しくじって刻まれた言葉
ずっと後に連なって
悲しくて飲み込んだ言葉
きっともう告げることはない
形にするとちっぽけになって
言葉にすると疑わしくなって
残せるものは一つもなくて
しみ込んでいく
「Pronto,ciao,Nero.」
明日になれば、
バイバイしなくちゃいけない俺だ。
泡になりそうな まどろむ意志を
お前の傍に 置いて逝くから。
少年に託した手紙には
矜持をただ したためた
どれだって美しかったから
一つとして歪めないように
でもどうしても言葉にしたくなって
鉛のように体は動かなくて
浮かされた氷柱はほどけて
しみ込んでいく
「Pronto,ciao,Nero.」
明日になれば、
今日の俺らは死んでしまうさ。
どんな姿でも 笑わないでくれ。
目指したものはたったひとつだ。
熔け出した 万華鏡
届いた小包 罰の味
錆色の 街路灯
水辺を踊った 魚たち
せわしなく鳴る 電話
瓶から這い出た 痩せた猫
嗄れた声でも 謳う詩
「あの子」が 静か に俺を見る
どうにもならない命でも
お前と歩いてきたんだ。
「Pronto,Compagno.」
明日になれば、バイバイしなくちゃいけない俺は、
泡になりそうな まどろむ意志を
確かに共に つれてゆくから。
名前もなくて 棺もなくて
それでも諦められない俺は
「Pronto,Compagno.」
「Pronto,Compagno.」
さよならだけが人生としても
最終更新:2019年08月08日 14:05