この子の七つのお祝いに ディアボロver.

過ぎたる遺愛の交わり魂は
灯かき消し暗夜に篭る
囚われの檻に聞こえた産声
「聖者か悪魔か」濁った目玉

あれから幾年 反骨の地で
密やかに鳴るは悪魔の鼓動
我が母この手で隠して
触れられぬよう
口を縫い 閉ざした四肢

故郷の灯りにゆらゆら陽炎
御身は裂けてふたつへ別つ
飛び散る手足を罰だと嘲って
悪逆統べてはまた首刎ねた

鏡に映った幼い化身に「救いを!」(反り返る)
跪け 跪け 愚者ども
従わなければはらわた抉れ
我が為だけに

うしろの正面だあれ

罪人繋いだ断頭台から
流れる血汐が杯満たす
(右手 左手 足 首 心音)

汚れを知らない汚れた我が子
己を愛でては独(ふた)りで祝杯
愛しき影よ

我が玉座 不滅の栄光 一切
誰にもやらぬ!
下僕を従え手は赤に濡らし
高らかに笑む悪魔よ

溢れる汚水に骸を浮かせて
「恥ずべき奴」と

支配に怯える犬どもの首輪
曳いては誇りを踏み躙り
手に死を抱いて哄笑

ああ 足元を這いずる声は
こだまして九十九の怨嗟
小さな光も知らずに生きていく

ひらひら生命の散華
忌まれた名の身の魂の
彼は彷徨う 灯もなく


彼を知っていた 足跡消えた


躾のならない畜生風情よ
首さえなければ首輪はいらぬ
命が惜しくば瞼を伏せよ
一度探れば逃がしはしない

支配に背いた愚かな犬は
虚ろな眼球恐れに開く
奥歯を噛み締めこらえる憎悪は
密かに渦巻く

無知の化粧に身を飾った子供が
己の顔した虚像に耳打ちをしている

子「ほらほら はやく電話に出なっきゃあ!
  あの人が僕を 呼んでいる」

秘密を抱えて産まれた少女に
首輪を千切って犬らは咆哮

命果てて なお追った

従順装い頭(こうべ)を垂れては
眼光鋭く好機をのぞむ

「嗚呼 この子だけは守らなければ」(隠して!)


男「我が名を顔(かんばせ)を奴隷如きが知ってはならぬ!」

使者「おまえが掴んだ栄光 ひとつもひとつも残さぬ」

追う追う犬ども退け
少女は優しき腕に眠る

老人「守っておくれよ この子が最期を見るまで」

男「孤独を知らぬのか 我が血を引いていながら娘よ」
(「お前さえ産まれていなければ」)

ああ 妬ましぬくもりの影
宿す小さな手を握り 千切った
誰とも手を繋げぬように

過ぎ去った日々にわずか
残っていたはずの心はすでに

憎悪へ歪んでいた

暗夜に降り立つ光の子は笑み
生命の紡いだ灯りを片手に
金色絨毯悠然と往く
眠れる奴隷を引き連れながら

運命の軸は歪にくねって
闇の落とし子は光の下へ

引きずり出され 身を焼かれる

おやすみよ
銀色の子守唄
聞いたら
目を閉じて誰そ彼の中
おねむりなさい

崩れる屍の肉の檻
幼き「我が子」消えていく

絶頂から落つ 男は紅
優しき奴隷を 金切り呪う

互いを拒んだ男と娘が激情奮わせ
やがては迎える終焉

罪深き王に制裁 先には
底の見えぬ死の囚獄が口開く

呪縛
もういいかい
まあだだよ
もういいかい
まだずっと
首転がる

「ああ この子が大きくなれば 貴方と過ごした日々を語ろう」

女の想いを旋風が吹き去る

砕け散った石の破片たちは知っていた

あの子 どこ 探しても
もう 居ない

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最終更新:2007年12月11日 14:55
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