第13話 「遊園地へ遊びに行こう 3」

あたしと古泉はアトラクションを暴走させている敵を探してパークの中を走り回っていた。
「徐倫さん、今長門さんからの連絡でアナスイが敵を一人倒したそうです」
アトラクションの暴走は止まってないみてーだぞ。
「敵は二人のようですね。もう一人は園内の何処かからここのアトラクションを制御しているのでしょう」
「アトラクションの制御室は普通それぞれのアトラクションの側にあるはずだぞ。全部を同時に制御するなんて一人じゃ不可能だ」
「えぇ、ですが敵は何らかの方法で全ての制御室の制御を奪ってコントロールしていると思われます」
問題は何処にいるかだが………。
「恐らく園内を全て見渡せる場所でしょう」
「だけどここにはそんな高い所に登るアトラクション一つも無い………あ」
「心当たりがありましたか?………あぁ、なるほど、僕も分かりましたよ。警備室ですね?」
「あそこなら園内の監視カメラで大体の場所が分かるからな。それと奴等がアトラクションを暴走させた理由が分かった」
「どういった理由ですか?」
「奴等は警備室からあたし達の動きを把握していた。恐らくアナスイかあたし達、それとハルヒがアトラクションに乗った時に暴走させる。
そうしてあたし達を分断すれば片一方は暴走させている奴を探しに行くし、アトラクションに乗っている方は動けない。そうしてあたし達の戦力を分散させてもう一人の敵が行動を起こすという訳だ」
「なるほど………ですが、何故敵はアナスイを襲ったのですか?」
「……………さぁ」
古泉が携帯を取り出し、何処かにかける。………まともな所じゃないのは確かだ。
「警備室の場所が分かりました。こっちです」

「ねぇ、有希、暇なんだけど」
「……………そう」
「いつになったらこれ動くの?」
「……………分からない」
「原因、調べにいかない?」
「ここから降りるのは危険」
「ねぇ、徐倫達は何処にいるの?」
「……………分からない」
「……………そう」
「……………」
「ねぇ、有希、暇なんだけど……………」

あたし達が警備室にたどり着くとそこには一人の男がいた。
身長は180cm位、オールバックにした金髪に緑がかった目をしている。日本人ではないようだ。
服は黒い何処かの高級ブランドのスーツを少しラフな感じに着崩しており、手には高級そうな腕時計をしている。
「あれはダンヒルですよ。時計はオメガです」
よく知ってるな。
「ここが分かったか……まぁ遅かれ速かればれるのは承知だったがな」
「そうかよ……お前を倒せばアトラクションは止まるんだな………?それにしても日本語上手いな」
「日本に来たのは16の時だ………。それにしても……お前に私が倒せるのか?」
「あんたの仲間はもう倒されたわ」
「知っている……あいつは馬鹿だったからな。どうせこうなると思っていた」
「その割には随分と悔しいみたいだな。爪が食い込んで血が出る位に手を握ってるわよ」
「さっき少し切っただけだ………ところでそんなにおしゃべりしていて良いのか?」
「その通りね……ストーンフリーッ!」
右のフックを繰り出す。その瞬間、相手のスタンドが現れパンチをガードする。
人型で、白を基調に無数の虹色に発光するラインが走っている。
頭部には銀色のシルクハットのような物を被り、(つばに隠れて目は見えない。)鼻と口は無い。
両腕にある無数のコードのような物がボディーに接続されており、手は指ではなく、3本の鉤爪がついている。
肩、肘、膝などにはプロテクターのような物がついている。そして体には多種多彩なスイッチが付いている。
「まるで機械仕掛けの人形ね。ほんとに強いの?」
「一つ、親切で言っておく……相手の注意を逸す為に会話をするのは上策とは言えないぞ」
次の瞬間、男のスタンドが自分の後ろを掴む。
「ちっ……糸で伸ばした腕で背後から奇襲しようとしたんだけどな………」
糸を手繰り寄せ、手を元に戻す。
「勝負はこれからだ」

「オラァッ!」
右のストレート、が、敵のスタンドにかわされる。なかなか速いな。あたしのスタンドと同じ位か。
「オラオラァッ!」
左フックから右でボディーを狙う、最初の左フックはかわされたが次のボディーブローはかわせない。ガードしてくる。が、
「ゴフッ……」
敵のガードをあっさり弾いてパンチが当たった。スピードはまあまあだがパワーはてんで無いスタンドだ。
「………強いな……しかし、俺のシステム・オブ・ア・ダウンはパワーで戦うスタンドでは無い………くらえ!」
次の瞬間、突然、近くにあったライトが光る。グッ……やばい、目が!
「グフッ……」
幾らパワーが無いとはいえ、無防備な所にモロにくらうのはマズい。
さらにこいつの攻撃は殴るというより切る攻撃だ。
「浅かったな……致命傷では無いか……」
しかし……さっきなんでライトがいきなり光ったんだ?奴のスタンドはライトに触れりもしていないぞ………。
「考える暇など与えない………決めさせてもらう!」
次の瞬間、凄まじい騒音が鳴り響いた。
「グッ………」
「徐倫さん……奴は耳栓をしているようです……ですが……一体……何故……」
奴はスピーカーを操作してもいない……どういう事だ!
「クラエッ!システム・オブ・ア・ダウン!」
クソッ!スタンドで必死にガードするものの、騒音で頭が痛む状況でガードし続けるのは無理がある。
と、いきなり騒音がおさまった。
「スピーカーの電源を切りました………今です!」
「オラァッ!」
パンチを繰り出すが、相手の攻撃を止める程度にしかならない。その瞬間、再び騒音が始まった。
「そんな……電源は切ったはずです………」
「ああ、だがこいつのスタンド能力の正体………見えてきた……こいつは機械を操る能力だ!だから電源を切ったのに機械が動く!触っていないのに動きだすのもその為だ!」

「その通りだ……正確に言えば私の能力で操れるのはその機械が本来持つ機能だけだがな」
「オラァッ!」
スピーカーを叩き潰す。とにかく音は止んだ。
「スピーカーを封じたか……ならばこれではどうだ!」
そう言った直後、白い煙が辺りを覆った。火災報知器か!?
「徐倫さん!右手の方の斜め後ろにいます!」
「オラオラァッ!」
男の陰に向かってパンチを放つ、が、パンチが男をすり抜けた。
「それは私では無い……プロジェクターで映し出した映像だ」
しまった!
「ガハッ……」
左腕をザックリ切られる。糸で縫ったので最悪の事態は免れたが、それでもダメージはでかい。
「こいつ……強い………」
「来ないのならば……こちらから行かせてもらう!」
次の瞬間、シャッターが目の前に降りてきた。なんだ?逃げんのか?
「もちろん……違う…………それよりも逃げた方が良いのはお前の方だ………」
そう言う男の声が聞こえると同時に入口のシャッターも閉じる。
「徐倫さん……閉じ込められてしまったようです」
「この程度のシャッターぶち壊せる……ストーンフ………」
ぶち壊そうとした瞬間、水が降ってくる。
「スプリンクラー………まさか!こいつッ!」
その瞬間、何も刺さっていないコンセントから火花が走った。
「徐倫さん!このままでは………」
野郎ッ!あたし達を感電させる気か!だが………どうやって切り抜ける………?

クソッ!このままだと間違い無く感電する!感電しない場所は………あった!
「古泉!あたしにつかまれッ!」
「………分かりました」
一瞬ためらったがどういう意味だ?
「深い意味は全くありませんよ」
そして天井のスプリンクラーに糸を巻き付け、宙に浮かぶのと水に電気が流れるのがほぼ同時だった。
「なるほど。地面に足を付けていなければ感電はしませんね」
「もちろん、その程度は予想していたがな………」
シャッターが開き、男が再び姿を見せる。
「宙に逃げたのはなかなかだが……これでお前に逃げ場は無い!」
「あら、それ位あたしも予想してたわよ。身動きのとれないあたしを攻撃してくるだろうって事は」
「強がりを……予想していたのなら何故反撃できない?」
「簡単よ。もう終わっているからよ」
「ハッタリを!トドメだ!空条徐……ガハッ!な……に……シャッターが………?」
「シャッターは閉まっていなかった………糸を止め金の部分にくくり付けておいて引っ掛けて止めておいた………今それを引っ張ってシャッターを降ろした………」
「く………そ……システム・オブ・ア…………」
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァッ!」
「プゴッ!」
男はそのまま意識を失い、グッタリと動かなくなった………。

10分程してあたし達はパーク内の喫茶店にいた。
「もう!せっかく来てやったのにアトラクションが故障ってどういう事よ!もうこんな所二度と来ないわ!」
「そう……だな………確かに………来たく………ねぇな………」
キョンが死にかけの声で呟く。
結局あの後キョンとアナスイとみくるは暴走するジェットコースターに閉じ込められ、降りて来た時には顔を真っ青にしていたという訳だ。
「でもやっぱり腹が立つわ!行くわよ!」
行くって何処に?アトラクションはまだ復旧してないぞ。
「さっきそこでショーを見たの!あのショーに乱入するのよ!」
「「「止めろォォォォォォォォォォォォ!」」」
その後、あたしとキョンとアナスイがおごりにおごってハルヒを止めるハメになった………。

スタンド名 システム・オブ・ア・ダウン
本体名 カイル・キーンズ 再起不能

To Be Continued・・・

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最終更新:2007年12月18日 14:53