昔あるところに 人間をやめたひとりの吸血鬼がいた
彼が求めたのは 不可侵領域の絶対的支配
領分を侵す者に 降りかかるのは
滅びだという事も識らず
何故彼は求めるのか?
人智を超えた天国の道を…
吹き荒ぶ風は 砂を巻き上げて
吸血鬼
DIOの 行く手を阻む
旅の道連れは 一人の従者
砂丘(おか)を乗り越えて 街へと向かう…
「魔法のチカラが欲しくはないかい?」
胡散臭い『右手』の婆が囁いた
薄暗い路地裏での駆け引き
彼は老婆が持ち出した条件を飲んだ…
鏃(やじり)に触れると魔神が現れ
全ての願いを 叶えてくれると言う
傍で己が未来(さき)を見せるという条件で
彼はその在処を聞き出した
その弓矢は南西にある洞窟で眠り続けているという
全てを捩じ伏せる最強の力が為に彼は穴の中へと降りた…
砂漠の下には 大きな空洞
冷たい空気が 背筋を掠める
洞窟の奥には 妖しい祭壇
鉄(くろがね)の鏃 古ぼけた弓矢
それを手に取ると 洞窟が崩れた
「己を矢でお突きなさい!」
老婆が叫んだ…
忘れ物はありませんか…?
暗い闇の中 懐かしい声を聴く
暖かな光 懐かしい声を聴く
「ディオはまだこっちへ来てはいけないよ
遣り残したことが きっとあるはず…」
暗い闇の中 懐かしい声が言う
暖かな光 懐かしい声が言う
「叶わぬ野望の為に願うより
未来への希望、ソレを見つめて…」
目醒めれば 宵闇の砂漠
その上で立ち尽くした
最強の力を持ちし
もう一人の己がいた
「古ノ罪ト罰ノ輪舞曲 私ハ貴方自身ノ影
孤高ノ願イヲドウゾ 叶エマショウ」
全ての願いそれら叶えたら 今度はどうする?
唯 酔狂に身を任せ 我が子でも見守ってみようか…
そして時は動き出す…
吹き荒ぶ風は 砂を巻き上げて
吸血鬼DIOの 行く手を阻む
旅の道連れは 二人の従者
時を止められる 己がスタンド…
最終更新:2008年07月30日 00:04