第31話 「ダービー・ザ・ゲーム 3」

5回戦 キ 6‐8 ダ
「さ、君は牌を決めたかい?」
「………うるせぇ」
さっきは見事に牌を言い当てられた……が、方法はまるで分からない。そう、山を登っているのに標識もない、道も分からない。そんな感じだ。このままでは負けるのはコーラを飲んだらゲップがでるってくらい確実だ。
「……お前からだせよ」
こいつは今まで俺が牌をだしてからしかうごいていない。この手のゲームは先にださせればどんなイカサマもしようがない………。
「分かった。だそう。そうだね……よし、これにしよう」
ダービーが一つの牌を無造作にだす。
「………よし、これだ」
「ピンズの……3かな?」
「!!」
「当たりみたいだね。僕はピンズの4だ」
「……古泉……」
「さっきからしっかり見張っています……イカサマをした様子はありません」
じゃあ、こいつはスタンドを使ってイカサマしてんのか?古泉……徐倫や長門とは連絡つくのか?
「全然連絡が取れませんね。恐らく………」
「そのとおりだよ。僕の仲間が彼女達を襲ってる」
「……………」
「君に助けは来ない……自分で切り抜けるんだね」
「………くそ」
「さ、次いこうか」

6回戦 キ 6‐9 ダ
「そろそろ……勝負を決めたいところだね。そろそろ大勝負にいかせてもらおうかな」
「……くそ……」
「……フフ……」
こいつは恐らく……というか間違いなく俺の1を狙っている……が、こいつがどんなイカサマをしているのか分からない以上、1以外に逃げても無駄だろう。………となれば、特別ルールの三すくみで3点をとるしかない。
「ですが、彼は牌の種類も当てていますよ?」
古泉が囁く。
「……古泉、相手はイカサマをしてるんだ。こっちもやるぞ」
「!ですが……バレる可能性は?」
「ある……が、それを怖がってたら勝てないだろ。いいか?俺が牌をだすと手を滑らせて俺の牌山をひっくり返す、その時牌をすり替えろ」
「……………」
「お前、俺よりは器用だろ?頼んだぜ」
「………はい」
そして俺はマンズの1を掴み、だそうとした瞬間、
「うおっ!」
手が滑った振りをし、机の牌をひっくり返す。
「……焦ってるのかい?」
「……スマン」
その間に古泉はなかなかの早技で牌をすり替えた。
「それじゃ、開けるよ。君からどうぞ」
牌を開けると、ピンズの8だった。
「………なんで8なんだ?」
「9だと確実に怪しまれますからね」
すると、ダービーは慌てるどころか、
「ふー危なかった………な」
「え?」
「いやほんと……危なかったよ……僕はマンズの5だ」
んなばかな!?……いや、まさかこいつ……すり替えを読んで?……だが何にすり替えたかは古泉しか知らないハズだ……こいつは一体……何をしているんだ?

7回戦 キ 6‐12 ダ
「……くそ……」
今迄の勝負をみていると、こいつがイカサマをしているのは確実だ。だが、一体どんな手段を使っているんだ………?
「どうしたんですか?……まさか、諦めたのでしょうか?君はそんな人ではないと思っていましたが………」
「うるせぇ………」
俺はそう言うと次の牌をだす。
「ふふ……マンズの5ですね?」
ダービーが牌を開けるとマンズの9だった。
「お前ッ!」
遂にキレた俺は、立ち上がり、ダービーの胸倉を掴む。
「なんだい?これは?」
「………マだろ」
「は?」
「イカサマをしてるだろッ!」
「……何の事です?」
「うるせぇッ!さっきからお前がイカサマをしてるとしか思えねえ事が続いてんだよ!」
「……仮に君のいうとおりだとして……君には僕のイカサマの証拠があるのかい?」
「………ぐ」
「イカサマだというのなら証拠を見せてもらえるかい?」
「……………」
「バレなければイカサマはイカサマでは無い」
………ちくしょお………

8回戦 キ 6‐16 ダ
「さて……あと2回しか勝負はない……両方とも勝たないと君は負けるぞ?」
「……………」
「どうした?降参か?」
昔、そう、ハルヒや徐倫に会う前の俺ならそうしていたかもしれない。だが、今の俺は違う。そりゃハルヒみたいなご都合主義的トンデモパワーはないし、
長門みたいなスーパーマンでも俺はない。アナスイみたいにどんなにやられても立ち上がるタフさもないし、徐倫みたいに追い詰められてもクールなハッタリをかまして大逆転劇を演じれるわけじゃない。けどな、
「諦めねぇよ」
そうだ。俺は普通の奴だ。
「……………」
だけど、
「まだ勝てるかもしれねぇんだろ?だったらそれに賭ける」
ハルヒや徐倫だってこう言うだろう。だったら俺もそうする。それが俺がハルヒ達から学んだ事だ。
「無駄なことを………」

「さ、どの牌をだすんだい?」
「……その前に……一つやっていいか?」
「………?」
俺は返事を聞かず、全ての牌をうつぶせにする。
「な!?」
「これでいい」
「君、見ないでだすっていうのか!?」
「あぁ、お前がどんなイカサマをしてんのかは全く分からねぇ……だったら俺にも何をだすか分からなくすればいい」
「そうすればバレないとは限らないんだぞ?」
「そうだな。でもハルヒとかと違って俺にできることはこれだけだからな。さ、出せよ。俺は出したぜ」
そして二人の牌を開ける。結果は、
「俺がピンズの1、お前がソーズの8か」
「くそ………」

9回戦(最終戦)キ 9‐16 ダ
「これで最後……お互いにだす数字は決ってるな」
「ああ、だが三すくみがある今回のルールでは……まだ勝敗はきまらない」
「……俺はこれだ」
さっきと同じように見ずに牌を無造作にだす。
「………さ、どうする?」
「……ハッキリ言って屈辱だよ……僕がこんなに苦しめられるとはね……だが、分かっているのかい?僕は君に勝つパターンが二つある。だが君は一つだ」
「つまんねえ脅しするんだったらサッサと選んでくれるか?」
「………ぐ……う……」
「俺は牌を見てないからな。別にお前が何をだそうが怖くない。……なんなら当てたらどうだ?ほら」
「……僕をこけにした報い……たっぷり受けさせてやるよ……これにする」

二人で同時に牌を表にする。
「ソーズの9と……ソーズの……1……」
「俺の勝ちだな」
「あ……う……あ……あ……ひ……」
すっ頓狂な呻き声をだしながらダービーが椅子から転げ落ちた。
「こんな……事が……僕が……このダービーが……こんな奴に……?……嘘だ……嘘だろ?」
その時、ダービーのカードから光る何か……魂って奴だろうか、幾つも飛び出し方々に散っていった。と、その一つが古泉に入る。
「ウッ……一体……何が?」
「簡単な事だぜ」
部室のドアが空き、アナスイと朝比奈さんが入ってくる。
「何処にいたんだ?」
「隣の部屋だ。こいつに勝ったのはお前か?キョン?」
ああ。だが、こいつは一体………。
「まあまずはたんなるすり替えだな。その点ではこいつはプロだ。あとはスタンドだ。スタンドの名前はザ・ゲーム。
魂を奪うスタンドで、魂を奪った体……さっきまでの俺や古泉だな、そういう奴等を操って、さらにその体の感覚を共有できるらしい」
「それじゃ、イカサマってのは………」
「先に古泉の魂を奪ってその体を動かして、お前の牌を見ていたんだろうな。お前、途中から牌を見ないでだしたんだろ?だから見破れなくなったんだ……
おい、逃げんじゃねぇぞ」
「ひ、ひいッ!」
「さて……てめぇ、覚悟はできてんだろうな?」
「や、やめてくれ………」
「ダイバーダウ………ん?」
「どうした?」
「こいつ……ビビってもう気絶してやがる………」
「……………」

最終得点 キョン 17‐16 ダービー ハロルド・V・ダービー ザ・ゲーム 再起不能
To Be Continued・・・

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最終更新:2008年05月01日 16:08