向かえ!]] [[戻る>本編 第4回放送まで(時系列順)]] [[次へ>かつて運命になろうとした『あの方』へ]] *キャラを追って読む |前話|登場キャラクター|次話| |185:[[葛藤]]|[[ジョニィ・ジョースター]]|203:[[すれ違い]]| |185:[[葛藤]]|[[ディエゴ・ブランドー]]|200:[[Rule Out]]| |186:[[ブレイブ・ワン]]|[[ルーシー・スティール]]|203:[[すれ違い]]| |186:[[ブレイブ・ワン]]|[[カンノーロ・ムーロロ]]|200:[[Rule Out]]| |186:[[ブレイブ・ワン]]|[[蓮見琢馬]]|201:[[際会]]| |186:[[ブレイブ・ワン]]|[[セッコ]]|196:[[目覚めぬ者に夜明けは来ない]]|