週末のバス停を 彼は一人降りる
やわらかな光さすその場所で
しばしひとやすみ
その昔男には 一つの夢があった
命かけて人々を守る正しき警察官
だがしかしいつからか
彼は汚濁の中
「正義」を思い出すことなんて
わずらわしくて
そんな彼を突き落とす
ひどい雨降る夜
銃声がつらぬいた命は
どしゃぶりに消えた
己の過ちが相棒を殺した
外すことのできない
十字架を背負った
彼にはもう生き甲斐だとか
心を 動かすものは
感じられなくて
どこで誰が死のうと
この手足なくそうと
それから彼は罰をと
終わらぬ冬を過ごす
側に立つ力も手に入れた
その名は『ムーディーブルース』
なんて皮肉な能力
『それ』は過去を暴く
こんなにも罪深い自分がと
嘲って笑ったが ある日
信じられる道を 歩むと前を見て
自殺に等しい道を 選ぶ愚か者
「しかしだ もともと
社会からはじかれて
行く所や居場所など
すでにどこにもないこの俺だ」
使える駒にはなりっこないが
それでもアンタは拾ってくれた
だったらアンタといっしょに行くさ
男も確かに前を向く
裏切りの道を往く 男たちは走る
隠された邪悪の正体と
その過去を求めて
そして悪魔の使者が彼の胸をえぐる
「やはり故郷はいいな…ついてる」
だけども彼は倒れない
「ムーディーブルース」
最期の力くれてやるさ
オレだけが持つ力
全て詰め込んでくれてやるさ
倦み疲れてたオレにも
生み出せるものあるなら
奴らの元に託してゆけるだろう
『向かおうとする意志』
そして辿り着いた真実の向こうに
かつて死に追いやった相棒の姿
「そうさ
立派にやったのだよ お前は
私が 誇りに思うほど
立派にやった」
遺した それは
『ムーディーブルース』
彼の最期の力だ
石面に 刻んだ
悪魔のこの素顔
男の力 再生とはそう
再び生きる力だった
リプレイされるこの歌は
再び生きた物語
最終更新:2011年09月21日 03:15