地図にはなかった小道で出会った一人の少女
僕のお姉ちゃん
思い出 覚えてないけど
揺れた微笑
鴇色に染まる 小さな頬
あの頃と多分変わらないまま
町を平和にと願う魂
僕を庇ったその心のまま
時代(とき)は流れて僕は大人になり
君の事なんて 忘れていたけど
口にこそ出さないさ だが君が願う町の誇り
取り戻すのも 悪くない
別れが悲しいなんて今更かな
目の奥が熱くなっても 言葉にはできない
泣いてしまいそう
「じゃあね」
とうなづき別れ告げる
それでも 君は 微笑んだまま
「寂しくなるな」
と皆は言う
ねえ あなたは寂しいって
泣く かしら?
降り積もる想い胸に隠してそのまま
君を送る つもりだったのに
君に背を向けて最後に、最後だから君に
はじめて言うよ 素直な気持ち
思い出を数えたら 指が足りなくなった
通い合った心を嬉しいなんて言えなくて
本当は行って欲しくない
途切れていく別れの言葉の中で
瞬きばかり見てた 君の頬に涙ひとつぽろり
「もう行かなくちゃ」/「まだ行かないで」
振り返り微笑んだ 二つの魂
彼女は天に還り 消えてゆく
君の髪ふわり
静かに揺れて
空に溶け込んで朧(おぼろ)
かけがえの無い物残しありがとうと呟いて
二つの影は消えてゆく
時代(とき)は流れて僕は大人になり
君の事など 忘れていたけれど
再会の意味と遥か
高い空見上げて 思う
「彼女に会えてよかった」と
最終更新:2009年12月15日 14:08