第23話 「映画制作中異常発生中 4 」
「な、長門ッ!大丈夫か!?」
キョンが駆け寄る。
「………平気」
どうやら傷は治したようだ。
「有希、敵はどんな奴だ?何体いた?」
「………一体」
「速さは?」
「………そこそこ」
「パワーは?」
「………かなり……ある」
近距離パワー型のスタンドか?だけど姿が見えなかった……飛び道具でも持っているのだろうか。
「!後ろ……敵」
有希に言われ振り向く、が、
「………いないじゃないの…グッ!」
左肩を撃たれる。が、傷は浅い。
「有希!何処だ!」
そう聞くと有希が窓を指差す。
「………?窓の外に敵なんて……オラァッ!」
斜め後ろから飛んできた攻撃を咄嗟に弾き、攻撃の飛んできた場所に駆け寄りのぞく、が、何もいない。
「なぁ……長門……どうなってんだ?」
「……………」
その次の瞬間、机の上の物が蜂の巣にされる。
「ど、何処にいるんだよ!長門ッ!ほんとに敵見えてんのか?」
「………見えない」
どうやらよほど隠れるのが上手いやつらしい。有希ですらてこずっている。と、有希が鉛筆を取り、落ちていた紙に何かを書き始めた。
「………スケッチ?」
数秒後、有希は上手なキョンの似顔絵を書き上げていた。
「………有希……これ、ギャグか?」
「……そう」
大丈夫か?有希?
「………大丈夫……」
「長門がそう言うなら大丈夫じゃねぇのか?」
「何か異常があったら言うのよ?有希?分かった?」
「分からない。あったら言わない」
「……………」
「この状況で……イカれているのか?」
「イカれている」
「………冗談だよな?」
「冗談」
「有希……あんたほんとにあたし達に伝えたい事あるんじゃないの?」
「ない」
「じゃ、ふざけてないで敵を探してくれない?敵の大きさは?」
「探さない。許可は不要、敵は大きい」
「……………」
「……………」
「……………」
話が噛み合わない………さっき攻撃を受けてから有希は何かおかしい。
「有希、あんたは宇宙人よね?」
「違う、私は地球人」
「有希はおお食いよね?」
「私は少食」
「富士山は?」
「海」
「フェラーリは?」
「飛行機」
「猫は何科?」
「イヌ科」
「あなたの水着は?」
「海パン」
「………長門、なんかおかしいぞ?大丈夫か?」
「……大丈夫……」
「有希、口空けて」
有希が口を空ける。と、
「オラァッ!」
有希の口の中にスタンドを突っ込み、引き抜く。
「徐倫ッ!?何やってんだ!?」
「やっぱり……有希の舌にはスタンドがついていた。名前はトーキング・ヘッド。取り付いた相手に嘘を喋らせる能力よ」
「それじゃ、今まで長門が話してた事は………」
「全部嘘よ。敵は何体もの群体型のスタンド、速さはまあまあある方で、大きさは小さい。パワーは弱いけど……群体型は大体そうだから参考にはならないわね。さらにそいつは飛び道具を持っている………オラァッ!」
机を叩き壊す。と、その陰におもちゃの兵隊が現れた。
「こいつがそのスタンド……バッドカンパニーよ」
「………悪い、見えない」
「………はい、カメラ」
と、バッドカンパニーがライフルの一斉射撃を始めた。咄嗟にかがみ、ストーンフリーで弾く。
「アパッチ………!」
有希の声を頼りに後ろ蹴りを繰り出し、そのままバック転で扉の前に逃げる。と、扉が空き、髪の毛を茶色くした好青年が現れた。男が喋り出す。
「トーキングヘッドを切り抜けるのは予想外だったよ……褒めておくよ」
「褒めるんだったら見逃してくれる?」
「そうはいかないよ……君があんまりきつく絞めるもんだから相棒が気絶しちゃったよ」
見るとあたしの手の中にいたはずのトーキングヘッドが消えている。本体が気絶してスタンドを解除したのだろう。
「………だが、君達は僕のこの能力にはかなわない!」
その瞬間、バッドカンパニーが隊列を組み、一斉射撃を始めた。
「オラオラオラァッ!」
「……………」
有希と二人で弾丸を弾くが全ては弾き切れず、数発が命中した。幸いそこまで酷いダメージではない。
「どうしたんだい?逃げるだけか?」
「オラァッ!」
右フックを繰り出すが、腕をかすっただけに終わる。その瞬間、左脇腹に弾丸が当たった。何発も当たったせいでダメージは大きめだ。
「だ、大丈夫か!?徐倫!?」
「なんとかね………」
その時、有希が男の死角から襲いかかる。が、あと少しという所で突如起こった爆発に巻き込まれた。
「地雷……!?」
「話には聞いてたけど……迂闊だった………」
「さて、そろそろ終りにするかな……戦車用意!」
号令と共に数台の戦車が物陰から現れ、あたしとキョンに照準を合わせる。
「オラ……」
ラッシュを繰り出そうとした瞬間、右腕を何発か撃たれる。
「フフフ……これで終わりだ……発射!」
その瞬間、砲台が突如回転し、男に照準を向けた。
「え?なッ!ザニュガアッ!」
「さっきあたしの糸を砲台にくくり付けておいた……気付かなかったかしら?」
男は自分の砲撃をくらい、失神したようだ。
「クッ………」
「お、おい徐倫……大丈夫か?今にも倒れそうだぜ」
そうね、起こしてもらえる?と、言おうとした瞬間、キョンが男にナイフを突き付けられていた。
「動くな……動くとこいつを切る………」
「おい……なんでそんなにあたし達の事狙うんだ?あんたはあたし達に恨みなんてないだろ?」
ハルヒが買っている可能性は多いにあるが、それは無視する。
「頼まれたんだよ……ある組織にお前らを始末したら金を払うってな……死ねッ!」
ナイフが振り下ろされたその瞬間、有希が間に入り、ナイフを掴む。
「て、てめ………」
有希は相変わらずの無表情だが、全身からは凄まじい怒りのオーラが発せられている……気がする。
「は、放しやがグアッ!」
有希が目にも止まらぬ左フックを男の腹に叩き込んだ。
「た、頼む……ゆ、許して……」
「………不可能」
その返事と共に有希の手の中にナイフが現れる。
「お……おい長門!殺すのは………」
その声と同時に有希がナイフを振り下ろし、男の服と髪の毛がきれいさっぱり無くなっていた。
「ヒ、ヒイイイィィィィ!」
男はマヌケな声をあげながら走り去っていく。
「プ……アハハハハハハハ!」
「長門……お前……結構笑いのセンスあるぞ」
「……………」
そしてひとしきり笑った後、
「奴から組織について聞くの忘れてた………」
「……………」
To Be Continued・・・
最終更新:2008年01月24日 13:22