第78話 「ビッグ・ジェネレイター 2」

電柱を真っ二つに叩き折る馬鹿力の敵スタンドとの戦いは続いていた。
「ストーンフリーッ!」
『ウェザーリポートッ!』
二人同時に左右のストレートを叩き込む。が、それすらあっさり弾かれた。
『ふん……小賢しいわッ!』
そのまま二人共弾き返されてしまう。
「……真正面からじゃあ勝ち目がねえな………」
『……敵の本体を見つけて叩くのが一番良いが……見つけられそうにも無いな』
「ウェザー………」
『なんだ?』
起き上がったウェザーがこちらに振り返る。
「しょうがない……ここら一帯に攻撃だ……本体をあぶりだす」
『相手は自動操縦型だぞ?そんな事をしても本体にたどり着けるとは………』
「いいからやれ」
『……………』
ウェザーは少し迷った後、
『ウェザーリポートッ!』
と、辺りに凄まじい豪雨を降らせ始めた。
『ぬぐう……こざかしい真似を………』
『奴は止まったようだが……徐倫、こんなものただの時間稼ぎに過ぎないぞ………』
「いや、これでいい……オラオラオラオラオラオラオラオラァッ!」
雨に紛れてこっそり近付き、短いラッシュを叩き込む。
『ふぐっ………』
流石に不意をつかれたのか、今迄いくらやっても効かなかった敵に初めてダメージが通った。

「どうやらダメージを与えれたようですね」
古泉だ。……なんでスタンド見えて無いのに分かるんだ?
「ただの勘ですよ。同じ超能力者として通じる所はありますしね」
『とにかくこいつも無敵では無いという事だ』
「ああ……それでもマズい状況に変わりは無いがな」
少しダメージは与えたものの、ほんのかすり傷だ。対して敵には効かないだろうし、ましてや自動操縦型のスタンドにダメージはあまり関係無い………待てよ?
「こいつまさか………」
『どうした……来ぬのならこちらから行くぞッ!』
敵スタンドが一跳びで間合いを詰める。とっさに敵の勢いに合わせたクロスカウンターを放とうとするが、
『止まって見えるわッ!』
ジャンプされてかわされ、そのまま頭の上を飛び越えられ後ろに着地される。……ヤバい。
『ウェザーリポートッ!』
ウェザーがさらにそいつの後ろから不意打ちを繰り出す。が、敵スタンドは襲ってきたウェザーの腕を掴み、そのままあたしに投げ付けた。
「グブッ………」
『ぬぐう………』
『不甲斐ない……今迄我が組織の面々を次々と葬り去ってきた実力がそれかァ!』
「………うるせーな……生憎だがてめぇの能力の正体は見破ったぞ」

「徐倫さん?どういう事ですか?」
「あたし達は今迄勘違いをしていたんだ………」
ウェザーと古泉が首をひねる。あたしは説明を続けた。
「あたし達は野郎の本体が見当たらないのと、そのパワーとスピードから自動操縦型だって判断した」
『それ以外無いだろう?一体何を………』
「だけど考えてみろ、奴の動きは精密な上正確すぎる。……不意打ちにも的確な対処をするなんて自動操縦じゃ無理だ」
『だが……奴の本体は………』
「一つあるだろ……本体が遠くにいても正確で精密な動きが出来るのが」
ウェザーと古泉はあたしの言葉で考えこみ、そして同時に同じ結論にたどり着いた。
「『遠隔操作型………』」
「その通りだ。これならスッキリ説明できる」
「ですが、遠隔操作型は本体から離れる程パワーやスピードが下がった筈………」
「………そこに関してはもう一つ考えがある……まだ確定じゃないがな」
『そうか』
「今からあのこの町で一番でかいあのビルに向かう。……あそこに多分本体がいる」
「何故分かるんです?」
「ただの推理よ……行くわよッ!あのスタンドをかわさないとあのビルには行けないぞッ!」
『来るか……返り討ちにしてやるわッ!』

「オラァッ!」
向かってきた敵スタンドに右ストレートを放つふりをする、止めようとした敵の関節を取り、動きを封じる。
『ぬぐう………』
『ウェザーリポートッ!』
ウェザーが敵の顎にハイキックを叩き込んだ。流石に効いたらしく、のけぞり、よろめいた。その隙に間をすり抜け、ビルへと向けて走り出す。
『小癪なァッ!』
敵スタンドはその凄まじいスピードで一気に距離を詰めてきた。
『追いつかれるぞッ!』
「古泉ッ!」
先にこっそり移動していた古泉が道の脇からバイクに乗って現われた。
「乗って下さいッ!……3ケツは危ないですからしっかり掴まって下さいね」
『させんッ!』
そう叫んだ敵スタンドは近くのブロック塀を一つ取り外し、凄まじい勢いで投げ付けた。が、
『ウェザーリポートッ!』
ウェザーが凄まじい突風を起こし、勢いを緩める。そして勢いが緩んだ瞬間にあたしがスタンドで叩き落とす。
『うぬぅ………』
敵スタンドは慌てて追いかけてきたが、流石に全速力のバイクには追いつけず、段々と距離が離れていく。
「……ですが奴が遠隔操作型で僕達が本体へと向かっているならスピードが上がって追いつかれる筈ですよ?」
「いや……あたしの予想ではこれからさらに距離が離れるはずだ」
「え?」

「奴は普通のスタンドとは逆……本体から離れるほどパワーやスピードが上がるんだろう」
『馬鹿な!スタンドのルールに反しているだろ!』
「ルールは破られる為にある。ルールを逆手にとった能力だ……それ自体が武器なんだろう」
「しかし、何故気がついたんですか?」
「雨だよ……ウェザーが降らせた雨で奴は怯んだ。自動操縦型なら有り得ない……そこで本体はどっかからあたし達を見ながらスタンドを操作してるんじゃないかってな………」
『なるほどな……奴の方向が分かったのは………』
「北に向かうと奴のパワーが上がった……なら本体は南、後は高い場所………というわけさ」
「着きました!ここです!」
たどり着いたビルは入り口が北、東、西の3面に分かれていた。
「別々に行くぞッ!ウェザーはエスカレーター、古泉はエレベーター、あたしは階段で屋上に向かう!」

「ちくしょおおおぉぉぉぉ……気付かれたよおおおぉぉぉぉぉ……どーしよ……あいつらここにも気付いてるのかなあ………あああぁぁぁぁ……
上にどうやって報告しよう……怒られるかなあああぁぁぁぁ」
目的の本体は屋上ですぐに見つかった。てっぺんはモヒカン刈り、頭の右後ろだけを少し伸ばし、その自己主張しまくった髪型とは対照的にファッションはあまりにも地味だった。
「………おい、てめー」
「ヒイヤアアアアァァァァァァァァァ!」
なんと男は声をかけただけで気絶してしまった。
『一件落着……だな』
「……みてーだな」

曾根崎晃司 ビッグ・ジェネレイター 再起不能

To Be Continued・・・

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最終更新:2009年06月28日 18:21