第35話「イン・ザ・シティ 1」

文化祭が終わって二週間程がたった日の事だった。その日、授業を終えた俺と徐倫は部室へとやってきた。そして部室の前へ来ると、
「徐倫、今来たのか?」
「……………」
「有希、アナスイあんた達も今?」
「ああ、鍵持ってるか?」
「スタンドで開ければいいじゃない」
「うるせぇ。前にそれをやって承太郎さんにこっぴどくしぼられたんだよ」
徐倫が鍵を使い扉を開ける。と、部室の机の上に、
「レゴ?」
「本当ね。古泉のか?」
「あいつはこういうの持ってないはずだ」
にしても不気味だな………ハルヒが来る前に片付けとこうぜ。
「……………」
「……………」
「……………」
なんだよ……三人揃ってそんな白い目でみんなよ………。
「キョン……あんたも少しは学習しなさい……どう見たって怪しいだろ」
「多分……いや、ほぼ確実に罠だな」
「私も同意見」
「……けどさ、ハルヒがこれ見つけたらどうすんだ?」
「……それは………」
「ハルヒなら絶対触るだろうな、そしたら何が起きるかは分からねーがどーせろくでもない事が起こるだろ?処分した方がいいんじゃないのか?」
「そりゃ……そうだけどさ………」
どうした?
「どうやって処分すんのよ?」

「ワハハ!弘法も筆の誤りさッ!あたしだってたまにはコケるわよ!そいじゃハルニャンによろしくにょろね!」
行ってしまった………
「相変わらず嵐みてーな人だな………」
「ん?なんだこれ………」
アナスイが何かに気付いたらしく、机の下に手を伸ばし、それを取った。
「……レ……ゴ……?」
「アナスイ!今すぐそれを捨てろッ!さっき鶴屋さんが机にぶつかった時落ちたんだッ!」
「残念だけどもう遅い………」
聞き慣れない女の声が聞こえたと思うと、俺達はレゴの中に吸い込まれていった………。

「……きろ……起き……キョ……」
意識が戻ってくると目の前にアナスイがいた。
「目を覚ましたか。どうだ?歩けるか?」
ああ……徐倫と長門は?
「こっちよ」
声のする方を振り向くと、徐倫と長門は建物の陰に隠れて向こう側を伺っている。
「ここは………」
「先程の玩具の内部。私達は身体のサイズを約53倍に縮小された」
「………は?」
「奴のスタンド能力だ」
「……奴って誰だよ」
「上を見てみな」
アナスイに言われ、上を向く。と、そこには一人の女がいた。黒い短い髪をボブカットにし、整った顔は美しいを通り越して寒々しささえ思わせる冷涼な笑みを浮かべていた。
「どうやら全員目を覚ましたようね……今あなた達はわたしのスタンド、イン・ザ・シティに囚われたのよ」
「出れねーのか?」
「出られるわよ。レゴの端まで行ったらね」
「それじゃとっとと行くぞ!徐倫!」

そう言って駆け出そうとした俺の腕を長門が掴み、無造作に投げる。すると俺はアナスイの所まで凄い勢いで飛ばされた。
「出られるんならもう出てるわよ」
「どういう事だ?」
徐倫は返事をせずに、その場に伏せる。すると外をレゴの人形が通っていく。
「あ……あれは……」
「これがわたしの真の能力……あのレゴ達はわたしの意思に従って動き、あなた達を見つけ次第攻撃、抹殺するわ。強さはかなりのものよ」
「そういう事だ。野郎スターウォーズのレゴやら銃を持ったレゴばっかり置いてやがる」
どうすんだよ。
「……さあな……ここにいるんじゃ負けるのは目に見えてるがな………」
「………来た」
反対を見張っていた長門の声を合図に、俺はアナスイに引っ張られて移動を開始した。徐倫が向こうに見える建物に向けて走り出す。が、巡回していたレゴの一人に見つかった。
「ストーンフリーッ!」
レゴを叩き壊す。と同時に建物の陰から何体もの銃を持ったレゴが襲ってくる。
「オラオラオラオラァッ!」
徐倫は飛んでくる弾丸を必死に弾く。すると突然上から別のレゴが襲ってきた。
「徐倫!」
アナスイの叫び声で徐倫は気付いたが、間に合わない。やられると思った瞬間、長門が凄まじい速さで徐倫に突っ込み、建物の陰へと突き飛ばす。そして敵に襲いかかる。
「行くぞッ!キョン!」
アナスイに言われ、長門が敵を引きつけているうちに徐倫の逃げ込んだ場所に入る。少し遅れて長門もやってきた。
「きつすぎる……数で押し切ろうってわけか………」
「……どうすんだよ……クソッ………」

To Be Continued・・・

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最終更新:2008年06月12日 11:45