第77話 「ビッグ・ジェネレイター 1」
土曜日、ハルヒの独断によって久し振りに行われる事となった不思議探索。午前中はどのグループも何も見つけれず、予想通りの無駄足となった。午後はくじ引きの結果、アナスイと有希の班、みくるとハルヒとキョンの班、そしてあたしと古泉とウェザーの班となった。
「……やっぱ何も無いわね……当たり前か」
「ええ、ですが何も無いというのは良い事ですよ」
『確かにそうだ』
宝探しには参加していなかったウェザーだが、この不思議探索にはハルヒによって無理矢理駆り出されていた。
「仕事があるのにすみません」
『コイズミ……だったな。謝る必要は無い……仕事は最近暇なんだ』
それはそれでどうかと思うぞ。
「そういや古泉、あんたは午前はキョンと二人だったな」
「ええ、まあ」
「どうだった?」
「報告通りです……二人で他愛も無い事を話していただけですよ」
「例えば?」
「これからの僕達についてとかです」
「………そうか」
興味はかなり有る。が、聞かない事にした。自分から切り出さないと言う事は二人で話して起きたい事だったんだろう。そういう事はほじくり返さないのがあたしだ。
「………ところで」
「何よ?」
「徐倫さん達……何か僕達に隠していませんか?」
……まずい。まさかあの計画を勘づかれたのか?
「何も隠してねえよ」
ポーカーフェースで返事をする。
「………そうですか」
古泉は納得したらしく、それ以上追求はしてこなかった。
午後の不思議探索を初めて1時間程の頃だろうか。敵のスタンドがいきなり現われた。そのスタンドはかなりごつい体格をしていた。親父のスタープラチナよりごついんじゃないだろうか。人型で、顔はまるで阿修羅、赤い紙は逆立ち、頭には金の止め金のような冠。
全身を鋼のような筋肉に包まれたいかにもな正統派な姿だった。
『……死ね』
「ストーンフリーッ!」
いきなり現われたスタンドは右のストレートを繰り出して来る。とっさにガードするが、
「ウグ………」
ガードしたにも関わらず凄まじい勢いで吹き飛ばされた。
『徐倫!大丈夫かッ!?』
「なんとかな……しかしなんつう馬鹿力だ」
敵は続いてウェザーに襲いかかる。攻撃を見切ってかわそうとするが、よけきれず、スタンドでガードに切り替えた。
『ぬぐっ………』
ウェザーもガードしたにも関わらず、ダウンさせられてしまう。
「徐倫さん……これは………」
『恐らく自動操縦型のスタンドだろう……これだけのパワーとスピードなのに本体がいる気配すらしない』
「古泉ッ!今すぐアナスイと長門に電話して本体を探すように伝えろッ!」
そう叫ぶとウェザーと二人で同時に襲いかかる。あたしは右ストレート、ウェザーは左のフックを繰り出す。が、敵スタンドは両手を使って軽々と受け止めた。
『馬鹿め、貴様らのパワーでは俺には勝てん!』
「馬鹿はてめーだ……両腕が塞がって隙だらけよッ!」
そう言ってあたしは左のハイキック、ウェザーは右のストレートを繰り出す。が、
『ふん……馬鹿めがァ!』
なんと敵スタンドはそれぞれを掴んだ片手であたし達をぶん投げた。追撃で右ストレートを放ってきたが、それは逸れて、ブロック塀をへこませただけに終わる。
『……馬鹿力どころじゃないな………』
「古泉ッ!アナスイ達は?」
「かけた瞬間切られました。……どうやら今取り込み中のようです」
肝心な時に使えねーな……アナスイの野郎。後でぶん殴っておこう。
「オラァッ!」
起き上がると同時に再び殴りかかる。が、今度は止めようともされず、拳は空を切った。
『鈍いな……かわすだけで十分だ』
「そうくると思ったわよ……ストーンフリーッ!」
殴りかかった時に伸ばしておいた糸を敵の腕に巻き付ける。
『ムッ………』
『ウェザーリポートッ!』
ウェザーが凄まじい風圧を巻き上げ、敵を押さえ付けながら右ストレートを繰り出す。が、
『小細工など温いわッ!』
糸は軽々とちぎられ、凄まじい風圧をものともせずに敵スタンドはウェザーにカウンターを叩き込んだ。
「……マジで化けもんだな」
「逃げましょう!離れて体勢を立て直します!」
古泉に言われてあたし達は北に向かって一目散に逃げ出した。が、敵スタンドはかなりのスピードで追いかけてくる。追いつかれるのも時間の問題だ。
「あたしに掴まれ!ストーンフリーッ!」
二人が掴まったのを確認してから、近くの電線に糸を結び、スパイダーマンのように飛んで逃げる。何回か飛んで逃げるとかなり距離を開ける事ができた。
「この調子なら逃げ切れるぞッ!」
『……待て、徐倫』
「どうした?」
『……いや、さっきより敵スタンドのスピードが上がっている気がする』
「……んな馬鹿な………」
後ろを振り返る。するとウェザーの言葉通り敵スタンドが凄まじい速さで追いかけて来ていた。さっきまでは足の動きは見えていたが、今はあまりの速さに足の動きが目視できない。
「……んな馬鹿な」
気がついた時には追いつかれていた。
『落ちろッ!』
そう叫んだ敵は電柱を殴る。すると殴った場所から電柱が真っ二つに折れてしまう。折れたせいで電線も切れ、あたし達は地面に放り出された。
「スタンドが見えない僕にも分かります……パワーまで上がってるみたいですね」
「……なんて化け物だ………」
『貴様らの脆弱な力では我は倒せんわ!』
To Be Continued・・・
最終更新:2009年06月28日 18:19