第12話 「遊園地へ遊びに行こう 2」
俺達が乗ったジェットコースターは止まらない。どうやら暴走しているようだ。
敵はもう一人いんのか?
「死にな!朝比奈!バッドフィンガー!」
男が手刀を振り下ろす。
「ダイバーダウンッ!」
すんでの所で止める。
「そのまま突き落としてやるぜ!くらえ!」
ダイバーダウンのパンチが男のボディーにクリーンヒットし、男が吹き飛ぶ。
そしてそのまま落ちていく………と思った瞬間、プロテクターが男の全身を覆った。
男は手をジェットコースターに付け、そのまま逆立ちの形になる。
「な!?」
「突き落としてよ~~~俺から逃げようとしたのか?無駄だぜ~~~俺のスタンド、
バッドフィンガーはあらゆる物体に張り付く能力を持っている………突き落とすのは不可能だぜ~~~」
黒っぽいアルマジロの装甲のようなプロテクターだ。顔の部分はちょうどヘルメットのようになっている。
くそ……このままこいつとジェットコースターに座ったまま戦うのは危なすぎる……。
「ダイバーダウン!」
セーフティベルトを壊し、ダイバーダウンをジェットコースターに潜行させ、しがみつく。
「お、おめ~よ~~~なんで落ちないのかよ~~~?」
………馬鹿だ。こいつ。
「な、なんだよ~~~その目はよ~~~俺と同じ事ができるからって調子のってるんじゃね~かよ~~~」
こいつと話していると埒が開かねぇ………
「クラエッ!ダイバーダウン!」
「おめ~~~スタンド使いかよ~~~!?な~るほどなぁ~~~なら………クラエッ!バッドフィンガー!」
次の瞬間拳がぶつかり、ダイバーダウンの拳が弾かれた。
「な!?こ、こいつ!強い!パワーもスピードも………俺のダイバーダウンより!」
「おめ~のスタンドよ~俺のスタンドより弱いのかよ~~~~」
スタンドに強い弱いはねぇよ。
「確かにそうかもなぁ~~~だけどよ、ジェットコースターの上を自由に動ける俺の方が有利なんじゃねーのかよ~~~~?」
馬鹿だけに時々鋭い事言うな………。
「負け惜しみ言ってんじゃね~~かよ~~~」
「ダイバーダウンッ!」
右のフック、が、ガードされる。次の瞬間、男が右脚のキックを放つ。咄嗟に左腕でガードする。
が、続け様に左の手刀、右のジャブ、右回し蹴りと続く。
マズい………奴は体の一点がジェットコースターについてりゃいいが、俺はダイバーダウンを潜行させているせいでかなり動きづらい。
「クソッ………一旦解除だ!」
次の瞬間、ジェットコースターから吹き飛ばされる。が、咄嗟にレールを掴んで落ちる事だけは防ぐ。
俺一人ならこのまま奴をやり過ごせるが、朝比奈やキョンが危ない。
幸いこのジェットコースターのレールは交差しており、ちょうど俺の下をジェットコースターが通る。飛び降り、ダイバーダウンを潜行させる。
「落ちたかと思ったがよ~~~帰って来たのかよ~~~負けんのは目に見えてるのによ~~~~」
やってみなきゃあ分かんねーぜッ!
「そうかよ………だがよ~~しばらく殴り合いは無理そうだぜ~~~」
「どういう意味だ………?………!!」
レールを支える柱だと!?そうか、普通乗客は座って乗る………
が、今俺達はジェットコースターの上に立っている………。
「つまりよ~~普段は絶対当たらない柱に当たるって事かよ~~~全部で8本かよ~~~」
くそっ!まずはかがんで1本目をかわす。
「頑張ってかわすのかよ~~~えぇ、おい、俺はこんなの簡単だがよ~~~」
そう言うと男はすいすいと柱を避けていく。そう思っていると2本目と3本目が迫っていた。
2本目の柱をダイバーダウンで掴み、そのまま体を振って飛び出し、その勢いで3本目を飛び越え着地する。
「かわしたかよ~~~でも次は………どうかよ~~~」
4本目と5本目が迫る。4本目をかがんでかわし、5本目をジェットコースターの車体の横にしがみつき、かわす。
「随分と危ないかわし方するのかよ~~~だが次は無理だな~~~~~」
………何!?
「あんな風にレールが螺旋階段みてーによ~~~ねじれてるからよ~~~お前はかわせるかよ~~~~~」
男は軽々とかわしていく。マズい………レールが螺旋階段みてえになってる上に3本もの柱がある。
とてもかわせるものではない。ど、どうする………。
「アナスイ君!」
朝比奈がシートから叫ぶ。………シート?そうか!この手があったぜ!
「ダイバーダウンッ!」
俺がセーフティバーを壊したシートに潜行させ、そのまま俺をシートの中に引っ張らせる。
飛び込んだと同時に柱が頭の上を通過した。
「切り抜けたかよ~~~だがよぉ……これからお前は死ぬわけだな~~~ちっぽけな蟻のように俺にやられてよ~~~~~」
男が俺に向かって走って間合いを詰めてくる。迎え撃つ方が都合がいい。
「ダイバーダウンッ!」
左脚のローキック、が、右脚で止められる。と、相手が攻撃を仕掛けてきた。
左脇腹に突きを入れてくるがなんとかかわす。
左のストレート、右脚でのハイキック、左の手刀を繰り出してきた隙を突き、相手の胸元を掴む。
「てめぇがいくら張り付いても投げ飛ばされたら大丈夫なのか?」
「やってみるのかよ~~~無駄だろうけどよ~~~~」
「ダイバーダウンッ!」
そのまま男を背面に投げ飛ばす。が、落ちかけた所でジェットコースターの最後尾にしがみつかれた。
「やっぱり無駄だったかよ~~~お、後ろ………見てみろよ~~~~~」
後ろだと?何!?1回転のループ!?
「今度こそ大ピンチだな~~~シートに隠れてもよ~~~俺は逆さでも動けるから無駄だぜ~~~~~」
男が言い終わると同時にジェットコースターがループにさしかかる。
「ダイバーダウンッ!」
「てめぇよ~~どこ攻撃してんのかよ~~~ジェットコースター攻撃してどうす………え?」
「ジェットコースターを切り離した………そのまま逆方向に行っちまいな………」
「ど~~~すんだよ~~~やべーのかよ~~~………なんて、嘘だぜ。この程度飛び移れる………」
男がそう言った瞬間、切り離した車両が脱線した。
「な……な……な……な……な……な……なん……なの……かよ…ガグシャア!」
「切り離した時に車輪を分解しておいた、そのまま落ちてきな………って言っても聞こえないか………」
落ちた車両は粉々に潰れているが、幸い男は生きているようだ。悪運の強い野郎だ。
「なぁ……アナスイ。敵を倒せたのは良いけどさ……このジェットコースター……止まらねぇのか?」
みてーだな。徐倫………早くこの敵をぶちのめしてくれ………。
本体名 中崎広之
スタンド名 バッドフィンガー
再起不能
To Be Continued・・・
最終更新:2007年12月17日 15:44